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2025-04-07 31:26

#90【バリ山行/松永K三蔵】第171回芥川賞受賞 作品を語るよ!

第171回芥川賞受賞作品「バリ山行」を語るよ/バリ山行ってなんだ/バリはバリエーションルートのバリ/一般登山道を行かない登山をバリ山行という/主人公は先行き不透明な会社で働く30代男性/会社で近寄り難い先輩が「バリ山行」な人だった/仕事の日々と登山の日々を行ったり来たりしながら心の在りようを描く面白さ/命懸けの山登りと明日の生活のための仕事「真に生きている」ってどっちだろう



▼今日紹介した作品

バリ山行(松永K三蔵)


▼キサクロではおたよりを大募集中!あなたの好きな本教えてね

⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdrptC5Xic_oDRtY_J2IUyu_DHO8kV0L1o6XmTf6atulxdorA/viewform?usp=sf_link⁠⁠⁠⁠

サマリー

今回のエピソードでは、松永K三蔵氏の作品『バリ山行』について語られています。この作品の主人公は、会社での人間関係と山登りを通じて成長する畑さんであり、登山を絡めた社内政治の葛藤も描かれています。また、松永慶三蔵の芥川賞受賞作品『バリサンコー』を通して、主人公の仕事と山登りの対比が示され、登山の危険さや人間の生き方に関する葛藤が浮き彫りにされています。現実逃避の危険性や日常生活とのバランスも重要なテーマです。このエピソードでは、芥川賞受賞作品についての議論が行われ、登山と仕事の価値観の関連性が探求されています。特に、登山が仕事にどのように影響を与えるのか、また登山の仕方が仕事にどのように反映されるのかについて深く掘り下げています。

喫茶クロスロードでの紹介
スピーカー 1
カランコローン、いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
この音声配信は、本好きな人たちがフラッと集まり、みんなが友達になれる喫茶店をコンセプトに、店員たちが気ままにゆるーく話してまいります。
4月7日、第90回の配信です。本日は、おはぎさんとそらやんの2名でお送りしていきまーす。
スピーカー 2
お願いします。そらやんと2人で配信っていうのも久々な気がする。
そうだね。楽しんでいきましょう。いきましょう。
スピーカー 1
今日はですね、第171回芥川賞を受賞した松永K三蔵さんの【バリ山行】という作品が面白かったので、その話をしたいなというふうに思っておりますと。
まずそもそも、【バリ山行】が多分聞いている人に漢字変換されていない懸念があると思うので、【バリ山行】は変換すると、【バリ】がカタカナで、【山行】は山を行くと書きます。
山岳小説ですね。つまり山登小説です。
ちなみに、おはぎさんは山登りはされますか?
スピーカー 2
山登りはしません。
なかなかね。
なかなかしないけど、
なかなかね。
でもすっごく昔に、たかおさんにだけ登ったことある。
スピーカー 1
どうだった?
