1. 朗読 de ポッドキャスト
  2. #131【青空文庫】母の手毬歌・..
2024-02-26 03:26

#131【青空文庫】母の手毬歌・親棄山②

spotify

柳田国男「母の手毬歌・親棄山②四通りの話し方」

--------------------------------------------

Yanagida Kunio titile:The mother‘s traditional ballad OYASUTEYAMA 2nd Four ways to talk

00:01
母の手毬歌・親棄山②、
4通りの話し方。話を親捨山ということは同じで、事柄のかなりはっきりと違っているのが、私の知っているだけでも4種はある。
そうしてその2つは、明らかに外国から採用したもの。他の2つは多分、我が国によほど古い頃からあったものである。
試み誰か話の好きな老人に尋ねてごらんなさい。ことによると、まだ私も知らぬような、また別な珍しいのを覚えているかもしれない。
それからまた次に私の言う話を2つ以上つなぎ合わせて1つにしているかもしれない。どうしてそういうようになるかということも話してみたいが、その前にざっとその4通りの話を比べてみよう。
第一種の話というのは、ある男が60になった親を、もっことかあじかとかに入れて、小さい息子に片棒をかつがせて山の奥へ捨てに行く。
やがてあじかも棒もそこに置いて帰ってこようとすると、その孫が父に向かって、
これは家へ持って帰りましょう。今にまたいることがあるから、と言った。
それを聞いた男は、ああ、そうだったと心づき、親を捨てることをやめて、また連れ戻ったというので、
この話はよほど古い頃から品で有名な話だったということで、いろいろの本にも絵にも彫刻にもなっている。
本によってはその孫の子が、わざとこういうことを言い出して父の不幸の行いを諌めたのだから、高校者の手本だと言っているが、
それならば、父についてわざわざ山奥まで出かける前にそう言ってもよさそうに思われる。
日本の話では、少年がただ無邪気にそんなことを言い出したので、父がびっくりして、なるほど、そうだったと思い、
全身に立ち返って捨てて帰るのをやめたと話すものが多いが、いずれにしたところで、これは、いささか感心しない利己主義であった。
東北地方に行われる一つの例では、その息子が父に向かって、私にはとてもそんなことはできぬと言って泣いたので、
03:05
それに感動して再び老人を連れ戻ることになったというふうに話しているものもあるが、
とにもかくにも、孫の少年の言葉によって、親を山に捨てるというような悪い行いをやめたという点までは、どれもみな同じである。
03:26

コメント

スクロール