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なんで農家やってんのかな
2026-06-06 11:41

なんで農家やってんのかな

暮坂峠の作業場、梅雨の端に位置する六月の午後、中島は軽トラの荷台に腰かけ、風に吹かれながらマイクに向かっていた。晴れてはいるが冷たい空気が肌を刺し、パーカー一枚では少し寒い。収穫はいつもより少なく、注文分と市場分を調整し、バケツを洗い、伝票を書き終えてようやく一息ついた午後四時——その静けさの中で、ずっと昨夜から胸の奥でくすぶっていた問いが浮かんできた。「なんで農家やってんのか」。

都内のベランダで鉢を並べていたころの話を、中島はゆっくりと手繰り寄せる。植木市で苗を買い、枯らしてはまた育て、花が咲けばひとり喜んでいたあの日々。植物はただ面白く、楽しかった。ところが今は、その命を刈り取ってお金に換えることを生業にしている。新品種を試すことは今も楽しい。けれど出荷し、換金し、利益率を計算するあたりで何かが重くなる。農業の過酷さを、彼は言葉を探しながら、しかし誰かに告げるでもなく、虫の鳴き声のようにログに放り込んでいく。

それでも、と中島は続ける。マルシェでお客さんに「綺麗」と言ってもらえる瞬間のこと。個人の花屋数軒と箱を送り合い、意見を交わしながら、山で拾った枝を一本混ぜてみる楽しさのこと。このモヤモヤは妻には話せない——正論で返ってくるのが目に見えているから。同じように土地も資産もなしに花農家を始めた先輩に、ぶつけてみようと思っている。就農初年度、売上九十四万円で「辞めよう」と思っていたことも、今日また思い出した。

来週末のマルシェに向けて、セダム・オータムジョイのステッカーを作った。緑とピンクの間、一割二割だけ花開いたあの色が好きで、それをスマホにも貼っている。売れたら嬉しいし、売れなければ布教物にすればいい——どちらに転んでも構わないと、中島は少し笑う。仕事は終わった。今日は娘と畳の部屋でゴロゴロしながら本でも読もう。メンテナンスも大事だ、と彼はひとりごちて、録音を止めた。

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サマリー

農家の中島は、収穫量の少なさや利益率の低さから「なぜ農家をやっているのか」という問いに悩んでいた。東京でのベランダ園芸時代はただ楽しかったが、今は命を刈り取ってお金に変えることに重さを感じている。しかし、マルシェで顧客に喜んでもらえたり、花屋と意見交換したりする喜びもあり、そのモヤモヤを抱えながらも、来週末のマルシェに向けたセダムのステッカー作りなど、前向きな活動も行っている。妻には話せない悩みだが、同じ境遇の先輩農家には相談したいと考えている。