スピーカー 2
楽しかった記憶がある。でもすごい小さい時だったから、家族で一生懸命登って、山登りをしたという経験を積んで、帰って、入り寝てみたいな。
スピーカー 1
なるほどね。
なかなかね。結構準備とかも大変だしね。
靴とかさ、服とかさ。
そう、数ある趣味の中でも山登りってハードルが高い気がして、なかなか縁もないかなって、少ないなって思う。
関東平野に暮らせると山ないですからね。
スピーカー 2
ない。
スピーカー 1
私もね、山登りはしません、あんまり。
だからこそなのかもだけど、いわゆる冒険物、冒険小説、山岳小説、旅行記的なものは結構好きで、
経験したことない経験が、疑似体験できるような気がしてて、
このバリ山口ね、漢字変換はできたと思うんですけど、
なんだよって話だと思うんだけど、なんだと思います?バリ山口って。カタカナのバリで山を行く。
スピーカー 2
五感だけで想像すると、バリがとってもすごく、バリバリ行くぞみたいな感じで、とってもすごくの意味合いで、
山口は山を行くって書くから、そのままの意味で山を歩く。
で、バリと山口を書き合わせて、山って最高みたいな、バリバリ山口みたいな感じで、略してバリ山口なのかなってイメージしました。
スピーカー 1
めっちゃいいね。めっちゃいい。それいいね。
あ、ほんと?やった。
私は地名のバリだと思って、バリの山に登るのかなとか勝手に思ってて、
まあ、そのぐらい皆さんはね、たぶん想像つかないと思うんですけど、このバリはバリエーションルートの略称で、
スピーカー 2
あ、バリエーションなんだ。
畑さんの会社と人間関係
スピーカー 1
で、山を行くの参考なんだけど、そのバリエーションルートって何っていう話なんだけど、
これ山登りの用語で、一般の登山道ではないルートのことを言う。
高尾山とか登るときに、ここ高尾山の登山道みたいのあるじゃん。
ではない道で、高尾山を登るっていう。
山最高の人しかやらないよね。バリバリ。
スピーカー 2
バリバリ。
スピーカー 1
ある意味合ってるのかもしれない、おはぎさん。
おー。
解釈もバリバリの、バリバリのバリ。
スピーカー 2
でも、一般の登山道を使わないルートで山登りって、結構クロート向けの話っぽいよね。
スピーカー 1
いや、そうなんですよ。
スピーカー 2
そう、一気にプロっぽい雰囲気出てきたなーって思って。
スピーカー 1
ねーっていう、ちょっと冒険味が増してきたところで、
スピーカー 2
この話がね、どんなお話か、ちょっと紹介していきたいんですけど、
スピーカー 1
山登りの話ではあるんだけど、
主人公は畑さんっていう30代の男性で、
このお話の主の物体は、この畑さんが勤めている会社の話なのね。
山登りの話なんだけど、会社が物体になりますと。
で、この畑さんはどういう仕事をしてるかっていうと、
建物の外装の修理を手掛ける会社に勤めていて、
ニッタテックっていう名前で、
で、外装の修理って何してるかっていうと、
倉庫の雨漏りとか、ビルの大規模修繕とか、
そういうのをやってる会社なんだよね。
で、この会社は山登り好きな人が結構何人かいて、
で、ある日みんなで、まあ登山部じゃないけど、
山登ろうよみたいな。
で、畑さんはこのニッタテックに転職してきて、
2年ぐらいなんだけど、
同僚との関わりみたいなことあんまり積極的にしてなくて、
一緒に飲みに行くとか、
だから、まあそんなに打ち解けてないんだよね。
でも、畑さん自体は山登りは自分の昔からの趣味だったのもあって、
参加するってなって、
で、この山登りをきっかけに、会社の人たちとちょっと徐々に打ち解けていくというか、
交流を始めていくっていうところからお話が始まっていくんですね。
で、会社の人と山登りするってどうなるのかなって思ったけど、
案外楽しくて、畑さん。
そもそもまず山登り好きだから楽しいし、
山登りの中の自然の美しさとか、
描写されてて、やっぱいいなとか、
で、あと、道中で食べるカップ麺ってなんて美味しいんだろうとか、
スピーカー 2
山登ってるときに飲むコーヒーってなんてうまいんだろうとか、
スピーカー 1
そうそう、とか、
