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2024-02-05 03:14

#128【青空文庫】母の手毬歌・親棄山①

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柳田国男「母の手毬歌・親棄山①有名な昔話」

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Yanagida Kunio titile:The mother‘s traditional ballad OYASUTEYAMA 1st Famous folktales

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母の手毬歌 ヤナギダクニオ
親捨山①
有名な昔話 都会で育った人たちは物分かりが早く、思いやりのある人が多いのだが、周囲が忙しくて、ゆっくりと話をして聞かせるものが少ないので、何も考えずに大きくなるというようなこともないとは言えない。
今度は違った土地で年を迎えて、見ることを聞くことがみな新しく珍しく、それだけにまたこちらもよく注意をするので、帰ってきてからの話の種はどっさりできることと思う。
そういう中でも、ためになり、また楽しみになるものをついうっかりと聞き流してしまわぬように、私などが若い頃から聞きためて、だんだんと深い意味のわかってきたいろいろの昔話の中で、
親捨山という変わった話を一つしてみよう。 親捨山とはけしからぬ話。聞くも耳のけがれと思う人もあろうが、これはそういう驚くような話題を出して、まず聞くものの注意を引き寄せようとする手立てであって、
実際は人に幸幸を勧める話なのである。 人によってはまた既老国とも言うが、この名称は外国から来ている。
昔々、いつの頃とも知れない遠い昔。
そうしてまた、どこにあるかもはっきりしないある一つの国に、 親が60歳になると山へ捨ててこなければならぬというとんでもないならわしがあった。
それが一人の良い子供、もしくは心の優しい者の行いによって、もう永久にそんなことをするものがないようになったという話。
その話し方がまた変わっていて面白いのであった。 この話は日本全国にと言っても良いほど、
広く方々の土地に行われていた。 もとはおそらくは誰でも一度大きくなるまでには必ず聞いたものと思うが、
今日はもう知らぬ子が多い。 そればかりか、地方によりまた家によってその話し方がよほど違っていて、一人で二通りの話を知っているものはまずないから、
こことよそとではどういうふうに違うかということに気がつかずにいるのが普通である。 私はよほど久しい前から最終を重ねているので、
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おおよそはそのとちとちの変化を語ることができる。 それがこれからの人にも良い参考になるだろうと思うのである。
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