富士山公園の子供たち
夕焼けひとりきり、始まりました。昭和二桁生まれのパーソナリティー、ミッキーロンリーがご案内します。
昭和レトロ、今は懐かしい思い出、明日の心配もせず駆け抜けた昭和の時代。
温かく優しい昭和の情景、心のままにお話しできればと思っています。
どうぞお付き合いください。
今日は、富士山公園。大きなお山の滑り台がシンボルの公園。広場では子供たちがボール遊び。
ケンケンパーしてゴム留めも終えて広場の隅に集まってきた。誰かを待っている様子。
私ミッキーがそばにいて、様子を伺いたいと思います。
お付き合いください。
時は昭和60年代。大きなお山の滑り台がシンボルの富士山公園。広場で子供たちは遊びを終えて体育座りをして誰かを待っている様子だ。
その表情は今や今やと待ちわびている。
あ、黒い自転車がきしきしながらやってきた。
荷台にはおなじみの紙芝居のよぶだ。
ジェウスさんがやってきた。
子供たちはお喜び。ガッツポージュしたり、互いにハイタッチして喜んでいる子供たちもいる。
みんな待ってたかい。久しぶりだね。
ジェウスさんもとっても嬉しそうだ。
ジェウスさんは紙芝居の準備を終えて幕を開けます。
優しい心遣いの幕。
パチパチパチパチパチ
ある温泉街に公衆浴場がありました。
そこに多くの観光客、地元のお客様も
その温泉はとても湯質が良いということでにぎわっていました。
靴箱は少し足りずに
その玄関には下駄やゾリを
人々は脱いで中の脱衣所に放送されます。
みんなのゾリは揃えて脱ぎ捨てる人もいれば
無造作に置いてある人もいる。
決して散らばっているといってもおかしくないような状況だったんだよ。
そして一人の小さな女の子が
あるゾリや下駄を少し並べ出しました。
ジェウスさん紙芝居をめくります。
女の子は一生懸命その玄関に散らばったゾリや下駄を
みんなが帰りの時に履きやすいようにきちんと並べていきます。
多くの人が次から次へと来るけども
決して整えてはいません。
でもその女の子はみんなのゾリをきれいに並べていったんだよ。
そして上々にそれが整ってきれいに一列、二列と作っていったんだ。
女の子はせっせとまだ幼いんだけれどもお手伝いしていく。
ジェウスさん紙芝居をめくります。
その中一人の人が彼女に尋ねます。
どうしてもうお風呂上がったの?
うんって女の子は答えます。
どうしてみんなの分に並べているの?
そのおばさんは不思議があります。
今の時代忘れていたような感覚を彼女は思い出したようです。
ゾリを自分の分だけでなく他の人の分もきれいに整列して
その玄関を見るとその列はきれいにゾリがそろえ並べられています。
ジェウスさん紙芝居をめくります。
女の子はおばさんをどうしてみんなの分もするの?
という質問に答えます。
うん。お母さんはまだ出てこないんだけど
みんなの分、自分だけじゃないこともすると
いいことがあるんだ。お店頭様が見てるんだよ。
そんな言葉で返します。
そしておばさんも恥ずかしくなって手伝っていきました。
そしてジェウスさん紙芝居をめくります。
奥のお風呂におなさったお客様がそのゾリをはいたときに
はって気がついて、その一瞬何が起こったかわからないけれども
女の子のおばさんににっこりして
その女の子がやったんだよっていう話をおばさんが説明します。
そして頭をなでなで。
そして自分が空き散らしていたことをお詫びすると同時に
ありがとうありがとうって言って帰るのでした。
優しさの教え
ジェウスさん紙芝居最後の幕を下ろします。
おしまい。
ジェウスさんは続けます。
みんないいかい。
自分のことはきちんとできる。
そしてみんなが、誰もがそうだと思うんだ。
そしてその女の子は
おてんとおさがまが見てるって言ったよね。
それは自分だけではなく前の人も。
人が言われたこと、わかることだけをするというよりも
おてんとおさん、人が見ていないところをするっていうところまで
心遣いができたっていうところが大事なんだよ。
みんなも人が見ているところではするのはとても良いこと。
でも人が見ていないところで努力すること、その優しさを
みんなも忘れないで。
パチパチパチパチパチ
みんなが退屈張りしながらお互いに顔を見合わせてうんうんってうなずいています。
ジェウスさんの紙芝居。
おてんとおさんが見ている。
人が見ないところで努力する。
優しさを伝える。
自分が表現するっていうことの大事さを私もみきも改めて気づきました。
富士山公園が夕焼けに染まってきました。
みんな自転車乗って木路に着きます。
気をつけて帰るんだよ。
夕焼け一人きりこの辺りで終わります。
お付き合いしていただきありがとうございました。
次回の番組お楽しみに。