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PitPaのザ・フォーカスへようこそ。
この番組は、時事問題やカルチャーに焦点を当て、
インタビュー音声をもとに、リアリティが溢れる情報を配信していきます。
14回目となる今回のテーマは、子どもを望む同性カップルの現状と課題について。
同性カップルが子どもを授かろうと思ったとき、
男女の夫婦とは何が違うのか、一体どのようなことが障害となるのか、
その試行錯誤に耳を澄ませてみましょう。
これまでテレビのドキュメンタリー番組で、
引きこもりなど様々な生きづらさについて取材してきた
ノンフィクションディレクター、吉野和穂の取材でお送りします。
おこりたばき犬ですか?この子は先でしたっけ?
飼い始めたの?
飼い始めたの。年齢はこっちの方が多いです。
今回お話しを伺ったのは、性的マイノリティ、いわゆるLGBTQと言われますが、
その中のL、レズビアンの当事者で長年妊活を続けてきた長村さと子さんと、
同性パートナーのもだまみ子さん。
だめ。お座り。うるせえ。
現在長村さんとまみ子さんは、引き取った雑種の保護犬を2頭飼い、2人で暮らしています。
あーそうですか。そうなのね。
最近その自分の声好きなんじゃない?
何が言ってるんだろうね。
代弁してみて。
絶対歌ってないと思うよ。
その日、夕食の時間にお邪魔すると、長村さんが子供の頃よく食べていたというケーキを、まみ子さんが買ってきていました。
そのケーキもうすぐで売り切れるとくださいよ。
ほんと?
お父さんとかがじゃんけんケーキ買ってきてもらったりって。
でっかい。パーンって開けるとじゃんけんして、買った人から持っていく。
やった?
家族みたいな。
そうだよね。じゃんけんしないの?各家族は。
みんな同じケーキかな。結構譲り合う体質があって、母が私これみたいな。
長村さんは現在37歳。まみ子さんは40歳。長村さんは子供を授かろうと不妊治療を受けています。
2人が出会ったのは6年前。長村さんが霧森する新宿2丁目の鉄板焼き屋、泥舟でのことでした。
もともと一人で赤ちょうちんとか飲みに行くのが好きだったので、とりあえず行って調べて、
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どっかご飯食べれたりとか、そういうノリのところとかがあればいいな、入ったら最後どうしていいかわからないとかじゃなくて、
探してた時に泥舟が見つかって、楽しかったんですよね。話したりして、思ったより怖くなかったし、緊張はしましたけど。
その時に、その日はさっ子がいて、あそこなんかいいお店だったなと思って、また行きたいな、
あのお店良かったな、あんな人いいな、あの人がいいな、みたいな感じでした。
単純に。そこが成りそめというか、ほぼ一目惚れというか、そうですね。
当時31歳だった長村さん。真美子さんの思いを受け入れるにはある不安がありました。
ずっと付き合ってた人たち、20歳から付き合ってた人たち全員に言ってたんですけど、私は子どもが欲しいと。
大体それでNGになるんですよ、関係性が。嘘じゃなくてもいろんなことでNGになったりしますけど。
長村さんは20代の頃からずっと子どもを持つことを夢見てきました。
しかしその思いが影響してか、これまでの恋人とうまくいかないことが続いていたのです。
当時は今よりもずっと同性カップルで子どもを持とうと考える人は少数派でした。
だからもうこの人と出会った時にいろいろ言ってくれたのはありがたいんだけど、私の目的はあなたと付き合うことじゃなくて、子どもが欲しい。
そういう自分を認めてくれて一緒に歩めるパートナーと一緒にいたいって思ってるからって。
そんな長村さんの思いを真美子さんは全面的に受け入れてくれました。
今一緒にいる人が私を否定せずに、その選択をいいじゃないかって言ってくれた人だったから、
しかも具体的に進めたり具体的に話し合うことができたから、すごく具体的に前に進めただけであって。
そういう背中を押してくれる人っていうのはずっと欲しかったからありがたかったよね。
一人が味方になると周りの人たちって結構味方になってきてくれたりもするから。
交際を始めてほどなく二人は結婚式をあげました。
