143:「フィジカルAI」に対する違和感、一緒に解決しましょう
2026-05-23 13:58

143:「フィジカルAI」に対する違和感、一緒に解決しましょう

「フィジカルAI」って最近よく聞くけど、なんなの?今までの制御と違うの?という違和感を一緒に解決しましょう


ファナック/ロボット/NVIDIA/シミュレーション/機械学習/強化学習/生成AI/


■参考URL

ファナックとNVIDIAの提携

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/spv/2605/18/news048.html


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サマリー

本エピソードでは、「フィジカルAI」という言葉に抱きがちな「従来の制御と何が違うのか」という違和感について掘り下げています。従来のロボット制御が人間が定義したルールに基づいて動作していたのに対し、フィジカルAIは強化学習を用いて試行錯誤しながら自律的に学習・適応していく点が根本的な違いです。この学習プロセスを現実世界で効率的に行うために、NVIDIAのような企業との連携による高精度なシミュレーション技術が不可欠となっています。これにより、設計思想は「どう動かすか」から「どう学ばせるか」へとシフトし、ヒューマノイドロボットのような複雑な環境での応用が期待されていますが、従来の制御技術とのハイブリッド運用が現実的な未来像として提示されています。

オープニングとフィジカルAIへの違和感
こんにちは、つねぞうです。
デザインReview.fm、今日も始めていきたいと思います。
今日は午前中、下のこの中学校の運動会がありまして、ちょっと感染してきたんですけども、
ちょっとね、ミスをしてしまいまして、動画を撮っているつもりが撮れてなかったと。
ただ画面越しに見ているだけだったという、あるあるなね、失敗をしてしまいました。
いやー、やらかしましたね。
AIで何とかならないですかね。
ということで、今日はAIの話をしてみたいと思います。
先日ですね、CNCだったり産業用ロボットを作っているファナックというメーカーがあるんですけども、
そのファナックの新商品発表展示会に行ってきました。
もうね、右見てもAI、左見てもAI、猫も尺子もAI、特にね、フィジカルAIという言葉がね、至るところにありました。
で、最近よくフィジカルAIという言葉をよく聞くと思うんですけども、そもそもこのフィジカルAIって何なのと、
ロボットとAIが融合して世界を変えるみたいなね、そんなイメージがあると思うんですけども、
ニュースでもね、よく出てきますよね。
いろんな展示会とかでも、どーんとね、フィジカルAIと全面に出しているような印象があります。
ただこれ、機械設計とかロボットに関わっている人ほど、ちょっと引っかかるような言葉だと思うんですよ。
いやー、センサーを使って環境に適応するような制御なんて昔からやってるよねと。
これすごいめちゃくちゃ健全な違和感だと思うんですよね。
今日はその違和感をちゃんと言語化していきたいと思っています。
結論を先に言ってしまうと、同じように見えて、実はやってることがちょっと違うんだよと。
これがフィジカルAIということですね。
従来のロボット制御の仕組み
まず1回、従来のロボット、何をやっていたかというところをおさらいしてみたいと思うんですけども、
これまでのロボット、主に産業用ロボットですね。
何をやってきたか、どういうことをやってきたかというと、基本的にはティーチングですよね。
ティーチングされたように動くと。
この位置からこの位置へ動いてくださいよというのを人間が教えたり、プログラムしたりという。
その裏側にはですね、ロボットの軌道の計画計算だったり、
それをPID制御とかというので、指令に対して実際の各関節を動かして、
それをPLCで制御すると。
こういったものを色々組み合わせて積み上げてやっていると。
当然その中にはセンサーも使っています。
現状も使っています。
例えば、ロボットの反応部分につけたカメラなどで位置を修正するとか、
あとは力センサーによってその押し付ける量、押し付ける力を調整するとか。
ということで、現実と理想の間のギャップを埋めるために、
そういう環境に適応させるということは実際、今もやっていると思います。
やっているはずです。別に新しい話ではないんですね。
むしろずっとやってきた。
ただそのやり方が今までは問題というか大変だったという話なんですよね。
このフィジカルAI、今までのものと何が違うのと。
フィジカルAIと従来の制御の違い:学習の有無
一番大きい違いはルールじゃなくて、ルールに従ってはいるんですけども、
学習しているということですよね。
従来はルール通りに動くと。
フィジカルAIというのは学習して動いていると。
ここに大きな違いがあると思います。
従来のやり方というのは、状態Aなら動きなさい。
状態Bなら動きなさいというのを全部人間が書いていたんですね。
現実ってそんな単純じゃないので、
ある工場の中であれば、ある程度発生し得る条件というのは限られていると思うので、
そういう場合分けというのがある程度できると思うんですけども、
最近出てきたヒューマノイドロボットのような、
私たちの身の回り、家の中とか、広い環境で動く。
そういう場合ってロボットが置かれる状態って無限にあるんですよね。
なので、ちょっといる場所がずれたりするだけで別の状態になってしまうと。
そうすると何が起こるかというと、
今までの従来の方法であれば、そういう例外処理というか、
状態Aなら、状態Bならというのを永遠にどんどん増やしていかないと。
対応できないと。
いくら増やしても対応できない場合が出てきて、最終的に破綻してしまう。
これが従来の方法だったというわけです。
一方、フィジカルAIは何をしているかというと、
そもそもそういうルールを書かないんですよね。
しっかり書かない。
しっかり書かずに制御すると。
ここが決定的に違うところだと私は理解しています。
強化学習のメカニズムと利点
じゃあ、ルールを書かないでどうやって動いているのという話なんですけども、
ここで出てくるのが強化学習ですね。
難しく聞こえますけど、やっていることはすごいシンプルで、
