1. 心の砂地#
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2022-08-03 43:34

第10回『共通項/恋愛観/ロブスター/ *生活は暗黙の了解で』

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今回のエピソードで特集するのはヨルゴス・ランティモス監督作の映画『ロブスター』(16)。
非常にシニカルで、ぞっとするほど奇妙な本作ですが、てらださんは「最も、自分の恋愛観に影響を与えた映画」(どうかしてる!by シャークくん)として、語っています。そして、自身の環境の変化から、数年前にはじめてこの作品に触れた時と現在では、異なる気持ちがに想起される、ということもあり……?
後半部分では映画で描かれていることを踏まえて、「共通項、生活、恋愛観、自分との距離」について議論しています。びっくりするほど噛み合わない会話をお楽しみください。
《2022年8月1日 収録》
『ロブスター』あらすじ:家庭を持ち、子孫を残すことが義務付けられた近未来。妻に捨てられてしまった男デイヴィッドは街のルールに従い、はずれにあるホテルへと送られる。そこでは45日以内に自分の配偶者となる人を見つけなければならず、見つけられなかった場合は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていた…。
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何かを語らう時の対象との距離が大きく違うし、使う言葉の定義(「生活」「恋愛」「感情」)も、解釈も、落とし所へのアプローチも違うんだな……。というのが今回露わになったと思います。結果として面白く聴けるので、それは悪いことでもないかもしれないです、わかんないですが。【鮫編集後記】

00:00
今回はですね、オルゴス・ランティモス監督の『ロブスター』という映画を特集したいなと思っております。
久々に恋愛の話をしようかなと思っております。 今回もちょっと映画を軸にして、ちょっと語りたいなというふうに思ってます。
で、なんであのロブスターを選んだかというと、このロブスターっていう映画って結構僕の恋愛感に影響を与えた映画なんですよ。
これも信じられへんねんな。
なんでよ。
例えばさ、自分の恋愛感に一番影響を与えたもんなんですかって言われたら、この映画が上がるってことやろ?
まずロブスターかな。
信じられへん。どうかしてると思う。
僕これ見たのが2018年とかなんですよ。だからそんなには経ってないんだけども、その頃結構恋愛について悩んでた時期でもあって、
この映画を見た時に何かこうつきものが落ちたというか、ああすごく縛られてたなっていうのに気づけたっていう意味でね。
決してあのロブスターのような恋愛がしたいわけではないんですよ。
まあまあそう、ちょっとそのそういう誤解も含めてね。ロブスターですって一発目に出してくるのは結構ちょっとなかなか強烈すぎるんちゃうかなという。
そうか、理想の恋愛ってわけじゃないですけどね。
今回そのヨルゴ・ソランティモス監督の作品も結構全段階で喋ろうと思ってるんですけど、この監督の作品はですね、暴力とか性描写が結構多いんですよ。
人を選ぶ作品になってるので、ちょっとこれ聞いて視聴してみようかなっていう人は、ちょっとそういったことも踏まえた上で、ちょっとお気をつけた上でね、見ていただけると。
一応、多分日本で公開された作品は僕も今回見直して全部見たけど、全部出てくるかなって感じはするね。暴力もセックスもだし、結構強烈に描くからそこをね。
そうね、そういうバイオレンスな感じを強調して描いているし、ちょっとそのあたりは後々掘り下げるんですけど、やっぱりちょっと人を選ぶ作品ではあるので、そのあたりはちょっとお気をつけくださいといったところで、今回はね、頑張って恋愛の話していきたいと思います。
この番組、心のすな字は、様々な文化や日常の築きをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。私、寺田です。
しゃーくんです。よろしくお願いします。
ということで、本日も始まります。
心のすな字
見た瞬間、俺はランディ・サブエッジみたいだと思ってますね。
あんまおらんけどね、派手さの引き出しにランディ・サブエッジしてますね。
ランディ・サブエッジみたいだと思って。
