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2020-12-04 21:30

10. 妊娠したかも!? 緊急避妊薬を入手しにくい日本の現状


避妊の失敗、性暴力被害……望まない妊娠をする可能性は誰にでもあり、コロナ禍では若者に増えているといいます。緊急避妊薬はそれを阻止するもので、海外では薬局で購入できる国が多いのに対し、日本では入手が容易でないという現状があります。恋人との性行為で「妊娠したかも!?」と不安になり緊急避妊薬を求めて病院にいったことのある20代女性と、LINEを使った妊娠相談サービスを提供するNPO代表のおふたりにお話をうかがいます。

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PitPaの当事者が話す人間ドキュメント ザ・フォーカスへようこそ。
この番組は、時事問題やカルチャーに焦点を当て、 インタビュー音声をもとにリアリティあふれる情報を配信していきます。
こんにちは。フリーランスで編集・ライターをしている三浦由恵です。
今回のテーマは、若年層の妊娠と緊急避妊薬。
コロナ禍で外出自粛により屋内にいる時間が増えたことや、 大人の目が行き届かないことなどを理由として、
若者たちの妊娠、中でも望まない妊娠が増えたとみられ、 現在、厚生労働省は実態調査を進めています。
望まない妊娠を未然に防ぐ方法の一つに、緊急避妊薬があります。 アフターピルとも言われますね。
現在、日本では、薬局などでは手に入らず、原則として医師の診断を受け、 処方箋を出してもらわなければいけません。
妊娠する可能性のある性行為から72時間以内、 しかも早くに服用するほど高い確率で避妊できる緊急避妊薬にとって、 これは大きなハードルとなっています。
今回はまず、望まない妊娠の不安に駆られ、 緊急避妊薬を服用したことのある女性にお話を伺いました。
この場ではルミさんと呼ばせていただきますが、 この女性は現在21歳。
妊娠したかもと思ったのは、20歳の時だったと言います。
緊急避妊薬を服用するも、その後、妊娠。 産むと選択して、現在は一時のママとなっている女性です。
その時はコンドームを使って避妊をしていたんですけど、 終わった時にゴムが破れてしまったというのに気づいて、
その時はすごく焦って、次の日に産婦人科に助診をして、 アフターピルを処方してもらったんですけど、
その時は助診後すぐ、病院を出てから服用したんですよ。
普段から避妊についてはしっかりお互い話し合って 取り組まれていたという感じですか?
お互いその時は学生というのもあったので、 自分の置かれている環境とか、
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今後のことも考えて、ちゃんと取り組むことを 避妊をしていこうというのを一度は話し合っていました。
コンドームでの避妊は、実は失敗率が高くて、 使った人の3から14%が失敗すると言われています。
だからこそ、日頃からコンドームで避妊をしている人にとっても、 緊急避妊薬は他人事ではありません。
ルミさんは、それまでに子宮経眼検診で 産婦人科を受診した経験があり、
そこでポスターなどを見て、 緊急避妊薬については知っていたそうです。
だからこそ、落ち着いて行動できたというのも あるのでしょうか?
72時間以内とかできれば早めに服用した方がいい という情報はしていたんですけど、
実際に避妊ができていなかったという場面に 直面したときに、
どうしたらいいのかとなったときに、 自分が行動したのはネットで、
避妊失敗したときみたいな感じで ネットで検索をかけたんですよ。
そうすると、一番上の方にアフタービルドとか いろいろなサイトが出てきて、
早めの受診をした方がいいとか いろいろ書かれていて、
そこで初めて知ることも結構多くて、
学校とかでも保健体育の授業で 性行為とか避妊についても勉強したんですけど、
やっぱりコンドームがメジャーで、 あんまりそれ以外のこういう方法もあるよっていうのは、
結構さらっと流す感じで、 あんまり詳しく勉強することができていなかったので、
そこはもう少し、女性にはいろんな こういう避妊の方法がありますよとか、
もうちょっと勉強して、 知識があればなというふうには思いました。
研究品ピルを飲まれたこと、 彼氏さんには伝えられてますか?
