1. 心の砂地#
  2. 第15回『エマ、伝統と自由意志』
2022-09-22 49:56

第15回『エマ、伝統と自由意志』

今回は森薫先生の『エマ』を特集しています。
丁寧に描写される「嘘のない」話で語られるのは階級社会(クラス)、社交界、つまりは伝統と自由意志、教養と教育(移り変わりゆく時代)…。
少女漫画が好き、という人、京都アニメーション『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が好きな人、はぜったいに読んでください!
「いいよねぇ」としか言えないような、この作品の空気感をできる限り分析して、言葉にしてみました。

『エマ』あらすじ…【19世紀末、ヴィクトリア朝時代のイギリス。豪商ジョーンズ家の御曹司であるウィリアム・ジョーンズは、幼い頃に家庭教師として世話になった恩師のケリー・ストウナーのもとを10年ぶりに訪れた。ウィリアムにとって、父親以上に厳しく怖い存在だった彼女の家を訪ねるのはいささか気乗りしないものだったが、そこで彼は、メイドのエマと運命的な出会いを果たす…。】
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00:00
19世紀末、ビクトリア朝時代のイギリス。 豪商ジョーンズ家の御曹氏であるウィリアム・ジョーンズは、幼い頃に家庭教師として世話になった恩師のケリー・ストーナーの下、10年ぶりに訪れた。
ウィリアムにとって父親以上に厳しく怖い存在だった彼女の家を訪ねるのは、いささか気乗りのしないものであったが、そこで彼はメイドのエマと運命的な出会いを果たす。
というあらすじを紹介させていただいたんですけれども。 今回はですね、森薫先生の『エマ』という作品を取り上げる特集エピソードということでやっていきたいなと思っております。
はい。 いやー
このエマはね、すごい僕にとって大事な作品その1で、基本的にこの漫画特集とかって、自分にとってすごく大事な作品を紹介していくっていう感じをやっていってるんだけど、
これもまた一つのっていう感じで、なんかね、教えてもらったのこれ、大学の授業で、なんか全然関係ないもんだったと思うんだよな。なんかその情報リテラシーみたいな一般教養の授業だったんだけど。
関係ないなあ、それは。 そうそうそう。まあなんかその、いろんなこう発展していくものの中で、今こう一番発展してきてるのが、情報っていうものが一番のもんやみたいな話っていうに、最後授業でたどり着くみたいな。
なんかずっと歴史をやっていくのよ。 あーはいはい。 その中でこの19世紀末のイギリス、
言ったら産業革命後の話みたいなのをしてて、その時こう女性の先生だったんですけど、漫画の絵馬の時代ですねーみたいな。
普通にその30分ぐらい絵馬がどんだけいい漫画かっていうことをずっと喋ってたの、その先生が。 たまーにあるけど、大学の授業でめちゃめちゃ横道走れるやつね。
そうそうそう。それがでもすごいその先生がね、この時代のビクトリア朝のイギリス、19世紀末のイギリスっていうのはすごいいろんなもんの舞台とかになってて、すごい面白い時代なんだと言って、そのシャーロックホームズの時代が同時期なんだね。
で、基本的にはシャーロックホームズの話みたいなのをしてて、で、この言ったら階級社会みたいなのを描いた傑作として、絵馬っていうのがあるんですよみたいな感じの話をしてて、絶対読んでくださいみたいなこと言ってて、で俺はそのもらった紙の横に、
モリカウル絵馬って書いて、で帰りにほんま買いに行ってんな。その時が、だから俺大学2年生とかだから、俺が持ってる版は2012年の版なんだよね。
そうか、じゃあ結構後からって感じですかね、時代に。
うん、そうそうそう。全然終わった後で、もうモリカウル先生もおとよめがたりっていう、今も連載されてる中央アジアの話をやってる頃だったんだけど、そう、でも2012年で絵馬1巻、19釣り。結構釣ってるね、これ。
03:02
売れたんだね。
すごいな、19。
っていう、まあ僕の出会いとしてはそういう本で、その先生の素晴らしいプレゼンテーションっていうのももちろんあったんだけど、なんてこの繊細で素晴らしい漫画なんだとね。今ほど漫画いっぱい読んでなかった時期だったんだけど、漫画やっぱ面白いなっていうのに引き戻してくれたっていうのが、絵馬がきっかけだったんだよね。
確かにね。漫画でしか表現できない作品かもしれないですね、確かに。
うん、そうそう。
一応ね、アニメにもなってるんだけど、で、今とかって例えば、話、例えば進撃の巨人よ、とか、呪術解散面白いよ、とかなったら、アニメから入ったり、漫画から入ったり、まあどっちでもいいかなってなったりするやんか。
そうね。
絵馬も一応アニメ2期やってるんですけど、これもう十何年前の話なんで、やっぱり漫画の方が圧倒的に素晴らしいんですよ。
あー、まあまあ、そっか。
うん。なので、気になった人は、話が面白いことは間違いないんだけども、絵馬の進行調は漫画なので、絶対に漫画はペンにとってほしいっていうね、19世紀末のビクトリア朝イギリスを描く作品なんですけれども。
うん。
どうですか、寺田さん、読んでみて、ざっくり。
あー、そうね。いや、めちゃくちゃ面白かったんですけど、まあなんか個人的なことで言うと、ちょうどね、ほんとさっきシャークさんが言ったように、あのシャーロックホームズの石上翔太郎がシャーロックホームズ描いてる漫画があって、
えー、そういうのあんのね。
それを僕ずっと読んでたんですよ、小学校の頃。
うんうんうん。
だから、読んだときに、あ、なんか懐かしい、この時代って思いながら読んで。
あー。
なおかつ、まあもう森香織先生のその、ここを見てくれみたいなさ、やっぱりその和服にしろ、そういう当時のこの時代のこだわりみたいなものがたくさん出てくるから、ストーリーはもちろんいいけども、絵見てるだけでもほんまに満足っていう感じでした。
そうなんですよ。
本当に、なんかこれも言葉が難しいけど、あんまり好きな言葉じゃないけど、これの言葉を使わざるを得ないというか、世界観に没入するってやつですよね。
そうですね、うん。
うーん、これがね、やっぱすごい、うーん。
うんうん、だから雑さみたいなところを感じる部分が一切なかった、緻密じゃなかったっていう感じがしましたね。
で、めっちゃ漫画なんだけど、めっちゃ世界みたいな。
そうやなー、でもなんかさ、そんな顔とかがすごいリアリティーな、なんかこの、なんていうんや、写実的な造形ではないじゃないですか。
ないね。
すごいとこやなと思ったんですよね。
うーん、まああの、後半になるにつれてちょっと森先生の、あの、画力がガンって上がって、なんかすごくなっていくんやけど。
そうね、まあその、画力は上がるんやけど、なんやろうな、なんか変。
06:03
やっぱその、キャラクターの可愛らしさみたいなのが全部保たれたまま、どんどんこう、
そうそうそう。
ディティールが細かくなっていくというか。
そうそうそう。
うん、めちゃめちゃいい進化の仕方をしていくから。
そうそう、マジでディテールの鬼、この漫画は、本当にすごい。
