そもそも我々がなんで微分音に興味を持ったかというかますか、
どちらかというと私見てたいの独断だったんですけれども、
そもそも私が微分を知ったきっかけっていうのが、
私は現代音楽を割と聞くので、微分音自体が入っている楽曲というのがいくつかあったんですけれども、
名前を知ったのはグロリア・コーツという作曲家の高級曲14番ですね。
微分音のための音楽という副題がついてたんですけれども、
そちらで微分音ってなんだというところで知ったというところが始めたったんですけれども、
ただ私とかが知ったのはもうかなり微分音界が延熟してからだと思うので、
微分音になる前のところになるかもしれないんですけれども、
清川さんが微分音に触れたきっかけというのはどのあたりになるんですか。
そうですね、私が本当に具体的な西暦でいうと2014年ぐらいですかね、
私が微分音を始めたのがそのあたりになりますけれども、
このラジオで取り上げていただいているN平均率という言葉が検索しても、
本当に日本語で検索しちゃったら全く出てこないような時代でした。
私が微分音に触れたきっかけが、大学で私作曲の方を勉強していたんですけれども、
そのときに一般的な作曲の勉強だと、
やっぱり古典的な作曲家の音楽システムを勉強して、
楽曲分析して、学典の勉強をして、製法を学んでみたいな、
そういった感じなんですけれども、
そういったことをある程度舐めてしまって、
曲を作っていても、
なんだか他の人がすでにやっていることをなぞっているっていう、
曲を作っていても自分のものじゃなくて、
誰かがすでにやっているものをなぞってやっているなというようなことに、
だんだん入ってきたといいますか、
何か自分の何かがないかなということを思い始めていたのは、
そのときに尾形敦彦さんの音律と音階の科学という本がありまして、
たまたまそれが大学の図書館にあったので読んでみたら、
そこに53平均律、16平均律、17平均律の紹介が書いてあったんですね。
そこで12平均律以外の音で曲を作るという考え方を知りまして、
そもそも12等分っていうところを違う数の平均率にして曲を作るっていう発想が、
正直めでたいから話し来るまで、あとこのVivuonの名調さんとか見るまで、
全然発想になくて、結構最近になってそういう概念があるんだなっていうのを知った感じですね、僕は。
そうですね、はい。
私のほうも実際のところ、
私はオーケストラのほうで曲のほう演奏したりしてるんですけども、
あれですね、アルフレッド・シュニート系の合奏教師奏曲3番っていう曲がありまして、
そこの中で本当に1音だけ出てくるようなVivuonの形式、
本当に四分音っていう、
そうですね、四分音、四分音。
言い方が多分正しいと思うんですけど、そこが出てきて、なんだこの音符はみたいなところで、
ああこれ、いわゆるVivuonなんだみたいなところだったんですよね。
京川さんとしては、N平均率とあと単発で出てくるようなアクセントとしてのVivuonというところで、
そこに関してはどちらかというと、N平均率に関して、
かなり研究されているところであると思うんですけども、
そうではないところのVivuonに関しては、
どのようにお考えですかというと、
そうですね、Vivuonって歴史的に見ると、
一番最初に始まったのはやっぱり物理学的な問題ですよね。
弦が1本あって、それの弦を半分の長さにすると1オクターブ弦の音、
そこからさらにその弦の長さを半分にすると周波数比が2.5から、
ソの音ですね、要するに。
ソの音ができて、そこからさらに半分にするとレの音ができて、
という感じで5度の積み重ねで、途中でピタゴラスコンマという話がありましたけども、
そういった形で5度、5度、5度、物理学的に単純にやっていくと、
勝手にVivuonになってしまうという物理学的な問題から始まって、
そういったところでいろいろ生まれていったVivuonというのもありますし、
あとは民族音楽、どちらかというとそちらも物理学的な影響が強いかなと思いますけども、
要するに民族音楽といいますか、物理学的な制約といいますか、
そういったところから伸びていったVivuonというものと、