飲んだ後に報告しました。
何かおっしゃってましたか?
そうですね、やっぱり失敗しちゃったから、 そっかーみたいな感じで、
多分本人もアクターピルについて あんまりよくわかってないなっていう印象を受けました。
なので、私も相談する前に受診をして、 飲んだ後に事後報告として報告しました。
ルミさんのお話にもあった通り、緊急避妊薬については、
どうやって手に入れるか、といった情報にたどり着くよりも手前に、
緊急避妊薬という方法があることを知らない層が多い、 という問題もあります。
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そもそも日本の若者たち、中でも10代の若者は、 緊急避妊薬についてどのくらい知識があるのでしょうか?
中高生向け・保護者向けの性教育講演や、 性の健康に関する啓発活動を行う、
NPO法人ピルコンの代表、染谷アスカさん。
染谷さんが代表を務めるピルコンでは、 全国の中学・高校で講座を行っているので、
その実感を踏まえて答えていただきました。
染谷さん 講座を受けた高校生の20%くらいしか 緊急避妊薬を知らなかったんですね。
なので、わからないという方が多いと思いますし、
別の調査で、広く一般の方向けにした調査だと、 大体認知度が45%ほどだったので、
一般の方でも知らない人が半分くらいいるし、 若い人だとより傾向が強いというか、
知る機会がないというところがあるかなと思います。
また、もう一つの問題として、 価格の高さも一つのハードルとなっているようです。
20歳の時に妊娠したるみさんは、 当時を振り返って、こう話します。
るみさん ピルを処方してもらった時は、保険が効かなかったので、
診察代と処方してもらうアフターピルで、 1万円何千円かですね、1万円は超えましたね。
ちなみにそれは、るみさんお一人でご負担されたんですか?
はい、私が負担しました。
るみさんは、緊急否妊薬を服用しましたが、 その後、妊娠が発覚しました。
るみさんの体験は、緊急否妊薬も100%ではない ということを物語っています。
結果的に今は幸せということですが、 妊娠したと分かった時の気持ちはどうだったのでしょうか?
今は全然、すごい幸せだなというふうに思うんですけど、
やっぱり妊娠したというふうに聞いた時は、 正直嬉しい気持ちになれなくて、
焦りとか不安とか、これから先どうしようというふうに すごい気持ちが不安定になりましたね。
今は幸せということですが、本来であれば、 妊娠したかもどうしようという不安を感じる必要はないはずです。
また、緊急否妊薬が100%の否妊にはならないからといって、 必要な時に手にすることができるようになるまでに、
いくつものハードルがある現状をそのままにしていい ということにはならないと思います。
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一方、望まない妊娠の不安に陥った若者たちの相談を多く受けている NPO法人ピルコンの代表、ソメヤ・アスカさん。
ピルコンでは、若者が相談しやすい窓口として、 妊娠かも相談というサービスを提供しています。
LINEのお友達登録をしていただくと、ピルコン 妊娠かも相談とかで調べても出てくるものなんですけれども、
妊娠に関する相談をできますし、キーワードを検索でも、 妊娠不安とか、否妊に失敗とかを入れると、
相談内容に応じたアドバイスや支援先の情報が 自動応答で出てくるというようなLINEのアカウントになります。
今、大体1万6千名くらいの方に 登録をいただいているんですけれども、
年齢層としては、10代から20代で 全体の8割くらいを占めています。
性別については、男女比が2対8で、 女性が8割くらいですね。
今年の3月以降のコロナになって、休校になったりということで、 その時にメッセージ数が増加したということはあります。
そこを3、4月くらいから、毎月のメッセージのやり取りが、 1万件を超える日とか、1日に500件以上送る日とかというのが出てきて、
そこの影響の大きさというのは感じています。
休校期間になって、子どもたちだけで過ごす時間が増えたというのもあると思いますし、
親の目が届かないような時間帯が増えて、