だからさ、道のりも結構長いからさ、
一緒にこう同僚とさ、さあいもない話もするし、
仕事の話もするし、プライベートの話もするし、みたいな感じのことが描かれてて、
スピーカー 2
序盤から、人と山登りするっていいよね、みたいな気持ちにさせてくれるんだけど、
スピーカー 1
そういう始まりから始まる。
スピーカー 2
景色だったり食べ物だったりを、同じ時間、同じ場所で体験すると距離がぐっと縮まるから、めちゃめちゃいい。
スピーカー 1
そうだね。
スピーカー 2
外で食べるカップ麺美味しいのもすごいわかると思って、
スピーカー 1
なんでだろうね。
登山じゃないけどさ、学生時代の帰り道とか、パンとかカップ麺とか、買い食いするとめっちゃ美味しいからさ、
登山の合間のご飯はもうそれ以上めちゃめちゃ染みるんだろうな、いいなって。
なんか魔法かかってるよね。
そうそうそう。
そんな感じでね、山登りを通じて、なかなか打ち解けられなかった羽田さんが、同僚とも打ち解けられて、
スピーカー 2
まあいい感じみたいになってる裏で、このニッタテックという会社が、なんかね、不穏なんだよ。
スピーカー 1
不穏な空気が漂っていて。
怪しい。
怪しい。で、どうやら、マネージャーっていうか経営層にあたる面々の中で、会社の事業の方向性が分かれているようだ。
スピーカー 2
派閥ができているようだと。
スピーカー 1
でも具体的には、すっごい端的に言うと、昔から付き合いのある小さなお客さんからの小さな商売というか、
1個1個単価は低いけど、お客さんいっぱいみたいな商売を大事にしつつ、このままやっていくかっていう派と、やっぱ大きな仕事をくれる大きい会社ってあるよね。
で、そのいう大きな仕事をくれる大きな会社の、まあ言うて狭い場下請けみたいなやり方をやっていく方が、会社にとっていいんじゃない?みたいな。
の2つで分かれている。
まあ短期的な効率を考えたら、大きな仕事をくれる会社の仕事に、会社のリソースを割いていく方が、まあ良さそうにも思うけど、
でもそうするとさ、その大きな会社がさ、もうニッタテック使わんわ、みたいになったらさ、すごい突然こうね、案件がなくなって、どうしようみたいになる。
かといってその小さなお客さんからの小さな商売をやっていくのも、それはそれで手間もかかるし、
スピーカー 2
そうだね、細々とした感じになっちゃう。
スピーカー 1
っていうのでまあ2つに分かれてて、で旗も周囲も、いやどうするどうするみたいな、どっちにつくみたいな、お前どっち派?みたいな感じの話をしてたりする。
登山の魅力とメガさんの存在
スピーカー 1
でこれさ、すげーリアルだなって思って。
スピーカー 2
めちゃめちゃリアル。
スピーカー 1
なんかどっちについていくのが社内政治的に正解かな?みたいなことを考える感情に共感する人は多そうな気がするんだけど、
どうですか?
スピーカー 2
いや、会社これからどうなるか考えるのってすごいリアルだなって思ってて、
主人公の畑さん、もう転職して2年とはいえもう30代で仕事経験も積んだ、もう中堅ポジションなわけだし、
新人だったらまあ、今後20代だったらもっと楽に考えられるのかなとも思うけど、30代で転職して2年で、さあどうなるってなったら、楽観的にも考えられないし難しいなーって思った。
スピーカー 1
ねー、しかもその前の会社を畑さんはリストラされてきてる。
で、その時に、そう、自分の反省としては自分は社内政治で上手く立ち回れなかったっていう反省があっているんだよね。
だからその本当にすごい悩むし、だからすごい気にしてるの、この社内政治みたいな。
スピーカー 2
いや、そりゃそうだわ。
スピーカー 1
そりゃそうだ、そりゃそうだ、そりゃそうだ。
で、でもね、一人、割とこう、我関せずみたいな社員さんが一人いるの。
スピーカー 2
はいはいはい。
スピーカー 1
メガさんっていう人で、この人は結構長くこのニッタテックには勤めていて、畑さんよりちょっと年上。
でもなんかね、いわゆる職人畑タイプの人で、仕事はすごい真面目、真面目でしっかりやってくれるんだけど、