やっぱ天竜とランディ・サブエッジの試合もいるよ、自分が描かれると。
心のすな字、しゃーく。
はい、まずはですね、このロブスターを監督しているヨルゴス・ランティモス監督について、ちょっと詳細をね、説明していきたいと思います。
03:07
まずこのヨルゴス・ランティモス監督はですね、ギリシャ出身の映画監督です。
1973年5月27日生まれということで、今49歳。
映画監督としては中堅ぐらいの年齢ですかね。
まあまあ、まだまだ取れるよねって感じだよね。
結構メインの作品もまだ4、5作品ぐらいって感じなので、今後にかなり期待できる監督かなっていうところで。
中3階級の家庭で育ち、若い頃はコマーシャルの制作によって生計を立てていたそうです。
幼い頃に両親が離婚してるんだってね。
で、母親に育てられたらしいんだけど、17の時にお母さんも亡くなってて。
その年で展開孤独みたいな感じになっててっていう人らしいね。
結構その家族とはっていうところに疑問を投げかけてるような映画も多いんですけど、
そのあたり、やっぱり人よりもそういう立場やったからこそ、家族について考える時間が多かったのかもしれない。
あったんじゃないかな。17の時にね、そうなってて結構強烈な体験だったんじゃないのかなというふうに思ったね。
そうですね。学生ぐらいの時ね。
まあちょっと主要作品紹介していきたいんですけど、その一作目のカゴの中の乙女。
めっちゃ関西弁の発音で言ってもた。カゴの中の乙女じゃなくて、カゴの中の乙女。
映題ドッグトゥースって言うんですけど、これはね、僕も今回特集3にあったので久しぶりに見返したんですけど、
一番しんどかったね、見るのが。
まあ強烈だよね。
ざっくり言うと、社会から隔離して子供を育ててるっていう家族の話なんですけど、
なんかね、やっぱりその、本当に世界観を徹底して作り込むのが上手いなって改めて思いましたね。
その、何やろ、わざとらしさがないというか、
例えばその隔離するにあたって文字情報とかも家の中からすごく排除してて、
その中に持ち込む食べ物のラベルとかまで剥がしてたりとかさ、
そういうところとかも含めて、この人たちってマジでこうやってるんだなっていうのを信じちゃいそうになるぐらいリアルなんですよ。
まあ1点僕がすごい好きな点と言ったら、
この籠から出るっていうのに、我らがスタロン様が関わっているっていう、ここはもう最高ですね。
いやー最高ですよね、ロッキーとジョーズね。
そこにさ、抜け出す力っていうのがカルチャーであるっていうのはすごくグッとくるとこでもあるよね。
まあね、ハリウッドっていうところが、それが一つのアメリカっていう点でも見れるだろうし、
まあその辺はやっぱり色々読めるように配置してあるんだろうけど。
そうですね。
06:01
まあそういった意味ではすごくいい作品なんですけど、やっぱりちょっとさっき言ったですね、バイオレンスであったり性的な描写もかなり強めなので、
あー最悪、その辺は。
その辺に関してはもう最悪って感じなんで、見られる方はちょっと覚悟をしてね。
はい、続きましての作品が2015年ロブスター、これはちょっと後で掘り下げます。
その次の作品2017年がですね、聖なる鹿殺し、キリング・オブ・ア・セイクリット・ディアという作品なんですけども、
まあヨルゴス・ランティモス好きっていう人は、だいたい聖なる鹿殺しが一番好きっていう印象がありますね。
まあこの聖なる鹿殺しってタイトルからもそうなんですけど、かなりギリシャ神話を元にしてるんですよね、ここまでの作品って全て。
まあ偶和的に描いてるっていう感じだもんね。
ヨルゴス・ランティモスの作品の特徴として神話を元にしてるっていうのもあるし、動物的に人間を描いてるなっていうのもすごく感じられるんですよね。
聖なる鹿殺しに関しては、ちょっとストーリーざっくり説明すると、とある家族がいて、その父親、心臓下界の父親と交流のある少年がいるんですけど、
その少年の手によってどんどん家族が崩壊させられていくみたいな話なんですが、
その家族の弟、ちっちゃい子供がいるんですけど、倒れるシーンをすごい俯瞰で撮ってるところがあって。
あー、上から撮るやつね。めちゃめちゃ悲喜の。
そういうシーンとかもそうですし、ロブスターでもあるんですけど、人が倒れるシーンっていうのをすごい俯瞰で撮るんですよね。
で、俯瞰で撮ると、人間が倒れてる姿ってめっちゃ動物みたいに見えるんですよね。
なんか一匹の動物が倒れたみたいな感じに見えるっていうのがあって。
