1. 呟ききれない話
  2. #049 知られざるバカロレア 哲..
2025-06-25 14:28

#049 知られざるバカロレア 哲学の世界

フランスの大学入試 バカロレア。みんなも哲学してこ。

エマニュエル・マクロン大統領の哲学の答案:https://www.philomag.com/bac-philo/exclusif-nous-avons-retrouve-la-copie-du-bac-de-philo-demmanuel-macron

歴代大統領たちのバカロレアの成績:https://www.rtl.fr/actu/politique/baccalaureat-pourquoi-emmanuel-macron-est-il-le-meilleur-eleve-de-tous-les-presidents-de-la-ve-republique-7900515988

言語好きな一般男性ソウイチが、英語やその他の言語に関するモヤモヤを「悪口」として吐き出しながら、言語についてあれこれ考えていくPodcastです。

番組へのご意見、ご感想、苦情、文句、反論や、言語に関する疑問・質問はおたよりフォーム
(https://accessible-root-3a9.notion.site/1cffd6aff8c780b696bdf5c59101dd7c)

YouTubeもやってます。
(https://www.youtube.com/@MedamaChannel55)

Twitter (X)も来てね。
(https://twitter.com/Soichi_ii)

サマリー

フランスのバカロレアは毎年6月に行われ、その中でも特に大学入試に必須の哲学の試験が注目されています。今年の問題には、技術への依存や真実の説得力などが含まれ、哲学がフランス人の思考の根幹であることが強調されています。バカロレアの哲学では、芸術の必要性が問い直されています。生きるためには直接必要でないかもしれませんが、人間性を表現するためには重要であるという議論が展開されています。

