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絵本と歩む
幸せは一つだけじゃない。
コミネ書店から2021年刊行された赤い手袋
ハヤシキリン文
岡田千秋絵
幸せについて考えさせられる、味わい深い絵本です。
ちびちゃんのお母さんが、ビトン型の手袋を編んでくれました。
赤い手袋の右と左はいつも一緒でしたが、
ちびちゃんは右の手袋をなくしてしまいます。
あちこち探したけれど、見つかりません。
離れ離れになった左の手袋は寂しくなります。
お母さんが新しい右の手袋を編んでくれました。
うさぎのおうちのポットづつみや、
小うさぎの帽子になっていた右の手袋は、
いつも一緒だった左の手袋のことを思い出すのでした。
右の手袋はその後、野ネズミやヤブの中の動物の手に渡り、
最後はリスのセーターになります。
ある日、左の手袋は木の枝に干されたほころびて穴が開き、
形が変わった赤いものが右の手袋だと気づきます。
それをリスが大事そうに胸に抱き寄せました。
すれ違った手袋たちはどちらも同じように幸せでした。
色鉛筆で描かれた繊細な線と色数が少ない背景と赤の対比は、
手袋の温かな質感とその存在を際立たせます。
この本を読んだ子どもたちは初め、離れ離れになった右の手袋のことを不憫に思いました。
でも、たどり着いた先々で右の手袋が必要とされ、
使われる姿に驚き、面白がりました。
人間にとって手を温める手袋が、
相手によっては帽子やセーターとなって重宝されるのです。
同じものでも立場によってそのニーズが異なるのですから。
最後に右の手袋を抱き、愛おしむリスの表情を見て、
子どもたちは、「よかったね。右の手袋もお友達ができたね。」と安堵しました。
裏表紙に書かれたリスがこちらを見つめて、
「幸せは一つだけじゃないよ。」と語りかけてくれているようです。
ナビゲーターは相川優里がお届けしました。
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3Kポッドキャスト 絵本と歩む
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