うーん。
で、嘘つかないんですよ、この人の漫画って。
ここにこういう人がいたらこういう人出てくるだろ、とか言ったらモブキャラみたいなの全部ちゃんと描くんですよ。
あー。
漫画としてのこういう嘘をつかないんですよね。
だから、真面目な人は、人物多すぎてちゃんといる人が、「誰ー!?」ってなったりすると思うね。
たまにね。
うーん。
メイドさんとか急にブワーって出てくるとことかあるからね。
うーん。
どこの誰で、この人はなんなん?とかさ。
今みたいなこう、なんていうかいわゆる伏線みたいな文化に慣れてると、何かあるんかと思うけど、別に何かあるから振ってるとかそういうのではないんですよ。
こう、ディテールを描いてくれてるから。
そうやな。
そこにいる人をちゃんと描いてるって感じだもんな、うんうん。
そう。だから今の時代にはちょっと、ある種成り立ちにくい作品でもあるとは思う。
いわゆる日常系みたいなのが流行るのは、このエマが出て以降同じぐらいっていう感じはあるんだけども、そういうものが良いとされてた時代っていうのもあり、
それなりにまだコミックスがビームで出してもそれなりに売れる時代でもありっていうさ。
いろんな要素の中で成り立っているもんなんで、今だとちょっと成立しにくいと思うんだけども、
何だろうな、かつての例えばオズ・ヤスジロウとかの小竹映画が今作れないのと同じっていうか、コレーダさんとかが作ってる映画には近いかもしれへんけども、
なんかそういうさ、これはゼロ年代なんだけども、エマが描いてる世界観と同じように、かつてあったものが移り変わっていく時代の産物の一つっていうのがあるのよ。
あー、なるほどね。
という、ざっくりと雑貫とプレゼンテーションですけれども、これからね、いろいろ、森薫先生の話とか、特に僕が響いたところ、
掲載されていたビームコミックス、コミックビームについてね、ちょっとお話などをして、森薫先生が描いているもの、そしてエマのここが最高っていうことを話していきたいなと思っております。
はい、よろしくお願いします。
この番組、心のすな字は、様々な文化や日常の気づきをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。
私、シャークくんです。
はい、そして私がテラーダーです。よろしくお願いします。
ということで、本日も始まります。心のすな字。
だから、ほんま見た瞬間、俺、ランディ・サブエッジみたいになってますね。
あんまおらんけどね。派手さ引き出しにランディ・サブエッジしてますね。
ランディ・サブエッジみたいな。
で、やっぱ天竜とランディ・サブエッジの試合もいるよ、実際に描かれたと。
いや、人が評価得られる。
09:00
心のすな字、シャーク。
まずは作家の森薫先生の紹介をしたいなと思います。
はい。
森薫先生、78年生まれ。もともとは同人誌での活動を行っていた。
その後、同人発売会にて編集者に声をかけられ、2002年1月号に掲載されたエマ第一話でデビュー。
エマは2001年から2006年まで。エマ番外編としてね。8,9,10巻はあるんですけども。
エマは番外編を合わせると2008年の3月まで連載してて、その後、おとよめがたりという作品で現在まで掲載書を買いながら連載してるっていう感じですね。
で、あとは短編とか、同人誌時代に書いてたものとかアイダとかの、何作かシャーリーっていう作品であったりとか、短編集をまとめたものっていうのがあるんですけども。
長編作品としてはエマとおとよめがたりっていうのが、今のところの森香織先生の代表作っていう感じかなと思います。
で、なんかちょっと今これ読んだの、wikiをそのまま読んでるんだけど、調べてると担当編集だった方がいろいろ話してくれてて、ウェブサイトで。
で、行くと、もともと森香織先生が同人の活動してたのはあってるらしいんだけども、同じく当時ウェブサイトで4コマ漫画を森香織先生が書いてたらしいんですよね。
で、それを見てたらしくて、それが面白かったので、ビームの緩末の4コマ漫画みたいなコーナーに担当してた人がちゃんと飛んじゃって、「そこにちょっと書いてもらえますか?」って言って声をかけたと。
そういうことらしいんですね。で、それで4コマ書いてもらおうと思ったら、同人主にやってるんです。で、同人誌にしてもらったらすごい書けてたと。
で、当時森香織先生23歳とかだったらしいんだけど、編集長にその担当の人が持ってったら、これいけると。
で、読み切りからやろうってなって、読み切りちょっとまずお願いしますって言ったら、森香織先生が、読み切り書けないですって言ったらしくて。
その、同人誌書いてるのに。同人誌とかだいたい読み切りやんか。
まあそうっすね、同人誌のことです。
そうっすね。なのに書けないって言ったらしくて、それでまた編集長のとこ持って、森先生が読み切り書けないって言ってますって言ったら、「あ、じゃあ連載ってこと?」みたいな。
で、「連載しか書けないらしいっす。」って言ったら、「んじゃあ、やろうか。」ってなって、エーマーが始まった。
そんな柔軟に。
すごいウルトラ級。
すごいな。それで連載しかないかってなるのすごいな。
いや、すごいよね。
これが、例えばでっかい終焉者とかのジャンプとか、小学館のサンデーとか、小学館の中でもサブカルシテされてる一揆とかね、同人誌あったとか、スピリッツとか、そういうとこだったら多分これ難しかったと思うんだけど、
これが当時のコミックビームでの編集部だったから、ちょっといけるんだったら行っちゃえみたいな感じで、多分編集者が結構そこを一押しすれば行けたっていうところもあると思うんだよね。
12:01
それ小さいところだったっていうところがあって。
たとえば、今まで取り上げた作家で、同人出身作家さんといえば海の地下先生と、あとは吉永文先生っていうのがいるんだけども、その世代の、海の地下吉永文とかって90年代半ば、吉永文先生は90年代半ば、海の地下先生は2000年ぐらいか。だから森かおる先生と同じぐらいだけど、とかの世代の上の人。
いわゆるキャブツバの同人とかを描いてたクランプとか尾崎みなみとか郷がゆんとかの人らっていうのは、そういう同人から商業心やってきてめちゃめちゃボンって売るみたいな感じの人らで、そういう同人から引っ張ってくるっていうのは、一つオッケーな時代っていうのがあったらしいんだけど。
その後、ちょっとそういう同人活動をやってる人っていうのが、たぶんそれは同人は同人で市場がでかくなってったっていうのとか、たぶんいろんな関係があって、そっから普通の出版社っていうか、商業誌を売ってる出版社のところに、それはたぶんBL誌とかそういうのはまた別だったと思うんだけど、メジャーな出版社とかに連れてくるっていうのは、結構タブーな時期だったらしいのね。そういう90年代末とかっていうのは。
へー、あ、そうなんや。
うーん、でもまあなんかそういう、まあでも海之近先生も同じ時期にデビューしてたりとかして、たぶん90年代入って半ば、末ぐらいまでは結構厳しかったけど、いいんじゃないっていう感じで、それがゼロ年代入ってくる時に出てくる人も出てきたって感じなんだろうね。