動物番組とかで、引きで例えばシマウマがライオンに追いかけられててガッってくまれるとかの時のあの引きのカメラの絵みたいな感じのイメージってことだよね。
まさにそういう感じで、特にさっきも言ったように動物がたくさん出てくるっていうのもあるし、人間がその動物の中にたまたま君臨、一番上に君臨してる、支配してる存在であって、人間も動物なんだっていうのを結構意識的に描いてるのかなっていう感じがしますね。
あと、手をすごい映すよね。聖なる鹿殺しも、カゴの中の乙女も、ロブスターも。で、顔を切って手だけ映ってるみたいなシーンがカットが好きなんよ。
顔半分、目見えなくて鼻だけ切れてるやんみたいな感じで撮って、手でやったりとか。そういうのとかも、なんか足りてない感じみたいなさ。
不気味ですよね。
ああいう絵を作らせたらって感じだよね。なんか不穏だなっていう感じがすごいする。
聖なる鹿殺しは特にこの中では唯一、スリラーホラー映画みたいな感じなんで、特にホラー描写が大きいんですけど、少年役のバリー光岩がね、やっぱめちゃめちゃ怖いんですよ。
09:13
めっちゃやばい。俺が見てきた映画史上、一番気持ち悪いパスタの食べ方っていうのが見れるんやけど。
気持ち悪いですよね。
気色悪いあのパスタの食べ方、ほんま。あれしか覚えてない最終的には。
しかもめっちゃ嫌なこと言うしな、あのシーンでな。
なかなかね、そういった意味ではホラー映画としても評価高いし、僕のめちゃくちゃ好きな作品なんで、ホラー好きっていう人はここから行ってもいいんじゃないかなと思います。
で、女王陛下のお気に入り、ザ・フェイバリット。これが2018年で現状最新作になりますね。
これはさっきも言ったけど、本当にシンプルに面白いし、杏・女王の側近の立場がどんどんこの下流貴族みたいな人によって立場逆転させられていくっていうのも。
乗っ取られ者っていうか。
よくあるんだけども、そのヨルゴス・ランティモスって、そもそもこの前作、聖なる鹿殺しもドッグトゥースも、何か均衡を保たれてたコミュニティが別の存在によって崩壊させられるっていう話を描いてて。
だからそういった意味ではものすごくヨルゴス・ランティモスらしい作りにはなってるんですよね。
そうだね。コミュニティだけど、全部言ったら血縁とか家族っていう仕組みだよね。全部ね。
だからそういうもん気持ち悪いって思ってるんだろうなーって。
それはね、かなりあると思う。言ったらそういうアンチ血縁。
だからそういう人が血縁で綿々と繋がっている孤室っていうものに興味があってそういう映画を撮ったっていうのはすごく、そう考えるとなるほどなっていう感じがするよね。
そうね。さっきちょっと言わせれたんですけど、カゴの中の乙女っていうのはこの血縁っていうものをまさに描いてるんですけれども。
ヨルゴス・ランティモスがこのカゴの中の乙女のインタビューの中で私が描きたかったのは、
人の心を操作しようとすること、自分の意のままに何かを信じ込ませようとすることが相手をどこまで極端に走らせてしまうかということです。
とても危険なことですよっていうふうに言ってて。
だからそういう家族っていうものって生まれた時からあるけれども、ものすごく他人を支配しようと思えば支配できてしまえる仕組みにもなってるよっていうことをやっぱり描いてる作品にもなってるんですよね。
そうだねー。
支配・非支配みたいな関係性、そういったものが流動的に変わっていく様っていうのをとても丁寧に描ける監督なんだなと思いますね。
そういう話をしていくとやっぱり世代も一つ違うけど、アリアスターとやってることは近いのかなっていう感覚はすごくあるよね。
12:04
ヘレディタリーとかミッドサマーとかを撮っている監督ですけども。
確かにね。
近いけど、まあでもヨルゴスランチモスの方が圧倒的に嫌な感じ度は高い。
嫌な感じ度高いですね。なんかやっぱりアリアスターとかってもうちょっと宗教感というか。
まあそれこそシステム自体だよね。
そういったところにアンチって感じがあるんだけど、ヨルゴスランチモスはこう、もっとより家族っていうものだけにピックアップして、なおかつオリジナルの世界観にそれを落とし込んでるから、より悪が強いですよね。
ロブスターカゴの中の乙女はコメディとして撮ってると思うしね。ダークコメディだと思ってると思う。
そうね。これを笑かそうとしてるよねっていうシーンがあるもんね。
そこのロアクがちょっと高いって感じだよね。
ミハエル・ハネゲとかラース・フォンドリアとかがやってることとかに近いのかなとかパッと思ったりもしてしまうんだけども。
そうですね、確かに。
