農業の再現性の問題
この放送は、農業の常識を超越する、メタグリをキーワードに活動する、
メタグリ研究所がお届けする、Metagri Voicesです。
皆さん、こんにちは。月曜担当の富山みかんです。
Farmers Voices🍊vol.75の放送になります。よろしくお願いします。
先日、メタグリ研究所のニュース部屋の方に、
TC浜田農場が破産したというニュースを共有させてもらいました。
その件につきまして、農場人さんがAIを使って、
なぜ破産したかというところを分析してくださったんですけれど、
いろいろと問題があったようなのですが、
その中で、一点ちょっと興味深いところがありまして、
このTC浜田牧場というところは、
養益栽培でトマトを栽培していたのですが、
養益栽培に使う地下水の成分に問題があったそうなんです。
それで生産量が思うように出なかったと。
僕も本職で養益栽培をやっているんですけれど、
同じ自営に出荷しているもう一軒の農家さんがありまして、
そちらの農家さんもやっぱり地下水に問題があって、
地下水のpHが低すぎるんですよね。
それで作物が同じような肥料・養液を同じ量を溶かしているはずなのに、
同じものにならないという問題があります。
やっぱり養益栽培も土と一緒で、
適正pHがあって6.0から6.5、
この辺りが一番肥料が効きやすいpHなんですよね。
ここを逸脱してしまうとなかなか肥料が効かなくて、
もう一軒の農家さんもpHのアップ剤を入れて何とか対応しているんですけど、
なかなかうまくいかないそうです。
それでは今回のテーマに入りたいと思います。
今回のテーマは、農業の再現性の低さ問題というテーマでお送りしたいと思います。
環境への適応と栽培法
先日、図書館で楽々増益のみかんづくりという本を借りてきました。
この本はですね、
どこでもできる、誰でもできる、楽で楽しく、豊かなみかんづくり、
という歌い文句の本なんですけれど、決してそんなことはありません。
この本、5年ぐらい前に借りたことがあるんですけど、
これちょっと難しいこと書いてあるなと思って、
ざーっと読んだだけで、今読むと本当にすごくいいこと書いてあるんですけれど、
ちょっと本当に当時はすごい難しいなと思いました。
1995年と少し古い本なんですけれど、
今でも全然通用する内容なのですが、
これざーっと読んだところですね、
第一部、現場に見る明日のみかん農業。
3人の農家に学ぶ技術と経営ということで、
この著者の方が3人のすごい技術を持った農家さんの技術と経営を紹介されているのですが、
この農家さんが真逆のことをやられているんですよ。
ある農家さんは年間の窒素量を6キロにして、
気がストレスを加えておいしいみかんを作ると。
別の農家さんは年間窒素量を38キロと、
超多比といいますか、たくさん比量を与えておいしいみかんを作ると。
初心者から見たら、どっちを真似したらいいの?という感じですよね。
歌い文句がどこでもできる、誰でもできるって書いてあるくせに、
はぁ?って思うんですけれど。
この著者の方は、年間窒素量6キロの人のところは、
年間の耕雨量が多く、本当は気にストレスを与えておいしいみかんを作りたいけれど、
そういうわけにもいかないので、比量を少なくすることでストレスを与えていると。
もう一方の、年間窒素38キロ与えている人のところは、
雨が少なくて、冬場マイナス7度まで気温が下がることがあるため、
それだけストレスを与えるとおいしいみかんができるけれど、
木が枯れてしまうためにたくさん比量を与えて、
その乾燥だったり寒さへのストレスに頼る木造りのために、
たくさん比量を与えているんだというような考察です。
こんなの、プロじゃないですか。
どこでもできる。誰でもできるとは思えないな。
つまりですね、環境だったり、土だったり、シャベンだったり、
いろんな環境が違ってくるわけですよ。
なので、同じみかん栽培だったとしても、
こっちでおいしいみかんを作るマニュアルができたとしても、
また別の地域ではそれが通用しないということになってくるわけですよね。
というわけで、一番大切なのは、こういった事例を
自分の農業にどう応用していくかということが大切なんじゃないかなと思います。
僕の畑の土は、赤黄色土と言いまして、
腐食が少なくて、塩基飽和度が低く、
粘土含有量が多くて、排水性が悪い。
さらに放水性も悪くて、雨が多いときには湿害があり、
乾燥時には寒害を受けやすいという、農業に向かない土だと言われています。
なので、腐食を増やすために有機物をたくさん入れたり、
排水性・放水性を良くするために、
土壌で畑に穴をあげて、そこにソラタンを入れたりしています。
最近の気候としては、夏場は暑くて乾燥して、
冬場は暖かいという傾向が強いです。
夏場にダメージを受けてしまうのが一番怖いので、
夏場の樹勢を保つためにも、
他品にした方が良いんじゃないかなと今年は思っています。
昨年は春の肥料を与えなかったので、今年は結構与えました。
毎年試行錯誤しているのですが、
試行錯誤しすぎて核となるものがないので、
地に足をつけた栽培をしたいなと思っています。
それでは今回は以上になります。
今日もメタグリボイシーズを最後までお聞きいただきありがとうございました。
あなたと一緒に新しい農業の世界を創造する旅を続けていけることに感謝しています。
次回もお楽しみに。
みんなみかん食べてね。牛乳飲んでね。バイバイ。