#12・マルチプルは市場任せなのか:競争優位の持続期間を計画に落とすFP&A
2026-11-09 29:11

#12・マルチプルは市場任せなのか:競争優位の持続期間を計画に落とすFP&A

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FP&Aが企業価値を考えるには、ROICの水準に加えて、資本コストを上回る稼ぎが何年続くかを見る必要があります。PBRとマルチプルを分解し、成長率をCAP(競争優位の持続期間)と結びつけて捉える視点を整理します。キリンHDの事例も踏まえ、稼ぎが続く年数を事業の言葉で議論し、計画と投資家への説明へ落とし込むFP&Aの役割を考えます。
【主な内容】
・PBRとマルチプルの分解から見る、ROIC・成長率・資本コストの関係
・CAPを手がかりに考える、高成長と資本コストを上回る稼ぎの持続期間
・キリンHDの事例と、稼ぎが続く年数を議論し、事業計画・投資家説明につなぐFP&Aの役割
【タイムスタンプ】
ROICを上げてもPBRが1倍を割るのはなぜか
マルチプルを左右する3要素と成長率の持続性
CAPで捉える、競争優位が続く期間と企業価値
競争優位の持続期間を計画と投資家説明へ翻訳するFP&A
担当事業の稼ぎが続く年数を、幅を持たせて議論する
【取り上げた研究・書籍・資料】
Mauboussin & Johnson (1997) “Competitive Advantage Period: The Neglected Value Driver.” Financial Management 26(2), 67–74。
Chan, Karceski & Lakonishok (2003) “The Level and Persistence of Growth Rates.” Journal of Finance 58(2), 643–684
Copeland, Koller & Murrin (1990) Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies(邦訳『企業価値評価』)
グロービス導入事例「財務が『フロントランナー』になる――キリンHDが挑む財務機能人財の育成」(2026-10-08)
生命保険協会(2026年4月)『生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組について』p.20
【出演者】
鷲巣大輔(わしず・だいすけ)
『FP&Aのすべて』(ダイヤモンド社)監訳者。FP&Aアーキテクトとして複数の企業でFP&Aヘッド・CFOを務め、現在は大学院で教えながら、研究者・コンサルティングファームのアドバイザーとしても活動しています。
X:https://x.com/WashizuD?s=20
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サマリー

ROICを高めてもPBRが1倍を下回る企業がある理由として、PBRをROEとPERに分解し、マルチプルを資本コスト・ROIC・成長率の関係から捉え直します。市場が決めるマルチプルにも、企業側は利益やキャッシュフローが「続くか、伸びるか、ぶれないか」を通じて影響を与えられると説明します。MauboussinとJohnsonのCAP(競争優位期間)を取り上げ、資本コストを上回る稼ぎが続く年数が企業価値を左右するという考え方を、成長率の設定やDCFとの関係から整理します。さらに、FP&Aが競争優位の持続期間を事業計画に翻訳し、投資家に説明する役割を、キリンホールディングスのPBR活用にも触れながら考えます。最後に、担当事業で資本コストを上回る稼ぎが何年続くかを幅を持って議論し、参入障壁や業界の変化の速さなどを手がかりに計画へ落とし込む実践を提案します。

ROICだけでは説明できないPBRとマルチプル
FP&A Insight、FP&Aアーキテクトの鷲巣大輔と、管理会計のその先を一緒に考えていく番組です。
今日のテーマですけども、ロイクについて取り上げようかなと思います。 まあ、ロイクのその先なんだけどね。ロイク、日本においてもかなりね浸透してきた感はありますよね。
ただ、ロイクだけで本当に企業価値が上がるのか、そうではないのではないのかというお話でございます。
具体的に言うとマルチプルなんだけどね。じゃあ実際にこのマルチプル、FP&Aはどのような影響を与えられるのかということを一緒に考えていこうかなと思っております。
はい、ロイクなんですけども日本においてね、かなり浸透してきましたよね。 多くの組織にとってこのロイクというのが中期計画の目標値になっているケースもあるんではないでしょうか。