もともと長期休みとかそういう時期って、 メールの相談も増える傾向があったので、
その影響があるのかなと思います。
ただ、コロナの影響で生活が不安になって、 学校がいつ再開するのかわからないというような不安の中で、
妊娠したことによる生理の遅れなのか、
そういう不安とかストレスによって、 生理が遅れているのかわからないという声が、
メール相談の中でも非常に多くなったりですとか、
あとは中には、ステイホームって言われてますけど、
同居している兄弟とか母親の恋人というような家族から性暴力を受けたとか、
パートナーの家に行くと性行為をいつも揉められて、 嫌だけれども断れないとか、
否認をしてってお願いしたけれども応じてくれなかったというような、
性暴力DVの事例もあったりするので、
コロナのいろいろなストレスとかプレッシャーの中での影響というところも考えられるかなと思います。
先ほどのルミさんも、妊娠の不安に駆られた時に、 ネットで一生懸命情報を調べたということでした。
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LINEという、若者にとって身近なツールで正しい情報が得られるというのは、 とても貴重なことです。
一方で、おそらくコロナ禍において、 こうした相談サービスや正しい情報にアクセスすることもできず、
一人で悩んだ女性も多かったはずだと、ソメ谷さんは指摘しています。
望まない妊娠をした時に、緊急被妊薬を使えば、 24時間以内の服用なら95%、
48から72時間以内の服用なら58%の確率で、 妊娠を防ぐことができます。
その緊急被妊薬を、 もっと手に入れやすくするようにしようというアクションが今起きています。
以前から社会課題とされていましたが、 コロナ禍でより差し迫ったものと見られるようになっているのです。
ソメ谷さんは、緊急被妊薬を必要な時に、 より手に入れやすくするように求める市民プロジェクトの共同代表も務めています。
具体的に、今、導入に向けてのハードルとなっているのは、
病院で医師の診察を受け処方してもらう必要がある点と、 特に若者たちにとって高額である点、
つまり、タイムリミットがある薬であるにもかかわらず、 必要な時にすぐ手に入りにくいという現状があります。
そこで、身近な薬局で、薬剤師による対面販売で 購入できるようにしようというアクションが起きているのですが、
こういった議論をするときに、 参考にされているのが海外の事例です。
他の国ではどんなふうにして手に入るのか、 ソメ谷さんに伺ってみましょう。
ソメ谷 海外ですと、日本も含めなんですが、 WHOで緊急否認薬というのは必需薬品のリストになっていて、
全ての少女、女性が手に入りやすくしないといけない というふうに決まっているお薬でもあるんですね。
日本以外の世界90カ国で、薬局で買える薬になっています。
中には、薬剤師さんを介して買える薬というのが 世界76カ国があって、
19カ国で、棚に普通に置いてあって、 自分で買えるようなOTC薬と言われるような薬になっています。
中には、未成年には無料で提供するというような国もあったり、 イギリスとかフランスですね。
あとは、学校の保健室の先生が生徒さんに困ったときに 無料で渡せるというような国もあります。
日本では、そもそも緊急避妊薬について知る機会が少ない上に、
知っていても手に入れるのが容易ではないという現状があります。
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一方、同業に向けて進もうとすると出てくる反対意見としては、
緊急避妊薬を薬局で買えるようにすると、
悪用したり、避妊を安易に考えたりする人が出てきます。
この解釈について、染谷さんはどう考えているのでしょうか。
WHOで緊急避妊薬の提供のマニュアルみたいのもあって、
今、プロジェクトチームで翻訳もしているんですけれども、
それに書いてあることも、今の日本での議論と全然違って、
緊急避妊ピルを買いに来た、求めに来たという人がいたら、
もう一つ呼びかけをしてもらうと、
もう一つ余分に普段常備できるように、
多めに渡しておきましょうとか書いてあるんですよね。
日本だと逆に、悪用・乱用を防ぐとか、
複数回服用に至らないように、
