真の豊かさについて
真の豊かさとは、貧しい人たちは、今まで自分は貧しいからと他人に対して施してこなかった人たちである。
この言葉は、いささか厳しい印象を与えるかもしれません。
しかし、小林正観さんの意図は、決して人を責めることではありませんでした。
むしろ、真の豊かさとは何か、その在り方を私たちに静かに問いかけているんです。
多くの人が、自分は貧しいから施せないと考えてしまいます。
自分に余裕がないとき、人に与えるどころではない、と。
しかし、正観さんは、それこそが豊かになれない原因であると気づかせてくれるんです。
人は、誰かに何かを与えたとき、「ああ、自分にも与えられるものがあるんだ。」と気づくことができます。
たとえそれが大きなものでなくても、たとえば笑顔やねぎらいの言葉、お菓子一つ、ねぎらいの一言でもいいんです。
施すことによって、自分が持っていることを実感し、自信や自己肯定感が芽生えます。
逆に、自分は持っていないと思い込んでいると与えることもできず、心もどんどん枯れていきます。
自分は貧しいから与えられないと考え続ける限り、豊かさは巡ってきません。
正観さんは、その循環の法則を人生哲学として伝えていたんです。
正観さんの考えでは、施しとは決して金品や物質的な援助だけを意味しません。
施しとは、心を向けること、優しさを分け与えること、そして相手の存在を認めることです。
貧しいというのは、実はお金がないことではなく、与える心が枯れてしまっている状態なのかもしれません。
その意味で、与えなかった人は豊かさの回路が閉じてしまっているということを、この言葉は静かに教えているんです。
引き寄せの法則でも言われるように、自分は豊かであると感じている人にはさらに豊かさが集まり、自分は足りないと感じている人には不足感が続いてしまうといいます。
だからこそ、正観さんは自分には与えるものがあると思うことが大事だと説いています。
そして、実際にたとえ小さなことであっても、誰かに喜ばれることをする、その実践こそが自分の内側に豊かさを呼び込む入り口なんです。
正観さんの言葉には、一貫して感謝、喜ばれる存在になること、与えることがキーワードとしてあります。
感謝する人には感謝したくなる現象がやってくる。
喜ばれる存在になれば、お金も人も自然と集まってくる。
こうした考えの根底には、人との関係性の中で、豊かさが育まれるという深い理解があります。
つまり、豊かになりたいなら、まず与える人になる。
たとえ今何かが不足していると感じていても、それでも自分は与えることができると気づいた瞬間に、人生は変わり始めるんです。
小林正観さんのこの言葉、「貧しい人たちは、今まで自分は貧しいからと他人に対して施してこなかった人たちである。」は、単に貧困を非難するものではありません。
むしろ自分の内面にある与える心に気づき、豊かさへの扉を開くためのメッセージです。
キ・ク・アの法則
施しとは行為ではなく、姿勢なんです。
自分には与える力があると信じ、きょう誰かを少しでも喜ばせてみる。
その一歩があなたのもとに豊かさを運んでくれるかもしれません。
キクアの法則。
競わない、比べない、争わない。
この小林正観さんの言葉は、現代社会においてとても大切な心の在り方を教えてくれます。
このキ・ク・アは、心を穏やかに、そして他人と調和しながら幸せに生きるための非常に本質的な生き方のヒントです。
一見シンプルな言葉のように感じますが、実はこの言葉の中には、私たちが無意識に行ってしまっている心の癖を手放すための英知が詰まっています。
以下では、それぞれの言葉に込められた意味を掘り下げながら、この教えが私たちの人生にどのような変化をもたらしてくれるのかを見ていきましょう。
1. 気・競わない。
現代は何かと競争社会と呼ばれる時代です。
学校ではテストの点数を競い、職場では成果や評価を競い合い、SNSではいいねやフォロワー数まで比較されます。
しかし競争が生み出すのは、緊張や不安、そして嫉妬や焦りです。
勝てば一時的に満足しても、次の競争が待っており、心が常に落ち着くことはありません。
セイカンさんは、競うことをやめた時に初めて、人は心の安らぎを転移することができると言います。
誰かと競う必要はない。自分は自分のままでいい。
人と比べることを手放し、自分のペースで淡々と生きることで、人生はぐっと穏やかになるんです。
2. 苦・比べない。
私たちは幼い頃から無意識に人と比べることを覚えてしまいます。
あの人より成績がいい。あの人より背が高い。あの人より給料が低い。
こうして他人と自分を比較することで、自分の価値を見出そうとします。
しかし、比較は往々にして劣等感や優越感を生み出し、どちらも心の平和を乱してしまいます。
比べることをやめた時、自分の価値は他人によって測られるものではなく、既にあるものだと気づくことができます。
小林聖漢さんは、人はそれぞれ違う役割を持って生まれてきていると説きました。
他人と比べる必要は全くなく、自分の今ここにある存在をそのまま認めてあげることが、心の幸せに直結するんです。
3. 争わない。争いはエネルギーを消耗します。
良い争い、正しさのぶつかり合い、価値観の衝突。
多くの争いは自分の方が正しい、相手を変えたいという欲求から始まります。
でも聖漢さんは、争わないことこそが最も強く賢い生き方であると教えてくれました。
争いを避けるというのは、相手に負けるということではありません。
むしろ相手を認め、自分のこだわりを手放し、無用な摩擦を起こさないという栄知の選択なのです。
争いがない人間関係の中には、安心と信頼、そして温かさが広がっていきます。
穏やかな言葉を使い、他人の価値観を受け入れられる人こそ、本当の意味で強い人なんです。
このキクアの3つを実践していくと、心がだんだんと軽くなっていきます。
競わないから焦らない、比べないから落ち込まない、争わないからイライラしない。
日々の小さな場面でも、こうした心の選択をすることで、人生の質そのものが大きく変わっていきます。
例えば職場で他人が先に評価されたとしても、競わないと心に決めていれば、焦らず自分のペースで進むことができます。
友人が自分より裕福だったとしても、比べないと決めていれば、自分の人生に満足できるようになります。
家族と意見が食い違ったとしても、争わないと決めていれば、無駄な衝突を避け、穏やかな関係を築けます。
小林聖漢さんの、競わない、比べない、争わないという名言は、競争や比較、対立が当たり前となっている現代において、私たちの心に優しく寄り添うメッセージです。
キクアは一見すると負けや逃げのように見えるかもしれません。
しかし実は最も強くしなやかな生き方なんです。
それは他人と自分の違いを認め、無理をせず自然体で生きていくという大人の成熟した栄知なんです。
日々の中で自分の中に競争心、比較、争いの種が芽生えそうになったとき、このキクアの法則を思い出してみてください。
心がすっと軽くなり、目の前の世界が優しく見えてくるはずです。
静かに、でもしっかりと自分の人生を歩んでいくために、キクアの法則をあなたの心の中に大切に育ててみてはいかがでしょうか。
