四年か五年、そのままにしておいた机があった。部屋の真ん中に島のように浮かんで、花を置く場所はどこにもなかった。それに気づいていながら、ずっとそのままにしていた。今日、中島は机を壁に寄せた。たったそれだけのことで、作業場が広くなった。
夕暮れ前の見回りで、イノシシの痕跡。マウンテンミントの畝が掘り起こされていた。獣の論理は単純で、腹が減れば掘る。そこに何年かけて植えたかは関係ない。
昨日は花の部会の総会だった。始まる前は億劫だった。しかし焼肉とビールは正直で、口に入れた瞬間に体が正解を出した。楽しかった。それでいい。
Kのハウスの周りには、地主さんのお母さんが遺した花木がある。クレマチス、梅もどき、西側のサラサドウダン。誰かが愛でた記憶が、今も土に根を張っている。
栗の木に熊棚ができていた。熊を呼ぶ前に切らなければならない。ただ切るのは惜しい。栗は腐りにくい木だ。誰かの手に渡る形があるといいな、と思いながら中島は軽トラを走らせた。
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