てな感じで、ヨルゴスランチモスの過去作品について語っていったんですけども、次のパートで本命ロブスターについて語っていきたいと思います。
はい、というわけでロブスターについて感想を言っていきたいと思うんですけども、その前にちょっとロブスターのあらすじだけ軽く説明したいと思います。
この世界は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていたというところでございますけども、設定だけ聞くとめちゃめちゃ奇抜な世界観なんですけども。
さっきも言った通り、やっぱりこういった制度、配偶者を見つけなければ動物にさせられてしまうっていう世界観の作り方がまず僕はめちゃめちゃ丁寧だなというふうに思って。
フシブシにめっちゃリアリティがあって、動物に変えられる時に一体どういう動物になりたいですかって言って、大半の人は犬を選びますっていうの。
確かに人間と共存しやすいし、現実的に動物として生きていくなら犬かなーって思うじゃないですか。
そういうところとか、最後動物になる前に人間にはできないことを進めていますっていうところとか。
15:01
そういうフシブシに、ずっとこういう制度で持ってここはやってきたんだなっていうのがわかるというか。
世界観自体は狂ってるんだけど、でもその中にいる人たちは僕ら人間と同じで、結構恋愛あるあるみたいなものをしっかり踏襲してるんですよ、この作品って。
ただ付き合うために他人に会わせるだけの時間とかあるじゃないですか。
今回のね、ロブスターのキーとなるところなのかなというふうには思うけど。
冷徹な女っていうサイコパスみたいな女の人と付き合うために自分もサイコパスなふりをするっていうところがあって。
それがうまく成り立たなくなってしまうっていうのって恋愛でめちゃくちゃよくある話だと思うんですよ。
まあよく聞く話だよね。好きな人の好きなことを好きなふりをするみたいな話だよね。
ちょっとちっちゃくまとめてしまうと。
主人公たちがやってることってめちゃくちゃやのに、主人公の気持ちはちゃんとわかるんですよ。
なるほどね。そういうふうに見えてるんや。
だからこそ、なんか僕らの世界もそんな変わらんくないというか。
同じようにただ誰も意識しないだけで、そういう暗黙の了解みたいな恋愛のルールみたいなのってあるんじゃないってすごく僕は思ったんですよ、初めて見たときに。
だからこの物語の中ではかなりキーになってる部分があって、同じ形質を持ってる相手としか恋愛のパートナーとして配偶者として選べないっていうのがあるんですけど。
あれってそういうルールがあるっていうことなの?そういうわけでもないの?
いや、ルールがないとダメだと思いますね、基本的には。
なので、それは明言されてないんですけど、たぶんそれがめちゃくちゃ重要なポイントになってることは確かで、やっぱりそういうことなんだろうなと思うし、ラストシーンもそうですよね、結局。
やっぱり必要不可欠だったからこそっていうことだと思うんですよね。
結局冷徹な女と一緒にいたときも、嘘をつけば結局成り立たなくなるっていう風に言ってたので、それがほぼほぼ暗黙の了解であり、絶対の条件であるっていうことなんだろうなと僕は思ってるんですね。
あー、なるほどねー。
それも僕らの無意識化にある部分ではあって、誰かと共通の点が見つかったときにそれがときめきみたいになる。なんとなく恋愛で認知されている常識だと思うんですけど、
この話については、そういった共通項みたいなものが別に恋愛には直接結びつかないよねーっていう話は、前シーズンの花束みたいな恋をしたときに僕らは喋ってるんですけども。
第46回かな?花束共感自分ごとっていう回ですね。
ロブスター自体もそうなんですけど、言ったらアンチ、そういう共通項映画なわけじゃないですか。
そういったものに縛られるのってどうなんっていう話で、花束みたいな恋をしたのを最後まで見たら、要するにそういうことを肯定してる映画ではないのかなという風に思ってるんですけど。
18:13
ただ僕らの中では、そういった何か偶然の一致のように自分たちの趣味であったりとか、体質とかも少しあるのかもしれないけど、そういったものがバチッと合わさったときにときめきみたいなものを感じてしまうっていうのは少なからずあるのかなと。
で、そういったものって何なんだっていうのを当時僕この映画を見たときに思って、それってあんまり必要ないよなって思ったんですよ。
その共通項みたいなもののときめき自体が別に必要ないなって思ったってこと?
