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キャラメルと飴玉、夢の旧作。
キャラメルと飴玉とが、お菓子箱のうちでけんかをはじめました。
イェイ、飴玉のまぬき野郎。
貴様はまんまるくて甘ったるいばかりで、何にもならないじゃないか。
俺なんぞ見ろ。ちゃんと着物を着て四角いお家に入っているんだぞ。
貴様なんぞは着物なんか欲しくたって持たないだろ。
ざまを見ろ、イェイ。
飴玉は真っ赤になって怒り出しました。
しっけえなことを言うな。
うちにいるときは裸だけど、外に出るときにはちゃんと三角の髪の着物を着ていくんだ。
第一、貴様の名前が生意気だ。
キャラメルなんて傲慢ちきな面をしやがって。
日本にいるのなら、もっと日本らしい名前をつけろ。
こんちくしょう、横着なことを言う。
キャラメルが悪けりゃ、カステイラはスペインの言葉だぞ。
シュークリームでもワッフルでもよいが、菓子にはみんな西洋の名前がついているんだ。
飴玉、せんべいなど言うのは、みんな安っぽいうまくないお菓子ばかりだ。
うそつけ。洋館なんて言うのは貴様よりよっぽど上等だぞ。
コンペイトーはロシア語の名前だけれど、俺よりずっとまずいぞ。
ウエハースなんて言うやつは、いくら食ったって食ったような気がしないんじゃないか。
バカを言え。あれでもなかなか体のためになるんだ。
俺なんぞは牛乳が入っているから、貴様よりずっと上等だ。
こんちくしょう。俺だって日記が入っているんだ。日記はお薬になるんだぞ。
貴様の中に牛乳が何個入ってるや、そんなに威張るんだ。
何をこしゃくな。
とうとうとっくみ合って大げんかになりました。
最前から見物していたキャラメルの仲間のミンツ、ボンボン、チョコレート、ドロップス、
アメダマの仲間のげんろく、さいごうだま、かりんとう、ありへいとうなぞは、
それというのでかけよって、
双方いりみだれてごちゃごちゃに押しあいつかみあっているうちに、
みんなお互いにくっつきあって動けなくなってしまいました。
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そこへぼっちゃんがきて、おかしばこのふたをとってみるとびっくりして、
おかあさん、おかしがけんかをしている。
と叫びました。
おかあさんもやってきてこのありさまをみると、
それごらんなさい。
いっしょにしまっておいてはいけないといったではありませんか。
わたしがこわしてあげるから、
おねえさんやおにいさんといっしょにおやつにたべておしまいなさい。
といって、かなづちをもってきて、
ぱらぱらとうちこわしておしまいになりました。
