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どうも、コウブンです。
栃木県の片田川にある蓮城院というお寺で副住職をしております。
多様性と寺院の役割
本日はですね、仏教×現代社会のシリーズの第3回目をお送りしたいと思います。
第3回目は、多様性社会における寺院というテーマでお送りしたいと思います。
最近よく耳にする多様性という言葉。
昔はあまり聞きませんでしたよね、多様性。
最近ではよくおなじみの言葉ぐらいになっていると思うんですが、
多様性、価値観、ライフスタイル、働き方、そして国籍とかね、
様々な面で多様化が進む現代社会。
そういったところにおいて、このお寺はどのような役割を果たしていくべきなのか。
そういったところを、今日はその可能性を探っていきたいというふうに思っているわけです。
昔はお寺といえば、団家さんとの結びつきが強くて、地域コミュニティの中心的な存在だったんですよね。
しかしながら、各家族化とかね、都市化というものが進んで、人々の価値観もね、多様化をしてきた。
そういった中でお寺を取り巻く環境も大きく変化をしたということなんです。
例えば団家制度。昔は先祖代々同じお寺にお墓があるというのが一般的だったんですけれども、
最近ではお寺を持たない選択をする人、あとは宗教にこだわらない人というのがね、増えてきているんです。
こういう変化というものは、実はお寺の経営に影響を与えているという側面があるんですよね。
そして地域との関わり方も変わってきているということなんです。
昔はお寺がその地域のね、集会場のような役割、あとは寺小屋という言葉があるように、学校のような役割、
そういったものを果たしてきたんですけれども、今は公民館、学校、そういったものを公共施設というのがね、もう一般的ですよね。
なので地域コミュニティの形というのは、昔と今ではずいぶん変わった、多様化してきたということなんですよね。
しかしながら、そんな中でも時代に合わせて変化し、多様性を受け入れようと努力をしているお寺というのがね、たくさんあるんです。
外国人観光客と地域連携
今日はそんなお寺を少しご紹介をしたいと思います。
まずは外国人観光客への対応ということなんですが、日本を訪れる外国人観光客というのはね、年々増加をしておりますよね。
昨年2024年はコロナ前よりも外国人観光客の数が多かったそうです。
そういったところで、いわゆる観光を目的としたお寺、観光寺と呼ばれるようなお寺では、英語や中国語などの多言語対応の案内板を設置したりとか、
あとはパンフレットを用意したりとか、外国語で法話を行ったりとか、座禅体験を提供したりとかね、
そういった海外の方にも仏教文化に触れてもらう機会を増やしているということなんですよね。
私の知っている東京のあるお寺さんでは、英語で座禅体験ができるプログラムというのが非常に人気です。
そしてそこには多くの外国人観光客が訪れているということなんですよね。
さて、お寺といえば、これからのお寺といえば、地域との連携も重要なんですよね。
とあるお寺では、地域のイベントに積極的に参加したり、子ども食堂を運営したりとか、地域住民との交流を深めているというところがあるんです。
他にも、農家さんと協力して境内でマルシェを開催しているというところもありますね。
さらに、忘れてはならないのがSNSの活用。
最近では、インスタグラム、ツイッターというかXとか、他にもブログとか、そういったものを活用して情報発信やイベント告知を行っている。
そして、オンラインでフォアを聞けるサービスを提供している。そんなお寺もあるんです。
LGBTQプラスと寺院の課題
さて、近年、多様性という文脈でLGBTQプラスというものの理解を深めようとする動きというものが社会全体で広がっていますよね。
LGBTQプラス、皆さん知ってますか?
なんかこれを聞いて、あれ?ちょっと増えてるなって思いませんでした?