まあこれが編集の方が言われてるので、どこまでどうだったかっていうのはよくわかんないんだけど、まあそんな話もあったみたいです。
へー。
っていうところで、経済誌のコミックビーブの話なんですけども、言ったらまあ、現代のガロ的なもの?言ったらオルタナティブなコミックス?言ったらサブカルチャーのコミックス?っていうのの採用点。まあこれ変な言い方だけどね、サブカルチャーの採用点みたいな。
まあちょっと矛盾しているような気がするけどね。
そうそう。新しい漫画、売るっていう商業主義ももちろんあると思うけど、それよりも作家性とか、面白いものを売っていこうっていうもの。っていう想像力のもとでたぶん作られてる、まあ今も現存する雑誌としてコミックビームっていうのがあって。
今はでも角川が出版社なので結構デカいんだけども、もともとはアスキーコミックスとファミ通の漫画誌っていうのがあって、ファミコミっていうのがあって、それとあと秋田書店のはぐれ編集者みたいな、この3つの人が合体してできたみたいな雑誌だったらしくね。
すごいな。
結構まだまだね、90年代だったらインターネットもそんなような頃だから、まだまだ漫画とかがすごい売れてた頃ですから、まあそういうノリでできたんだろうね、まだ雑誌とかもどんどん。
でもなんか言ったら、初めの2つ、アスキーとかファミコミの人らっていうのは、まあもともとゲーム系の人たちだから、そんなに多分オリジナルの漫画をどんどん作るっていうノウハウの人っていうのがあんまりいなかったみたいで、
その秋田書店、言ったらチャンピオンとかそういうところをやってた人から来た奥村さんっていう人が、中心にどんどんオリジナルの漫画作っていこうっていう感じで、そういったオルタネティブなコミックスを乗せていくコミックビームっていうのが成り立ったっていう経緯みたいですね。
15:14
ある一人のすごいできる編集者の人がどんどん作っていったっていう雑誌だったらしくね。
おだしょー こういう雑誌が同人ですごい書いてた人を拾うって言い方おかしいですけど、そういう人を掲載してもらって、めっちゃヒット飛ばしたっていう、めちゃくちゃ夢のある話ですね。
楊 本当に漫画史的にはすごいことだったと思うんだけど、この編集者の方のインタビューすごい面白いんで、大葉さんっていう編集者さんなんだけど、これもまたリンク貼っとくんで読んでほしいんだけど、流れてんのはその秋田書店流って言ってて。
秋田書店って、チャンピオンってそれこそドカ弁とかそういう古いもん、大いなるマンネリじゃないけど、大いなる定番みたいなのがありつつもさ、チャンピオンって結構確かにどでかいヒット定期的にちゃんと飛ばしてんだよね。
大葉 そうね。結構2010年代とかアニメ化した作品多かった気がしますけどね。ヨワムシペダルとかもそうでしたっけ?
楊 そうそうそう、ヨワムシペダルもあるし、バキーとかはもちろん大いなる定番の一つだけども、ビースターズも出てますから。ヨワムシペダルもビースターズもとかさ、なんかちょっと新しいもんだったよ。
大葉 そうね。癖強いけど読んだらこんな面白いんかいみたいな。
楊 めちゃめちゃ面白いみたいな。だからなんか秋田書店ってそういうところがあるみたいな。ジャンプとかサンデーとかマガジンの泉じゃない、なんかこうあるみたいで。
そこがちょっとコミックビームの源泉としては流れてるみたいな話をされてて、なんかそれすごい面白いなと思ってて。
コミックビームもさ、そういう雑誌とかってなかなかなくなりそうになったりすると思うんやけど、コミックビームがずっと存続した一つの理由として、テルマエロマへの大ヒットっていうのが。
大葉 そうか、テルマエロマへもか。すごいな。
楊 そうそうそう。だからやっぱそういうのを出してんのよね。そう言われるとすごい納得がいくんだよね。
大葉 書店イースムみたいなものと繋がる。
楊 そうそうそう。そういうのが流れてるんだなっていうのをうなずいたインタビューだったんですけど。
で、今はコミックビームでやってたんだけど、コミックビームの造冠としてコミックビームフェローズっていうのが2006年にあって、
それが造冠が雑誌としてフェローズっていう、コミックビームが取れてフェローズっていう雑誌になって、その雑誌が今はハルタって名前になってる感じかな。
楊 聞いたことはありますね。
大葉 で、コミックビームの造冠としてのフェローズがあり、フェローズが連載誌になり、それがフェローズから名前がハルタになったという経緯があって。
で、えいこさんの恋人とかハルタでやってたと思うんだけど、確か。
楊 なるほど。
大葉 おとよめがたりもフェローズでやってたかな。フェローズからハルタでやってたんだけど。
で、去年からハルタは残ってるんだけど、ハルタからまたおとよめがたりとかは移動して、青岸っていう雑誌になりました。
18:01
楊 青岸、すごいな。なんかどんどん別れていってるんですね、今。
大葉 そうそうそうそう。
楊 なるほど。
大葉 そんなオルタナティブな雑誌のところで連載されていた漫画家さん。
で、コミックビームの例明記的なところから看板作品として、ど真ん中にいたのが森香織先生であり、森香織先生が描いてた絵まであるってことは間違いないなと思いますね。
楊 うん、なるほど。
大葉 で、もう一個オルタナティブの方で言うと、それこそガロの直径であるアックスっていう雑誌があるんですけど。
大葉 あっちは本当に言ったらそういうガロのノリを引き継いでるから、ビームってある程度、言ったら現代にちゃんと対応してる感じ?みたいなのちょっとあると思うんだよ。
ある程度の将軍用紙っぽい匂いはちゃんと残してると思うんだよ。
楊 そうやな。なんかいい意味で、いい派ではなくて、流行り事はちゃんとキャッチしてる感じはありますね、テレパイロマイとかも。
大葉 そうそうそう。今はもうそれこそ門川からの出版になってるから、バックはデカいしね、もちろんね。
アックスはもうそういうセーリン工芸者っていうね、セーリンの事実的な後継誌から出ていて。
そういうところなんで、アックスはたぶん未だに原稿量ゼロだと思いますね。
楊 それはすごいな。
大葉 そうそうそう。日本にあるそういう残ってる雑誌。あと、本当は小学館の一期もここに入ってたんだよね。
楊 まあそうですね。そこら辺のサブカルのもんやったけどね、今はなくなっちゃったから。
大葉 そうそう。でもね、小学館がそういうことやめちゃったっていうのもすごい損失だと思うから、またやってほしいんやけどなぁ。
楊 そうか、小学館だったもんな、あれは。
大葉 そうそう。あと、大田出版の漫画エロティックスFとかさ。
楊 ああ、はいはい。
大葉 うーん、まあいろいろあったんだけどね。その辺なくなっちゃったなぁみたいなのもあったりとかしますけども、まあそんなことは置いといて。
ではですね、次のパートで具体的に森香織先生が描いているもの、そして絵マス最高っていう話をしたいと思います。
楊 はい。
大葉 まず、明確に森香織先生以前以後っていうので、漫画の歴史っていうのは一つ変わってると思ってるんですよ、僕は。
楊 えー、あ、そうなの?