周りの人から、メガさんってちょっとやりづらいとかありますよね、みたいな。
ちょっと難しいとかありますよね、みたいな。
うんうん。
っていう感じで、距離を置かれてるって言い方はおかしいけど、なんかちょっと気安く話しかけてはいけない人みたいな扱いの人。
でも技術とか知識は確かで、現場で何か困ったらメガさんに頼むみたいな。
で、この人も実は山登りをしてるっていうことを畑さんはひょんなことから知ることになるんです。
でもその社内の山登りとかには参加したりしない。
あーそうなんだ。
なんでかっていうと、このメガさんこそがこのタイトルのバリサンコ、いわゆる一般登山道ではない道でひたすら山登りをしている人だから、
こう一般道を登る社内の登山部とは界隈が違うみたいな感じで参加してないのね。
そう、ちょっと山登りの話に戻ってまいりました。
スピーカー 2
バリサンコの人は主人公じゃなくてメガさんなんだね。
スピーカー 1
メガさんなんです、そう。
主人公は正規ルートを登っている。
スピーカー 2
あー、なるほどね。メガさんと畑さんがどう絡むのか楽しみだね。めちゃめちゃ。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
このバリサンコっていうその一般登山道じゃない道を行くっていう登山方法って、どうやってやってるんだっていう話なんだけど、
登山の危険性
スピーカー 1
これって地形地図とかコンパスとかを使って自分でルート開拓をしていかなきゃいけないわけ。
で、事前に準備もするし、実際山に入ってルート作るみたいな。
だからそんなに高い山でやるわけではないんだけど、これってすごい危険な行為なんだよね。
遭難のリスクめちゃくちゃ高いから。
スピーカー 2
まあそうだよね。
スピーカー 1
だからメガさんがバリの人だっていうことをその社内の登山部のチームの人も知るんだけど、
もうその人たちからしたら、なんて危険な行為をしてるんだっていう感じで、あんまりよく思ってないんだよね。
危ないから、本当に危ないから。
スピーカー 2
そうだよね、そりゃそうだよね。
スピーカー 1
でも畑さんは、そういうバリをしてるっていうメガさんのこととか、職人肌的な仕事の姿勢とかも含めて、メガさんにすごい興味を持っていくんだよね。
だからどんな風にバリしてるんだろう、メガさんみたいな。
どんどん気になってくるみたいな。
スピーカー 2
いいね、面白くなってきたね。
スピーカー 1
さっきのその社内政治の話に戻るんだけど、昔からの小さいお客さんとの商売を続けていく派だった人が会社を辞めることになって、
それでちょっと風向きが大手下請け派に変わっていくのね。
スピーカー 2
この辞める、辞めた偉い人っていうのが、実はメガさんがとても慕っていた上司だったりもするんだけど、
スピーカー 1
みたいな感じで、その山登りと仕事の日々が入れ替わり立ち替わりしていくのが、この小説の面白いところの一つで、
この松永慶三蔵さんが芥川賞を受賞した時、いくつかインタビューを受けていて、
ある記事の中で、著者本人がこの小説はお仕事山岳小説ですっていうふうに表現をしていて、
こういう大自然冒険する小説とか旅行記って、基本的に大自然のこと、大自然での日々のことだけが描写されていることが多いっていうことを、
著者はすごい感じてて、でも現代に生きる人って、その山登りだけじゃなくて、仕事とか日々の生活もあるよねみたいな。
スピーカー 2
当たり前だけど。それも含めて山登りと人のありようを描きたいっていうふうに思って、このバリサンコーっていう作品が生まれたっていう。
スピーカー 1
私は、「あ、なるほど!」って思った、その時。
スピーカー 2
確かに山とか海とかの自然テーマ物って、そこばっかりフォーカス当てられちゃう印象はあるなぁって思う。確かに。
大自然テーマ作品って当たり前なんだけど、大自然テーマって自然の美しさとか雄大さとか母なる大地みたいな描写が多いから、
主人公の一般的な日常を感じ取れるほどの描写が少ない気がするから、このバリサンコーは山登りのシーンと日々の仕事のシーンが交互に出てくるから、そこは結構主人公とか登場人物に気持ちが入っていくのはわかるなって思う。
