00:00
あのー、プロの羊飼いになるための最も確実な方法は、えーと、羊から1円も利益を出さないことだと言われたら、信じられますか?
いやー、それは完全に矛盾していますよね。まあ、通常プロフェッショナルといえば、その事業単体で収益を上げて生活を成り立たせている人のことを指しますから。
ですよね。
ええ。作物を売る。あるいは、動物の肉や毛を売る。それが農業へ畜産における大前提じゃないですか。
はい。全くその通りです。でも、今回の深掘りでお届けするソース資料には、なんかその常識を真っ向から否定しているというか。
ほう。
あえて、羊の生産物で食っていくことを放棄したある羊飼いの実践記録が残されているんですよ。
それはつまり、最初から効率よく生産して利益を最大化するっていう、現代の資本主義的なアプローチから降りているということですか?
そうなんです。あの、いつもこの深掘りを聞いてくださっているあなたなら、この一見すると非合理的なアプローチの裏にですね、どれほどの計算と洞察が隠されているか、一緒に探っていただけると思うんです。
ええ。非常に興味深いですね。
今回のソースはですね、羊飼いの窓さんという方が6月19日に録音した音声記録です。
で、彼が語っているのは単なる羊の飼い方のノウハウではないんですよ。
どう言いますと?
実は、人と人がどう関わり合い、どうやって新しい文化を作っていくかという、あの、私たち全員の働き方やコミュニティ運営に直結する壮大な社会実験の記録なんです。
なるほど。私たちは普段、仕事でもプライベートでも、いかに無駄を省き結果を出すという効率の罠に陥りがちじゃないですか。
はい、そうですね。
なのに、彼がなぜあえてその逆を行くのか、その根底にあるメカニズムを分析していく必要がありそうです。
ええ。まず前提として、この窓さんの羊飼いとしての立ち位置がですね、極めて得意なんですよ。
どういうことでしょう?
彼は音声の中で、自分が食べるため、つまり生活していくための基盤として羊を置いていないって明言しているんです。
生活の基盤ではない。じゃあどうやって生計を立てているんですか?
それがですね、動物との触れ合いを通じた入場料とか、餌代などをベースにしているそうなんです。
ああ、なるほど。つまり、極端な話、羊苗が全く売れなくても、羊肉を出荷しなくても、羊と自分たちが生き延びられる、そういう経済的なバイパスをすでに構築しているわけですね。
まさにそうなんです。私、この話を聞いたとき、なんかある大秘を思い浮かべたんですよ。
大秘ですか?
はい。あの、収穫量と利益を徹底的に追求する商業用の巨大農場と、地域住民が土尻を楽しみながら交流するために作るコミュニティーガーデンの違いみたいなものです。
ああ、それは分かりやすい例えですね。
商業農場って、1ミリの無駄も許されないじゃないですか。でもコミュニティーガーデンは、みんなでワイワイやること自体が目的なので、少しくらい形がいびつなトマトができても全然OKなわけです。
03:06
確かにそうですね。ただ、マダさんの戦略をより深く理解するためには、単なる優しいコミュニティー作りという牧歌的な視点からもう一歩踏み込む必要がありますね。
と言いますと?
彼はなぜそこまでして生活の糧から羊を切り離す必要があったのか、という点です。それは、生産性を追求した瞬間に消費者しか生まれなくなるからです。
消費者しか生まれないですか?
ええ。もし彼が羊肉やようもうを売って生活しようとすれば、彼はお客様に対して完璧な商品を提供する義務が生じますよね。
はい。お金をもらうプロとしては当然ですよね。
そうなんです。で、お金を払って完璧なものを受け取る。この取引が成立した瞬間、関係はそこで完結してしまうんですよ。
ああ、なるほど。
窓さんのソースの中で、これでは文化にならないと指摘しています。
人と羊がつながり、そこから新しい価値観や文化を根付かせるためには、他人が入り込む関わり代が必要不可欠なんです。
関わり代ですか?
