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イタラジ、今回もやって参りました。
今回はですね、私がいいなと思った文学作品の一節を、朗読してコメントをするというキットをやっていきたいと思います。
今回の作品は、1Q84、文庫版5巻目BOOK3全編から村上春樹さんの長編小説からの一節です。
文庫版290ページです。
では参ります。
天吾が病室に入って最初にやったのは、
まっすぐ奥に行ってカーテンを開け、窓を大きく開くことだった。
気持ちの良い朝だ。空気を入れ替えなくてはならない。
外気はいく分ヒヤリとしているものの、まだ冷え込むというほどでもない。
陽光が部屋に差し込み、海風がカーテンを揺らせた。
一羽のカモメが風に乗り、両足を短線に折りたたみ、松の防風林の上を滑空していった。
スズメの群れが不揃いに伝線に止まり、音符を書き換えるみたいに、その位置を絶えず変化させていた。
クチバチの大きなカラスが一羽、水銀塔の上に止まって、辺りを用心深く見回しながら、
さてこれから何をしようかと思案していた。
いくつかの雲が、とても高いところに浮いていた。
それはあまりにも遠く、あまりにも高く、
人間の営みとは関わりを持たない極めて抽象的な考察のようにも見えた。
天護は病人にキセガガを向けて、しばらくそんな草木を眺めていた。
生命を持つもの、生命を持たないもの、動くもの、動かないもの、
窓の外に見えるのは、いつもと変わりのない光景だ。
目新しいものは何もない。
世界は前に進まなくてはならないから、一応前に進んでいる。
安物の目覚まし時計みたいに、与えられた役割を無駄にこなしているだけだ。
そして天護は、父親と正面から向き合うのに少しでも先に伸ばすために、
そんな風景を当てもなく眺めているだけだ。
しかしもちろんそんなことを永遠に続けているわけにはいかない。
はい、ということで195ページから196ページの引用を報告させていただきました。
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ここは非常に清々しい、美しい状況になっておりまして、
窓を開けて大きく開いたら、海風が入ってきて、鳥たちが自由に舞っているという、
カモメが滑空して、スズメの群れが音符を書き換えるみたいにピーチクパーチク動いている。
この表現も非常に伝奏的でいいイメージだなと感じました。
くちばしの大好きなカラスが一羽、何をしようかと思案している。
カラスはこの小説にたくさん出てくるんですけど、
非常に安静に飛んでいるかなと。
雲がとても高いところに飛んでいて、遠く高く抽象的な考察のように見える。
これはまた刑事課のものと刑事場的なものが一体となったような、
非常に面白い描写でありまして、非常に気持ちのいい場合みたいです。
その次の段落も、動くもの動かないもの、世界は前に進まないといけないから。
一羽と向き合う、天狗が向き合う、覚悟する、決心をする場面ですけど、
そこからまた物語が動いていく。
非常にいい場面だなと引用させていただきました。
この1984という小説は非常に安静の飛んだ、
非常に物語として素直に感動できるような作品でありますので、
ぜひ皆さんも読んでみてください。
私も今読んでいる途中なので、もう少しで読み終わりますので、楽しみに読もうかと思っております。
というわけで、皆さんありがとうございました。