一言で言うと、試してみて、うまくいったら褒めると。
これだけですね。
ロボットが何をしているかというと、まず適当に動いてみると。
結果を見て、その結果がうまくいってたらいい点数をもらうと。
だめならもらえない。
というのを永遠に繰り返していきます。
例えば、あるものをつかむというタスクで考えると、
従来は、はじ点、ものをつかむ点を計算して、
そこの点に行くまでのロボットの関節とかを計算して、
力を計算して、摩擦を考慮して、
これぐらいの摩擦力でつかもうとか、これぐらいの力でつかもうと、
あらかじめ計算して、それを目標に制御していたわけですけども、
強化学習は違うんですね。
とりあえずつかんでみると。
落としたらだめよ。持てたらOK。
これを何百回、何万回もやるんですね。
すると、最適なつかみ方というのを勝手に見つけてくれるんですね。
ここで重要なのが、どうやるかというのは教えないと。
その結果がうまくいったかどうかだけを教えるというのが、
強化学習というところですね。
なぜルールがいらないのかという話なんですけども、
そもそもルールで書ききれないからですね。
その接触とか摩擦でつかんでいるものの変形とか、
あとは当然個体差もありますよね。
ロボット自体の個体差もあるし、環境の差もあるし、
こういったものを全部モデル化するというのはやっぱり不可能なんですよ。
だから従来というのはかなり条件を限定してやっていたわけです。
産業用ロボットのように特定のワークを
ちゃんとしっかりある程度決められた位置まで運んできて、
そこで決められたように動いてつかんで運ぶと。
そういうことをやってきたわけですけども、
強化学習というものは結果さえ評価すればいいので、
中身はブラックボックスでも成立するんですね。
つまりその設計、軌道設計だったり、
つかむところの設計、プログラミング、アルゴリズムというのを
お任せしちゃってるということです。
シミュレーション技術の重要性
ただここで一つ問題があって、
そんなに何百回何万回も試せるのかという話ですね。
現実のロボットでそんな何万回もお試ししていたら
壊れてくるし、壊れちゃうこともあるし、時間もコストもかかるんですね。
なのでここで重要な技術になるのがシミュレーションですね。
コンピューター上のシミュレーション。
昔のシミュレーションで鑑賞チェックとか軌道の確認とかね、
どちらかというとその確認作業でしか使われていなかったんですけども、
今はそこが学習の場になってるんですね。
シミュレーションを使って学習すると。
ここで象徴的なのが、先ほどお話ししたFANUCとNVIDIAの提携です。
FANUCというのはロボット時代の実機の制御を持っていると。
NVIDIAは高精度なシミュレーションをできるシステムを持っていると。
この2つを組み合わせることで仮想空間に工場そのものを作れるようになってきていると。
その工場そのものの仮想空間の中でロボットを動かして、
AIに強化学習によって学習させると。
つまり現実では不可能な試行回数、
お試しする回数を仮想空間の中でどんどん回せるんですね。
これがめちゃくちゃ大きいわけです。
昔は1日100回ぐらいしか試せなかったものが、今は1秒で何千回も試せると。
そういうことができるわけですね。
なのでやっぱり経験値の桁が違うんですよね。
この経験値の桁が違うことで、
そういった強化学習によってロボットの動作を学習させるという、
今のフィジカルAIというものが現実的なものになってきたわけです。
生成AIとフィジカルAIの関係性
ここでよくある誤解なんですけども、最近よく聞く生成AI、
GPTとかクロードとかジェミニとかグロックとか、
こういった生成AIで計算資源が増えたからロボットも進化したというのはちょっと違うと思っています。
正確にはGPUとかそういった計算資源が進化したことによって、
その結果として生成AIもどんどん優秀になっていったし、
フィジカルAIも現実的なものになっていたと。
同時に伸びたということですね。
むしろその生成AIというのは、そういったGPUとかの需要を爆発させたことで、
その結果フィジカルAIもその恩恵を受け入れていると。
そういう関係かなと思っています。
設計思想の変化と今後の展望
このことによって何が変わったかというと、技術というよりも設計の考え方ですね。
これまでの設計者は、ロボットのティーチングなどをやっていた人は、
どうやって動かすかというのを考えていました。
でもこれからはどう学ばせるかというのを考えることになります。
ある意味決定論から確率というものだったり、
モデルベースからデータベースへという、この変化はかなり大きいですよね。
とはいえですね、全部がフィジカルAIに置き換わるわけではないと思います。
やっぱり高速、高精度に動くところ、量産ラインというのは、
やっぱり従来の制御が圧倒的に強いと思っています。
一方でヒューマノイドのように、人間が働く空間で一緒に動くもの、
ある意味環境の変化が大きいとか、対象の人間もいろんな動きをしますので、
そういう人と関わるところ、また全然どんな環境かわからないところ、未知な場所、
こういうところはやっぱりフィジカルAIが強いと思うんですよね。
なので現実的なところで言うと、フィジカルAIか従来かというわけではなくて、
ハイブリッドに両方使い分けていく、そういう未来になるんじゃないかなと思います。
まとめとエンディング
ということで最後まとめてみると、最初のフィジカルAIって言うけどね、
前からやってたよねという違和感、これ半分正しくて半分違うというところですね。
やっていたのはルールによって動かすところから学習によって動かすというところに変わってきたというところで、
技術も進化しているんですけども、いろんな生成AIなどを取り巻く環境によって、
その設計の方法が変わってきたと、設計哲学が転換してきたということなんですよね。
ということで今日はフィジカルAIの違和感というところで、私自身もフィジカルAIとよく聞いていたんですけども、
実際何をやっているのと、何が違うのというところに違和感を持っていたんですけども、
今回取り巻く状況を調べてみて結構腹落ちしましたね。
というところで今日のお話はおしまいにしたいと思います。
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