フランスのバカロレアの概要
この番組は、言語大好きで英語嫌いな私、ソウイチが、英語への悪口を垂れ流しながら、
言語についていろいろなことを考えていく、ポッドキャストプログラムになっています。
番組内で登場する英語への悪口は、全て私の個人的な見解ですので、どうぞご了承ください。
はい、どうもこんにちは。エイゴサーチのお時間でございます。
えっと、世間はもうすっかり梅雨に入ったんですけど、皆様いかがお過ごしでしょうか。
えっと、今日は毎年6月になると、ちょっと僕が注目しているニュースがありまして、その話をしようかなと思います。
ちょっと英語の話から外れちゃうんですが、今日はフランスの話ですね。
フランスのバカロレアという試験が、この前の週末、6月15日かな、の週末に行われました。
フランスの大学入試ですね。フランスの大学進学を望む高校生が、みんな全員受ける試験になっています。
試験、大学入試の試験なのにバカとは何事だって思うんですけど、バカロレアっていう試験をね、みんな受けるんですよ。
バカロレアって制度的にはナポレオン時代から続いている、大変に有所正しい試験なんですけど、
その中でも特にフランスのバカロレアで有名なのが、哲学の試験があるということです。
今日はこのフランスのバカロレア哲学の話をちょっとしていこうかなと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
バカロレアは毎年6月にフランスで行われるものです。
今はバカロレアには3種類あって、一般バカロレア、バカロレアジェネラルと技術バカロレア、
バカロレアテクニック、それから職業バカロレア、バカロレアプロフェッショナルっていうのがあります。
大学進学を目指す人はこの一般バカロレアっていうのを受験するんですけど、
このバカロレアの初日の朝に全生徒が必ず必修で受ける哲学の試験が毎年話題になります。
哲学の試験問題
フランスは哲学が大学入試で必須なんですよ。
どういう問題かっていうと、試験の形式としてはですね、
3問問題があるうちの1つを好きなものを選んで、それを4時間かけて回答を書くというものです。
だから朝8時から始まって昼の12時に終わるっていう感じですね。
毎年この哲学の問題を結構注目していて、ツイッターに書いたりとかしてます。
今年の問題は、一般バカロレアの問題は次の3つでした。
我々の将来は技術に依存するか。
それから真実は常に説得力のあるものか。
そして必ず1つ誰か有名な人の著作から抜粋をしてきて、それを説明しなさいという問題なんですけど、
今年の一般バカロレアでは、ジョン・ロールズ正義論の抜粋を説明しなさいという問題が出ました。
技術バカロレアの方ではですね、我々はあらゆる環境において自由か。
それから我々に芸術は必要か。
そしてアダム・スミス道徳感情論の抜粋を説明しなさいという問題が出ました。
なんかね、哲学って言うと結構難しいというか、なんか大変だなって思うんですけど。
ただ、この大学入試にその哲学があるっていうのが、やっぱりフランス人のフランス人たるゆえんというか、
フランス人を作ってるようなところがあるなぁと個人的には思ってますね。
やっぱこう、なんでもこう、哲学って考えることそのものを勉強することなので、
その授業、哲学の授業でもやっぱり議論したりとか、自分の考えを述べるとか、人と考えを交換し合うとか、
そして議論するみたいなことを哲学の授業ではやるらしいんですね。
なので、そういう意味でフランス人がフランス人であるのは、この哲学の試験があるからなんじゃないかなと思ってます。
伝説と評価
フランスのそのバカロレアの哲学の試験で言うと、ちょっと一つ伝説があって、
リスクとは何かっていう問題に対してね、ある学生がすごく早く、一瞬で解き終わって教室を出たと。
で、その学生はなんて答えたかっていうと、リスクとはこれである。
Le risque c'est çaって書いて、それを回答用紙の裏面に書いて提出したっていうんですね。
どういうことかっていうと、回答用紙の裏面にその一言だけ書くっていうのは、それ自体がリスクじゃないですか。
だって教師が裏返さなければ見られもしなかった可能性もあるわけで、
それを回答用紙そのものでリスクについて表したっていう、そういう逸話があって。
これリスクじゃなくて、大胆さとか冒険とかそういう別の単語だったりもするんですけど、
大体に似たような内容の伝説があります。
これねちょっと調べたんですけど、どうやらLe Pionっていう1978年の映画が元ネタらしくて、
別にそういう出来事があったわけではないらしいんですね。
このLe Pionっていう映画の中でこのシーンはとても有名なんですけど、この子は20点中18点を取りました。
20点中18点ってどういうあれかっていうと、フランスの試験って大体20点満点だったんですね。
必ず日本が100点満点なのと同じように。
20点満点で10点が合格点なんですよ。
20点中20っていうのはほぼ存在しない点数と言われてて、あんまり先生も出さない。
だから18点っていうのはもう実質100点みたいなもんですね、日本で言ったら。
かなりの高得点です。
そういうシーンがあって、これがおそらく元ネタだろうなとは思うんですけど、
これより前にもし伝説の元になるような逸話がもしあったんだったら、ちょっと教えて欲しいなと思っています。
ちなみに実際にバカロレアの試験でリスクとはこれであるみたいなことを書いて出したらどうなるかっていうと、
フランスの教育省が出してるバカロレアの哲学の採点基準によれば、まず短すぎる回答はダメなんですね。
なのでおそらく0点だろうという考察の記事を見ました。
あとはフランスのメディアとか見てると、だいたいこの時期にフランスの政治家とか閣僚の過去の哲学の試験、
何点バカロレアで取ったかとかっていうのが結構話題になったりします。
今のエマニュエル・マクロン大統領はとっても優秀な方で、バカロレアの哲学のマクロンが作った答案がネット記事で公開されてました。
何それ。
エマニュエル・マクロンはバカロレアの哲学の試験で20点中16点を取っていますね。
かなりの高成績ということで。