ロイクとっても大事だと思っています。資本コストを意識した上での経営の土台になる数字なので。
ただ、このロイクを上げたからといってPBRが一応割っている会社なんてのもまだまだあるわけですよね。
この辺を今日はちょっと考えていきたいなというふうに思っているわけなんですけども、ロイク、本当に浸透してきましたよね。
私が思うのは、やっぱり2023年3月、3年半前の東京証券取引所の資本コストや株価を意識した経営の要請、これがとても大きかったのではないかなというふうに見ています。
もともと伊藤レポートが2014年に出て、そこから投資家を向いた経営しましょうという流れができたんだけども、
ここまでロイクロイクって言われるようになったのは、やっぱりこの3年半前のPBR一倍割れ、改善要請、この辺りかなというふうに思っています。
生命保険協会が毎年調査してまして、これは投資家と企業の両方にヒアリングをしているんですけども、
直近のものを見ていると、ロイクを中継の指標に掲げる企業というのが3割弱ということです。
これ3年前は2割弱だったので改善をしているということですよね。
もちろん投資家はロイクを大事な指標として見ていると答えている人が6割以上いるので、そういう意味で言うとギャップはある。
ただこのギャップというのがどんどん近づいているなというふうに思います。
あとちょうどこの収録の直前に日本CFO協会からメールでのアンケート調査依頼が来てまして、私のところにも。
何かというと資本効率と成長投資の両立に関するCFO実態調査ということで、
要は先日のコーポレートガバナンスコードの改定、これでもっともっと成長投資の方に資源を振り分けるべきだというようなお話が出てましたよね。
おそらく、ここはもう僕の推測なんだけども、おそらくなんだけどロイクを高めるということをずっとやってきたが、
結果としてそれが資本効率というところに収束をされていて、より大きな成長投資の拡大というところになかなか結びつかない。
なぜならばこの2つはトレードオフだからって話なんだけど、このジレンマというものを抱えているっていう。
このジレンマをどのように解消しに行ってるかっていうのをCFO協会が調べに行ったんではないかなっていうふうに踏んでるんですけどね。
このCFO協会の調査は今はアンケートを取っている段階で、12月にこの結果が出るということなので、結果が出たらですね、私もまたこれ分析してこちらの番組の中でもご紹介したいなというふうに思います。
いずれにしてもですね、伊藤レポートから出てきた流れというのが、3年半前の東京証券取引所のPBR改善要請の要請。
これをきっかけにして、単なるお題目から経営の現場の実装の段階に来ているのかなというふうには思います。これはとても大事。
ただロイックロイックって言っちゃいるんだけど、ロイックがワークを超えましたって開示もしてるんだけども、でも以前PBR1倍割れの会社っていうのは存在するわけですよ。
僕も何社か知ってますけども、確かにPBR1倍割れの会社は3年半前は4割でしたからね。
それ考えると直近27%だから減ってはいるんだけども、でも依然として27%がPBR1倍割ってるわけだ。
こんだけロイックロイックって言われてるんだけどPBR1倍割れてる。これは何なのかというお話でございます。
この番組をお聞きになっている皆さんにとっては釈迦に説法かもしれませんが、PBRというのはROE×PERという式に分解ができるということですよね。
PBR、すなわち価値創造指標、投資家から集めたお金、それから投資家に属する内部流法、これを分母とした時に、今その株主資本がいくらで評価されているかという時価評価。
時価÷母価がPBR。これが高ければ高いほど価値を創造しているというふうに捉えられるわけです。
これはROEとPERに分解ができる。このROEというのは何かというと自己資本をもとにどれぐらいの利益を出したかということであり、この資本効率性を示したものですよね。
僕らが話をしているロイックというのはこの文脈の中で語られるわけです。資本効率性。
ただ、これROEが出てたところで、もう一つのファクターPER、これがつかなければPBRに結びつかない。
PERって何か。式で言うと、時価総額÷ことの純利益。利益の何倍まで株か、時価総額がついているか、何年分の利益に相当する時価総額なのかというのがこれPERですけども、
マルチプルと呼ばれるEBITDA倍率とかEBIAT倍率とかっていうのも考え方は同じですよね。利益の何倍、何年分の利益に該当する価値がついているのかなということです。
成長率とマルチプルを決める三つの要素
PBRイコールROE×PER、これにちょっと数字入れてみましょうか。ROEが仮に10%ですと。資本コストが8%です。
この場合どういうふうに解釈されるか。これROEが資本コスト2%ポイント上回っているので、資本効率の文脈で言うとOKですよね。