大葉 うん。それこそ、さっきのパートでコミックビームの話をすごいしたんだけども、中学の同級生で、たぶんこの世に出てる漫画雑誌みたいなのをほぼ全て公読してるんじゃないかみたいな、いかれた男がいたんやけど、
そいつの家に行った時にビームとかもあって、読んだ覚えあんのよ。
楊 えー、すごいな。
大葉 でもなんか俺の、その時の印象って、ビームってなんかすごいみんなちょっと、この丸みを帯びた、それこそみんな森香織先生みたいな絵だなって思った覚えがあんの。
21:04
楊 あ、そうなの?
大葉 うん。だから、森香織先生みたいな漫画っていうジャンルがあんのよ。
楊 あー、まあ影響を受けてる一派みたいなのがあるのか。
大葉 うん。明らかにあんのよ。
楊 へー。
大葉 ちょっとこの丸みのある、けどこう繊細な線で、セリフは少なめで淡々とした日常を描いていくみたいなさ、話。
楊 うんうん。
大葉 なんかよくさ、例えば手塚治虫が出た、萩尾本が出たとかさ、大友克洋が80年代出たとかさ、吉永文が出たとかな、いろんなさ、一つのこう、漫画史に残る人っていると思うんやけど、森香織先生は絶対に入ると思う。
楊 あー、そうか。まあでも確かになー、うん。
大葉 漫画全部読んだんですけど、実家から送ってもらってて、母親がね、森香織先生大好きなんで、絵馬もあるし、おとよめがたりもあるんですけど、めちゃめちゃ存在感あったんですよ、やっぱ本棚にあるときに。
楊 うーん。
大葉 なんかね、な、なんやろうね、なんか絵の癖が強いわけじゃないんやけど、すごい存在感あるんやな、この人の絵って。
楊 そうそうそうそう。なんかね、不思議なやっぱこうやられる力があるよね、森香織先生の絵って。
大葉 うーん、なんか表情とか目とかの描き方もやっぱものすごいと思いますしね。
楊 うーん、やっぱだからそんぐらいの、森香織以前以後っていうぐらいの先生ですよってことをね、お話ししたいと思うんだけども、ただ、みんなさ、例えば大友克洋がさ、壁にズンってなったときのこととかさ、萩尾本の話とか、
大葉 うん。 楊 餅つきみね太郎の話とか、朝野稲男とかで最近だったらとかの話って、みんなやっぱさ、すごい語りたがるんだけど、
大葉 うん。 楊 森香織先生がなぜここまでこう、すごいのに多分そういう講座の中でしかシェアされてないみたいな現状にあるのか。いや、そんなこともないと思うんやで。
楊 あの、その講席に比べてやっぱ語られてなさすぎるっていうことがすごいあると思っていて。
大葉 ああ、いやもっと評価されるべき。
楊 もっと評価されるべき。ただこれは、それこそオープニングにも言ったけど、小津安二郎とかかつての小竹映画の傑作を語るときのことと同じような話で、
楊 うん。 楊 すごいいいっていうのはみんなわかるんやけど、ディテールがすごいっていうことをなかなか言葉にしにくいっていうか、
楊 言語化が難しいっていうか、いいよねしか言われへんみたいな、そういう問題がある。
大葉 ああ、まあ確かにな。 楊 っていうとこだと思ってんね。
楊 で、なんか言ったらすごい静かな漫画を描かれてると思ってて、一番近いのは海の地下なのかなと思っていて。
大葉 ああ、そうか。 楊 うん。
楊 これも同じくディテール主義というかね。海野さんはさ、あの、言葉の人だからもっと語ってくれるけど、
楊 言葉でパシッと言ってくれるところ、モノローグを使うっていうところが、まあ言ったらその紡ぎたく的なところが入ってる海野先生と、
楊 まあそういうのが多分入ってない森かおる先生との違いみたいなところが多分あると思っていて。
24:03
大葉 ああ、まあ確かにそうだよな。なんかモノローグ、今はもちろんモノローグ出てくるけど、そんなモノローグ印象はないかもしれない。そういう意味で言うと。
楊 そうそう。パンチライン入ったろみたいなんないやん。どっちかというと、言葉と絵のバランスが多分海野先生とは比べて多分逆。絵で言ったろって感じがする森かおる先生は。
大葉 うん。それはめっちゃそう。それはちょっと僕後で言いたいところありますね。
楊 うん。そうそうそうっていうところで。ちなみにハチクロとエマは連載時期ほぼ一緒っす。2000年ぐらいに始まって、2006年に終わる。
楊 だからこれが一緒に走ってたゼロ年代ってこう、一つのなんか、幹だなーって思ってたんやけど。
大葉 あー確かになー。いやーでも、そうか。どっちも家にあって、ある程度触れてたっていうのは良い経験やったかもしれないっす。じゃあ僕は。
楊 うん。単純に僕の青春期っていうのもありますけどね。そう。まあそうなんですよ。で、何回も言ってるけども、そのディテール主義、つまりは自然主義というかね。
こう日常がこうでありますよっていうところをしっかり描くというかね。そこが結構自分でも後描き漫画とかにも描かれてるんだけど、そこが良いんですっていうフェティッシュ的というか、
ある種趣味的に描いてるっていう気持ちよさ、みたいなのもあるなーと思ってて。
大葉 まあ当然物語の軸っていうのはあるけど、物語のために描いてるっていうより、これが描きたいっていう。良い意味でのオタク性みたいなものがやっぱりずっと
通定してあって。 楊 確かにそう。でもなんか例えばこれが日常系、それこそアニメーションになるような、もっといわゆる萌え度が強い漫画とかって、もっとフェティッシュだし、
デフォルメされるし、なんかもっとうわ、フェチだなーって感じると思うのね。 大葉 まあそうやな。もっと言い方は分からんけど、わざとらしくやっぱどうしても通りに伝わるように。
楊 なんか先にこう、作者の欲みたいなのがドゥンってくるみたいな感じがするような気がしていて、なんかそこはすごく
びんびんに奥底には伝ってくる気がするんだけど、こう静かな中にさ、さりげなくバシッと描いてくれるから。だからこう、よくよく考えたら、そこがいいんです。
なんだけど、この森さんが言ってる言葉で言うと。でもなんかこう、じんわりとさ、それこそ、あ、いいよね。みたいな感じになるっていうのが、すごい