はい。取引で終わらせないための未完成な部分と言い換えてもいいでしょうね。
そのためには、時間、お金、そして飼育する数等数において、絶対に余裕、つまり余白がなければならないんです。
余白?なるほど。
ええ。生活に追われて効率ばかり求めている状態では、他人が関わってミスをする余地なんて到底許容できませんから。
確かにそうですよね。効率化っていうのは、究極的には摩擦をなくすことですが、文化っていうのは、みんなでああでもない、こうでもないと試行錯誤する摩擦そのものからしか生まれないわけですね。
そういうことです。
だからこそ、その摩擦を許容できるだけの余裕を意図的に作り出していると。
その通りです。利益のためだけの関わりでは、システムは回っても文化は生まれない。
これは現代のビジネスや組織作りにおいて非常に鋭く耳の痛い洞察だと思いますよ。
本当ですね。で、そこで気になるのが、その余裕を手に入れた窓さんが具体的にどんな実験をしているのかという点なんです。
ええ、気になりますね。彼の活動の舞台は愛知牧場という場所なんですが、ここがまた面白い環境でして。
窓さん曰く、普通ならそんなのダメでしょって言われるような前例のない取り組みでも、やってみろってOKを出してくれるほど不快そうなんです。
ああ、それは彼にとって致命的な失敗をせずに、リスクを取れる巨大なセーフティーネットとして機能していますね。
そうなんです。誰自身も失敗しても倒れない、剥奪を打たなくて済む状況が作れていないと試せないと語っているくらいですからね。
ただですね、ここが面白いんですけど、愛知牧場も単なるお人越しではないんですよ。窓さんはその代わり結果は出さなければいけないんだけどねってかなり現実的なトーンで語っているんです。
06:00
なるほど。
これって一歩間違えると矛盾しませんか。生活のための羊ではないって利益を度外視しているように見えて、実は裏で強烈に結果を求められている。このプレッシャーと自由のバランスはどうやって保たれているんでしょうか。
そうですね、彼は決して夢見がちな理想主義者ではないんですよ。極めて計算高い現実主義者と言えます。
現実主義者。
先ほど入場料や餌代で基盤を作っているという話がありましたよね。彼は自由な実験をするために意図的に余裕が生まれる体制を整えているんです。
はいはい。
同時に母体である牧場に対しては集客や体験価値の向上といった別の指標でしっかり結果を出す仕組みを構築しているわけです。
つまりビジネスとしての堅牢な基盤があるからこそ前例のない文化創造というリスクを取れるってことですね。
その通りです。もし彼がようもうだけで結果を出そうとすれば活動を何百頭にも増やす必要があって結果的に人手がかかりすぎて余裕が消滅してしまいます。
ああ本末転倒になっちゃいますね。
ええ。彼はいかに無理なく続けられるかという持続可能性のラインを冷徹に見極めているんです。
自由には責任が伴いますがその責任を果たすためのシステム自体を自ら設計している点が彼の本当の凄みですね。
いやー全ては計算された余白になったわけですね。
ええ。
しかしですねそんな緻密に設計された窓さんの体制にも今現実の大きな壁が立ちはだかっているんです。
現実の壁ですか。
はい。音声の中で現在牧場が変わり目であり深刻な人手不足に陥っていることが語られているんです。
なるほど。農業や畜産において人手不足はそのまま事業の死活問題に直結しますよね。
ですよね。普通なら焦って求人をかけたり規模を縮小したりするところだと思うんですが窓さんの発想はここでも逆を行くんです。
逆ですか。
なんとこの人手不足をチャンスに変えたいと。知識も経験もない素人でも月に1回アルバイトとして関われたり月に1回の筆理解に慣れたりする体制を作ろうとしているんです。
へー。ピンチをあえて関わり台として外部に開放するわけですね。
これを聞いて私なんかはソフトウェアのオープンソース開発を思いかめました。
オープンソースですか。
ええ。一人の天才プログラマーが密室で全部のコードを書いて完成させるんじゃなくて本業を持ついろんな人が週末に少しずつ自分の時間とかコードを持ち寄ってみんなで一つのシステムを育てていくみたいな。