私も実は、今日の台本を作る際に色々調べたら増えているということに気がついたんですよね。
偉そうに語っている割には、最近知ったんかい?と突っ込まれそうなんですけども。
昔はLGBTの4つでしたよね。ところが最近ではQとプラスがあるというところです。
どういうこと?と思った人のためにちょっと説明をします。
まずLGBTQプラスのL。Lはレズビア。女性を好きになる女性ということですね。
そしてGはゲイ。ゲイは男性を好きになる男性ということ。
Bはバイセクシャル。男性、女性、どちらも好きになる人。
Tはトランスジェンダー。生物学的な性別と性自認が一致しない人というところですね。そこがLGBT。
そしてQはクエスチョニング。あとはクイアという言葉でも表現するそうです。
これは性的マイノリティを包括的に表す言葉。
または性自認や性的指向が定まっていない人。
そしてプラス。プラスはこのLGBTQにも当てはまらない多様な性の在り方だそうです。
要するに今まで男性女性という中で男性は女性が好きになる、女性は男性が好きになるというのが一般的とか常識とかされてきたんですけれども、実はそうじゃない人もいますよね。
男性が男性を好きになったり、女性が女性を好きになったり、あるいはどっちも好きになったり、それ以外であったりとか。
いろんな人もいてもいいよねというのがLGBTQプラスの考え方ということですよね。
それを性的マイノリティと呼んでいるわけです。
マイノリティというのは少数派ですから、少なからずそういう人たちがいるんだよという事実をちゃんと皆さん自身が認識をし始めたということですよね。
そんなLGBTQプラスですね。
そういったものをお寺の中でも多様な性の在り方を認めて積極的に理解を深めようと活動しているところがあるんですよね。
とあるお寺ではLGBTQプラスの方々を対象とした法和会だったりとか、当事者の方々が安心して相談できる窓口を設けたりとか、そういうところもあるんですよね。
そうした中で、これはもしかしたら私の個人的な思いがちょっと強い部分なんですけれども、
どういうことかというと、このLGBTQプラスの方に対応した解明という問題が新たな問題となるんじゃないかなというふうに感じております。
どういうことかというと、仏教では解明というのがあるんですね。
これは本来仏弟子としての新たな名前を授かることを言って、属性の執着を断ち切って、そして仏道に専念するという意味合いがあるんです。
聖伝の名前とか社会的地位とかを切り離して、新たな存在として生まれ変わることを象徴するもの、それが解明なんですけれどもね。
仏様のお弟子になったという証明のようなものというふうに言えるかなと思います。
そしてそれを解明というものの中に、実は男性女性を表す言葉というのが一部入っているんです。
例えば、真嗣、これは男性を指す言葉、信仰というのが女性を指す言葉、これが解明の中の一部に入ってくると。
つまりそういう男性女性という考え方というのが前提で、そういった解明というものが存在しているわけですから、
これからもしかしたら、そういうLGBTQプラスの人たちに配慮した新たな解明というのが必要になってくるのかもしれません。
現在のところ、まだそういう事例というのはほとんどなくて、少なくても私の知っているお寺さんの中では、
それで対応しましたよというお話は聞いたことがありません。
しかしながら、いずれこういった社会的にLGBTQプラスの方への配慮というものを考えられている動きがあるわけですから、
当然ながらお寺もそういったところに対応していくというのが時代の潮流じゃないかというふうに私は思っております。
そんなような形で、これからどういうふうにそういった形に対応すればいいのかというところで、
やっぱり最終的には伝統というものがありますから、その伝統という考え方と個人の、亡くなった方の考え方と、
あとは家族の思いと、そういったものをきちんと対応してみんなで決めるというのがいいんじゃないかなというふうには個人的には思うんですけれどもね。
そういった形でLGBTQプラスというものに対応する皆明の在り方も新たなお寺の課題なのかなというふうに感じております。
では、この多様化する社会の中で、これからの寺院にはどのような役割が求められているのでしょうか。
まず一つ目は心の拠り所としての役割。
価値観が多様化して情報があふれる現代社会において、多くの人が精神的な支えを求めています。
そんな時代だからこそお寺が年齢や性別、国籍、性的指向や性自認に関係なく、
誰もが安心して訪れることができる心の拠り所となることが重要だと考えております。
そして二つ目は地域コミュニティのハブとしての役割。
お寺には様々な世代や背景を持つ人々が集まる場所なんですよね。
なのでその特性を生かして地域住民同士の交流を促進してコミュニティの活性化に貢献することができる、
そういう期待がされていると思っております。
そして三つ目、文化の発信基地としての役割。
お寺には長い歴史の中で培われてきた日本の伝統文化や仏教の教え、
そしてそれを現代に伝える貴重な場所ということなんですよね。
それらを現代的な視点で解釈をして国内外に発信していくことで、
これからの寺院の重要な役割と言えるのではないでしょうか。
仏教をかける現代社会の第三回目、多様性社会における寺院、いかがだったでしょうか。
今日は多様化する社会の中でお寺がどのように変化し、
そしてどのような役割を果たしていくべきなのかについて考えてみました。
特にLGBTQプラスの方に対応した開明を、私の個人的な思いですけれども、
そういった問題は今後も議論が重要になっていくのではないかと思っております。
次回は経済活動と仏教の教えというテーマでお送りしたいと思います。
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連常院副住職の幸文でした。またね。