でもPRが8倍だとどうなるかというと、これPBR0.8倍になっちゃうわけですよ。 PERが15倍だったらPBRは1.5倍になるわけですよね。
だから資本効率だけ見ても価値創造指標であるPBRは説明ができないということ。
マルチプルというものを抑えなければいけないということなんだけども、ここでマルチプル深掘りしていきますね。
マルチプル、これはもしかしたら専門的な話になるので、分からない方はぜひ調べていただければなというふうに思いますが、
ゴードンのハイトー成長モデルというのがあってですね、それに基づくとですね、マルチプル、例えばPER、PERというのは資本コストとその成長率を、資本コストから成長率を差し引いたものの逆数だっていうこと
ですよね。
PERであれば株主資本コスト-成長率分の1、例えばEBIAT倍率、税引後の営業利益と企業価値の関係の倍率であると言うことです。
で、見るとするのであれば、枠-成長率分の1、これがゴードンのハイトー成長モデルなんだけども、これはだんだんちょっと進化をしていて、マッキン勢の有名なコーポレートファイナンスの本ありますよね。
企業価値評価ですね。本題はValuation, Measuring and Managing theValue of Companiesっていうあの本。あの本の中でマッキン勢はこのゴードンモデルを
ですね、若干進化させていて、何かというと、ゴードンのモデルって再投資はあまり含まれてないんですよね。
成長しようと思うと、上がってきた利益、もしくはキャッシュフローから再投資をすることが必須になるじゃないですか。で、再投資を反映させるとどういう式になるかというと、例えばPRで言うと、まず分子ね。
分子は1じゃなくて、1-成長率割ることのアロイ。で、分母が株主資本コストを引くことの成長率です。
EBIAT倍率で言うとするのであれば、分子は1-成長率割ることのロイク。で、分母が枠引く成長率ということです。これなかなか言葉だけで表現するの難しいですね。あの多分ね、Googleとかで調べれば
出てくると思うので、ぜひちょっと調べていただきたいなと思います。
マルチプルの式ですね。末近税の企業価値評価によると、マルチプルはどのような計算で決まりますかって、Googleだったら多分出てくると思うし、AIに聞いたら出てくると思うんだけども、もう1回言うと、E
BIAT倍率が多分わかりやすいので、EBIAT倍率で言うとするのであれば、EBIAT倍率というのは、まず分子1-EBIATの成長率割ることのロイク。
これが分子ですよと。分母が枠引くことのEBIATの成長率ですよということになる。だからこれマルチプルっていうのは、実は分解をするといくつかの3つの要素になるわけですよ。これによって決まるってこと
なんですよね。
1つは何かって言うと、成長率G。で、もう1つがロイク。今どれくらい稼いでいるかという資本効率。で、3つ目が枠っていう。この3つ。だから逆に言うと、この3つのパラメータをマネージメントすることができる
のであれば、PERに影響を与えることができるというふうにも言えるわけです。
もちろんマルチプルっていうのは、時価をベースに計算したものなので、時価というのは市場が決めていることだから、完全に我々がコントロールできることではない。けれども、先ほど申し上げたように、成長率と現状の
ロイクと枠の3つによって決まるとするのであれば、我々企業サイドからしても影響を与えることはできるわけですよね。
だから僕はマルチプルって実はある程度の影響を与えることができる。投資家が決めることだから、我々はこういうセクターにいるから、我々はこういう業界にいるからって諦めるものではなくて、プロアクティブに積極的
に働くことができるんじゃないかなというふうに思っています。
それをですね、最近僕はマルチプルを高める方法としては、続くか伸びるかぶれないかっていうふうに言ってます。リズム感いいでしょ。続くか伸びるかぶれないか。
だからそのキャッシュフローであり利益というものが、今の水準が続くんですかね、伸びていくんですかね、あとはリスクの観点で、ある程度将来の見通しというものが立つんですかね、ぶれないんですかねというふう
な、これが答えられると実はPERにも好影響を与えることができるんじゃないかということでございます。
ということでマルチプルは3つのパラメーターによって決まるとするのであれば、そこに影響を与えればいいと。成長率、それからロイク、それから枠ですよと。一番難しいのは多分この成長率だと思うんです。
これがさっきの僕の続くか伸びるかぶれないかで言うと、続くか伸びるかっていうのはこのGで表現してるわけですよ。
ただこれ式で見たらわかるんだけど、これGって永続成長率なわけであって、実務的には同じペースで最初から最後まで続くことっていうのは考えにくいですよね。
