1. 心の砂地#
  2. 第55回 -後編-『α』
2023-11-29 37:32

第55回 -後編-『α』

今回のエピソードシリーズ(第55回)では、くらもちふさこ先生の『α』を特集します。

※本エピソードは「後編」のため、『α』のネタバレを含みます。

具体的に『α』のどこが一体素晴らしいのか?好きなのか?『α』とは一体何を描いているのか?「友情は 相思相愛でありながら 抵抗によって達成できない疑似恋愛関係」(by吉野朔実「恋愛的瞬間」)、23年10月期木曜劇場「いちばん好きな花」とのテーマとしての関連性…等といった話をしています。

【聴いた後に読んでも、読んだ後に聴いても面白い】エピソードになっております。お楽しみくださいませ。


○α 「#1」
【あらすじ】銀河系の外にある惑星アルファ。アルファ星の姫・サクラは、ある日、婚約者が決まったと聞かされる。

登場人物
・サクラ(CAST:三神妃子)
・アサダ(CAST:生田理一)
・ローズウッド(CAST:山本 燿 )
・キリ中尉(CAST:天水キリ)


第55回後編の⁠⁠⁠用語集、詳しい解説、補足のnoteは⁠⁠⁠こちら!⁠⁠⁠

https://note.com/lnt91/n/nc2494749230d


《#kokosuna掲示板》

「#kokosuna ベスト3」

【2023年のあなたのベスト3】、リスナーの皆様から大々募集中!12月10日(日)まで。

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「三十日間の新聞」 ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://note.com/lnt91/n/nc592a8854262⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ 『心の砂地#』も参加しました! (2023年11月16日収録) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 番組アカウント:https://twitter.com/kokosuna 感想など、投稿していただける場合のハッシュタグは#kokosuna でお願いします! ここすなリンク集→ https://lit.link/kokosuna 番組感想、お便りは kokoronosuna@gmail.com  

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2023 artwork:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠セキヤ@sekiyanabemotsu⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

2023 spring op theme:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@k5_y4⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