農家としての葛藤と日常
山ログ撮っていきます。
2026年6月6日、16時ちょうどです。
今日は収穫ね、少なかったんでね。
あんまりできなかったな。
注文と市場分、全部調整し終えて、
収穫バケツを洗って、
伝票を書いて、
そして今、撮ってます。
今日は晴れで、結構寒い。
寒かった。寒いですね。寒かった。
少し風もあってね。
服装は半袖のTシャツに、
パーカー、作業着のマウンテンパーカーを着て、
これでも少し寒いぐらいだから、
もうちょっと、なんかロングTシャツとかもう一枚シャツとかね、
挟んできたらよかったなって。
場所は作業場のあるAで、けたらな上で、
今、ふーってしながら撮ってんだけど、
気分一致ですね。
うわっ、なんか飛んできた。
なんか落ち込んでて、
気分一致なのは、
昨日ね、今日か。
なんだろうな。
なんで農家やってんのかなっていうのを、
すごい、自分の中で、
ぐちゃぐちゃと考えていて、
それで落ち込んでましたね。
最初、ここに移住収納する前は、
東京で妻と住んでて、
その時もね、結構、
そうか、その帰宅に引っ越す前の杉並区でも、
そうだな、
園芸、鉢で植物育てたりするのが好きで、
そう、植木市とか園芸屋さんとか、
種とか買ったりしてね、
ベランダ園芸してたんですよ。
楽しくてね、
そう、まさにあの、
あれみたいな感じ。
ベランダ?
小説と、
ドラマから僕入ったのか。
伊藤聖光さんの書いたベランダか。
そんな生活をしてたんだけど、
その時はただ植物が面白い、楽しい。
あ、枯らしちゃった。
あ、花つけてくれたみたいなので、
キャッキャウフフ。
はい、命をもてあそんでましたね。
それもあって、今は、
そう、植物を売る。
命を刈り取ってそれをお金に変えるっていうのを商売に選んで、
移住して収納してるわけだけど、
新しい品種入れたり、
種買ってみたり、
育てたりは楽しいんだけど、
その、それを監禁してっていう、
商品価値に似合うものを作ってとか、
そういうところを考えると、
なんか辛くなるのかな。
実際、園芸はすごい楽しいんですよ。
植物の様子見たり、世話したり、
あ、肥料これが足りてないのかな。
この場所環境合ってねえのかなみたいな。
それは楽しいけど、
出荷監禁ってなると、
農業って過酷だよなって。
利益率低いしね。
そんなことをもんもんとずっと、
昨日の晩から、
今日も収穫、花切りながら考えてました。
農業の喜びと悩み
けどマルシェとか、
うちは花屋さん数軒に、
直送で箱売りしてくれる、
ありがたい個人花屋さんも何軒かあって、
それに送って意見聞いたりとか、
そうね、こんなの詰めたら面白いんじゃないかとか、
たまにね、山に生えてる謎の枝、
一応箱に入れちゃったりね。
一応特定外来生物じゃないっていうのを、
判断してからは入れてるんだけど、
直接お客さんに、きれいとか言ってもらえたり、
花屋さんの意見聞いたり、
自分で、
箱、草花、
畑で採れたもの、山で採れたもの、
のミックスを考えたりっていうのは楽しいんだけど、
それは楽しいから結構好きなのかな。
これで話すほどまとまってないけど、
それをね、とりあえず、
虫の鳴き声みたいに、
この山ログに突っ込んどこうと思います。
少しちょっとこれ、
音声と妻にも、
AIにもちょっと話してみようかな。
けどそれはそれで妻に話すと、
何が返ってくるか、まるで想像ができてしまうのもまた、
妻すごい正義感が強いタイプなので、
だってあなたが選んだんじゃんって、
めちゃくちゃ正論言われるのわかるから、
妻に話すのやめよう。
この話題は、あれだな、
先輩新規収納した親元の絵の収納じゃなくて、
僕と同じように、
中野城町、国一区で生まれ育ったわけではなく、
別の土地から畑も資産もなしに、
ポンと花農家始めましたみたいな先輩に、
この話はぶつけてみようと思います。
このもやもやね。
過去の経験と未来への準備
収納初年度も、
収納初年度まじでやめようと思ってたのを思い出した今。
年間で売上が94万円しかなくて、
やっていけねえよって言って、
そう思ってたんだった。
ノウハウ話してるわけでも、
情報発信してるわけでもない、
このログなのでね、
こんな感じでいいと思う。
そうだ、マルシェか。
来週末マルシェで、
うちの去年取りためた写真の中でね、
セダムの、
僕はセダムのオータムジョイが主要品目であるんだけど、
それのちょうど10%、1割、2割、3割ぐらい、
花が開き始めたね。
グリーンとピンクの間ぐらいのセダムがすごい好きで、
それをね、ステッカーにしてみました。
それを今語りかけてるスマホにも貼ってんだけど、
それ配布しよ。
あ、売るんだ。売れるんかな?
売れないようだったら配布物にして、
セダムの活動家としてね、
セダムステッカー配って、
売れたら売れたで嬉しいっていう。
これはどっちに転んでもいいな。
そんな感じだ。
今日の仕事はもう終わったってことで、
家帰ってか、娘と一緒にゴロゴロしながら、
畳の部屋で本でも読もうかな。
そうしよう。
メンテナンスも大事だと思うんでね。
いいや、それで。
おっしゃ。
ではまた。
11:41

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