CAPが示す競争優位の持続期間
市場の成熟度とか競争有意の維持度合い、これによって今は競争力があるから成長率は高いけども、将来的にはこの成長率が鈍化するっていうのは普通に考えれば出てくるわけです。
実際にイリノイ大学のラクニチョク教授たちが2003年に論文書いてるんですけども、どんな内容かっていうと、アメリカの上場企業で利益の成長が10年連続で平均を上回った会社は1265社分のうち2社しかない。
すごく当たり前のことを言っている。競争力が未来永劫を続くような会社なんてのは存在しない。競争力が続いて高いGを維持できるっていうのは、基幹的には限定があるよねっていうことを言っているっていうこと
なんですけど、僕らがこのマルチプロを使う際に悩むのはこのGなんですよね。成長率。
この成長率をどういうふうに置くのかっていうのがとっても難しい。これどうやって考えたらいいのかなと。我々がマルチプロに対して影響力を与えることはできるんだけども、このGっていうものをどういうふうに捉える
か。これがすごく重要なのかなって思ったんですよね。
で思って、なんかこれいい方法ないかなっていうのを調べていた時に一つのメモにぶつかったんです。これがちょっと参考になったのでご紹介したいなと思います。
ご紹介したいレポートはですね、1997年、マイケルモーブッさんという方。この方は当時クレディスイスのアナリストですね。
モーブッさんさんとポール・ジョンソンさんがメモとしてですね、ちょっと早稲田の学術論文のデータベースから見つけたんですけど、
コンペティブアドバンテージ・ペリオード、The Neglected Value Driverという論文というか、なんだろうなこれ、もともと証券会社の社内メモだったらしいんですよね。
だから学術研究ではないんだけども、ここでコンペティブアドバンテージ・ペリオード、略してCAPという概念を、この人が出したのかな、でもCAPという概念があって、これがちょっと面白かったです。
このメモはですね、どういう経緯で書かれたかというと、1980年代アメリカの株価って大きく上がったんですよね。
ゴールドマン・サックスがですね、この大きく上がったっていうものを利益の伸びと金利の低下と、絵までで説明しようとしたんだけども、4割近くが説明できずに残ったそうなんですよ。
毛布さんさんとジョンソンさんがこれに対して解明を試みたわけですよね。これで出てきた結論というのが何かというと、資本コストを上回る稼ぎが続くと見込まれる年数が伸びたから株式価値が増えたんだというふうに考
えたということです。
その食品5社のデータを見て、株価実際ついてますよね。その説明できなかった4割っていうのをどういうふうにしたら説明できるかなというふうに考えたときに、市場の成長よりも、もしくは資本コストよりも高い老育が
維持できる期間というものが伸びれば当然価値が上がるでしょう。
そういうふうに捉えれば説明できるじゃん。別に食品会社だけじゃなくて他の業界もそれ言えるよねっていうことを主張したってことですね。ポイントとしては証明じゃなくて主張だってことなんだけど。半導体の株
価が大きく落ち込んだのもこの考え方で説明ができると。
なぜかというと、95年各社で過去最高益で予想の利益も上がっていったんだけど、株価は3ヶ月後から6ヶ月後に大きく落ち込んだ。もう半分ぐらいまで落ち込んだ会社もあると。どうしてかっていうと維持できる期間、
その枠を上回るような老育を維持できる期間が短くなったんだと。
だから市況は盛り上がってる。新しい生産能力が次々と立ち上がる。でも極めてシクリカルな市場である。そうするとこれ、投資家から見たときに、こんだけ生産能力高いってことは、どっかで資本コストを下回ってしまう
ような老育になってしまうんじゃないかっていうふうに見立てを縮めたんですよね。
だから今の現状の老育ってのはファクトとしてあったとしても、何年続くかっていうことの見立てが変われば株価は下がるっていう、そういうお話です。これをですね、モーブスさんさんとジョンソンさんはチャートにして
るんですけども、チャート、縦軸と横軸で見たときに縦軸はですね、これあの老育と資本コストの差です。スプレッド。上に行けば行くほどスプレッドが大きいってことですね。
横軸に時間です。その競争優位性を維持できる時間。資本コストが老育を上回る時間っていう。縦の切片と横の切片で点を区切ってそこで線を引く。そうすると右肩下がりの直角二三角形ができるじゃないですか。この面積
が企業価値だってことなんですよね。
その老育ワークのスプレッドってのは縦軸でしょ。で横軸底辺っていうのはこれどれぐらいそれが続くかっていう年数なわけです。だからこの年数が短くなれば面積は小さくなるって話ですよね。DCFとか慣れ親し