あともう一つは先ほどのアクセントのようなVivuonといろいろとありますけども、
やっぱりN平均率という考え方はどうしても新しいといいますか、
あとは既存のあるいろんな手法から自分の好きな要素を引っ張ってきて、
それがある種オリジナリティというか良さっていうふうに割り切ってじゃないですけど、
そういうもんだというふうにして結構自分の中で解釈して楽しんでいる節が、
ポピュラーミュージックを聴いたり作ったり楽しんでいる中であったと思うんですけど、
もうそもそも今まだ誰も触れてないやつの中にもまだまだいいやつはあるぞということで探求されているっていうことなんですよね。
そうですね、やっぱり人の耳って下40Hz、50Hzから上40,000Hzぐらいまでいろんな音が聞けるわけじゃないです。
でもその40Hz上40,000Hzっていうその40,000近いある音の中でピアノの音って128しかないわけじゃないですか。
40,000の音ある中128の音だけで曲を作る必要性と言いますか、もっと音って可能性あるよなっていうのは思うんですよね。
その40,000の音の中の128で曲を作るんじゃなくて、もっと40,000の音全体を見て曲を作っていきたいなっていうところを考えてやってます。
40,000分の128ってめちゃめちゃいい言葉ですね、確かに。
本当にそう聞いてると本当になんで今まで我々は12平均率でしか曲作ってこなかったんだろうっていう気持ちにさえなってきますよね。
でもなんかやっぱり今の今回このテーマにあたって、ビビューン音の曲ちょっとだけ聞いてきたんですけど、
でもなんかやっぱり一回我々って12平均率にとらわれてるんだなって感じる習慣があって、やっぱりそうじゃない音を聞いたときに本能的に違和感をやっぱり感じるんだなっていうのは思いました。
その辺ってどう思います?
そうなんですよね、そこが結構難しいところで、実を言うと先ほどもメロディー進行、コード進行っていう話をさせていただきましたけど、
本当にやっぱり皆さんのようなプロの方に聞いてもらうと、やっぱり12平均率の音楽システム上の音を変えたものにしか聞こえないっていうパターンがあるんですよ。
そこからどう抜け出すかっていうのはすごい今後の展望かなとは思っていて、もちろんこれまで作ってきたものを完全に捨てる必要はないと思っていて、
コード進行だとかメロディーだとか、あとは点調だとか、そういった考え方は全然別に他の平均率だって使えるとは思うんですけど、
でもそもそもそれらって12平均率の音を前提にして作られてきたものであって、それをなぞって他の平均率とかでやっても調律が外れてるこれまでの音楽システムの曲のように聞こえてしまうっていうこともあるんですよね。
音をどうやって簡単に出せるかなっていうのをちょっと考えたらですね。
ブラウザで簡単に自分の好きなチューニングで音を出せるウェブサイトがありまして、
キュリプストラキーボードっていうウェブサイトがありまして、英語で言うとTRPSTRAですね。
キュリプストラキーボードっていうウェブサイトがありまして、
こちらの普通のウェブサイトにアクセスして、15平均率とか20平均率とか、
あとは固定のチューニングとかいろいろあるんですけど、
こんな感じでポチってボタンを押してあげると画面にキーボードが出てきて、
そのキーボードをポチポチ押すと自分の好きな調律の音がすぐ聞けるっていう、
そんなウェブサイトがある。まずはそこで音を出してみて、
iPadとかで画面タッチしながら和音出してみたりとかですね。
そんな感じでいろいろやってみて、この音面白いな、楽しいなと思うんだったら、
ぜひ今後ともやっていければいいかなと思います。
やっぱり私もたまにこの曲を聴いていただいたときにですね、
やっぱりピアノ演奏長くやられてる方とかは単純に気持ち悪くなってしまう人もいるんですよ。
どうしても受け入れがたいっていう人もどうしてもいるので。
そこでどうしてもダメだっていう方はそれでっていうのはあるでしょうし、
まずはそこで音を出してみて、これで面白いなってなったら
そこから進んでいけばいいかなって思うんですね。
次にどこやろうかなってなったら、それで面白かったですよ、
次どうしようかなってなったら、