そうそう、それってなんとなくよしとはされてるけど、それだから付き合おうとか、そういったものが恋愛と結びついてるのって前提としておかしいよなっていうことに気づいたんですよね、この映画を見たときに。
うーん、なるほどねー。
そういった意味でかなり影響を受けたっていうところなんですよ。
マッチングアプリだとか、みんなSNSをやっていて、その記号が同じだっていうところから始まるみたいなことがすごく加速化しているっていうところは多分あって、
ロブスターの映画が出た2015年とかよりも、このざっくり10年でもっとその感覚っていうのは加速してると思うのね。
うーん、確かに。
いや、そもそもそうでもないなっていうことっていう前提っていう話ってことだよな。
そうですね。だから確かにマッチングアプリっていうのはそういうコミュニティが共通だったら相性がいいって出たりとかさ、
それ自体がまあそもそも、まあとっかかりにはなるけど、なんかおかしいよねっていうことで、
うーん。
そういう話が加速してきたからこそ、日本でもあなたがみたいな恋をしたっていうのが、こうよりね、ご一緒されたっていうのはあったと思うんだけど、
そういったものって、まあやっぱり僕は関係ないなと思っていたんです、ずっと。
うーん。
このロブスターを見てから4年ぐらいずっと思っていたんですけど、まあ僕今パートナーと同棲してるわけなんですけど、
その同棲しててすごく感じることがあって、こういう共通項が結構いろいろ現れになってきたんですよ、生活するうちに。
例えばなんですけど、僕もパートナーもかなり血糖値が下がりやすいんですよ。
低血糖気味になりやすくて、ちょっとこう甘いもの食べて補給して、血糖値元に戻してみたいなことをするんですけど、
これってあんまり人と重ならないと思うんですけど、たまたまうちは2人ともそういう形質を持ってたんですよ。
こういうことって、ずっとなんかトキメキとかとは関係ないとは思ってたけど、めっちゃ嫌な言い方すると、めっちゃ便利なんですよ、同じ形質を持ってるっていうことは。
21:05
例えば、片方だけが低血糖気味だとしたら、なんでそうなるん?っていうのを理解したりとか需要したりとかする労力とか時間とかっていうのが多少かかるわけじゃないですか。
なんだけど、同じ形質を持ってたら、そこが一切いらない。そのまま感覚を共有できるんですよね。
それはあんまり考えたことがなかったんですよ、僕恋愛の時点では。
ただこうやって一緒に時間を共にするっていうことになった時に、同じ共通項を持ってるっていうことはめちゃくちゃ楽なんですよ、嫌な言い方すると。
だからこれは恋愛っていうよりはより生活の部分なんですよね。
この生活っていうのって要するに、延長して伸ばしていくと、結婚とか家族みたいな話に繋がってくるわけじゃないですか。
だからこそ、このロブスターの世界観の中で、同じ形質を持っている人を恋愛させましょう、みたいなことを社会がやってるのってめっちゃグロテスクだなって改めて見直して思ったんですよ。
それって恋愛の部分じゃなくて、言ったらこの家族とか子孫繁栄的な部分やから、共通項を持っていることの強みって。
だからそこを社会が強制してるっていうのは、めっちゃグロい、この社会って思ったんですよね。
それは描いてるロブスターがグロいってこと?
ロブスターの世界観もグロいし、そういったことを今僕らが生きてる社会では強制はされてないけど、でもうっさらそういう雰囲気が実は無意識のうちにあるっていうことも含めてグロテスクだなと思うってことですね。
でも難しいよなぁ。
それが悪とは言わないんですけど。
なんかそこが無意識のうちに擦り込まれていることって、そういうものの延長、生活、結婚とかそういうものの延長としてあるのかもっていうのをうっさら想像してしまったっていうことですね。
ごめんちょっと今言ってることがよくわからなかったんだけど、そういうことがあって生活の延長っていうのがちょっと俺の中で繋がってないんだけど。
そういう子孫繁栄的なこと、恋愛というよりは結婚とかそういうものが脈々と受け継がれてきて今社会があるわけじゃないですか。
だからそういったものがベースにあるから恋愛っていうものを考えたときに、より同等の形質を持っている方が有利だよっていうのが擦り込まれてるんじゃないかっていうことです。
なるほどね。だから結局は血を続けるためにっていうところでいろいろそれに合わせて合理化してしまってるっていう合理化が気持ち悪いってことね。
全然ちょっと違うベクトルの話をしてしまって申し訳ないんだけど。1つ共通項から始まるっていうのが、きっかけだとか、ロブスターで描いてるような必須条件みたいになるっていうのは、ある1つの側面だとは思うのね。
24:17
恋愛の始まりと、そういう常時のパターンとしてあると思うんだけど。全然違うっていうことを、それこそベクトルを2人で合わせていくのか、擦り合わせていくのかっていう過程が、僕は恋愛だと思ってたのよ。
でもなんかそういう、そこじゃないよねっていう感じになってきてるってことなのかな?そこってみんなあんまり今興味がなくなってることなのかな?
いや実はそれも僕話したくて。言ったらその、全く別の境遇だった人たちが価値観を擦り合わせていったりとかして、同じ感覚を共有していくのって、ものすごく美しいものとされてるっていうことも、これはこれで、それを信じすぎるのをどうなんやろって僕は判断がつけられない。
なるほどね。
じゃあ同じケースを持ってるのってダメなの?っていう。僕はさっき言ったことをそのまま否定してることにもなるんやけど。ロブスターの作品、ロブスターの世界観の価値観を否定することって多分簡単なんですよね。それってバカバカしいじゃんってね。
コメディとして撮ってるしね。
なんだけど、でも逆に全く違うケースの人たちが擦り合わせていく、それに使われる時間とか労力って、恋愛としてはものすごく美しいし、人間関係としてもものすごく大切なことだと思うんですけど、これを生活の中でやるのってめちゃくちゃしんどいんですよ。一緒に暮らしていく中とかでやっていくのって。そこって、そこの距離感がない方が多分絶対楽なんですよ。
うーん、恋愛と生活は全然別ってこと?