00:00
今回は、倉持久作先生のアルファという作品の特集、後編でございます。 こちらから、もしかしたら聞いていただいたっていう人もいるかもしれないんですけども、
前編としてアルファのエピソードを配信しておりますので、そちらで倉持久作先生の紹介とか聞きたい方は、前編から聞いていただければなと思っております。
なので、ここからはネタバレ。ネタバレって言っても全部は全部言わないんで、安心して聞いていただいてから、読んでも面白いように収録していこうかなと思っているんですけども、
ネタバレを含むエピソードとなりますので、その辺気にされる方は作品に当たってから、本エピソードを楽しんでいただければなと思っております。
ということでね、アルファ本編の話をしていこうと思うんですけども。改めて説明なんですけども、このアルファっていうのは単行本と文庫版で収録内容が、順番が違うんですね。
文庫版が雑誌掲載時のもので、アルファプラスアルファという作品の2つに分かれています。単行本はアルファという作品として上下巻になっていて、アルファプラスアルファの内容を時系列順に並べた内容になっているという感じですね。
で、アルファの1だけ読むと、あ、今回SFなのねと。倉持先生ついにSFをやるんですねと思っていたら、アルファ2に行くと全然違う話が始まると。
そうね。 これ2って言うと難しいな。単行本で言うとプラスアルファの1話が始まるんで、言ったら内幕もの、このアルファっていう作品が劇中劇みたいなもので、プラスアルファの方は実際の裏側というか、こういうふうな役者たちがこのアルファという作品を演じてるんですよっていう話が始まるわけですね。
そうね。 うん。文庫版で見た人は全然違う話が始まってびっくりするし、びっくりするというか、あ、こういう短編集みたいな感じなのね、オムニバスなのねって思うし、単行本から読んだ人は、あ、これはそういう劇中劇だったんだということがわかるっていう2つの驚きがあるかもしれませんね、それぞれだと。
そうですね。 うん。この本作の主人公たちっていうのは、役者4人のこの関係性っていうのを描いていくプラスアルファっていう話に読めるかな、アルファ全体で言うと。
この4人の関係性っていうのをいろんな形で描いた作品と読めるかなというふうに思いますね。 はい。
03:01
アルファ、言ったら劇中劇? 作品としてのアルファの方から話していこうかなと思うんですけど。 そうですね。僕が一番好きな話はアルファのシャープ1ですね。 はい、本当にアルファ第1話。
1話目が一番好きでしたね。 この話本当に絵もめちゃくちゃ綺麗だし、あと僕は結構キャラクターの関係性みたいなところが好きだったというかね、一言で言うと失恋の話ではあるんやけど、
全然なんかドロドロはしてないという意外がもしてなくて、なんかすっきりとしてる感じがあるかなっていうふうに僕は結構感じてて。
確かにね。まあ1、恋愛っていうことだけで言うと、ベタじゃないけど、この人は誰のことが好きなんだろうっていう方向性をめぐる話っていうふうには見える?
そうですね。まあそれをこのSFっぽい世界の中で生物とか数字たりとか、まあそういう人の心が読めるっていうそのビータ人っていうのとかを含めて、こうSFのロマンスみたいな感じで描いてるんですけど。
そうね。ビータ人っていう人種の人と触れると心が読まれてしまう。
めちゃめちゃ面白そうな設定。
で、なんか僕はこれを読んだときに結構最初に感じたのは、ざっくりした言い方になっちゃうんですけど、同人っぽいというかBLっぽいというか、それを僕はすごく最初に感じて。
まあなんかこういうちょっとファンタジーパローみたいなのって結構僕はテキシブとかのでよく散々見てきたんですけど、なんかその時の空気感みたいなのもすごく感じるし、
あとこの男性のキャラクターですね、2人のアサダとキリチュウイ。なんかこの2人の絵面とか歓迎性みたいなものがBLっぽいやーっていう。
まあそういう変りはないんですけど、この作品の中には。
この作品内部には。ないと言ってしまったらあれだけど、まあ想像する余地はある。
そうですね。
いやでもなぁ。
あと多分これキャラクターの名前が全部植物の名前になってるんですよね、多分ね。
そうね。
っていうのとかも含めて、ああなんか同人っぽいなっていう。
でそれがなんかこう、これって劇中劇なわけやから、現実の俳優とかをこういうふうにドラマを演じてるっていうのがある意味そのもともとのキャラクターを別の空間においてストーリー作ってるっていうところが実はめちゃくちゃ同人っぽくもあるので。