仕事の葛藤
スピーカー 1
その面白さがある。もちろん大自然だけの作品の面白さもあるんだけど、それとはまた別の、山を離れた登場人物たちの気持ちとか人生観とかも書かれてるから、こういう背景の下から山に登った時にこういうことを考えるんだなとか、そういう考え方ができる。
そういう山岳小説で、また仕事の話に戻るんだけど、その社内派閥が一旦一通り落ち着いて、大手下請け仕事のメインになって、会社の業績もいい感じになるのかなって思ったら、ならないんですよ。
スピーカー 2
あ、ならないんだ。
スピーカー 1
ならない。もうね、やばい。もう会社はずっと不穏。大丈夫かっていうぐらい不穏。
スピーカー 2
えー。
スピーカー 1
やばい、やばいみたいな。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
で、やばいじゃん。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
で、畑さん真面目だから、一生懸命働いて、もう何とかしよう何とかしようみたいな。奮闘するんだよね。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
片谷めがさんはっていうと、割とね、変わらない。
いつもと同じ感じ。
うーん。
ちょっと主人公はそれに対して、ちょっとみたいな、ちょっとやきもきもするんだけど、
で、席が近くて、めがさんのスケジュール帳が机の上にバッって広がってて、平日は仕事のアップがね、いっぱい書いてあって、まあなんやかんや忙しそうだなみたいになるんだけど、そのお休みの日の欄は、山って漢字一文字だけ書いてある。
ね、すげーかっこいいみたいな。畑さんは思うみたいな。
うーん。
かっこいいよね。山。
スピーカー 2
かっこよすぎでしょ。一言だけスケジュール帳に山って書いてあって。
そう、漢字一文字で山って書いてある。
スピーカー 1
いや、かっこいい。まあ、やばい。
しびれるよね。
スピーカー 2
そう、しびれる。めがさんの普段の立ち振る舞いとか、仕事の姿勢もあいまって、できる男って感じもするし、一言だけ山って書いてある、その静かな、そして熱い主張がもうかっこいいよね。
スピーカー 1
で、畑さんはすごいもうめがさんへの気持ち高まってるから、めがさんにお願いして、このね、バリについていきたいと。俺もバリやらせてくれと。
で、めがさんも最初危ないから、いやダメダメダメみたいな感じなんだけど、まあいいかみたいな感じで、一緒に行くことになる。
一緒に行くんだけど、で、まあその今までこう説明してきた通り、普通に登山って大変じゃん、正規ルートでも。
スピーカー 2
うん、大変。
スピーカー 1
ねえ、このバリは、まあもう本当に大変って、大変な道のりっていうか、道のりっていうか、道はないのよ。
やぶみたいなところをこう、かき分けて切って進むみたいな、どんどん。
で、まあこのバリの描写あるんですけど、この素晴らしい描写は、作品でぜひ体験してほしいなって、普通に読んでて、もうめっちゃ怖いなって思った。
スピーカー 2
ああ、へえ。
スピーカー 1
命がけ。
うん。
一般登山道から少し離れただけでも、本当に人いなくなるから、すごい静かで、その静かな描写もあるんだけど、もうね、孤独感もすごいみたいな。
ああ。
だから絶対に日々の生活では味わえない静けさを味わってるんだよね、このバリで。
で、めがさんはそれをすごい貴重だ、いいなって思ってて、めがさんはなんかこれを求めて、それを求めてバリってるっていう風に、自分でも言うっていうか。
スピーカー 2
これは完璧私の想像の範囲なんだけど、めがさん、バリの時間を使って、自分自身と対面する時間を作ってるのかなとか想像したりとかして。
スピーカー 1
ねえ、私もそう思った。
スピーカー 2
そうそう、なんか山登りしてるけど、気持ちは山登りとまた別のところにもあって、いろいろ感じてるのかなとか思うし、あと羽田さんも結構ガッツあるなと思ってて。
ガッツあるよね。