そういうことなんですよ、多分。
え?そうなんかな?
いやー別。恋愛の時にいいなって思うことと、それをいざ生活に落とし込んだ時に嫌な言い方をすると有利だ、便利だって思うところは違ったりするのかなというふうに思いますね。
うーん、じゃあ生活においては、そういった機能的なこと、生活の中に恋愛が入り込んでくるっていうことはないってこと?
もちろんそれは混在しているとは思うんですけど、うーん、なんて言ったらいいんだろうな。あるんですけど、バッサリ言っちゃうと、ときめきがなくても生活とかって続けられるんですよね。恋がなくても多分。
27:04
でもなんかその逆はあんまりないなというか、好きでも生活とかが壊滅的に合わなければ一緒にいるのって難しくなっちゃったりする。
だからこそ、最終的に恋愛の終着点が生活みたいになっちゃってるじゃないですか、今って。社会として。生活というか結婚とか。
まあね、一緒に暮らすとか、そういう方向に。社会の通年的な感じとしてはあるかな。
なっちゃってて。だからこそ、そういうものを優先したときに恋愛とかがこう、恋愛とかではうまくいってた部分がつっかかってきたりとかして、最終的に同じケースを持っていることがなんか良しとされちゃう。便利になっちゃうっていうのは、それはそれでどうなんだっていうことですよね。
なるほどな。なんかあんま分からんな。何なんだろうな。
テラダの今考えていることとしては、生活っていうことっていうところに問題意識があるっていう感じやな、聞いてて。恋愛っていう関係からそれこそ一緒に暮らしていくとか。
それが恋愛のパートナーから、恋愛のパートナーでもあり生活のパートナーでもあるっていうところに変化するんだろうね。きっと話を聞いてる分だと。そういう時に、多分ステージが変わって、全然違う価値観で考えなあかんところがあるんちゃうかって。まあこれは当たり前のことなんだけど、っていう感じってことやな。
そうそう。そうなった時に、同じ形質であることっていうこのロブスターの中にあった価値観と同じようなことが急にガンと出てきて、びっくりしたっていうことですね。
クラウドとか。
なるほど。
それまでは一切気づいてなかったから、ロブスターの世界観にあるそういった価値観を、意味わからんな、なんでそんなことに縛られちゃうんやろう、僕らはっていうふうに、すごく小馬鹿にするように見てたことが、すごく便利なこととして今出てきちゃったよっていう。
なるほどなるほど。
心のすなじ。
最後、彼は視力を失ったパートナーに対して、自分の目をくり抜くのか、視力を失わせるのかっていう行動に出るわけだけども。
そこって僕も、例えば谷崎純一郎とか、瞬金賞とか、フェティッシュ的な恋愛的な終着点みたいな感じの到達点みたいな感じで、そこのカタルシスみたいなものを楽しんでたというかね、そういうふうに受け取っていたけども。
30:00
実際に生活を始めてみた寺だからすると、別にそういう盛り上がりはもしかしたら、まあ、目をくり抜くっていう声はちょっと過剰だけども、何かそこに全然違う視点みたいなのがあるってことやな。
あー、なるほどね。パートナーとどれだけ同じ場所に行けるのかみたいな、そういう愛の到達点的なものってことか。
それは逆に全然僕抜き落ちてたな、その視点。
彼は必須条件だと思ってやってるんだけどね、さっき話したような。でもなんか、面玉最後くり抜くものって結構あるんよね。映画とか文学が得意にしてる。それこそさっき言ってた谷崎とかもあるし。
北野たけしのドールズって映画でも、アイドルが超好きな男が最後ね、そういうふうな行動に出るっていうのがあったりとか。岡崎強吾のヘルタースケルターも最後面玉取る。多分なんか個展があってそれをやるんだろうけど、それ全部そういうフィニッシュ。
愛情とか、なんかの暴発の到達点としてバッとさ、自分は真っ暗になるけど、そこで到達できる何かみたいなものだと思ってたけど、生活は続いていくし、逆に言ったら真っ暗になった方が見えやすいものもある、やりやすいこともあるっていう。
とんでもない続編みたいなのを見てるってことだよな、寺田は。
そうか、そういう見方があるんか。やとしたら最後、結局目玉を潰したかどうかわからないまま終わるじゃないですか。そこは語られないっていうのは。
そこまでの覚悟っていうのなのかどうかっていうことだよね。
そこはぼかしてるってことか。
決めきれなかった、逃げて逃げてで決めきれなかった人が最後決めれるのかっていう点でも見れるよね。
そうですね。ちょっと話に戻りますけども、決めきれないっていうところも含めて、主人公ってロブスターになりたいってわけじゃないですか。動物に変えられたら。
ロブスターってすごい超寿命で、脱皮に成功すれば理論上死なないらしいんですよ。で、生殖能力もあるってことでロブスターを選んでて、
これって45日間で配偶者を見つけなければいけないっていうのと全く真逆なわけじゃないですか。
だからすごく現代的って言い方もダサいか、すごく今っぽいなって僕は思うんですよ。好きなタイミングで恋愛ができる。
なんかそれは…ちょっとよくわからないな。今っぽい?