うーん、そうね。
ああ、意図してそんな感じにしてんのかなと思ってたしね。
確かに、寺田さんにそう言われて思うと、なんか僕は例えばあの、まあそれこそそういう同人から出てきてオリジナルを描くようになったクランプとか、あの辺の作品っぽいかもって思ってたのよ。
06:07
ああそうなんですね。
うーん、そうそうそうそう。とかにありそうだなっていう感じがしてて。
あとまあ、舞台の古典とかっぽいみたいな、古典とかである作品っぽいっていう感覚っていう感じもしてて。
そうですね。
そうそう。まあ設定のすごい面白そうさっていうと、ビータ神は触ると心が読めるっていう設定。
でまあ本当は先頭民族なんだけど、ここの星の光石の影響で割と穏やかに過ごしてるみたいな設定もあったりとか。
あとアサダっていうのはオメガジンなんですよね。で、電気を操れるというか、まあスワスワっていうなんか謎のなんだあれ、クラゲみたいないるんですよね。
で、そいつらがこう光って電気とかを照らす生き物なんだけど、感電するんだよね。普通のアルファの人が触ると。
でもオメガジンと手を繋いでいればスワスワにも触れる。
そうね。
このいたら絶縁体みたいな感じになってるってことなんだよね、多分オメガジンが。
そうね。
いやなんかこの感じ、スワスワっていう普通に触ったら感電してしまうものを触れるようになるっていうのと、手に触れたら心が読めてしまうっていうビータ神と、
どっちと恋愛関係なんだみたいな感じでスイングしていって、なんかやっぱ面白いよね。
そうだよな、その心が読めるっていう特性をうまく活かしたこの無言のラストシーンっていうのが、もうなんとこう、なんていう想像の余地があるというかね。
うーん。
いや上手いなっていう、だからそのSFっぽい設定をもう存分に活かしきってるじゃないですか。
僕はやっぱこの1話を読んだ時に、あ、めちゃめちゃいいなって思って、そして2話に進んだら、急に東京の都会の話になったから。
違うんかいっていう。
そうね。
で、実際このアルファはすごい1話だけだけど、すごい濃密な設定があって、
あのモーニング娘。がこれ演劇女子部っていうミュージカルにしてんのね、このアルファを。
トライアングルっていう舞台になってるんだけど、この1話の設定だけを使って、まあ原案倉持裕作はアルファとして、2時間ぐらいあったかなの舞台にしてるっていう。
すごいですね。
ある作品だし、これを僕は見てるんだけど、そのモーニング娘。たちが演じた倉持裕作をアルファを原案とした舞台を見てるんだけど、すごい舞台映えするのよ。ミュージカルなんだけど、この設定が。
あーそうなんや。
し、わかりやすいじゃん。言ったらさ、古くから代々と伝わる家系を巡る話っていう設定の中に、いろんな人種の人がいて、そこをどうするのかっていう。
09:01
本当はもう置き手が決まっていて、そこでこうしなければならないけどどうするのかみたいな話であったりとか。
まあまあまあ、確かに。昔からこう演劇でよくありそうな感じでもあるよね、古典的な。
ロミオとジュリエット的な感じの変装とも取れるし、なんかすごい映える作品で、何ページぐらいあるんだろうこれは。60ページかな。
ぐらいしかないんだけど、重厚なストーリーとしてね。展開してる第一話で。アルファが傑作たるゆえんの気合の入った第一話っていうところはもちろんあるなと思いますね。
そうね。
そうですね、一話に関してのことが。
アルファ一話。
じゃあ僕も続いちゃうんだけど、このシーンがすごいみたいな感じで言うと、アルファシャープ2。さっき寺田さんが言ってた東京の話。
しかも東京といえど、大学生の話。だから大学のキャンパスも出るんだけど。
東京のどこかというとですね、こちらも舞台が当時の秋葉原でございます。電気街だった頃の秋葉原。そこに携帯を買いに行くという話。
もう一言で言えば携帯を買いに行って、そこの量販店の男前と同の項のっていう話なんですけども、絵としてすごい面白いっていう話をもうちょっと注目して話したくて。
当時の秋葉原の感じ。山手線の感じとかも、路線図とかをグッドアップで描いてたりとか。漫画がめっちゃ上手いから、本当に秋葉原を歩いているような感覚だし、今は本当にオタクの街になってるし。
この時からもうなってたと思うんだけど、まだ電気街としての秋葉原っていうのが残ってた頃だと思うから、その感じを追体験できる感みたいなのがすごい好きで、っていうのと。電車のホームでの風景みたいなのから始まるんだけど、
