庭の空気の違い
先日、家の庭に出た時のことです。
外に出た瞬間、空気がいつもと違うように感じました。
風は弱いのに、木の葉の揺れ方がいつもと違います。
地面が乾いて見えるのに、室の匂いがほのかにします。
鳥の声は聞こえますが、いつもより場が空いているようでした。
どれも大きな変化ではありません。
けれど、いくつも重なると、今日はいつもと違うという感覚になったのです。
理由を探してみます。
天気予報では、気温も湿度も大きく変わっていませんでした。
雨の予報もありません。
それでも、この庭では確かに何かが違っていました。
その時、気づいたのです。
私は、自然の変化にすぐ理由をつけたがっている、ということです。
数字や言葉で説明できれば安心し、できなければ落ち着かなくなる。
それが、いつの間にか当たり前になっていました。
しかし、自然の中では原因を一つに決められない変化が普通に起こります。
空気の流れ、土の状態、植物の水分、気温のわずかな差。
そうした小さな要素が重なって、私たちは違いを感じるのです。
解剖学者の養老隆さんは、著書の中で、
人の社会は予測と統制の考え方に満ちていると述べています。
こうすればこうなる。だからこうしておこう。
それは人間にとって便利な考え方ですが、自然の前では通用しないことがあります。
庭で起きていた小さな変化も、はっきり説明できなくて当然なのかもしれません。
わからないことがあるのは当然のことです。
自然が自然として動いている証であり、
毎日忙しい中でもほんの少し立ち止まり、外の空気を感じてみる。
そうすることで自然だけでなく、自分自身の見方も少し和らぐのではないでしょうか。