この漫画がすごいいいとこだなって思うんだよね。 楊 そうやな。わざとらしくないんですよね。だからわざとらしくないから、変な話読み飛ばすこともできると思うんですよ、そのディティールを。
楊 そうだね。 楊 で、物語だけ拾うこともできるし、でも読み返した時に、しっくり読み返してみると、あ、ここめちゃめちゃいいやんみたいなさ。
楊 いや、そうなんだよな。 楊 うん。だから、読み返すのにすごいいいんですよ。やっぱこのディティールが細かいと。
楊 そうなのよ。そうなのよ。何回でも読みたくなるっていうかね。ちょっとこれがね、今夏の終わりぐらいですけど、配信するのは。
27:01
楊 うん。 楊 俺の中でね、エマの時代ってこう寒い感じなの。こう、秋口から冬にかけてのイギリスっていう印象なの。俺の中では。
楊 そうね。なんとなくわかるけど。 楊 そう、だからこう寒い時にね、エマをね、こうちょっとずつ読むとね、すごいね、しみるからね、ぜひみんな読んでほしいなと、思いますね。
楊 はい。読み季節としては秋冬。 楊 だから毎年、そう、クリスマスぐらい近いですよ。12月ぐらい入ってくると、あ、そろそろちょっとエマの8、9、10巻ぐらい読んどくか。
楊 いや、1から読んどくか。いや、漫画編から今回は行っとくかみたいなね、そういうことをね、やってます。 楊 そんな旬のものみたいな扱いなん。
楊 いやまあ、わかるっちゃわかるけどね。 楊 うん。
楊 っていうのもあります。 楊 心のすなじ。
楊 心のすなじ。
楊 じゃあ具体的に、エマ、ここが最高っていうことを話していきたいんですけど。 先にてらるさん、ここが最高ポイントって教えていただけますでしょうか。
てらる さん そうね。僕が読んでて、ここいいなって思ったところって、だいたい見開きなんですよ。やっぱ、僕の中でエマ読んでると。
楊 ああ、見開きエグいね。
てらる さん 見開きのパワーがここまですごい漫画は、僕初めて読んだかもしれないですね。
楊 ああ、ほんと。
てらる さん 全部が全部ではないけど、見開きあんまセリフがないんですよ、基本的に。
楊 うん、そうだね。
てらる さん エマを追いかけて、ウィリアムが駅まで来たら、もう電車が出てたシーン。
楊 ああ、最高あれ。
てらる さん ここすごい。
楊 最高。
てらる さん 見開いた瞬間とかを書いちゃうんです、多分、僕なら。でも、電車がマジで一切ない空っぽの駅の見開きなんですよ。
てらる さん これ発想もすごいし、この、もう全く間に合わなかったですっていう、この喪失感。
楊 そうね。
てらる さん 全部一気になだれ込んでくるわけですよ。そこまではまだちょっと間に合うかなっていうさ。
楊 そうだね、感じがするもんね。
てらる さん なんかもうちょっと窓から手ぐらい触れるかもっていう可能性が残ってる状態で残りやから、もうなんか、ああ、もう全く間に合わんかったっていう、急になだれ込んでくるのよ、その現実が。
楊 うん。で、これもやっぱストーリーテリングのすごいとこなんだけど、まあ全部読んだ後やん、俺らは。
てらる さん うん。
楊 だから、この時のエマとウィリアムの距離っていうのはこんぐらいってことなんですよ。
てらる さん ああ、なるほどね。
楊 うん。もう全然行ってしまってるとこっていうさ。
てらる さん なるほどね、確かにね。
楊 これがね、だんだんまたこう近づいてくるわけですわ、時代の移り変わりとともに。
てらる さん いやそれ、まあでもそのシーンの直後にさ、駅で花を売ってる女の子の花を買うっていう。
楊 うん。
てらる さん まあ序盤ではね、この話の最初では買わなかった花を買うっていうので、またこう徐々に距離が近づいてきてるような、そこの表現がまたいいですよね。
楊 うん。そうそう。端はなんか無視するんよな、ウィリアム。
てらる さん そうだね、噴水のシーンではね。
てらる さん そこをまたね、かつての絵馬みたいなのをそこにも投影してたりとかさ。
30:02
てらる さん まあもう細かいこの、全部が効いてるこれは。本当に。
楊 いやー、ここはほんまに最高やと思ったし。
てらる さん 最高やんなー。
楊 やっぱり僕その見開き、ウィリアムがさ、婚約を破棄してくれっていうシーンも見開きなんですけど、
楊 なんかそういうとこのね、なんか見開きさ、悲しいシーンの方が僕上手いと思うんだよな、なんか森香織先生って。
てらる さん うーん、上手いね。あれがいいんだよねー。
楊 見開きをぜひ楽しんでいただきたいですね、迷う人には。
てらる さん いつ来るのかっていう。いやなんかさ、なんか分かんないんだけど、多分視線の誘導とかコマの回り方が多分上手いと思うんだけどさ、
てらる さん その電車のシーンも開いてこう、本当にさ、見開きでほんとびっくりするんだよね。
てらる さん あっ、ってなるやん。
楊 うーん、なるなる。ちょっと止まるよね、空気がね。
てらる さん ここの多分ちょっと分析が僕のレベルではでききれてないんだけど、多分そこの誘導とかコマの割り方がすごい上手いんだと思うんだよね。
楊 あー、そうね。
てらる さん うーん、ちょっとその辺も勉強してちょっと研究しがいがあるなと思ってるんですけど。
てらる さん うーん、ていうことだねー。でなんか、僕が思ってるのは、これはまあビームコミックスっていう、何度も言ってますけど掲載誌でやってて、
てらる さん まあいわゆるそのサブカルシみたいなとこに入ると思うんだけども、僕はこれは一つの少女漫画の到達点としての傑作とも取れると思っていて、今はね。
てらる さん うん。
てらる さん なんかいわゆるそのヨーロッパものみたいなんて、まあ24年組チームぐらいからさ、まあ少女漫画の伝統やんか、こういう日本じゃなくて、ヨーロッパのどこかを舞台にしたこういう物語みたいなんてずっとあって。
