1. FishPod -釣り場で活かせる、釣り話-
  2. 33.なぜ日本の釣りは繊細なの..
2026-01-05 14:25

33.なぜ日本の釣りは繊細なのか —— 環境と釣り場から考える

「日本の釣りは繊細だ」と言われることがあります。

今回のエピソードでは、
文化論や精神論から一歩引いて、
釣り場の環境や構造という視点から、
なぜ日本の釣りが繊細になったのか、考えてみました。

今、自分が立っている釣り場。なぜそこで「工夫する釣り」が発達してきたのか。

一つの視点として聞いてもらえたら嬉しいです。


ご質問・相談 募集中


参考文献・資料

海洋・環境

  • 日本第四紀学会 編『日本の地形・地質と海』

大陸棚・海洋構造

  • 国土交通省/土木学会「日本周辺海域の大陸棚特性」
  • Emery, K.O. (1968). Continental Shelf Research

漁港・制度史

  • 水産庁『漁港法の概要』
  • 会計検査院「漁港整備事業の制度と実施状況」

港湾史

  • 宮本又郎 編『港の世界史』

釣獲圧・魚の行動

  • Alós et al. (2015). Effects of recreational fishing on fish behavior
  • Arlinghaus et al. (2017). Fish learning and hook avoidance

サマリー

日本の釣りは繊細さが強調されており、特に海釣りにおいては大陸棚の特性や釣り場の環境が深く影響しています。狭い大陸棚や豊かな生態系、特有の釣り場環境が日本の釣り文化を形作る要因となっています。また、日本の釣りはその繊細さが環境や文化に大きく影響されていると考えられています。特に、日本の釣り場環境や日本人の性質が、この繊細な釣りスタイルを形成する要因となっています。