ある程度山登りの経験があるから、人の後ろについて同行するみたいなのって結構大変だと思うのよ。
普段の作られた登山道ですらその人の後ろを追っていくの大変なのに、道なき道を開拓してその人の後ろをついていくっていうのも結構エネルギーがいることだと思うから、
羽田さんの意気込みもめちゃめちゃ感じるなって思った。
スピーカー 1
ねえ、でも意気込みは感じるんだけど、でも羽田さんも結構あまりにもバリヤバかったんで。
バリがバリヤバかった。
バリヤバかったんで、めがさんマジですか?みたいな心境になっちゃうんだよね。
あまりにも違いすぎて、なんかすごいなと思いつつ。
で、でももうバリ中のめがさんはもう水を得た魚のようにテンションが上がって、もういや楽しいね最高だねみたいな感じで、片山をテンションダダ下がりの旗さんみたいに。
で、これでその生き生きしてるめがさんがね、ふとこのバリでね、自分は生を生きる、生きるっていう、生を感じる、生きてるっていう感覚を取り戻せるみたいなことを言うんだけど、
なんとね、主人公の羽田さんはその言葉に対してものすごい反感を覚えちゃうんだよね。
で、そのここまでの話を整理すると、そのめがさんへの憧れはありつつも、会社はもうめっちゃ不穏で、なんとかしなきゃいけないっていうすごいプレッシャーの中で生きてて、
で、でもめがさんはそんなになんか会社の危機はあんま気にしてないみたいな感じで働いてるから、ちょっとフラストレーションもありつつみたいな、めがさんに対して。
っていういろんな気持ちがないまぜになってて、でここでそのめがさんが生きてるっていう感覚を自分はバリで取り戻してるんだよみたいに言って、
そしたらもう、いやめがさんはこのバリで現実逃避してるだけですよみたいな。会社が大変なのにめがさん何もしてないじゃないですかみたいな。
生きる意味に向き合う
スピーカー 1
それって生きてるって言えますか?みたいな。ちゃんと生きてないじゃないですか?みたいなことを、はたさんはね、すごいそこでめがさんにブワーってぶちまける。
で私さ、私この2人のやりとり、結構ね、ブワーって思ったんだよね。なんか、命がけの山登りと、
明日の生活のための仕事の、生きていると真に向き合っているのってどっち?っていう問いじゃん。
私はね、すごい、あぁーって思った。
スピーカー 2
すごい。どっちだって。
なんか、そら今熱量のある話で、なんかちょっと涙出てきちゃった。
スピーカー 1
え、泣かないで。
泣かないで、落ち着いて。お茶飲んで。
スピーカー 2
お茶飲む、お茶飲む。
スピーカー 1
お茶飲んで。
スピーカー 2
熱いなーと思って。
でも話聞いた感じ、どっちも生きてるに向き合ってると思ってて、
めがさんはおそらく野生的な動物の本能的なもので生きてるなって感じてて、
はたさんは社会的な感じとか人間の理性的なもので生きてるなってそれぞれ感じてると、
今話聞いてて私は思ってて、特にそのはたさんは、その自分が前の会社リストラされちゃってて、
で、転職して2年経っても年齢も30代でっていう背景がわかるけど、
めがさんはそこのところは今この子ではちょっと私はわかりかねてるところもあるから、
スピーカー 1
めがさんのその背景がわかるとその生きているの意味というか真意というかがわかってくるのかなとも思うし、
スピーカー 2
でも最終的には稼げないと生活も山登りもできないから、
この状況ではたさんがわーって言っちゃう気持ちはすごーくわかる。
スピーカー 1
わかるよね。
この作品ははたさん、主人公のはたさんの視点で書かれているから、
めがさんの情報ってはたさんの視点から得られる断片的なものだけが読者に与えられるので、
めがさんが実際どういう背景で何を思って仕事をしていたのかっていうことは、
あの想像することしかできないぐらいなんだよね。
もしかしたらこんなこと考えてたんじゃないかなとか、
その会社の危機的な時にこういう立ち回りをしていたのではなかろうか、
みたいな情報までは来るんだけど、真意はわからない。
そうなんだ。
登山と人生観
スピーカー 1
でもなんかその、唯一このめがさんはこのバリで生きているっていうことを感じているっていうことはめがさんの口から確かに語られる。