てらる さん まあそれはたぶん萩生竹宮山岸あたりが72年にヨーロッパ旅行っていうのに行ってるんだけど、まあそういうところで見てきたものとかを持って帰ってきて書いたりとかしてたりとか、それとかすごいディティールをすごいみんなで見てきたからみんなすごいディティール書いたりしてんのね。
てらる さん なんかまあそういう発展の仕方をしていったりっていうのも一つあって、それの2000年代ぐらいにそれが一つの型として結実したのが絵馬だと思っているので、まあそういう本当に24年組とか少女漫画好きな人はもう絶対に絵馬が好きだと思うので、なんかそういう到達点としての絵馬っていう点でも見れるなぁと思うし。
てらる さん なるほどね。
てらる さん うん、それはディテールでもそうだし、そういった少女漫画が語ってきたことって、とりあえず藤本ゆかり先生っていう少女漫画の評論家がいますけども、たぶんまあ一番僕も影響を受けてますし、一番少女漫画の評論で有名な方と言ってもいいと思うんですけども、その少女漫画の評論集に私の居場所はどこにあるのっていう対象にしてるのよ。
てらる さん で、それはその評論するものとか少女漫画っていうものが描いてきたものが何かっていうと、私の居場所はどこにあるのっていうことっていうことなんだけど、
てらる さん 絵馬も言ったらそういう自分の居場所みたいなところみたいなのを描く話っていうのを読めると思っていて、で、そこには絵馬の全体のテーマであるいわゆる伝統、血筋っていうものと自由意志っていうもんだよね。
33:10
てらる さん そうだね。
てらる さん 反発するものというか、その対するものという、っていうものと、そこにある教養、血が作ってきた土台としての教養みたいなものと、そうじゃない、言ったら民間じゃないけど、自分たちが人々が作ることができる教育っていうものっていうものとか、いろんなこうさ、そういうのが移り変わっていく時代みたいなさ。
てらる さん 勉強というものをすることができたら、人々は成り立つみたいなさ、みたいなところとかを描いていて、その中で自分はどこにいればいいのかを描いているものとしても読めるっていうところがあって、面白いんだよねっていうところもありますね。
てらる さん まあその階級の違う恋みたいな中でやっぱり、何だろうなあ、なんかほんまにその階級社会に生きる人らの思想みたいなのがガンガン出てくるやんか。
てらる さん そういったものってさ、まあより跳ねのけてロマンスだけに振ってもいいわけやねんけど、なんかあんまそこはしないっていうところが誠実やなとは思いましたね。
てらる さん 絶対に嘘つかへんっていうところが信頼できるし、そのウィリアムとかがいるジョーンズ家っていうのもジェントリー、上級階級の中ではこうなり上がってきた人たちだから、さらに上の貴族の人とかからするとこうすごい言われるみたいなさ。
てらる さん で、お父さんのリチャードに話をしたときに、ちょっと差別的なね、クラスの差別的なところを感じる、階級の違いみたいなのを感じる発言がされるんだけども。
てらる さん 国が違うみたいなこと言う。 てらる さん そうそうそう。ちょっと親父きついなって思ったら、それはそれでこう言ってる理由があるとかさ。
てらる さん そう、うん。 てらる さん でもそれは通じて合わせたなって感じじゃなくて、本当にそういう移り変わっていく時代の意識みたいなのを父さんが体現してるところでもあるし、そこをこう、なんていうかな、置物的にキャラクターを置いてない感じっていうのが、そろそろ生きている感じで書かれているので、
てらる さん うん。なんかすごくこう、持っていかれるところがあるというかね。そう、生々しく言われている人であり、リチャード、お父さんの気持ちであり、下の世代のウィリアムの気持ちもすごいわかるっていう感じのところがすごい良いんだよね。
てらる さん いやー、そう。だからそこがさ、結構強固な分、ウィリアムが階級社会の方に振り切ろうとするっていうの。これね、恋愛的に言うと賛否あるかもしれないですけど、めっちゃわかるんですよ。そこをやったるわいっていう、逆に振り切るっていう。
てらる さん いきなりエルノアにプロポーズするのはマジで、それこそ少女漫画、恋愛漫画として読むと、うわ、ウィリアムマジ最低やなって、みんな何年、このエマの話よくすると。
てらる さん いやまあそれはそう、それはそうなんですよ。
36:02
てらる さん 貴族の娘の方にプロポーズするっていう展開があるんですよ、急にね。急にプロポーズして急に破棄するっていう、物事だけ言うとこういう話が起きるんですけど。
てらる さん マジで最低なんですけど、そのあたりは。でも、でも僕ね、まあやっぱその、良くないねんけど、ウィリアムの行動自体はなんか全然わかるの?
てらる さん でも、昔はそういうことをもっと引いてみてたから、まあウィリアムはクズやなとか思ってたんやけど。いやでも、ちゃんと読み込むとわかる。わかる。
てらる さん 最後の最後までなんかこう許されてないものは許されてなかったりするしね、その貴族のさ、キャンベル家との関係みたいなのはさ、やっぱジョーンズ家はまだそこは立たれてるんだって感じのちょっと書かれてたりするやんか。
てらる さん キャンベル家の目があるから、そんなでっかくはできないんだろうみたいなセリフがあるとかしてて。
てらる さん なんかさ、最後の話はパーティーして楽しい話で終わってるけど、決してそのバンバン材ではいマルコお世話になったっていう感じじゃないっていうところは、やっぱりまあ本当にその時代のことを書きたいっていうのは感じますよね。
てらる さん そこはなんかキレイごとにしたくない。 そうだねー。でもなんかそういうちょっと言ったら重いもんみたいなのがさ、わからずにすっ飛ばして、エマとウィリアムの恋物語っていうだけでも読めるようにしてあるのよ、この漫画は。
てらる さん だからそこも重く、そういう隠誘とかも受け止めようと思ったら、それはそれでこうすごい構造になってるっていうのをバランス感覚もすごいなと思ってて。やっぱそういう気が利いてるなーっていう演出、いったらオシャレな演出とか、言葉の隠誘みたいな演出っていうと、まあこれ前半の方ですけど3巻の17話幕合いっていう話があるんですけど。
