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2025-09-13 08:43

miiboで実現するAIドリブン経営|意思決定を支援する会話型AIの構築方法

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AIが経営の意思決定を支援する時代が本格的に到来しています。株式会社miiboでは、会話型AIプラットフォームを活用したAIドリブン経営を2023年から実践し、AIが提案した戦略を人間が検討・実行する仕組みを確立しました。本記事では、AIを単なる業務効率化ツールではなく、経営判断の強力なサポーターとして活用する「AIドリブン経営」の構築方法を解説します。

AIドリブン経営とは、AI技術を活用して意思決定や業務を最適化する経営方法です。重要なのは、AIが人間の意思決定を代替するのではなく、データに基づく客観的な分析と提案によって経営判断をサポートすることです。miiboの事例では、「Growth Buddy」というAIエージェントが、経営リスクの洗い出し、プロダクト改善ポイントの提案、チャーン防止策の提示など、多角的な経営支援を実現しています。成功には5つの必須要素(方向性の共有、リアルタイム性、アクションとの連携、透明性、自己進化)が必要であり、これらを満たすシステム構築が鍵となります。

AIが経営判断をサポートする仕組みの全体像

AIドリブン経営を実現するには、データストリーム、Tracking Agent、Growth Buddyという3つの核となる要素が必要です。データストリームは組織内の様々なデータが流れる基盤であり、売上データから社内コミュニケーションまで、多種多様な情報を横断的に扱います。この仕組みにより、AIは組織の「今」を正確に把握できるようになります。

Tracking Agentは、様々なフォーマットのデータを統一形式に変換する役割を担います。データの品質チェック、欠損データの補完、リアルタイムデータの取り込みを行い、AIが分析しやすい形に整えます。このエージェントの存在により、異なるツールやシステムからのデータを一元的に扱うことが可能になります。

Growth Buddyは、データストリームの情報を分析し、経営に関する示唆を生成する中核的なAIエージェントです。一次データと過去の示唆を横断的に分析し、過去の成功体験に基づいた提案を行います。重要なのは、AIが生成した示唆も再度データストリームに流し込まれ、継続的な学習と改善が行われる点です。

miiboのGrowth Buddyが実現する3つの支援機能

Growth Buddyは、自然言語での戦略相談、Slack上でのリアルタイム提案、経営レポートの自動生成という3つの主要機能を提供します。これらの機能により、経営陣は客観的なデータに基づく意思決定支援を24時間365日受けることができます。

自然言語での戦略相談機能では、経営者がGrowth Buddyに話しかけることで、売上推移、プロダクトの課題、成長率などの分析結果を即座に取得できます。内部ではText-to-SQLという技術が活用され、複雑なデータベースクエリを自然な会話で実行できます。この機能により、経営者はデータ分析の専門知識がなくても、必要な情報にアクセスできるようになります。

Slack上でのリアルタイム提案では、Growth Buddyが能動的に組織の状況を分析し、改善提案を行います。お問い合わせの傾向分析、プロダクトの改善点の指摘、緊急事態の検知など、人間では見逃しがちな変化をAIが察知して報告します。この機能により、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。

経営レポートの自動生成機能では、「モメンタム新聞」という社内新聞を毎日発行しています。直近のビッグニュース、社内MVP、リード顧客分析、改善点まとめなど、全データを横断した客観的な経営分析を提供します。人間では毎日まとめることが困難な包括的な情報を、AIが自動的に整理・提示することで、経営判断の質を向上させます。

AIドリブン経営を成功させる5つの必須要素

AIドリブン経営の成功には、方向性の共有、リアルタイム性、アクションとの連携、透明性、自己進化という5つの要素すべてが必要です。これらの要素が1つでも欠けると、人間がAIの提案を信頼できず、実効性のある経営支援が実現できません。

方向性の共有では、AIが企業のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)やOKR、KPIを理解している必要があります。miiboでは「North Star Prompt」という構造化プロンプトを用意し、企業の方向性や各チームの目標をAIのシステムプロンプトに組み込んでいます。この仕組みにより、AIの提案が常に企業の戦略とアラインされた状態を維持できます。

リアルタイム性の確保では、組織内で今必要とされることをAIが即座に把握し、適切なタイミングで提案を行う仕組みが重要です。データストリームによる継続的なデータ収集と、Tracking Agentによるリアルタイムデータ処理により、「今それをAIに出されても困る」という状況を回避できます。AIの提案が常に現在の組織状況に即したものになることで、実用性が大幅に向上します。

透明性と自己進化を実現する仕組み

AIのアウトプットに透明性を持たせるため、データストリームの可視化とトラッキング機能が実装されています。AIがどのデータに基づいて、どのような分析プロセスを経て提案を生成したかを追跡できる仕組みにより、経営陣はAIの判断根拠を理解し、必要に応じてデバッグや調整を行えます。

自己進化の仕組みでは、AIが生成した示唆をデータストリームに還元することで、継続的な学習と改善を実現しています。過去のAIの提案がどのように機能したかも学習材料となり、提案精度が時間とともに向上します。この循環により、AIは組織特有の文脈や成功パターンを学習し、より的確な支援を提供できるようになります。

ワーキングアグリーメントという概念も導入されており、AIと人間の間の約束事をRAGデータとして格納しています。このアグリーメントは、AIと人間のコミュニケーションの中で継続的にアップデートされ、組織とAIの協働関係が自律的に進化する基盤となっています。アジャイル開発のスクラムフレームワークから着想を得たこの仕組みにより、AIと人間のチームワークが向上します。