んでる人だったら全然これってわかると思ってて、DCFによる価値の計算ってね。将来のキャッシュフローの現在価値の総和であって、キャッシュフローが何年かによって決まるじゃないですか。
この期間が短ければ当然価値は小さくなっちゃうっていうことなんだけども。まさにこの時間的な概念っていうのをモーブッさんさんたちがこのメモで出した。これちょっとね僕の中ではねひらめきがあったんですよね。
マルチプルの話に戻りますね。マルチプルEBIAT倍率というのは1-成長率割ることのロイク。これを分母枠-gで割ったものだっていう話をしてましたけども、gが永続成長率だと。
なんだけどこれ永続で置いちゃうんだけど、実際の中身は競争力を維持し続ける期間と、あとはインフレみたいに経済と同期している期間のミックスで決まるっていう風に捉える。
例えば資本コスト8%ロイク15%の会社でg4.5%って置くとするじゃないですか。これg4.5%ってのは最初から最後までずっと永遠に4.5%続くっていう風に考えることもできるんだけど、
年8%の成長が15年から20年続いて、その後はインフレ並みに伸びるっていうそのミックスで4.5%って見ることもできるわけですよね。だからこの高い成長率がある程度の期間続くっていうこの見立てが短くなると
するんだったら、
永久成長率っていうのは低くなることを意味するし、そのスプレッドの高い成長率、スプレッドの高いリターンというものが継続する期間が長くなるのであれば、永久成長率は大きくなるっていう、そういう考え方もでき
る。これがちょっと僕にとっては大きなヒントだったんですね。
ちなみに毛布さんたちの先生たちの論文の中では、この年数を決めるものとして、現状のロイク、業界の変化の速さ、参入障壁、この3つを挙げています。業界の変化の速さが早ければ早いほど期間というのは短くなるし、
参入障壁が高ければこの期間というのは長くなるというようなお話でしたね。
成長率ってやっぱりDCFやるにしても、マルチプルで考えるにしても結構議論を必要とするものではあるんだけども、細かく考えるというよりはまず考え方として、どれぐらいこの競争優位性が続くのか、毛布さん先生た
FP&Aが競争優位を計画と投資家説明に翻訳する
ちの言葉を使えばCAP、コンペティブアドバンテージピリオドはどれぐらい続くのかということを議論する方がいいんではないかなというふうに思います。
そうするとですね、どうでしょうかね。マルチプルって市場が決めるものだよね。我々会社の人間はコントロールできないよね。FP&Aもこれコントロールすることなんかできないよねっていうふうに思われているんだ
けど、実はここまで分解するとある程度影響を与えることはできるんじゃないかなと。計画を立てて投資家にコミュニケーションするための材料を揃えることができるんじゃないかなというふうに思うんですよね。
前提として僕FP&Aは翻訳家だと思っているから、AI時代なんか特にそうなんだけど、シミュレーションなんかはAIでいくらだってやってくれるわけですよ。方程式を解く解析はAIでいくらでもやってくれるんだ
けど、これを実務の言葉に翻訳をして実務での意思決定権者に納得してもらうかっていうのがFP&Aかなというふうに思っている。
だからPRを高めましょうよ。PRの式は1-g割ることのロイク、これをバック-gで割るんですって言ったって分かんないからそんなの。訂正的にもうちょっと。だから実はPRというのはある程度我々が提供できる。
その価値というものは資本効率ともう一つは実は競争優位を維持させ続けられるだけの期間、この期間を長くできるようなビジネスモデルを作ることができれば我々の価値は上がるんですっていうことができればもっと伝
わりやすくなるんじゃないかなというふうに思うんですよね。
さっき出てきた猛物さん先生たちの指摘であれば、その競争相手が入り込む余地をなくすような守りが固められるかとかね。市場の需要を効率的に取り入れることができるようになるか。その変化の速さに対応できるか
っていう。
これを実務的な計画として描くことができて、投資家にもわかりやすく説明することができれば、価値って大きく上がるんじゃないかなというふうに思っているわけです。
以前、キリンホールディングスの財務戦略部長の松尾さんのコメントをご紹介したかもしれないです。
グロービスの法人研修のサイトのところで、私とキリンホールディングスの松尾さんの対談記事をあって、それをこの間ご紹介させてもらったんだけど。
松尾さんがおっしゃってたのは何かというと、キリンホールディングスって、ロイクとか人株当たり利益っていうのはこれまでもコミュニケーションしてたんだけど、ここにPRを加えたんですよね。説明する指標と
して。
これPRっていうのは、先ほどここまでずっと話したけど、従来は投資家が決めることだからコントロールできないものということで、あんまりこのPRどうするみたいな話はできてなかったんだけど。