てらる さん そこでさっき言ってたような、ウィリアムがもっとジェントリーな中でやっていくっていうことをね、ちゃんと社交会とかにはもうほぼ出てなかったんだけど、エマとのいろいろがあれちょっと離れた後にやっぱりここでやったるわっていうことを決意しだした時の話なんだけど、そこでね妹たちとかがさ、なんか兄様変じゃない?みたいな話をしてると。
てらる さん その時に、お芝居ですか?ウレナム夫人。あるね、事前授業としてお芝居をやっている夫人とウィリアムの話になるっていうところが飛んでるんだけど、なんかここのお芝居っていう言葉と、その言ったら兄様が変で、最近なんか急に社交会とかに顔を出してるっていうことが、これがいきなり飛んでるから、え?って思うんだけど、これは芝居っていうことをウィリアムが社交会でやってるみたいな話と、
てらる さん 引入的に繋がってるんだよね。
てらる さん いやー、なんか映画的というかオシャレですよね。
てらる さん で、あの親友のハキムっていうインドの王子がいるんですけど、ハキムはそれがすごいわかってるんだよね。
てらる さん ずっと親友だから。
てらる さん そうね。
てらる さん で、実際芝居を自分の家で場所がないからって言われたマダムに、自分の家でやったらいいじゃないですかって言って、自分の館で舞台をやるんだけど、そこでさ、自分の家にも舞台はありますっていうセリフだったりとか、
39:13
てらる さん 今度芝居やってくださいよって言われたけど、人前ではとても僕はできないですみたいなことを言ったりするみたいなくだりがあるんだけど、なんかこの辺もさ、言ったら普通に漫画として読んだら、
てらる さん まあ、舞台やってて、ハキムと喋って、これから頑張るわみたいな話やなとも読めるんだけど、すごいこの言葉にさ、自分の家に舞台があるっていうことは、自分がこの家でもジェントリとして芝居をし続けれるっていう、
てらる さん 自分の中にも舞台があるんだぞっていうことでもあったりとか、その社交会の中で芝居するっていうことはなんかとても難しいみたいな状況であったりとか、なんかすごいさ、この言葉とかにちゃんと込められてんだよね。
てらる さん 確かに。 てらる さん で、わかりやすいとこで言うと、そこでやってる演目はロミオとジュリエットなんですよね。
てらる さん ああ、これはね。
てらる さん そこがもうすごいわかりやすいけど、まあ、エマとウィリアムの関係みたいなのをやってたりとかで、ハキムはなんかそこをね、芝居下手だなみたいなことを、芝居の感想みたいな感じで言ってるんだけど、
てらる さん やってるように聞こえるんだけど、これはウィリアムにそういったジェントリとしての振り回りが下手だなっていうふうに言ってるっていうふうにも取れるし、
てらる さん その最後の、この話の終わりは最後、1幕目が終わって、2幕目でハキムと喋ってるところだから、幕開が終わって、第2幕が始まるよねってところで。
てらる さん だから、これからジェントリとしてやっていくウィリアムっていうのが始まりますよっていう話の終わりっていうさ、もうお見事っていう感じだよね。
てらる さん いや、上手すぎますね、確かに。
てらる さん 上手すぎる。
てらる さん そこまで僕、全然拾えてなかったな、確かに。
てらる さん うん。
てらる さん このターニングポイントだと思って、すごくいろんなディテールが重なって作られた話だと思うんだけど、その話はもう僕すごい大好きな話で。
てらる さん うんうんうん。
てらる さん でも、ほんまに、なんかそういうさ、そんなに読んでたら読み飛ばしてもおかしくないところとかも丁寧なんですね、じゃあほんまに。
てらる さん いや、ほんとに丁寧だね。
てらる さん うん。
てらる さん なんで、だから何回読んでもね、「これってこういうことだったんかー!」みたいな、そういうのがあったりするから。
てらる さん あるな、確かに。
てらる さん うん、いいし。あと最後にね、僕から言っておきたいのは、エマっていうのは7巻で終わるんですよ、基本的には。エマとウィリアムのストーリーっていうのはね。
てらる さん うん。
てらる さん で、8,9,10巻はエマ番外編っていうので連載されてたやつなんだけど、コミックスとしては8,9,10巻っていうようになってるんで、そのまま続きで終わるし、10巻はエマも出てくる最後の結婚式の話みたいなのもあるんですけども。
てらる さん うん。
てらる さん この8,9,10の番外編がね、全部ヤバいんですよ。
てらる さん まあ、全部ヤバいね、確かに。
てらる さん うーん。で、出てきた人の過去の話とかは、まあ全部いいし、やっぱ一番すごいのはメルダース家のビルヘルムとドロメアがベッドで裸でイチャイチャしてるだけの話っていうすごいやつがあるんだけど。
42:08
てらる さん あれはすごいね、確かに。いや、あれめっちゃ好きやけどね、僕。
てらる さん ベッドの上でその寝室宿所がイチャイチャしてるだけの話なんですよ。
てらる さん でも、めっちゃ面白いんですよ、それが。
てらる さん めっちゃ面白いし、なんかさ、あの二人って一番なんか不思議な距離感のカップルやな。
てらる さん うん。
てらる さん まあでもなんかそこがさ、本編ではさ、この人らの出会い何だったんだろうなってすげえ気になるやん。
てらる さん うん、確かにね。
てらる さん でもなんかその辺がそうね、回想と共に語られていってね、っていうね。
てらる さん 実際に動いてる時系列としては、朝ベッドの上でイチャイチャして紅茶飲んでるだけなんやけど。
てらる さん そうね、確かに。
てらる さん うん。
てらる さん ハレトがね、ほんと好きなんだよねとか。
てらる さん あとあの、てらるさんはあの、リスの話も好きでしょ?
