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2025-03-15 05:47

ノートが使いにくい人がいる理由~発達障害とインクルーシブデザイン~

今回は「ノートが使いにくい人がいる理由」をテーマに、発達障害を持つ方々にとっての学習環境の課題と、それに対するインクルーシブデザインの取り組みについてお話しします。特に、大栗紙工が開発した「まほらノート」やその背景にあるストーリーを通じて、教育現場での多様なニーズに応えるための新たな視点を探ります。

サマリー

ノートが使いにくい理由として、発達障害の方々が一般的なノート使用に困難を感じていることが挙げられます。この問題に対処するため、インクルーシブデザインのマホラノートが開発され、多くの当事者に喜ばれています。

ノートの使いにくさ
みなさん、こんにちは。教育カフェテラスへようこそ。進行役の水野太一です。
アシスタントの高橋紗友香です。
この番組では、国内外の教育に関する最新情報や課題、そしてその解決に向けた取り組みをご紹介していきます。
教育の今と未来を一緒に探究しましょう。
今回は、2025年2月21日に東洋経済オンラインに掲載された記事をもとに、ノートが使いにくい人がいるというテーマでお話ししたいと思います。
ノートが使いにくい、どういうことでしょう。私自身は特に不便を感じたことはないのですが。
そうですよね。この記事によると、発達障害のある方の中には、一般的なノートの使用が原因で学習に困難を感じる方がいらっしゃるようなんです。
発達障害、ですか。ギガスクール構想で一人一台端末が普及した今でも、ノートと鉛筆を使った学習は重要ですよね。
おっしゃる通りです。でも、そのノートが使いたくても使いづらいと感じる人がいるという事実に、ノートを製造販売している側も、なかなか気づけなかったようなんです。
なるほど。記事の中にOEMという言葉がありましたが、これは何ですか?詳しくはわからないのですが、聞いたことがあります。
OEMはオリジナルエクイプメントマニファクチュアリングの略で、他社ブランドも製品を製造することです。
今回取り上げる大栗志向さんは、大手文具メーカーのノートをOEM製造する中で、発達障害の方々のニーズに気づき、自社ブランドマホラノートを開発されたそうです。
そうだったんですね。きっかけは、あるセミナーで講師の先生から、普通のノートは使いにくい人がいるという話を聞いたことだったとか。
そうなんです。視覚過敏のある方は、白い紙の反射が眩しく感じたり、ノートの形線やデザインが気になったりするそうです。
全ての情報を平等に受け取ってしまう特性をお持ちの方もいる、と記事に書いてありました。必要な情報を取捨選択することは難しいのですね。
そうなんです。そこで大栗志向さんは、当事者の方々約100人の声を集め、アンケートを実施。その結果をもとに、紙の色やデザイン、形線の工夫を凝らしたマホラノートを開発されたんです。
具体的にはどんな工夫がされているんですか?
紙の色は目に優しいデモン・ナベンダー・ミントの3色。デザインはシンプルで、日付欄やイラストを無くしています。
形線にも工夫があるんですね。太い線と細い線を交互に引く太・細・交互横形や、1行ごとに薄く編み掛けを施した編み掛け横形を採用しているとか。
そうです。これにより、どこを書いているか見失うことを防ぐ効果があるそうです。
紙質にもこだわっていて、一般的なノートより少し厚めの国産の色上質紙を使用しているそうです。
裏を吊りしにくく、書きやすく消しやすいのは嬉しいですね。でも製造には手間も時間もかかるんですよね。
はい。マホラノートの編み掛け横形タイプは、印刷に一般的なノートも3倍の時間がかかるそうです。
それでも、当事者の声を聞きながら改良を重ねて完成したマホラノートは、多くの喜びの声が寄せられているんですね。
ノートが取れるようになったことで、勉強が楽しくなったという声は本当に嬉しいですね。
まさにインクルーシブデザインの賜物だと思います。
また、小学生の保護者からの要望を受けて、マス目の学習帳マホラゆったり使う学習帳も開発されたそうです。
学習帳の開発には3年もかかったんですね。
マス目の真ん中に手を打つことで書きやすさが格段に向上したというのは、目から鱗です。
本当にそう思います。
そして、マホラノートは大学との産学連携研究にもつながっているんです。
立命館大学の研究チームが、マホラノートの背景色が学習活動に及ぼす影響を検証しています。
背景色によって、ストレス対処で反応しやすい前頭・前夜の領域の活性化が低くなる可能性があるというのは、興味深いですね。
ええ。この研究結果は、発達障害のある方の学習支援に役立つ可能性を秘めていると思います。
さらに、レイフォワードマホラノートプロジェクトという寄付の仕組みも素晴らしいですね。
1冊購入すると、通常版のマホラノートが2冊、支援が必要な人にプレゼントされるんですね。
そうなんです。これまでに4200冊も届けられているそうです。
ただ、学校によっては、みんなと同じノートを使ってくださいと言われてしまうケースもあるようです。
効率的配慮が法律で義務化された後も、そのような声が寄せられているというのは残念ですね。
マホラノートの取り組み
本当にそう思います。ノートで学習のしづらさが軽減されることがあるということを知っていただき、
子どもたちの学習したい気持ちがそがれないような教育現場になってほしいと願います。
今回のお話を通して、文房具を選ぶことの重要性を改めて認識しました。
違う選択肢があることを知るだけで、学びの可能性は大きく広がるんですね。
今回のテーマをまとめますと、発達障害のある方にとって一般的なノートが使いにくいという課題に対し、
当事者の声を反映したマホラノートが開発されたということです。
はい。紙の色やデザイン、形状、紙質など様々な工夫が凝らされており、
学習の困難さを軽減する効果が期待されています。
また、大学との産学連携研究や寄付プロジェクトなど多角的な取り組みも行われています。
今回のお話を聞いて、教育現場では一人一人のニーズに合わせた柔軟な対応が求められていることを改めて感じました。
私も将来、教員になった際には今回の学びを活かしていきたいと思います。
教育カセテラス、今回はここまでです。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
また次回の配信でお会いしましょう。
ぜひお楽しみに。
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