いや、何歳までに結婚してじゃなくて、より今浸透してきてる考え方だと思うんですよ。好きな何歳でも恋愛できる。
33:01
何歳までに結婚しないとおかしいとかさ、そういう話から遠い場所にある価値観だと思うんですね。
だからそういった意味でも、この45日以内に自分の配偶者を見つけなければいけないっていうのって、何歳までに結婚して家族を作らないといけないっていう今の社会と。
それはそうだね。
それがそのまま使われてると思うんですけど、イメージとして。
そことそれに逆行した考えを持ってるっていう意味でも、すごく今見る方がしっくりくるのかなと僕は思ってるんですよね。
そこまで考えてるのかな?
ロブスターを選ぶ長寿命っていうのは、絶対この45日に対するアンチにはなってると思いますよ。
それはそうなんだけど。
より主人公側と同じような考え方に近づいていってるのかなと思ってるっていう話ですね。
近づいていってるっていうのは?
だから僕らの考え方自体、いつまでに家族を作らないといけないっていう考え方から今、徐々に離れつつあるわけで。
分かった。多分逸脱したいと思ってるわけじゃないと思ってたわ、俺は。
ロブスターになりたいっていうのが。長いことチャンスがあるから、まだまだいけるだけ生きたいっていうふうに捉えてた。
だからそこが、自由にいつでも恋愛できるっていうよりは、まあ、生殖能力もずっとあって、長いこと生きられるから、いくらでもいけるぞっていうさ。
どっちかっていうとそういう恋愛が根底に、始祖水にゴンゴンにある上でのそういうチョイスって俺は多分取ってたから。
なるほどね。
多分そこの解釈の違いだね。
あー、そういうことか。
だから僕はそういう価値観が根本にあるからロブスターを選んでいて、だからこそこの制度の中ではものすごく生きづらい人間なんだろうなと思ってたんですよ。
でもそんな意思のある奴には見えへんかなぁ。
どうなんやろうな、それは。
まあちょっとそこは何とも言えないですね。
うーん、まあでもそういう、なんかその意思があってこいつはその社会に対する反抗を貫いてるって別に言いたいわけじゃないんですよ。
なんかその社会と逆行した価値観を持ってるからこそただ生きづらいだろうなっていうレベルの話であって。
でそれが今その僕らが生きてるその社会と、まあそういったいつまでにパートナーを見つけて結婚してみたいなのが理想とされてる社会を全く望んでない人からしたら生きづらいっていう構図と同じだなっていうことが言いたいんですよ。
うーん、うん、なるほどね。
多分ね、人によってこれ解釈めっちゃあるわっていうことを今話しててめちゃくちゃ気づかされた。
僕はこれってこうだよねってずっと思ってたけど、シャークさんと話したことによって全然違うかもって今ちょっと思い始めてるわ。
36:08
うーん、そうね。なんか俺はもうめちゃめちゃロアクだと思ってるから、多分そこのリアリティーラインじゃないけど、距離感が全然違うと思う。僕と寺田がこの映画を見てる。
あー。
うーん、もっと多分僕は偶話的に見てるから、多分そこを広井としは読み込んでそういうメッセージがあるっていうのは多分もちろんだし、恋愛に見れるっていうこともあるけども、多分その距離感が違うんだろうね。
俺はちょっとやっぱり自分事と思えないぐらいグロテスクだからと思ってるから、きついっていうのが先に聞きすぎてて、多分そこまで直視しようっていうとこまで持っていかれへんのよね。
なるほどね。だから僕はすごくこう、今の社会と全然隣り合わせ、隣り合わせっていうほどではないかもしれないけど、すごくその主人公とか行われてる感情に対してはリアリティーがあるなっていうふうに感じてたけども、やっぱ絵の力が強いし展開とかも言ってしまえばかなりグロテスクなシーンが多いし、
そういったところによって、見る人によってはもう距離感がそこでスンと置かれてしまう作品であることは確かだと思いますね。
そう、だからリアリティーっていうのも俺も全然わからへんなって思ってた。リアルって全然思ったことなんかなかったから、さっき話してくれたところとかも。
あ、そう。怒ってることはリアルじゃないですよ、当然。感情とかがすごいリアルやなーって思ったんやけどな。そうかと。