たぶん写真を撮り込んで描いてる絵っていうところから始まるんだけど、そこにチェックマークみたいなものが2つ近いところにあったり離れたりみたいな感じで飛んでる絵から始まるんですよね。このチェックなんやねんってみんな多分思うんですよね。初め読んで。
みなまでは言わないんですけども、ラストでこのチェックマークが何かっていうことが多分わかる。
そうですね。そこがまた最後に出てくるっていうのがね。
このチェックマークが何を指し示してるのかって、これは多分いろんな解釈があるけど、このチェックマークが最後離れたチェックだったのが近いチェック2つってなって終わるっていうね。
ここで、「おお!」ってなんねんな。初めは謎だったチェックマーク、飛んでるだけのチェックマークが最後近づいたっていうさ、同じ絵でチェックマークの距離が変わってるだけなのに、「おお!」ってなるっていうさ。この漫画としてのなんていうかな。
12:18
1話を通すことによって、この意味がわかる、見え方が変わるっていうところですよね。
クラムス先生の作品、さっきのシャープ1もそうなんだけど、モノローグもすごい良い作品多いのよ。
でも、特にこのアルファに関しては、絵でめっちゃ語るんですよね。
確かにあんまモノローグ多いイメージはないですけどね。
特にアルファに関してはかなり少ないと思う。
おしゃれっていう、「おお!」ってな。東京みたいな感じのドライなかっこよさがある作品だなっていうふうに思ってて、このシャープ2は特に。
そうやな。なんていうんやろ。この感情を剥き出しな感じじゃないいい話やな、これは。
個人的にはやっぱこの霧のかっこというかね。
家庭量販店の霧さ。
この雰囲気とか、なんでこんなスーツ着てるだけやのに、すごいちゃんと2000年代の感じするなみたいな。
これは僕らが2000年代にいたからっていうのはあるかもしれないけど、あの時代思い出すなって感覚にちゃんとなるのがすごい。
このスーツのデカい感じね。
でもこういう感じだったら当時の人ってっていう感じがするよね。
今はもうちょっとタイトな感じが多い感じだけど、ちょっとダボっとした感じ。
ダボっとしてるもんね。霧のデカくて細身な感じというのが余計かっこいいし。
あとはさっきの街に、秋葉原の街を歩いていくページみたいなのがあるんだけど、
秋葉原の電飾であるとか、本当に情報量の多い感じっていうのにどんどん飲み込まれていくみたいな描写があって、
途中で集積回路の中に迷い込んでしまうみたいなところがあるんだよね。
ずっと人間だけ、話したことある人間とかは茎切れしてるけど、周りがすごいガシャガシャしてたのが最後回路になっていってしまうみたいなね。
集積回路になるってとこが、こんな表現を私はこの漫画以外で見たことがないんで。
そうね。でもさ、東京に来た時の街に飲まれる感じみたいな表現としてめちゃくちゃしっくりくる。
どんどんさ、周りは本当にこの白い輪郭だけなものに自分も取り込まれていってる感じ。
この感じは、0年代東京ものとしても、歴史的資料としての価値もあるだろうっていうぐらいね、すごい好きな話ですね、シャープには。
15:07
これの例えばさ、パソコンで初めてメール打つときに好きって打つみたいなとか、このアドレスで名前わかるみたいなところとかさ、
言ったらものすごくその時代のロマンスというかさ、そういったものをなんでこんな解像度で書くのかって。
だからすごいなって。しかもこういう新しいものみたいなものを全く下に構えることなく、しかもめっちゃいいアイコンとして。
このハンパンの位置もそうやったけど、この設定の生かし方みたいなのがやっぱハンパンは上手いですね。
えぐいよね。なんかだから、やってみた感が全然ないよ。練りに練られてこの設定でこういう話なんだなっていうのがあるし。
最近メールとか携帯とかあるから、それで一発書いてみるかじゃない感じ。
ないよな、絶対な。で、適当に資料だけじゃなくて、多分見て体験してっていう感じがあるやんか。
実際もしかしたらこの秋葉原歩いた時の感覚っていうのを中に入れてると思うしさ、さっき話したところとかは。
だからまあその劇中劇なんだけど嘘がない感じっていうのがすごい面白いよね。
そうねー。ここは特にその時代を生きてきたっていうのも含めてめちゃくちゃいいですね。
この作品っていうのは今話した1,2とか、アルファに入ってるやつは作品なんだよね。劇中劇の作品。これが映画だったりドラマだったり舞台だったりするんだけど。