免税内服をさせたらどうかみたいな、
薬剤屋さんの目の前で服用をさせるようにして、
買いに来た人が悪用とか、
転売とかしないようにしたらどうかというような議論があるんですけれども、
やはり、まず2つ目の問題は、
妊娠の不安を抱えている人目線で、
明日生活が今後どうなるか分からないとか、
不安にいっぱいになっている中で、
まず、今抱えている妊娠の可能性を下げて、
不安を和らげていく。
その上で、これからについて困ったこととか、
トラブルとか、リスクが増えないように
どうしたらいいかというところを、
情報提供して選ぶのは、あくまで女性側であって、
そこを適切な使用になるように管理する権限というよりかは、
女性のアクセスの権利というところを
考えてほしいなというふうに思います。
可能性としての悪用する人が、
実際に困っている女性よりも優先された上で議論が進むのは、
本当におかしいことだと思います。
染め屋さんに話を伺うと、
今は薬局での交流を目指しています。
そこがゴールというわけでもないということが見えてきました。
最後に、今、妊娠したかもと思ってすごく困っている人が、
確実に緊急避妊薬を購入できるようにするには、
どういう形が理想なのか聞きました。
アクセスの視点で言えば、
できるだけ障壁は低いほうが私はいいかなと思っています。
例えば、アメリカだと自動販売機で、
緊急避妊薬が買えるとか、
若くてお金がない人に向けて、
無料で提供するという選択肢は、
私はすごく大切だと思っています。
でも、それを日本で明日からやりましょうと言うと、
やはり提供の体制であったり、
環境整備というのが必要になってくると思うので、
そのあたりは段階を踏んでとか、
どういうふうに情報を提供していくか、
というところも一緒に考えながら進めていく必要があると考えています。
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望まない妊娠はいつ、誰に起きてもおかしくないことです。
緊急避妊薬には72時間というタイムリミットがあり、
しかも早ければ早いほど妊娠を防ぐ確率も高まるという中で、
例えば、病院が車で行けるところにしかないとか、
土日は病院がやっていないとか、
どうしても病院に行く時間が取れないとか、
そうしたことで防げたはずの妊娠が防げなくなるというのは、
個人の問題ではなく、構造的な問題です。
しかし、その結果苦しむのは当事者の女性というのが現状です。
もちろん、避妊に関する性教育も大切ですが、
妊娠したかもしれないという不安はとても大きなものですし、
もしそこで妊娠すれば、中絶か出産かを選択することになります。
緊急避妊薬を薬局で買えるようにしてほしいというネット署名には、
11月15日時点で、
10万7000人以上の賛同者が集まっています。
今この瞬間にも困っている人はどこかにいます。
そのことをはじめ、
早急に進めてほしいところです。
また、性暴力の問題もあります。
望まない妊娠の中には、
性暴力被害によるものも少なからず含まれていることは明らかです。
病院で医師の診察を受けることで、
警察への被害届け提出につながったり、
体に残る加害者の証拠を採取したり、
さらには被害者支援をしている団体につなげることができるとされています。
それが被害を受けた人にとって、
メリットになることも確かにあります。
けれど、すべての人が、
産婦人間の意思に被害にあったことを話せるわけではありません。
性暴力の被害にあったと、
被害を訴えたい気持ちは今はないけれども、
まずは妊娠の不安を少なくしたいというケースもあると思います。
そういう人には、最寄りの薬局で緊急否妊薬を手に入れ、
妊娠の不安を解消した上で各方面につながるという選択肢もあっていいと思います。
選択肢は多いほどいいはずです。
今回は、若年層の妊娠と緊急否妊薬をお送りしました。
お相手は三浦ゆえでした。
当事者が話す妊娠ドキュメントThe Focus。
この番組は、ポッドキャストプロダクションピトバのオリジナルコンテンツです。
21:05
番組の感想・リクエストは、詳細欄のURLよりお待ちしています。
それではまた次回お会いしましょう。
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