日本の釣りの繊細さ
お聴きくださりありがとうございます さて私が見る限りどの釣りジャンルでも日本の釣りは繊細だと言われることが多いと思います
バスフィッシングでは海外と比べてルアーが小さいとか ラインが細いと言われますが私から見ると海でも同じ傾向があると感じています
そもそもライトゲームというジャンル自体が繊細と言えると思いますが仮にそうだとすると なぜ繊細になったのか
今回は日本人がこだわるのが好きだからとか 器用だからとかではなく釣り場の構造からなぜそうなったのかを中心に今回
海釣りに限定してですけれども考えてみたいと思います 今回このお話をする趣旨としては
絶対的な正解をお伝えするというよりはこれをきっかけに日本の釣り環境により興味を 持っていただいたり
単純に知識として楽しんでもらったり 釣り場で状況を俯瞰してみる視点になったりしたら嬉しいかなと思っていますので順番に
お話をしていきます 最初はやや真っ黒な視点から見ていきます
まず取り上げたいのは日本の大陸棚についてです 大陸棚とは文献によって定義が違ったりしますが
おおむね水深200メートルより浅い水域のことを指します 文献によっては130メートルより浅い場所と定義しているものもありますが
この大陸棚と呼ばれるエリアは陸地に向けていわゆる巨大なブレイクになっていて 沿岸の流れに影響を与え
日本海のエピソードでもお話ししましたように 海底の栄養園を含んだ重たい水が持ち上げられるような効果も生み出します
またこの水深域は概要と比べて相対的に浅く 太陽光が届きやすい条件になりやすいため
植物プランクトンの光合成が活発になりやすいとされています 光合成というのは酸素を生み出すものというイメージが強い方もいるかもしれませんが
実はそれ以上に二酸化炭素と水という無機物から糖分という有機物を生み出すという意味で 唯一無二のエネルギー生産の起点ですから
こういった活動が活発になる大陸棚というエリアはまさに豊かな生態系 引いては漁場の形成に重要な要素になってきます
でこの大陸棚 実は世界と比べて日本は狭いというか短いという特徴があります
研究文献がありましたがその文献では130メートルより浅いところを大陸棚として比較をした場合に 世界平均は陸地から約70キロの長さがあるのに対して
日本は約20キロと世界平均の3分の1以下の長さしかありません 一方でこの狭いということはブレイクの角度
つまり駆け上がる角度ですね陸に向かってこれが急だという意味なので 岸近くで潮流が地形に当たって黒潮
おや潮、津島弾流といった強い流れも相まって沿岸付近で水が沸き上がる動きだったり混合が起こりやすい
つまり植物性プランクトンが育ちやすい環境ができやすいということの裏返しでもあります 加えて前のエピソードでもお伝えした通り
もう一つの海の栄養素となる河川ですけれども 世界と比較して高水量が多く山勝ちな日本は当然川も多くてですね
陸地も非常に入り組んだ地形をしているので地形変化に富んでいて さらに岸近くに魚を寄せる効果があるということが言えると思います
これは端的に言うと単純な大陸だなというストック面積で比較すると 魚の総量では不利かもしれないけれども
魚が沿岸近くに集中しやすいという意味では 岸からの釣人目線で見ると世界と比べてもマクロ的にですが良い環境ではないかなと思います
釣り場環境の特性
ここまでが海の環境の話です
次に陸側つまり具体的な釣り場環境の話です 日本は360度海に囲まれていまして陸地も入り組んでいますから
陸地面積に比べ海岸線が長いという特徴を持っています 具体的には国土面積では世界60位前後ですけれども
海岸線の長さでは世界6位から7位と言われています また山勝ちなので生活圏が海に近いところにある都市が多くてですね
海までのアクセス環境は世界でもトップクラスだと思います また漁港や防波堤が多くメインの釣り場になっている点も特徴的だと思います
もっと言えば無料で足場が良い場所に24時間デイリー可能なことが多いということです
これは世界と比べると非常に特徴的なことのようでなぜそうなっているのか 私が文献等で調べた範囲ですがお話をしていきます
まずいわゆる小規模な漁村のような場所を一旦置いておきますが 平均的な世界の港は基本的に貿易目的商業を主目的に発展してきました
これは私が読んだ書籍で港の世界史という まさに世界の港の成り立ちをまとめた本があるんですけれども
それによれば海外では近隣国家との海上貿易や戦争のための軍港としての整備が早い段階で 起こったので
そうなるとイメージがつくと思いますが不特定多数が自由に出入りできない港も多かったとされています また15、6世紀頃の大航海時代において
商人がビジネス目的で整備し始めた港も多いと指摘されています で日本はというと戦乱の時代も基本的に陸路での戦闘がメインですから
大型の軍艦は海外と比べて少なかったですし 大航海時代の後半収容航路が完成したタイミングでちょうど鎖国を始めましたので
貿易目的に大型の船を迎えるような港は近代まで整備されることはありませんでした 実は唯一そのような港になりかけていた大阪の堺ですね
堺も大阪夏の陣でやけの原になります なので近代以前の日本では大規模な港湾インフラの整備というのは限定的で
地域ごとの小規模な港や船着き場が中心だったとされています 地方ごとの緩やかなルールはあったとしても
立ち入り禁止エリアが作られるケースは限定的だったと考えられ それこそ戦前まではあくまで自然地形やあっても石積みベースや木材を組んだ
波受け程度のもの港というのはまあそういうものだったと言われています そんな状況が一気に変わるのは戦後で深刻なタンパク質不足を補うために
農地改革と並び全国の漁港の近代化が図られていきます その象徴的なものが1950年に制定された漁港法で何が起こったかというと
地方自治体に対して国が多くの補助をする形で全国各地に定防が出来上がることになります 制度と補助の枠組みが共通していたため
結果として全国で似た構造の防波堤や定防が多く整備される 皆さんがイメージする漁港も多少の形や規模の違いはあれど
日本全国大体似たような形をしていると思いますがそれはこういった理由ということになります 結果として特に昔から立ち入り禁止のような文化がないところに