一人で抱え込まずにみんなでプロジェクトをお世話する感覚です。
なるほど。オープンソースというメタファーは状況をよく表していますね。ただソフトウェア開発と動物の飼育では決定的な違いが一つあるんです。
決定的な違いですか。
はい。それはリスクの質です。
リスクの質。
ええ。ソフトウェアのコードなら誰かが間違えたコードを書いてバグが発生しても元の状態にロールバックできますよね。
09:06
ああ。巻き戻せますね。
でも相手は命ある動物なんです。素人の月に一回の羊飼いが餌の分量を間違えたり体調の異変を見逃したりすれば羊は最悪の場合死んでしまいます。
うわあ確かに。
動物の飼育においてみんなで管理するというのは責任の所在が曖昧になりやすく本来は最も避けるべきタブーなんですよ。だから窓さんのこの意思決定は尋常ではないリスクテイクだと言えますね。
命がかかっているからこそ普通はプロフェッショナルが全ての権限と責任を自分一人で抱え込みますよね。ではなぜ窓さんはそのタブーを犯してまで素人に現場を開放するんでしょうか。
理由は二つ考えられます。一つは窓さんが少ない数の羊から始めるというプロセスを重視していること。
少ない数から。
はい。小規模から始めることで管理不能に陥るリスクを最小限に抑えつつみんなで育てること自体を少しずつ文化として定着させていく戦略ですね。
なるほど。
そしてもう一つは現代人が抱えるある種の飢えを見抜いているからです。
現代人の飢えそれはどういうことですか。
法的になりすぎていませんか。パソコンの画面上で数字を動かしても誰の役に立っているのが実感が湧きにくいですよね。
あーものすごくわかります。
だからこそ休みの日に泥だらけになって自分の行動が直接羊の命や目の前の現実に直結するようなそういう手触りのある泥臭い責任を求めている人が増えているんですよ。
いやーなるほど。窓さんはただ単に労働力をただ同然で搾取しようとしているわけじゃなくて、現代人が喉から手が出るほど欲しがっているリアルな当事者意識とか責任を伴う関わり代を提供しているんですね。
まさにその通りです。取り返しのつかない命を扱うからこそその責任を共有した時の結びつきは単なる消費者と生産者の関係を超えた強烈なものになりますから。
すごい仕組みですね。
そしてそのみんなで育てるというアプローチが行き着く先として窓さんが思い描いている未来のビジョンがこれまた常識を繰り返すものなんです。
常識を繰り返すですか?
ええ。彼が語る将来像は非常に壮大でして、将来的にいろんな地域ごとに羊のコミュニティがあって羊が群れていてほしいと語っているんです。
そしてそこに根付いた人たちがみんなで羊を育て毛を刈り使っていく風景を夢見ているそうなんです。
なるほど。ここで決定的に重要なのは窓さんが羊を生活の柱にするつまりメインの職業にするのは少し違うと釘を刺している点ですね。
そうなんです。ここが今日の前半の話と見事につながるんですよ。彼が提案しているのは誰もが専業のプロ羊界として独立する世界じゃないんです。
ええ。
そうではなくてみんながそれぞれ全く別の手に職を持っていてその上で空いた時間を使ってみんなで羊に関わるっていうスタイルなんです。
12:01
つまり従来の落納家が自分が食べていくために羊を育てる人だとすれば窓さんが最低義する羊界とはみんなが羊に関われるベースを作る人なんですね。
ベースを作る人。
はい。羊という動物を全くバックグラウンドの違う人間同士をつなぐハブとして機能させようとしているわけです。
だから窓さん自身の役割も羊を独占する所有者ではなくてみんなを代表して関わっている人に過ぎないと。
ええ。
これリスナーのあなたが普段関わっている業界やチームのプロジェクトなんかにもそっくりそのまま応用できる考え方だと思いませんか。
いや強く同意しますよ。現代の企業やプロジェクトにおいてもリーダーが全ての権限とタスクを握りしめて自分の成果のためにプロジェクトを回すケースが多々ありますよね。
はい。よくある話です。
しかしこれではメンバーは単なる支持待ちの消費者あるいは労働力の提供者になってしまって自発的な文化は育ちません。