なるほどな。そこも結構グーア的に見てるっていうところなのかな。あと恋愛のところで言うと、さっきから言ったけど、これって言ったら恋愛の始まりのところで難しいっていう話やんか。
パートナーがいなくて、それの共通項をどうのこうの、どうのこうのっていう話やんか。俺の恋愛の興味って、始まってからの時刻に興味があるから。
これでも描かれてはいるんだけども、ああいう検体風ものみたいな映画ってあるやんか。ブルーバレンタインだとか、ビファーシリーズでもいいけど。
だんだんのすれ違いの大きな溝みたいなところに興味があるから、ちょっと照らされてるところが違うんだよね。俺の恋愛と思ってるコアのところには、ちょっと光の当たり方が違うっていうか。
だから多分リアリティとして捉えてないんだろうなっていうところなんだろうな。
そうだね。全然序盤のところでウニャウニャしてるから、その以降が一切ないからってことね。
ラストシーンの続きの方がシンドやろうなと思うやんか。そこを予感させるから。映画としてはすげえんだけど、自分自身の恋愛として持ってくるところって、どんどん離れていっていく過程みたいなところが恋愛だと多分僕は思ってるんだよね。
39:15
分かり合えないっていうことが恋愛だと思ってるから。
それはそうですね。それはちょっとこの作品とは全然違うかな確かに。これってそもそも序盤の恋愛に入る時の僕らに植え付けられた価値観とかって果たしてどこまで正しいのっていう話やから、入口の話を一番メインでしてるから、それ以降が好きな人からしたら、ちょっとあまりにもかけ離れてるかもしれないですね。
うーん、まあそうやな。そういうとこなんかなっていう。多分その距離の違いっていうのはっていうとこなんかなって話だから、思ってるかな。
僕もシャークさんの言うような話、付き合ってから恋愛の育成の中ですれ違っていくのをどうやって埋めるのか、でもそれが難しかったりとかそういう話ってめちゃめちゃ好きなんですけど、なんかすいませんちょっと今回とはあまりに間違ったんで。
ちょっと持ってくる。
でもなんかそこの、なんか気になるのはそこの生活と恋愛が全然違うって寺田が言ってるのが、多分そことは結構リンクするところが多分あって。
そうですね。
その辺は何が、全然ピンときてないよね、そこが。
そうですね。生活してて、このロブスターのことなんかすっかり忘れてたときに、急にそのロブスターの中で提示された価値観が急に生活の中にドンと出てきたから。
入り口であの価値観が大切にされてたのってもしかしてここのこと?って思ったっていうことなんですよ。
そこって映画の中じゃなくて僕の経験から保管されてるところやから、ちょっと今話して確かにどこまで伝わるのかっていうのは難しかったかもしれないですね。
すごく今僕の経験でちょっと独りよかり的に語っちゃってるところがあるかもしれない、それは。
まあまあでもそういうもんだからね、何でも語ることっていうのは。
そこはちょっと今後考えてみたいところというか、恋愛から生活へっていうところが空なんだっていう感じというか。
そうねー、いやー。
そこが別にモードじゃないと思ってたから、その辺はちょっと自分なりに考えてみなあかんなーとは思ったね。
そうですね。いやー恋愛の話を、恋愛の話なんかなこれは。
わからへん。
頑張って久々にしてしまったけども、やっぱりちょっとこの恋愛って個人の思い入れとかも入ってくるから、なかなかね。
42:01
恋愛観っていうぐらいだからね、それぞれ観点があるっていう言葉がすごく使われてるぐらいですから。
まあいろんな。
まあそろそろ恋愛観の話をしたのかもしれへんな。
そうね、なるほど。
という、ちょっとねこの何十分間かであったように、なかなかこの見る人によって受け取るメッセージも変わってくるのかなというような作品ですので、
もし興味ある方はですね、ぜひログイスター一回見てみてください。
そしてちょっと誰かと語ってみると面白いかもしれません。
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ということで、今回も聞いていただきましてありがとうございました。
ありがとうございました。
それでは皆様、ごきげんよう。
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