で、メインのキャスト4人がそれぞれ出てたり出てなかったりみたいな感じなんだけどさ、今回のやつは2人だけやんか。
山本香里さんとキリの2人がキャストとして出ててっていう作品やんか。
だからここもさ、主人公である三上彦っていう子を出してないんだよね。リーチ君っていう子も出してないんだけど。
そこのさ、キャスティングもさ、してるわけやん実際。劇中劇だけど、倉持先生がここも考えてるからさ、ここのキャスティングもめっちゃ見事だよね。
そうやな。監督というか、監督が倉持先生ではあんねんけど結果として。
そうそうそうそう。それもやってるっていう。だし、そこが実際その方がいい話になってるやんか。
だしプラスアルファを読んで劇中で見るとここで彦ちゃんが入ってないっていうところも意味があるやんか。
そうですね、外されたっていう。
劇中劇としては面白いし、プラスアルファでもそこの要素もちゃんと保管してるっていうのが。これがどこまでどういう構造でなってたんかわからへんのやけど。見事ですよね。
心のすなじ。
18:03
なんかちょっと説明なしにそのまま好きなとこ行っちゃったんですけども、アルファがまず連載されて、ただ扉にはキャスト、誰誰、役名とキャストっていうのが書いてあるし、読み進めていくと同じ顔の人出てくるなっていうのが、
例えば髪型とかなんか設定が違うからうんとは思うかもしれないけど、同じ顔の人だなっていうのがわかるようになってるんだよね、アルファだけ読んでても。
そうそうそう。っていうのがあったんだけど、プラスアルファでこういう内幕門なんですよっていう説明がなされたみたいな感じなんだけど、
実際その倉本先生はこのアルファからプラスアルファに行くときに、編集とかの人にも、次プラスアルファでこういう話ですって言ってない状態で始めたらしいのね。
だからなんか扉にキャストって書いてあるなとは思ってましたみたいな感じだったらしいんだけど。
普通にさ、漫画家としてもあるじゃないですか、スターシステムというかさ、手塚治虫とかはよくあるけど、作品をまたいて同じキャラが出る的なのをやってるのかなと思ったら、
プラスアルファの方でもその裏まで全部やるっていうところがね、びっくりするよね。
うん、面白いしねーっていう作品ではあって。アルファが描いてるのってっていう話をちょっと話していきたいんだけど、
さっき寺田がシャープ1のところで、劇中劇の内部として関係性のいろんな方向性みたいな感じが読み取れる面白さがあるっていう感じなんだけど、
プラスアルファの部分とかも含めて、この4人の恋愛関係だけでない関係の輝きみたいなのをすごい描いてるんだよね、アルファって。
そうですね。
例えば、前読んだ恋愛的瞬間、吉野作美先生の恋愛的瞬間に描いてあったようなことを引用するのであれば、
友情っていうのも、そこがいろんな壁があるから乗り越えられないから恋愛の一つなんだっていう考え方で考えるのであれば、
これは恋愛を描いた漫画とも読めるんだけど、ただこの性愛的な目線がない、すごい良い4人の関係みたいな。
そうですね。
そこって本当はさ、例えばこれも男2人、女2人で実際、男女の関係で実際に恋愛関係だったみたいな話はあるんだけど、
そこもあるっていう事実が入ってるっていうのも面白いんだけど、そういうのを含んでも、男2人、女2人ってカウントした時に、
ああ、なんかそういう4人の関係ってここがこう矢印でこうでっていうさ、単純に考えてしまうやん。
21:07
こっちがあて馬でこっちがあれなんでしょみたいなさ。
関係性、恋愛によくある4人の宿図みたいなものを想像してしまいがちではあるしね。
想像してしまう。
だけど、なんか全くさ、そうでもないし、このヒコちゃんっていうね、お嬢様女優、2世の女優がキリっていうすごく魅力的な男に向けている矢印だけの話っていう風に見えるかもしれないんだけど、そんなもんじゃないっていうさ。
そうですね。
この4人の中でできてるっていう関係だから。
なんかまさにそういうことを最後に気づくっていうところですよね。
で、なんかそれまでやっぱりさ、どうしてもヒコがキリのことが好きっていうようなところが割とプラスアルファの方では進んでいってるから。
前半だとね。
そうそう。だからなんかその、うっかり読み流してると見落としてまうというか、そこの気づきを実は最後ヒコが得てるっていう、あなたと演じることが好きなんやわっていう。
そうそうそうそう。
いろんな役でいろんなキリといろんなリイチ君といろんなかがりさんと出会えるっていうことも含めて、何度でもその恋愛が刷新されるっていうことってすごい、演じてる私たちってすごい良いよねみたいな話でもあるやんか。
