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2026-10-12 02:02

#268【青空文庫】蝉

中原中也「蝉」

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Nakahara Chuya title: Cicada

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サマリー

中原中也の詩「蝉」を朗読する。蝉の声と風、松林の景色の中で「僕」がうつらうつらしながら、死んだ「彼」と言葉を交わす。目覚めた後、僕は中国の田舎にある彼の墓場を思い浮かべ、そこでも蝉が鳴き夕日が差しているだろうと想像する。最後に、僕は自分の怠惰について問いながら、自分自身を何とも思わないと述べる。

蝉の声とうつらうつらする僕
蝉
中原 忠也
蝉が鳴いている。
蝉が鳴いている。
蝉が鳴いている他に何にもない。
うつらうつらと僕はする。
風もある。
松林をすいて空が見える。
うつらうつらと僕はする。
死んだ彼と中国の墓場
いいや、そうじゃない。そうじゃない。
と彼が言う。
違っているよ。
と僕が言う。
いいや、いいや。
と彼が言う。
違っているよ。
と僕が言う。
と目覚めると、
彼はもうとっくに死んだやつなんだ。
それから彼の永眠している
墓場のことなど、目に浮かぶ。
それは中国のとある田舎の
水梨瓦という
雨の日のほか水のない
伝説好きの川のほとり。
やぶかげの里帯の小さな墓場。
蝉の声と自己への問い
そこにも蝉は鳴いているだろう。
ちらちら夕日も射しているだろう。
蝉が鳴いている。
蝉が鳴いている。
蝉が鳴いている他何にもない。
何?僕の怠惰?
僕は怠惰か?
僕は僕を何とも思わぬ。
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