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2024-04-15 04:52

#138【青空文庫】母の手毬歌・親棄山④

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柳田国男「母の手毬歌・親棄山④七曲の玉の緒 その他」

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Yanagida Kunio titile:The mother‘s traditional ballad OYASUTEYAMA 4th Thread a string through the crystal that bends in seven directions inside./ another story

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母の手毬歌・やなぎだ国を・親捨山④、七夕の玉の尾・その丘
そこで、一体どういう種類の珍しい難問題が、老人の力でなくては解くことができなかったと語り伝えられていたかということを、少し詳しく話してみると、
日本ではそれが7つほどあって、どれもこれも総合に広くそちこちに行われている。
この7つのうち、5つは少なくとも外国から入ってきたものであった。ただし、我が国ではインドのように、敵の国がこちらの地へを試しに来るなどということはないので、
それをごく簡単に、 殿様の検証で、これができたものには1万両のご褒美、などというように翻訳しているのが多いのである。
一番有名なのは、七夕の玉の尾、一名尾あり同士、 という話。
これは今から千年も昔、木の面行きの時代よりも前のこととさえ言われている。 大きな玉に穴が通っていて、
その穴が中で7つも曲がっている。 これ尾を貫いて見せてくださいという敵方の望みである。
これには誰も良い考えがなく、何と返事をしたものかと困っていると、老人がそれを聞いて、
そんなことは何でもない。蜜を一方の口の穴に塗っておき、 蟻の足に絹糸を縛えて、こっちの穴から入れてやれば、蜜の蚊に引かれて、きっと一方へ抜けて出る。
その糸をだんだん太くすれば良いと教えてくれた。 このために、もちろん親を捨てずにいた罪は許されたのみか、
後に神に祀って、あり同士明神というのがそれだということになっている。 その話は古い書物に書いてあるばかりでなく、今も国民の口から耳へ切れ間なく語り継がれているが、
むらむらの子供には玉というもの、それに七曲りの穴を通したものなどということは考えにくいので、
新州の南の方では、これをほらの貝に尾を通すといい。 加賀の縁間軍などでは、さざえの殻の底に穴を開けて、
蟻を這わせてみよと言ったことにもなっている。 そうしてこの話を感心して聞くものは、
大抵はそれがそのように遠い昔から日本にあった話だということを知らずにいるのである。 それから次には、
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木の元末および親子馬という話があって、 二つとも八百何十年も前の根尺物語という本に出ている。
何か珍しい三尺ばかりの木の棒の同じ太さに削ったものを持ってきて、 これはどちらが先の方でどちらが根元か当ててみてくださいと言ってこられたので困ってしまった。
高校な息子がそっと隠していた父に尋ねてみると、 それは何でもない。
水に流してみてやや沈む方、または河下になる方がその木の根元だと教えてくれた。 また毛色のよく似た同じくらいの馬を二匹引いてきて、
これは親子ですがどちらが親ですか決めてくださいと言った。 また毛色のよく似た同じくらいの馬を二匹引いてきて、
これは親子ですがどちらが親ですか決めてくださいと言った。 これも年寄りの知恵によって、
マグサを与えてみてまず食べる方が駒の大きくなったのであり、 それを見ていてゆっくり後から食べにかかるのが親だと教えられ、
その通りにしてみたら果たしてすぐにわかった。 動物でも親の愛情は深いものだということをこの老人が知っていたのである。
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