もしリーダーがみんなを代表してベースを整える人っていうスタンスに変わってあえて完璧に仕上げずに余白を残したらどうなるか。
ええ。
メンバーそれぞれが本業や得意分野を持ち寄りながらプロジェクトという名の羊を一緒に育てていく。誰も独占しないからこそ想像以上の熱量が生まれるわけですね。
その通りです。自分だけの羊という所有の感覚を手放すこと。そして他人が失敗したり工夫したりできる関わり代を意図的にデザインすること。これが閉塞感のある現代のコミュニティや組織に風穴を開ける最も有効なアプローチの一つだと私は考えています。
いやー素晴らしいですね。窓さん自身この話を聞いてピンとこない人は来ないかもしれない。伝えるのが難しいから実際にやってみせるしかないと少しもどかしそうに語っていました。
ええ。
でも私にはこの世界観がこれからの時代を生き抜くための非常にタフでしなやかな生存戦略に見えるんです。
ジミラの実践を通して全く新しい文化の形を社会に証明しようとする姿勢には非常に研究者としても非常に感銘を受けますね。
さてここまで窓さんの思考を深くそぐってきましたが最後にソース資料から見えてきたことを総括しておきましょう。
はい。
私たちが新しい文化や強固なつながりを生み出すために必要なのは効率を極めてタスクを詰め込むことではありません。
そうですね。
まずは意図的に余裕つまり余白を作ることそして人手不足などのピンチが訪れてもそれを一人で抱え込まず他に関わりたいとして共有しあえて非効率なみんなで育てるプロセスを楽しむこと。
ええ。
これが人仕会の窓さんの壮大な実験が私たちに教えてくれる最大の洞察でした。
余裕を作り独占せずに共有する言葉にすればシンプルですけどこれを現実の経済活動の中で実践し続けることの難しさと尊さを改めて認識させられましたね。
そしてですねこの話にはもう一つたまらないエピソードがあるんですよ。
ほう。
この夢あふれる壮大で社会的なビジョンを語り終えた直後あの音声の最後で窓さんが何と言って締めくくったかあなたにもお伝えしておきますね。
15:04
あのエンディングは彼という人物のリアリティを象徴していましたからね。
そうなんです。
明日は今年生まれた子羊のオスの巨生について話します。
今年もいろいろ試してます。
っていきなり超リアルで泥臭い現場の作業報告に戻るんですよ。
いやーいいですね。
壮大な社会ビジョンを語る頭脳と文字通り血と泥にまみれた現場で手を動かす身体。
はい。
その両極端な現実にしっかり足をつけて行き来しているからこそ、彼の言葉には机上の空論ではない圧倒的な説得力と重みがあるんでしょうね。
本当にその通りですね。さて今回の深掘りもそろそろお時間となってしまいました。最後にリスナーのあなたに一つ考えの種を持ち帰っていただきたいと思います。
この深掘りのテーマをどう自分ごとに落とし込むかですね。
はい。現代を生きる私たちは仕事のプロジェクトもあるいは趣味でさえもつい個人の所有物として自己完結させてしまいわちですよね。
ええ。他人に迷惑をかけたくないとか、あるいは自分の思い通りに完璧にコントロールしたいという思いから全てを自分で抱え込んでしまいます。
責任感やプロ意識が強い人ほどその傾向は顕著に現れますからね。
はい。
しかしもしあえて自分が全てをコントロールすることを諦めて、他人が手や口を出せる余白、つまりかかわり大を残すことでしか生まれない予想不可能な熱狂や文化があるとしたらどうでしょう。
なるほど。
あなたの今の完璧にコントロールされた生活や仕事の中で、あえて未完成のまま放り出し、みんなで育てるために今日手放せるものは何でしょうか。
非常に鋭い問いですね。何かを意図的に手放すことで初めてそこにあなた以外の誰かが入り込むスペースが生まれるわけですから。
ええ。そのぽっかりと空いたスペースからあなただけの誰も予想しなかった新しい文化が始まるのかもしれません。
ということで今回はここまでです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回もまたあなたの常識を揺さぶるようなソースをご用意してお待ちしています。それでは。