無料で24時間アクセス可能で しかも足場が良い定防が全国各地にですね出来上がることになります
そうするとここが釣り場になるのはある種の必然で 戦後つまり大幅な経済発展を遂げている中での日本の釣り文化は漁港にある定防を
ベースに育ってきたと言っても過言ではないと思います さて迷う期が大変長くなったんですが定防が主戦場になるとどうなるかというとこう
いったことが考えられると思います まず一つ目は車でアクセスが容易で無料の24時間開放なので釣り人が絶えず訪れやすい
ということです 当然ながら回遊性が低い魚は単純に釣られて数が減ってしまったりあるいはプレッシャー
がかかりやすい状況になってきます 海外の文献で人の流入が多いエリアの魚の行動を研究したものもありまして
そういったエリアでは釣り針や餌を避ける行動というのが確認されています それから2つ目が他の釣り人もいるので立ち位置が固定されがちということです
これは同じ立ち位置で何とか釣る方法が進化発展する方向性に働いてくることになります 3つ目が密集するので釣り人同士の距離が近いということです
釣れている人の釣りの道具や行動がなんとなくわかるので釣り方の模倣が起こったりとか 情報伝達そのもののスピードが速くなる傾向というのがあると思います
これは道具の工夫や進化にも地味に影響が大きい要素だと考えられます ここまでをまとめると日本の釣り場
特に堤防という場所は同じ場所に人が集まりやすく魚にはプレッシャーがかかりやすく しかも立ち位置や条件が大きく変えにくいという特徴を持っています
そうなると広く探すよりも同じ場所でどう工夫して食わせるか という方向に釣りが進化するのはかなり自然な流れだと思います
このような要素を踏まえるとどういう方向に道具が進化していくかというと 通常は小さく軽く自然にという方向性で洗練されていくことになります
これがライトゲームのようなまさに軽量ルアーを細いラインでゆっくり魚に見せる アプローチだったり
同じルアーでも微妙にカラーとか動かし方を変えて反応率を上げていくアプローチ のようなものにつながっていくわけです
つまり同じエリアで目の前にいる魚を何とか工夫して食わせる方向性での進化です これが広大なサーフとか湖
日本の釣り場環境
あるいは海外のような日本と比べてボートフィッシングが普及した場所では 釣り方を丁寧に合わせるというよりも広大なエリアを効率よくサーチする手法というのが
発展していくことになると思います もちろん例外的な場所もあると思いますが平均的な日本の海の釣り場
という意味では大枠このような理解で差し支えないのかなと思います 改めて沿岸部に魚が多くしかも漁港に常に無料でアクセスできる日本の釣り場環境は
世界的にも恵まれている部分が多くあると私は思いましたし 日本の釣り文化の基礎になっていることは間違いないと思います
さてここまで日本の海の釣り場環境という側面から なぜ日本の釣りが繊細になったのかについて考えてきました
ちなみに釣り場環境の面ではなくて日本人の平均的な性質が要因だとする考えもあり ましてこちらの方向からよく言われるのは日本人はそもそも
わずかな差によく気がつく性質があってわずかな道具の際を徹底的にこだわるのは それが理由であるという主張だと思います
私はこれも否定するつもりはなくてですね 今回はあまり言及しませんが私が調べた限り
そういう性質が形成された要因として言われるのは日本の四季や稲作文化だったり あるいはもともと日本が封建制で村社会だったことなどが指摘されています
長くなるのでざっくりした説明になりますが 四季の変化を感じ取って早めに対応することがそのまま精神に出血したり
わずかな四季の変化で漢字を表現する和歌などの貴族文化が 江戸時代以降に庶民にも普及していったことを指摘するものもありました
また税として聴取されていた米もですね 細かい水の管理や病気の兆候などに気を配り続ける必要があったことや
村社会の横並び意識はみんな同じというのはイコール少しの差にも敏感になる という意味で日本人の気質にも影響したという指摘です
こちらも調べれば調べるほどなるほどなと個人的には思いました まさに冒頭でお話しした通り様々な要因が考えられるので絶対的にこれが理由です
という言い方はできないんですが 環境的にも文化的にも釣りに限らずいろいろな分野でちょっとした差にもこだわって
突き詰める傾向が日本にあるのは間違いないと思います 釣りに関して言えばこういった傾向のメリットはちょっとした色や0.1gの差による
超過まで突き詰められるということですが デメリットで言えばそれを突き詰めるよりも場所移動や大幅なアプローチ変更した方が
よほど釣れるというケースもあるということだと思います まさに自分がこだわろうとしている時の否定にも肯定にもなり得ると思いますが
皆さんはどう思われましたでしょうか また感想などをお聞かせいただけたらと思います
で今回の話を通じて改めて思ったのは 日本の堤防というのはよく考えるとかなり特別な場所なんだなということです
仕事終わりにフラッと行けて夜中でも朝でも竿を出せて足場が良く しかも魚がいて全国どこにでもあると
正直これを普通だと思って釣りを始めた人多いと思いますし 私はまさに地方の港町出身ですが間違いなくその一人です
でもこうして環境や歴史を少し調べてみると長い時間の積み重ねの中でたまたま 今使わせてもらっている場所なんだという感覚にもなりました
堤防で釣りをしていると釣れてる人がいたりうまくいかなくて試行錯誤したり 隣の人のタックルが気になったり
そういう距離感も含めて日本の釣りらしさなんだと思います 最近はトラブル島で釣り禁止になるエリアも多くなっていますがこの場所がこれからも
普通に釣りができる場所であってほしいなと一人の釣り人として素直に思いました この番組は釣りの知識ノウハウを定期的に発信しています
番組やインスタグラムXをフォローいただけると更新した際に早く通知が届きますので ぜひぜひフォローをよろしくお願いします
感想などありましたら概要欄のフォームからお願いします ではお聞き下さりありがとうございました
14:25

コメント

スクロール