以来子どもを授かろうと志向作務を続けています。
不妊治療と一口に言っても様々な治療法があります。
永村さんが今受けているのは人工受精。
提供してもらった精子を産婦人科へ持っていき、自分の子宮へ注入して妊娠を目指すものです。
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この日、永村さんは車で産婦人科へ不妊治療を受けに行きました。
はいよ、はいよ。
おはようございます。
おはようございます。
えっと…。
不妊治療は卵巣から卵子が排出される、排卵のタイミングが重要です。
卵子と精子が受精することで妊娠しますが、卵子が受精できる期間は短く、なるべく排卵に近いときに人工受精を行う必要があります。
まずは検査を受けて、いつ排卵するのか調べる必要があります。
目安として生理初日からおよそ14日後に排卵すると言われていますが、個人差があり、実際に検査をしてみないとわからないのです。
さらに、どんなに治療をしても妊娠できないこともあります。
治療が続けば続くほど、経済的、肉体的、そして精神的な負担は大きくなっていきます。
また、永村さんには同性カップルならではの負担もあると言います。
やっぱりちょっと、一人で病院に行くこともあったんですけど、行けるときは一緒に行ってもらえた方が助かるというか、気持ちがね。
何回か、マーミン一人で私何回か行ったことあるよね。
まあすごい落ちますよね。
なんていうのかな。
言うことに気をつけなきゃいけないから、別に結婚してないっていうことが聞かれたら答えなきゃいけないし、
そういうどこかで嘘つかなきゃいけないって気持ちがありながら病院に行くのって、なかなかヒヤヒヤするものなんですよ。
ヒヤヒヤというか、なんか悪いことをしてる気がしちゃうんですよね。悪いことでは決してないはずなんですけど。
不妊治療を行う産婦人科は、そもそも同性カップルの受診を想定していないため、診察を既婚者だけに限定するケースがあります。
ただ、戸籍等本や住民票など、身元を証明できる書類を提示すれば受診できるところも。
中村さんは、そういった産婦人科を探して受診しています。
その際、精子を提供してくれる男性を、事実婚の相手だと病院に説明し受診しているのです。
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私、もうすぐ病院に着くんで、すいません。先に行っちゃいますね。
ETCカードが残っています。
中村さんが車から降りようとしても、真美子さんはついて行こうとしません。
大丈夫?
中まではいかないんじゃないですか?
いけないですね。誰って話なの、私。
そうです。私は関係のない人なので、いきなり一緒に連れ添っても赤のタンが来るのはおかしいので、私が来れるのはここまでですね。
場合によっては治療って言っても、婦人治療ってそんなに気持ちのいいものではないので、
っていうところの体験とかっていうのは、私には分からない。やってないから。
一応、私は予定もないので。
なった時に、共有できる部分っていうのは、今は少ない病院の中では。
なったら、自分ができることっていうところでは、一緒に下までだけど行くとか、できるパートを自分がやっているだけかなというふうに思いますね。
病院には、自実婚の夫婦という説明をして受診しているので、同性のパートナーである真美子さんの存在は隠さざるを得ません。
これが愛なのかどうなのかはちょっと判断はできませんけど、できることしかできないので、
私が代わりに病院に行ければいいですけど、それができない以上、できる範囲のことはやりたいなというふうには思いますね。
真美子さんの葛藤は、精子提供を受けたり、猟師を迎える夫婦の思いに近いのかもしれません。
30分ほど経って、診察を終えた永村さんが戻ってきました。
検査の結果、永村さんの体はいつ排卵してもおかしくない状態とわかりました。
今度は薬のものを置くとちゃんと成長できるんでしょ。
成長できた。
原田先生、バッチリだということで。
ほんとよかったね。
今回何?タイミングどおりじゃん。珍しく。
そうだね。卵の中にあれがいるかわからないけどね。
明日、朝一でドナーから精子を受け取り、その足で病院へ行き、人工受精をすることになりました。