こちらは実は事前の打ち合わせで5平均率の曲をお渡しさせていただいてたんですけど、
5平均率って音数がとても少なくて、とてもやりやすいんですよ。
実は微分音ってやると音を増やすことにばっかりイメージが行くじゃないですか。
ドシャープレーレシャープミっていう12音があって、
そこのドとシャープの間の音っていう考え方をすると、
どうしても12よりも数を増やしがちなんですね。
12よりも音を増やしがちなんですけど、
大体何丁とかって実際使われてるのって7音じゃないですか。
ということを考えると10平均率とかでも全然テンションとかできたりもしますし、
音を少なくすることのメリットは単純に作曲がしやすいです。
あと5平均率は先ほどの不協和曲線っていう話がありましたけど、
まずドとドの音、まずドの音を鳴らしてもまず不協和にならない、
まずぶつからないんですね。
ドとドの音を鳴らしても綺麗に聞こえます。
もうすでに隣の音が感覚を持ってるからですね。
自分のね。
そうですね。そこから少しずつ音の数を増やしていってもいいかなというふうには思いますね。
どうしても音の数が増えると和音の組み合わせがあまりにも増えすぎて、
音の可能性を探求しきれないといいますか。
そうしても目の前に鍵盤があるわけじゃないんで、
いろんなものを試しに弾いてみるっていうのがなかなかできないんです。
できることはあるんですけど、なかなか簡単にはできない。
ピアノが目の前にあればこんな和音とこんな和音どうかなとか、
こんなメロディーどうかなっていろいろ試せるんですけど、
音の数がどんどん増えてくるとあまりにもパターン数が増えてきたりして、
探求しきれない。
実はこの平均率にはこんな良いメロディーフレーズって感じるものが
自分の中にあったとしてもそれを見つけきれない可能性がだんだん増えてきて、
その辺でいうとまず数が少ないところから入っていって、
こんなフレーズがあるんだ、こんなメロディーがあるんだっていうのを
少しずつ音を増やしながら各平均率の音を探求していって、
何か自分の好きな平均率を見つけられればいいんじゃないかなと思います。
何かいろいろ手を出していっても、この平均率はこんな響きがあるんだっていう
特性を理解しないまま作曲してしまうので、
少し音を絞って、いろんな音を吟味してから作曲してもいいのかなと思います。
了解。
陽川さん自身はどういうふうに広げていったんですか?
私はですね、実を言うと14平均率の曲がありまして、
14平均率の曲を選んだ理由はですね、
自分の祖母の子守唄が12平均率じゃないなっていうところから入りまして、
自分の祖母の子守唄がですね、今ちょっと口ずさむとちょっと恥ずかしいですけど、
ねんね、ころりよ、ころりよ、
山良い子だ、ねんねしな、みたいな、こんなフレーズなんですね。
日本のこの響きって、ドレミファソラシロンの12音でやるとあまりにも幅が広すぎて、
一音一音がそんなに飛ばないんですよ、自分の祖母の子守唄って。
もっと先土地っていう考え方をご存知の方をベースに言うと、
100セントも上がったり下がったりどうしてもしてなくて、
自分の祖母の曲を自分のダウとかで打ち込んでも、
いや、こんな音じゃないなっていうふうになって。
その時に14平均率でこのメロディーを鳴らしてみたら、
ドンピシャだっていう響きになったんですね。
そうです。このリチューナーという考え方ですね。実を言うと、このSCALAファイルというソフトウェアは、
微分音階のデファクトスタンダードになってまして、このSCALAのリチューニング、もちろん先ほど申し上げました通り、
ウェルテンペラメントの音も選べるんですけど、ウェルテンペラメント以外の音を選んでそのチューニングをエクスポートすると、
SCLというファイルでチューニングがエクスポートされるんですけど、実はこのSCLファイルに対応している音源って結構ありまして、
ピアノだったらピアノテックというソフトウェアが結構有名だったりするんですけど。
物理演算のピアノソフトですね。
かなり有名なやつなんですけど、その辺はもう完全にSCLファイルに対応していて、リチューナーをかまさなくてもいいんですね。