で、そういう人生観の人なんだっていう。
なるほどな。
で、なんかやっぱだから、その2人ってある意味対照的な人生観っていうことがここでちょっとわかる。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 1
だから思うと、めがさんがこうバリを日々する中で、
あ、そういうなんか探索的な活動の仕方、山登りの活動の仕方が、
だからそういうふうな仕事のやり方するんですねってこうわかる。
腑に落ちるシーンとかもあったりとか、
逆にそのやっぱ、正規ルートを大事にしているはたさんが、社内の政治でどういうふうに立ち回るかっていうところでも、
なんかあ、確かにそういうこうね、理性的な山登りの仕方をするから、そういう感じで社内政治もそういう形で立ち回るよね、みたいなのもわかって、
山登りへの心持ちと仕事へのあり方がこう、リンクしてるなっていうのが、
このお仕事山岳小説の醍醐味だったんだなっていうのに、
スピーカー 2
そういうものが多分作者は書きたかったんだろうなっていうのを、私はこのシーンで感じた。
なるほどなぁ。
スピーカー 1
まあ趣味がさ、こう仕事の価値観に影響を与えるみたいな点で、私はなんかわかるなーって、
何かしら仕事以外の経験が仕事に生きるとか、仕事の経験が他の日々の生活に生きるとかっていうのが、
まあね同じ人間がどっちもやってるから、そういうことは多分にあるんじゃないかなっていうふうに思うし、
スピーカー 2
趣味が仕事のあり方だったり仕事の価値観に影響を与えてるっていうのは、めちゃめちゃそうだと思う。
一方、自分自身に置き換えた時に、ソラヤンみたいにめちゃめちゃわかるって共感しきれてない自分もいて、
まだ自分の中で趣味と仕事の相関性というか影響力について、ぼんやりとしか実感できてないところがあるから、
バリサンコを読んで、自分が気づけてないところにも気づいてみたいなって、今話し聞いてて思ったかな。
スピーカー 1
いやあんま考えないよね。
スピーカー 2
考えない、そう。
なかなか考えないもんね。
スピーカー 1
あんまり考えないかもしれない。
考えないよね。
でもなんか、それは多分にあるんだなっていうのを、この小説を読んですごい感じた。
それぞれの山登りの仕方が、それぞれの仕事にあまりにも強く影響を与えているっていうのがありありと描写されている。
次回予告とお知らせ
スピーカー 1
うーん。
面白かったよ。
し、本当に山登りの描写がすごい素晴らしくて、もうそれだけでもこう疑似体験、なかなかね山登り大変なので、疑似体験できていいなっていうふうに思ったので、
ぜひ興味を持ったら、ちょっと読んでみてもらえたらなと、もうすぐ温かくなって、山も登れるようになってきますので。
ちょっとね、それで今日気持ちを高めていけたらと思いますと。
はい。
今日はそんな感じで、来週は何喋りますか?
スピーカー 2
何喋りますか?
次回はアメリカの絵本作家さんであるアーノルド・ローベルさんから、お手紙っていう児童文学絵本お話を紹介したいと思います。
このお話は小学校低学年の教科書にも採用されたこともある心温まるお話なので、次回もぜひお楽しみに。
スピーカー 1
はい。
次回もこの2人ですね。
スピーカー 2
はい、次回もよろしく。
スピーカー 1
この2人でやっていきます。
よろしくお願いします。
おはぎソライアンでやっていきますんで。
ではここまででトークテーマは終了ですが、キサクロではいつでもお便りを大募集しています。
トークのご感想や本にまつわるお悩みなどをぜひご投稿ください。
ホットキャスターやノートにお便り走行フォームのリンクをご用意しておりますので、そちらからご投稿いただけると嬉しいです。
今後もキサクロスロードは毎週月曜日夜21時よりゆるゆる営業していきます。
本日はお越しいただきありがとうございました。またお待ちしております。
バイバイ。
スピーカー 2
バイバイ。
31:26

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