そうね。
いやーなんかでもそれね、僕こう、個人的な経験としてもすごいそういうふうなこと思うことあるなーと思ってて。
うんうんうん。
なんかわからんくなんねえんだ。このあまりにも恋愛恋愛やん、世の中ってどうしても。
そうね。
だからこう。
信じられんぐらい恋愛、まあ今だいぶ恋愛の価値っていうのはこの10年ぐらいでかなり暴落したとは思ってるな、僕の中でも。
そうね暴落はしたけど。
そうそうそう。
なんやろうな、こう澄み分けがされては行ってる感じはするよね。
そうそうそうそう。
やっぱり例えばこの一緒に過ごした時にこの人と過ごす時間楽しいな、イコールじゃあ好きなんやわってさ、そこが直結しちゃうこととかって多分あるねんけど若い頃って。
別にそうじゃないねんよなって後からやっぱり気付くことって。
そうねー。
いやこの人と話すのが好きなだけで、なんででも話してたらめっちゃこの人好きって、そこが直結しちゃってるのおかしいな冷静に考えたら、関係、この人と生まれてる関係とか空間とかそういうものが好きなんやわっていうのに気付くっていう。
ただそれってそんなドラマティックなものではないというか、俯瞰して見える美しさみたいなものやから、それが最後アルファの最後の方で描かれんねんけど、やっぱそこを読み取るのって意外と難しい。
え、彦キリのことが好きだったんじゃないの?みたいなさ、そういう一面的な恋愛だけの見方をすると、そこをやっぱ拾い切るのって結構難しいんじゃないかな。
24:01
そうねー。
でもなんかどっかで誰しも経験してると思うのよ。
やらしてると思う。
従来のパートナーを選んで、結婚というゴールじゃないんだけど一つのゴールの形みたいなのがあって、その人と寄り遂げて、その人のことと二人で思い合うっていうのが一つの恋愛関係なんですよ。
で、それがすごく価値のあることで、すごく人生の目的の一つなんですよみたいな価値観がめっちゃ強かった時代があって、で、だいぶなくなってるけどそういうもん、全然そういう考え方に僕らは読されてるから、そこに気づきにくくなってるんだよね。
そういうもんだろってインプットされすぎててさ、でもこれって恋愛じゃないの?っていうさ。
いやそうよな。
そうそうそう。
こんな早い段階で。
まあしかもその、言ったらキリとカガリさんも結婚してるわけやし、しかもその彦以外の3人はすでに関係性がかなり出来上がってるわけじゃないですか。
そうそう。もともとずっと劇団でね、一緒だったっていう感じ。
そこに、その3人っていう強固な関係性の中に新しく入ってきて、なおかつ自分の好きな人は結婚してても、でもその4人の関係性の中で美しいものが生まれるっていう、なんかいろんな制限というか。
わざとつっかけてるよな、そこもな。
だって普通入れない気するやん。もう結婚してるし、この3人っても、もともと知り合いやし、みたいな。そういう、なんか強固な、強固に見える関係性というものを突き破って、この4人にそういうケミストリーが生まれてるっていうのが、めちゃくちゃところですよね。
そうね。だから、このアルファというのは何か、ちゃんとわかりやすくさ、作品のタイトルにアルファだったりとか、なんかいろんな形でアルファって言葉入れてくれてるんだけど、このアルファっていうのは、今寺田が言ってくれたケミストリーみたいな、4人の中に流れる波みたいなのがアルファなんだよっていうことが、アルファって名付けてるんだろうなっていうことが僕の解釈なんだけど。
なるほど。
その4人の中に流れるすごいリラックス、もしかしたらそれがピンと張り詰めて緊張状態になっている、そこの4人に見えないところで言うとすごく危うい関係に見えるっていう感じかもしれないけど、その4人の中で流れている波動みたいなものの輝きを描いた漫画ですよっていうのがアルファなんだと僕は思っていて。
その言語がされない部分みたいなのをアルファと呼んでるっていうことなんですね。
そうそうそうそう。だから、倉口先生の作品でも英語で一字ってこれだけなんですよ。こんな分かりにくいタイトルなんてこれだけなんですよ。
まあ確かに他結構ちゃんとね、いろいろタイトルとしては長かったり短かったりね、名詞が入ってるもんね。
そこをそれこそ言語にしにくい普通の日本語に言ってなると、ちょっと意味が限定されすぎるからこういうアルファっていう言葉にしたんだと思っていて僕は。
27:10