今やったように分解をして考えると、実は計画のレベルに落とし込むだけのものになり得るなと。改造度が高くなるなと。
PBR価値創造指標というのはROE資本効率とPR。PRは一言で言えば、どれだけその競争優位性を持って資本コストを上回るようなロイクを稼ぎ出す機関というものを長く設定できるのかというところ。
これをかつ成長させるということだと思うんだけど、この成長させるということ。これができるかどうかっていう。
これがね、松尾さんがおっしゃってた言葉、市場から公正に評価される状態を作るところまでの財務機能の仕事として引き受けるというふうにおっしゃってたんですけど、こういうことなんじゃないかなというふうに思うん
ですよね。
とても僕は今ね、一つの線に繋がったんですよね。PRを指標としては持つ。PRは投資家がつけるものだからコントロールできない。
でも公正要素を分解すると、実はある程度我々の中で影響を与える計画の中に織り込むことができる。
どれだけそのロイクを伸ばしていくか。ロイクっていうか絶対的なリターンだよね。リターンを伸ばしていくか。
と、あとはその維持できる期間というものをどういうふうにすれば長くできることができるか。これに対する答えを計画の中に生み込めれば、
企業価値はこういうふうにしてあげることができるんですって話になってくるのかなというふうに思います。
稼ぎが続く年数を幅を持って議論する
じゃあテイカーウェイの話いきましょう。これ毎回ね、この話を受けてですね、明日から我々何するのか、何をやめるのかみたいな話をしてたわけなんですけども、
やること。やっぱりね、自分が担当している事業の中で資本コストを上回る稼ぎがどれぐらい続くのかっていう、この年数を定めるっていうことはちょっとやってもいいかなと思いますよね。
かつそれをできるだけ成長し続ける。長くするっていう。これが続くか伸びるかっていうところに該当するのかなと。
ワックもコントロールできるところはあるかもわかんないけど、ただ計画の中に織り込むという意味でいうと、どうやってリターンを伸ばすのか、どうやってそれが継続できる年数を増やすのかっていうことを考える方が意
味があるかなというふうに思いましたね。
これを当てに行く必要はないわけですよね。当たんないし、測定ができないから。
ただ、訂正的な議論だけで終わらせるんじゃなくて、これぐらいの期間伸ばせるんだっていう具体的な年数、幅でもいいから、あると非常にわかりやすいというか、後でも検証しやすいのかなというふうには思いますよね。
もちろんね、こういう話っていうのは、事業部サイドは、うちのビジネスモデル強いんだからさ、長いよっていうわけですよ。でも、その時の言葉として、参入消費期は高いんですか低いんですかとか、事業はどれぐ
らい安定してるんですかとかっていうことを言う。
これによって、長さというものについての建設的な議論をすることができるのではないかなというふうには思いますね。
何度も申し上げますけど、ロイクが大事じゃないって言ってるわけじゃないですよ。ロイクめちゃめちゃ大事ですよ。金税が分析してましたけど、成長が価値を生むのはロイクが資本コストを上回った時だけなんで。
当たり前なんですけど、資本コストを上回らないロイクの場合、伸びたってそれはどんどん価値を壊していくだけだから、やっぱりロイクは前提ですね。資本コストを上回っているのは前提。
これをリプレイスする話は一切ないんだけど、資本コストを上回るロイクを出すという絶対条件の上で、プラスアルファで新しい物差しとしてのCAP、コンペティティブアドバンテージピリオド、競争優位制の期間という
ものが入ってくるのではないかなというふうに思いますね。
いかがだったでしょうか。今日ご一緒に見てきたのはロイクが答えてくれる問いと答えてくれない問いというお話でございました。
端的に言えばロイクは今この現在資本コストを上回る化石があるかという問いには答えてくれます。
でも企業価値はそれが続くか伸びるかぶれないかで決まる。
式の中の成長率G、これをA級で見ているけども、その正体というのは競争力が何年続くのかという年数。
この年数を事業の言葉に翻訳して計画に落として投資家に説明する。これがFP&Aの仕事なんじゃないかなというお話をしてきました。
FP&Aインサイトは皆さんとの対話を通じて日本のFP&Aの土台を共に高めていくことを目指しています。
お役に立ったらフォローいただけると励みになります。ご感想取り上げてほしいテーマは概要欄のリンクからお寄せください。
お相手はFP&Aアーキテクトの和静大輔でした。また次回もご一緒に。
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