だからSCALAファイルで自分の好きなチューニングを選んだら、そいつをSCLというファイルでエクスポートして、
SCLに対応している音源にインポートさえしてしまえば、リチューナーをかます必要も特段ないと。
あとは、先ほどのリチューナーには弱点があって、ピッチベンドに素直な音源でしかできないんですよ。
ピッチベンドであればこのくらいの周波数引きがずれるだろうという前提でピッチベンドをリチューナーがしてますので、
そのピッチベンドより動かない音源って結構あるので、
ちゃんとした音で出してあげようと思ったら、SCLファイルに対応しているやつのほうでやったほうが確実にきれいな音で作曲ができますね。
あとは、SCLファイルに対応していない音源というと、音源そのものでN平均率に対応しているものが実はありまして、
結構有名なのがコンタクト。コンタクトの音源っていうのは、実を言うとデフォルトのプラグインでN平均率が出せます。
そうなんですね。じゃあ、ネイティブインストルメンツの元々の音源は大体対応してるんですね。
そうです。その中のファクトリーライブラリーっていうそのあたりのやつに関しては、もうプラグインでぴったり音がきれいに出ます。
ただ、コンタクトの中でもそのプラグイン通り動かない音源も実はあって、コンタクトの中でも結構ゴリゴリのピアノ音源とか、
しっかりとしたやつだとたまにそのプラグイン通り動かないものもあったりするんですけど、ファクトリーライブラリーっていう割と素直なやつらは、
もう一通りフルートとか一通り全部揃ってますけど、その辺の音源は全部素直にN平均率が出せるので、
オーケストラ曲全然N平均率でコンタクト1本あるだけで作れちゃいます。
普通に普段使ってるツールなんで、今びっくりしてます。
われわれ知らず知らずに、ツールは持ってたけども、そこに気づかずに、なんか音出ないなみたいな、やってたっていうことですね。
そういったところでちゃんと楽譜を残すっていうのは、また一つちゃんと価値があるのかなと思います。
なるほど。
だから今あるツールで伝えるとしたらやっぱりそういう方法になるんです。
でもそういうやり方があるんですね。
なるほど、なるほど。
クラシックの音楽もそうですけど、特にクラシックの音楽がそうか。
過去の、例えばBachとかVivaldiとかの時代の音源自体は残ってないけど楽曲が残っていて、
それで今演奏された曲を聴いて、これがBachの音楽だったんだなっていうところが分かると思うんですけど、
そういう感じで、微分音に関しても今我々が曲作るだけでなく、
今後誰かがそれを再現できるようなツールとして残しておくことで、
今後本当にそんな名曲ができるかは分からないですけど、
100年後、200年後に誰かが演奏してくれて、
この時代にはこういう微分音の考え方があったんだなみたいな。
これ伝わるように歴史になっていけると一番いいかなと思いますね。
そうですね、ありがとうございます。
では、ちょっと締めみたいな話になってしまうんですけども、
今の話からも関連して、
今後、微分音、特にN平均率っていう考え方っていうのは始まったばっかりというか、
本当に歴史としてはこれからというところだと思うんですけども、
清川さんから見て、微分音とかN平均率に関して今後の展望といいますか、
今後どうなっていってほしいみたいなところってありますか。
そうですね、もちろん聴き手側に関して言うと、
やっぱり12平均率の音をベースにどうしても聴こえてしまうと、
単純に作曲をしても12の音から外れたものにしか聴こえないっていう問題がどうしてもあってですね、
やっぱりそれはもう普及するしかないのかなという気もしている。
12音以外の音がありふれた世界になれば全然それで問題ないというかですね、
たぶん赤ん坊とかに12平均率の音じゃなくて、
14平均率、15平均率の音が、
仮に周りの音に14平均率しかなかったら、
赤ん坊はたぶん14平均率の耳で当然成長していくと思うんですよね。
そういった形で12の音が外れたものに聴こえてしまうっていうところが、
やっぱり少しずつ視聴者側として、聴き手側としてはですね、
なっていったらいいなというのは個人的には思うんですね。
やっぱり普及させていくしかないかなっていうのはあります。