なんかそこのセンスも含めてやっぱ、てかこれもう2000年代ゼロ年、もうめちゃめちゃゲツクみたいなさ、恋愛みたいなゴリッゴリあるときに、こういう作品を描いた倉口先生の先見性っていうのは、今2023年の方が絶対刺さると思っていて。
ああそうだよな。まあシャークさんさっきも言ってたけど、これも言ってしまえば結構アンチ恋愛的な。
うん、感じある。
あるよね。
そうそう、だし、わかりやすく言うとその旧世代の象徴として描かれる彦さん、彦ちゃんのお父さん。
はいはい。
っていうのは例えばこの役の中にキスシーンがあるから、そこはやめさせてくれみたいな圧力でかけてたりするんだよね。
ああそうやな、そういうシーンありましたね。
だからそれって例えばさ、キスシーンがあったところで別に恋愛でもないし、なんかさ、キャリアとしてさ、そういうの積み重ねてたほうがいいとかいうのがあるかもしれないけど、
本当もカサキみたいな男やから、そういうのがあると、その人としての価値が落ちると思うし、みたいなさ、俳優としても良くないんちゃうかみたいな感じで思ってる人もいるっていうさ、
どういう風に描いてたらいいみたいなところも、ちょっとこう良くない感じでちゃんと描いてるからそういうのを。
そう。
うーん、そういう部分もあると思うし。
まあそのお父さん役のがさ、この1話で結婚相手をつけないといけないみたいなさ、なんかそういうやっぱ常にこういうちょっとな旧世代的な役割で出てるっていうね。
そうそう。
で、日々は彦ちゃんのお父さんと喋らないっていうね。
そうな。
そうそうそうそう。
まあだからキリもさ、絶対男子が真似してはいけない人ではあんねんけど、
まあそうですよ。
なんか決して、なんかこのファンタジー上男子っていうところにもない気がするところが危うくない。
うーん、真似できそうってこと?
うん。
いやいや、ダメですよ。まあなんかね、人間っぽいところはあるしね、キリはね。
そうだね。
そうそう、ファンタジックの存在、まあまあファンタジックの存在なんだけど、なんかね、そうじゃないバランス感覚の人に見えるから。
わかってんねんけど、いそうな感じもするっていうね。
わかるわかるわかる。だから下手しいちょっと話はしてくれそう感あるよね。
たぶんすごいスター役者なんだけど、スター俳優なんだけど、ちょっと話はしてくれるんちゃうかみたいな親しみ感は、なんかありそうな気がするっていう。
そう。
絶妙な。
だから僕は全然、当然俳優の方の知り合いはいないんですけど、3人で、キリとカガリさんとリーチ君のこの3人のなんか俳優感みたいなのがすごいリアル。
30:00
すごいビンビンに感じる、リアルだよね。
なんかちょっと怖い感じというかね。
そのリーチ君っていうキャラクターが結構象徴的で、ほんとほんとヒコちゃんの付き人みたいな感じでね、いるんだけど、人当たりもいいしめちゃめちゃいい人なんだよね、リーチ君は。
でもなんかさ、リーチ君なんか怖えんだよね。
怖いよなー。
この怖さっていうのが、ガチを持ってる人の怖さみたいなさ。
なんかこう自分の中に一本筋通ってて。
そうそう、筋が通ってて、だからこそ仕事としてそういう付き人も別にできるし、そこでもちゃんとできるけど、でも俺のやりたいことみたいなのがしっかりあるんだよっていうガチを持ってる人の強さみたいなのがすごいリーチ君に感じるから。
怖えんだよなリーチ君。
そうねー。だからこの3人ともさ、迷いみたいなものが一切ない。
ないね。
がゆえに。
多分あるんだろうけど。
まあ見せてないってことだろうな。
そうし、プラスアルファで書かれる彦ちゃんの目線からは見えにくいんだよね。っていう風に書いてあるから、余計怖いし見えにくいんだと思うんだよね。
だからさ、このクラウンスペインで何考えてるかわからん人の顔上手すぎるやろっていう。
上手すぎるなー。
ちょっとだからそれがね、やっぱずっとこの3人から感じられるから、そういう緊張感。だからすごいこの彦にライディをしながら読めるっていうね、プラスアルファの部分。
でもなんかこうね、それこそ劇中劇ではさ、面白くて素晴らしい作品であるから、そのいい作品の積み重ねとプラスアルファでの関係性の解きほぐしと、みたいなのがあるから、すごい最後、4人の関係性にすぐ感動する僕は。
いや、この関係がすごい良いよねっていうことを歌い上げてくれてることに、めっちゃすごい感動するなー。
そうだよなー。なんかその最後の相馬灯みたいなシーンで、演じてるシーンがいっぱいリフレインするみたいな。
そうねー。
ところめちゃめちゃ良いよな。