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次の生理予定日を過ぎても、生理が来なければ人工受精はうまくいったと考えられます。
それまでは調べようがありません。
子どもを授かったかどうか、生理が来ないことを祈って、あとは待つしかありません。
生理来るか来ないかみたいなときが一番ドキドキするというか、体温が上がったり下がったりすることを見ていると
上がって、下がっちゃったとか、上がっちゃったとか。
上がり続けてくれたらいいんだけど、下がっちゃったなとか。
自分の体に変化がある、チクチクするとか、そういうのとかもいちいち振り回されて調べるんですよ。
妊娠前にもそういうのが出てて、調子に乗ったりとか最初の頃してたんで。
そういう思いに振り回されるのが嫌だから、ちょっと事務的になりますよね、どんどんどんどん。
永村さんは、同性を好きになると自覚してからは、子どもを持てない、持ってはいけないと自分の気持ちに蓋をしていたと言います。
当時は、男女のカップルでも不妊治療で子どもを授かることに、世間はいまい上に冷たい視線を向けていました。
レズビアンの友人でさえ、永村さんの思いを子どもがかわいそう、親のエゴと頭から否定することもありました。
しかし、21歳の時、レズビアンで子どもを持った人のブログを見つけた永村さん。
個人の体験記を読み進めるうちに、希望を持てるようになったと言います。
以来、子どもを授かるための勉強会や交流会を主催、仲間づくりに奔走しました。
自分の子育ての周りには好意的に思ってくれる人しか、私は起きたくないなっていうのは、
自分がエゴだとか言われてしまうときにマイナス点を少しでも減らすんだったら環境を整えることだなって思うから、
肯定的な人と子どもを育てていきたい。
安心して子どもを見、育てていけるように。
永村さんはそんな思いから、LGBTQ当事者で子どもが欲しい人や子育て中の人たちをつなぐ団体、
子どもアップを立ち上げました。
現在は全国に散らばる当事者たちと交流を重ねています。
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人口受精を受けた永村さん、その後どうなったのでしょう。
生理予定日が過ぎた4日後、連絡が来ました。
生理が来てしまいました。
心の準備をしていて、もうちょっとやっぱり凹むなっていうのは思いました。
なんか、それこそ授かり物だから、そのタイミングに来るものだと信じてはいるんですけどね。
なんかある?マーミーちょっと。
まあね、佐藤も言ってたけど授かり物だからね、こればっかりは誰が悪いとか何とかっていうことではないから、
ただ、やらないともちろん絶対に子どもは授からないので、まずはまた次トライすることだね。
今回も残念ながら子どもを授かることはできませんでした。
不妊治療はまた振り出しに戻りましたが、子どもアップでつながる人々や身近な存在が永村さんの力になっています。
自分の周りはもう本当に何年もかけてずっとトライし続けてきた人とかもいて、
そういう先輩の話とかも聞いているから、なんか私なんか全然まだまだまだまだだなとか思うけど、
年月で言うとちょっと苦しいものがあるけど、生理が来るたびになんか年をとってて、
これが限られているものなんだなっていう、この生理ももちろん終わりが来る日があって、
それがあと何回なのか私は分からないし、だけどずっと続くものではないから、
期限があるものっていうのは本当に生理が来てしまったので、またどなさんにお願いして、
また時間を合わせてもらって、ランビも頑張って合わせて進んでいこうかなって思っています。
今回は子どもを授かりたいと不妊治療を続けるLGBTQ当事者の女性とそのパートナーの声を、
ノンフィクションディレクター吉野和穂が取材しお送りしました。
ナビゲーターは池田恵美でした。
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ザ・フォーカス、この番組はポッドキャストプロダクションピトパのオリジナルコンテンツです。
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