こんな感じでこの時期になるといろいろとバカロレアに関してニュースが出たりして、僕は結構楽しんで読んでおります。
どうやって解くんだろうっていうのをね、ずっと思ってたんです。
バカロレアのこの哲学なんてね、私たちにはちょっと立ち打ちできないんじゃないかって思うじゃないですか。
で、チャットGPTに聞いてみたんですよ。
バカロレアの哲学って一応解き方のセオリーみたいなのがあるんですね。
こういうふうに解答しましょうねっていうセオリーが一応ありまして、それにのっとって書いていけばとりあえずはよろしいということなんですが。
じゃあどういうことかと申しますと、一番僕がちょっと今年の問題の中で興味深いなと思ったのは、
芸術は我々に必要かという問題でした。
なのでちょっと試しにこれをね、解くにはどうしたらいいですかっていうことをね、チャットGPT先生に聞いてみました。
そうしましたら、まずこの私たちには芸術が必要か。
アボヌブゾンダーっていう問題に対して、まず最初に問題文を定義して、自分なりに再構成しなきゃいけない。
この場合だったら、必要、ブゾンっていうのは何なのか。
芸術、アーっていうのが何なのかっていうことを、まずちゃんと定義し直さなきゃいけない、自分でね。
で、必要っていうのは、必要にもいろいろあるわけですよ。
例えば、生きるのに必要とか、心、心理的に必要とか、あと社会的に社会が必要としているかどうか、みたいなこと。
アーフにも、芸術って言っても、音楽とか文学とかいろいろあるし、
あとも広い意味で言ったらリベラルアーツみたいなのもアートに入ってくるかなと思います。
そういう活動とかですかね。
芸術の必要性とは
で、次にそれを踏まえて問題をもう一度問い直してみます。
私たちは芸術を必要としているかっていうのは、芸術っていうのは生きるために必要なのかどうか。
あるいは芸術っていうのは文化的な欲求として必要なのかどうかっていう問い直しをする必要があります。
そうすると、おそらく芸術そのものは生きるために必要とはあまりならないかなっていうところかな。
そうすると、それを踏まえて考えると、芸術は生きるための生命維持っていう意味では別に必要ではないかもしれない。
だけど、私たちが豊かに生きるための人間性を表現するとか、心が満たされるために芸術は必要なんじゃない、みたいな考えが生まれてくるわけですね。
そしたら、ここでようやく問いを整理していくわけです。
私たちが芸術を必要とするのかっていう問いに対して、必要じゃないっていう立場と、人間にとって芸術は必要ですよねっていう立場。
そして最後に、必要性っていうその在り方をもう一回見直しましょうみたいな話になってきます。
ここで本論、デベロップモンをしていくわけですね。
まず芸術は必要じゃないっていう立場からいろいろ論じてみる。
ここで必ず哲学者の言葉とか、誰々さんはこう言ってました、みたいなことを必ず入れなきゃいけないんですよ。
芸術って別に生きていくのには必要じゃないよね。異色獣には特に関係ないし、何だったら贅沢品みたいな扱いされることもありますよね、みたいな話をしながら、
プラトンはこんなこと言ってました、みたいなことを付け加えたりすると。
同じように、人間には芸術は必要ですよねっていう立場からいろいろ論じてみる。
芸術っていうのは自己表現とか、感情の浄化、カタルシスには必要なんじゃないかとか、人が人間らしく生きるために芸術は必要なんじゃないか、みたいな話をしていきます。
ここでも、あの人はこう言ってた、この人はこう言ってたっていうことを論じると。
もう一つは、その必要ってのはそもそもどういうことなのかっていう。
生命を維持するために必要というよりも、やっぱりこれまでの考えからすると、私たちがより豊かに生きるためにきっと芸術は必要なんじゃないかとか、
あとは最近で言ったら、芸術、音楽療法とかさ、絵を描くことで何らかの精神疾患を治療するみたいなのとか。
そういう芸術に触れることによって体の不調が治ったりとかすることもあったりしますよね。
それから芸術教育みたいなこともあったり、あとは社会運動とかでも、デモでみんなを鼓舞するために歌を作ってみたりとか、そういう役割もあったりする。
結構そうすると、社会の中で生きるために必要、みたいな意味では芸術って必要なんじゃないの?みたいな考えができてくるわけです。
で、結論としてこれまでの話を要約しつつ、人間らしく生きるために芸術は多分必要ですよねっていう話。
それから、実用的に必要っていうことじゃなくて、精神的に必要みたいな意味で必要かどうかっていうことを問うべきなんじゃないかみたいな話で、全体をまとめて終了となります。
哲学的な議論の重要性
だからこういう、こんな感じでバカロレアの回答を書かなきゃいけない、書くようになってるわけです。
こういうのがバカロレア哲学なんですけど、こういう話って、あえてその哲学の試験っていう形を取らなくても、ちょっと友達となんか酒飲みながら話すのでも結構いけそうな気がするんですよね。
もちろんプラトンがどうとか、アリストテレスがどうとか、そういうところはまでは行かなくても、いやでもさ、生きるのには必要とは言えないけどさ、みたいな感じで、お酒飲み、なんかねちょっと話のネタぐらいにはなるんじゃないかなって思うんですよね。
僕大学でちょっと哲学っぽいことを勉強してたんですけど、やっぱ哲学ってそういう、何かしら結論を出すための学問というよりは、なんかそのみんなで話したりとかおしゃべりしたり考えたりして、それで自分の考えを形にする、みたいなその作業が哲学だと思うので。
なんか結構日常的に身近なテーマでも、哲学みたいなことができると思うので、ぜひバカロレアのこの哲学の問題をネタに一度酒を飲んでみるっていうのはね、いかがでしょうか。
ということで、今日はちょっとバカロレアの話をしてみましたけれども、もしちょっと興味がありましたら、今年のバカロレアに関する記事、フランス語にはなるんですけど、概要欄に貼っておきますので、ぜひ見てみてください。
というわけで、もし今回の話でご意見ご感想などありましたら、ぜひ何らかの形でお寄せいただけたらとっても嬉しいです。ではまた。
14:28

コメント

スクロール