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2023-07-31 03:23

#101【青空文庫】ミチコサン

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新美南吉「ミチコサン」

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Niimi Nankichi title:Michiko-san

00:01
ミチコさん ニーミナン基地
ミチコさんが小鳥屋の前まで来ると、知らないおばさんが、 うばぐるまの中の荷物を直していました。
赤ちゃんが乗っていて、かき回したのでした。 赤ちゃんはブーブー言いながら、母ちゃんの邪魔をしていました。
ミチコさんは、おばさんのそばに寄って、 赤ちゃん抱いててあげましょうか、と言いました。
えー、ありがとう。 でも、
置いた棒でとっても重いのよ。 いいわ、おばさん。
すみませんね。 おばさんは赤ちゃんをミチコさんに抱っこさせてくれました。
ミチコさんの腕に、落ちちくさい白いパジャマの かわいらしい赤ちゃんが抱かれました。
ミチコさんは、 ちゅっちゅ、ほらほら、と小鳥を見せてやりました。
けれど、赤ちゃんは小鳥を見ないで、 ミチコさんの顔を見ていて、にっこり笑いました。
それから、お手手でミチコさんのネクタイをつかみました。 ミチコさんは、かわいい手だなと思いました。
そのうちに、おばさんはすっかりうばぐるまの中を片づけて、 すみませんでした、本当に、と言いました。
赤ちゃんはまた、うばぐるまに乗っけられて、 行ってしまいました。
ミチコさんは、まだ赤ちゃんを抱いているような手つきをして、 おうちへ帰ってきました。
お母さんはミチコさんを見ると、 何をそんなおかしな手つきをしているの?
と、不思議そうな顔をしました。 私ね、どこかのかわいい赤ちゃんを抱っこしていたのよ。
私の顔を見て、わらったわ。
うーん、あんまりかわいかったので、 まだ抱っこしているつもりで帰ってきたのよ。
03:04
お母さん、ほら、 お父のにおいがしているわ。
と言って、 ミチコさんは胸のあたりをかぎました。
お母さんは、 ミチコさんはいい子だなと思いました。
03:23

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