てらる さん いや、まあまあ好きですよ。
てらる さん うん。
てらる さん あの、メリダース家のね、息子が飼ってるリスが逃げ出したっていうね。
てらる さん あれさ、すごいね。ほんまにそのリス側のさ、生活みたいなのさ。
てらる さん うん。
てらる さん あ、こんなページ咲いてちゃんとやるんやっていう動物の描写が。
てらる さん なんか葉っぱが描きたかったみたいなあとがいいね、描いてます。
てらる さん ああ、描いてあります。
てらる さん 面白いなと思ったけど。
てらる さん うん。
てらる さん で、あの、極めつけが全然関係ないオペラ歌手の話が入ってんだよね。
てらる さん いや、僕あの話読んだ時にさ、あ、これ過去に出てきた人やったっけって思って。
てらる さん 一回全部バラって見直したからね。
てらる さん それも出てこない9巻の最後に入っている3人の歌手っていう前編後編って話がある。
てらる さん これが本当に見事なんだよ。また。
てらる さん ああ、そうね。なんかさ、これちょっと、ちょっと足立美鶴っぽくない?そんなことないか。
てらる さん ぽいぽいぽいぽいぽいぽい。
てらる さん ぽいよね。
てらる さん うん。
てらる さん うん。
てらる さん 足立美鶴メソッドなんだよ、これが。
てらる さん そうや。
てらる さん そうそうそう。才能の話でもあるしね。
てらる さん うん。
てらる さん これがね、本当にいいので。
てらる さん 俺9巻だけでも読んでほしいなとか思ったりするんやけど。
てらる さん まあ正直読めちゃうけどね。その繋がりの話じゃないからさ。
てらる さん うん。そうそうそう。いや本当にね、9巻の表紙も大好きでね。
てらる さん そう、でも、でもさ、エマの世界観として全然関係ない人ってちょっと冗談っぽく言ったけども、
てらる さん うん。
てらる さん 世界観で、エマ9巻としてこれが入ってることに何の違和感もないやん。
てらる さん まあそうですね。うん、確かに。
てらる さん だからこう、やっぱね、そのエマたちだけのストーリーではない世界を作るっていうことを、
てらる さん 俺たちはこのエマを読んでる中で、俺はヴィクトリオ朝のイギリスのことをほとんど知らない。
てらる さん シャーロック・ホームズも。シャーロック・ホームズがバーリッツっていう柔術的な技をしたっていうことしか知らない。
てらる さん 何そのマイナーな情報。
てらる さん っていうことしか知らないんだけども、すごくインプットされていて、
てらる さん この全然関係ない歌手たちの話っていうのも、
てらる さん エマたちの世界の中で起きたことなんだなっていうことをすごく受け止めてる自分がいて、
てらる さん だからその、俺らの頭の中にそのヴィクトリオ朝イギリスっていうものを作ってくれるっていうのが、
てらる さん これはね、めっちゃすごいことだと思っていて。
45:02
てらる さん ああ、そうやな。なんか一個の世界の中で起こってるっていうことを何の違和感もなく読み進めて受け止めてるもんね。
てらる さん だって主要の人物たちが一切出てこないのに、同じ時の話だと思うみたいなさ。
てらる さん ああ。
てらる さん そうそうそう。とか、あとね、すごいので言うと、八巻のさ、はじめさ、家庭教師のさ、先生、はじめのね。
てらる さん はいはい。
てらる さん の過去の話があるんですよね。ケリー先生の話があるんだけど、
てらる さん これさ、見た時にさ、あれ、時代ちょっと古いなって思うね。ちょっと読んだだけで。
てらる さん ああ、そうやな。確かに確かに。
てらる さん これすごくない?だからちょっと前の話なんよ。だから服装とかがちょっと違うのよ。
てらる さん そうやなー、確かに。あと階級とかも違うやん、結構。
てらる さん うん、そうだね。
てらる さん それがやっぱ一目見た時にわかるよな、やっぱ。
てらる さん ああ、そうそうそうそう。やっぱね、天才しか描けない漫画だなと思いますのでね。
てらる さん こういったディテールというものをね、味わい尽くして、
てらる さん この寒い冬っていうのをね、乗り越えていただきたいなと思います。
てらる さん うん、そうね。
てらる さん さあ、ちょっと番外編で言うとね、あんまなんか好きなキャラクターみたいな話してなかったんで、
てらる さん はい。
てらる さん 僕好きなキャラクターいるんで、メルダース家のね、メイド長のアデーレが。
てらる さん アデーレね。
てらる さん めちゃめちゃ好きでしたね。
てらる さん 最高。
てらる さん アデーレの3編も10巻に入ってるんで、これほんまに最高なんで、ラストのシーン。
てらる さん アデーレってさ、なんかさ、唯一さ、あのいったら日本のさ、あのカジメイコさんとかさ、
てらる さん なんかこう、ちょっとこう、ピリッとした黒髪のさ、女の子、ヤクザ者の人みたいな感じですね。
てらる さん ああ、そうやな、確かに。
てらる さん ちょっと日本の漫画に出てきてもおかしくないよね。
てらる さん そうそうそう、あの、サムラ先生とかが描きそうな感じのさ、
てらる さん ああ、確かに確かに。
てらる さん ピリッとした感じが、その多分ぶち込まれてるのが俺結構好きで。
てらる さん で、そのマリアと、マリアの関係でもいいんだよね。
てらる さん そうね、そのエマとの関係性の時にも見える話やねんけど、なんかこの、
てらる さん 人と全然違う生き方、自分と違う生き方の人に対して肯定するでも否定するでもないけど、
てらる さん なんかでも信頼はしてるみたいな。
てらる さん その距離感がある人やん。
てらる さん めちゃめちゃかっこいいんですよね。
てらる さん そうだね。
てらる さん 本人の生き方もかっこいいし、なんかそれがほんまに、エマの番外編読んでない時も伝わってきたし、
てらる さん なんかそれがこの10巻読んだ時によりこう、形のあるものとして。
てらる さん うーん。
てらる さん うーん。
てらる さん いやー、アデーレいいよねー。
てらる さん このアデーレとマリアのこのバディー感、お互いさ、居心地いいからいる感じみたいな。
てらる さん そうね。
てらる さん 感じ。
てらる さん 全然違う思想だけども、居心地がいいからいる感じみたいな。
てらる さん それを言うとやっぱりその小野夏目先生の2人組の関係性にすごく近いっていうか。
てらる さん あー。
てらる さん うん。
てらる さん あのカッパーズとかさ、なんかああいう感じの匂いみたいなのもしていて、いいよね。
てらる さん あー、確かに。
てらる さん うーん。
てらる さん いやー、最後のやっぱ悪い見本っていう言葉はちょっと最高すぎる。
48:03
てらる さん いやー、最高やな。
てらる さん いやー、最高。
てらる さん いやー、エマ最高。
てらる さん エマ最高!
てらる さん 本編読んでて、このキャラ好きやなみたいな人が番外編でこれが読みたかったのよみたいなさ。
てらる さん そういうの読めるのもいいところやと思うんで、ぜひちゃんと10巻までね、読んでいただきたいですよね。
てらる さん そう。あのね、多いパターンが真面目に1巻から読むと、静かに地味に進んでいくから、面白さがなかなか始め分からへんみたいな人結構多いのよ。
てらる さん あー、かもしれへん。
てらる さん そう。我慢してね、まず3巻までは頑張ろう。
てらる さん あー、まあ確かに確かに。
てらる さん 電車が行くとこまでは読もう。
てらる さん そうやな。そこからですからやっぱり。
てらる さん そっからが最高ですから。あくまでちゃんと丁寧に導入をやってくれてるんで。
てらる さん そう。そこまでね、頑張っていただきたいなと思います。
てらる さん はい。
てらる さん ということでですね、最高、森カオル先生のエマっていう作品、ぜひとも読んでください。おすすめです。
てらる さん はい、というわけで心の砂嶺は引き続きお便りをお持ちしております。
てらる さん すべての足先はkokoronosunaatmarkgmail.com、心の砂atmarkgmail.comまでよろしくお願いします。
てらる さん もしくはSpotify、Apple Podcastなど各配信サービスのエピコードの詳細に載っているGoogleフォームからお願いします。
てらる さん Apple Podcastのレビュー、評価も絶賛募集中です。ぜひともよろしくお願いします。
てらる さん ツイッターでの投稿は、ハッシュタグKOKOSUNA、kokosunaです。よろしくお願いします。
てらる さん また本編で出てきた固有名詞などは、ノートに応募集がありますので、そちらもご覧ください。
てらる さん ノートのURLも各配信サービスのエピソードの詳細にございます。
てらる さん ということで、今回も聞いていただきましてありがとうございました。
てらる さん ありがとうございました。
てらる さん それでは皆様、ごきげんよう。
49:56

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