良いよねー。やっぱ自分の話にしちゃうけど、やっぱあるもんなー、こういう。やっぱ恋愛関係とか、なんかそういう性愛的な眼差しがあるんじゃないかっていう誤解はやっぱされやすいやんか。
そうだよなー。
特に男女っていう風になると、何かなー、4人っていうのはね、ちょうど今、木曜劇場フジテレビでやってる一番好きな花っていうドラマがあるんだけど、
たべちゃんと今田美央さんと松下孝平さんと亀藤さんの4人でやってるんだけど、ほんまそういう話なのね。それぞれ2人組になるっていうのが苦手だった4人の1人ぼっちが出会った話みたいなのが書いてあるんだけど、
結構今人気なんだけど、ほぼほぼアルファでやろうとしたことと同じテーマに挑んでるね。今見てるけど。
33:00
で、まあもっと生活に寄り添ってるし、一つアルファの面白いところは、そういう俳優とかみんな持ってる目標が同じだから連帯できる感じのもんではあると思っていて。
あーそうなんだ。だから恋愛以外の軸では繋がってるっていうところが。
軸では繋がってる何かがあるからまとまりやすいっていうのはあるけど、でもただそういう連帯みたいなのがないとやっぱそもそも成り立ち、そういう4人の関係性が恋愛対象になり得る人を含んだ4人の関係性っていうのはすごく難しいと思うんだよね。
うーん、そうなんだ。仮に自分がそういうふうに思ってなかったとしても、そう思ってる人もいるかもしれへん。あるから。
そうそうそう。
だからこそ難しいんだろうけどな。
そうそうそう。一番好きな花は、男女の友情は成立するのかっていうテーマを投げられて作った話らしくて、それを4人の一人ぼっちが苦手な人たちが寄り添う話っていうので回答してるっていうのはすごいな、脚本家の人はってすごい思ってて、どうなるかっていうのを今みんな見てるとこなんだけど。
なんかそうね、そういう目標もない、というかそういうシェアしてるものが、なんかこう弱いところで繋がれるみたいな、このそれぞれそういう社会とかの圧が苦手な人たちが集まったから、こういい場所が作れるっていう話にはなっていて。
うん。
そこが、やっぱアルファ大好きだしすごい感動するんだけどって、やっぱその強い人なのよ、4人全員。
そうですね。
それこそ戦って俳優という目標があってやりたいことっていう創造性に向かっていくっていうところで連帯するっていう話でもあると思うから。
そこが20年経って同じようなものが出てるけど、その弱い部分のシェアと高みのところで繋がってるっていうの20年の違いっていうのは結構この時代の流れのものっていうかね。
そこで大事にできるものが、その高い目標みたいなものなのか、自分のビーイングというか、であることをシェアできる4人っていうのが20年でこう変わってるっていうのがさ、物語として同じようなものを描いてるけどっていうのは結構面白いなと思った、比べてみると。
なるほどね。その連帯する理由がやっぱ変容してるっていうところ。
ただアルファに関しても、俳優とかそういう目標はあるけども、それこそ4人に流れるビーイング的なものが合致してるっていう感じもあるからさ。
ルーイングだけで、例えばこう試合に優勝しようぜみたいな感じでやってるわけではないっていうのは。
それはね、本当にそう感じるというか、別にこの4人のチームワークが生んだみたいな話は一切ないじゃないですか。
36:05
結構その辺はバラバラで、本当に言葉にしてない部分。だからそういった意味ではビーイングなんやろうけど、形としてどうしても個々の俳優としてのパワーというのの強さみたいな。
あるから、そこで培われたケミストリーっていう感じにはしてあるよね。
そこがやっぱり強固じゃないと、プラスアルファで強固さを描いておかないとアルファの良さも出ないみたいなのがあるから。
やっぱりこの作品として通したときにそこを全面に押し出すっていうのは納得はいくけどね。
うーん、そうねー。いやーでもすごいね、アルファは本当に。
まあそんなとこですかね。以上かな。
というわけで、心の砂地は引き続きお便りをお待ちしております。
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エピソードの概要欄にも様々な情報があるので、よければご覧ください。
ということで、今回も聞いていただきましてありがとうございました。
それでは皆様、ごきげんよう。
37:32

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