まとめ

AIドリブン経営は、AIを意思決定の代替ではなく、強力なサポーターとして活用する新しい経営手法です。miiboのGrowth Buddyの事例が示すように、データストリーム、Tracking Agent、分析AIの組み合わせにより、経営判断の質を飛躍的に向上させることが可能です。5つの必須要素を満たすシステム構築により、透明性が高く、継続的に進化する経営支援の仕組みを実現できます。AIのアクション領域はまだ限定的ですが、意思決定支援の分野では既に実用レベルに達しており、今こそAIドリブン経営への転換を検討すべき時期といえるでしょう。



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サマリー

今回のエピソードでは、miiboを活用したAIドリブン経営の具体的な仕組みと、そこでのAIの役割について解説しています。AIが意思決定を支援する方法や、データの取り扱い、分析の自動化がどのように行われるのかを詳しく掘り下げています。

AIドリブン経営の概念
こんにちは。今回は、共有いただいた資料をもとに、miiboで実現するAIドリブン経営について深掘りしていきたいと思います。
はい、よろしくお願いします。
AIが人間の意思決定をどうサポートするのか、その仕組みを具体的に見ていきたいなと。
AIドリブン経営、言葉だけ聞くとちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんけど、
要は、AI技術をうまく活用してですね、意思決定とか、あるいは業務の最適化を目指す、そういう経営スタイルですね。
なるほど。
で、重要なのは、AIが何かを決定するんじゃなくて、あくまで客観的なデータ分析に基づいて、人間の判断をサポートする、支えるっていう、そこがポイントなんですね。
あくまでサポート役と。
はい。それで、ご紹介いただいたmiibo社のグロースバディー、これは非常に良い例だと思いますね。
では、そのmiibo社のシステム、具体的にはどういう風に動いているんでしょうか。
まず、資料によるとデータストリームというものがあるようですが。
そうですね。それがいわば、組織の神経系みたいなもので、売上データとか、あとはスラックでのコミュニケーション履歴とか、本当にいろいろな情報がそこに流れ込んでくるわけです。
ほう。
これで、AIが会社の今をリアルタイムに把握するための基盤ができると。
ただ、データ形式ってバラバラですよね。そのままだとAIも扱いにくいんじゃ。
おっしゃる通りです。そこで重要になるのが、次のトラッキングエージェントですね。
トラッキングエージェント。
はい。これがデータの翻訳家であり、整備士でもあるみたいな、多様なデータをAIが理解できる統一された形式に変換して、さらにデータの品質チェックも行うんです。
品質チェックもそこで。
リアルタイムでこれを処理することで、常に新鮮で質の高いデータがAIに供給されるという仕組みですね。
なるほど。データが整って、それでいよいよその中核のAI、グロースバディーの登場と。これは何をするんですか?
はい。このグロースバディーがまさに頭脳部分でして、データストリームの情報を分析して、経営に役立つような提案とか気づきを生成するんですね。
提案や気づき。
で、単に分析するだけじゃなくて、過去に行った提案、それからその結果なんかもちゃんと学習データとして取り込んでいくんです。
つまり、グロースバディー自身が生み出した情報も、またデータストリームに戻って、それをもとに継続的に賢くなっていく。
この、何ていうか、自己進化のループが非常に重要なんですよ。
miibo社のシステム機能
AI自身が学習して改善していくというのは面白いですね。
じゃあ、このグロースバディー、具体的にはどんなふうに助けてくれるんですか?いくつか機能が挙げられてましたけど。
かなり実践的な機能が揃ってますね。一つは、自然言語での戦略相談。
自然言語で。
はい。経営者が例えば、最近の売り上げのトレンドどうなってる?みたいに普通に話しかけるだけで、グロースバディーが関連データを分析してパッと答えてくれる。
それはすごい。専門知識がなくても?
そうなんです。裏ではテキストとSQLみたいな技術が動いているんですけど、ユーザーはそれを意識せずに直接データからインサイトを得られる。これはかなり大きな変化ですよね。
確かに、データ分析の専門家を介さずに直接答えが返ってくるわけですね。他にはどうでしょう?
二つ目が、スラック上でのリアルタイム提案です。これは、AIがただ待ってるんじゃなくて、能動的にデータを監視して変化を見つけたら教えてくれるんです。
ほう、能動的に。
例えば、特定の顧客からの問い合わせが増えてますね。何か対応が必要かもしれませんとか、この機能についてのユーザーの声が多いですよ。改善のチャンスかも、みたいな提案をスラックに通知してくる。
なるほど。人間だとどうしても見逃してしまうような細かい変化とか兆候を捉えてくれる可能性があると。
そういうことですね。そして三つ目が、経営レポート自動生成。これは、モメンタム新聞っていう名前がついてますね。
モメンタム新聞、日報みたいなものでしょうか。
はい、そんな感じです。全社のデータを横断的に分析した結果を、毎日レポートとして自動生成してくれるんです。
例えば、今週のビッグニュースはこれとか、特に活躍したMVPは誰々とか、新しいリードの傾向とか。
うわー、それは便利ですね。これを毎日人間がやるのは確かに大変だ。
そうなんですよ。なのでこれらによって、結局24時間365日、一でも客観的なデータに基づいた分析結果とか提案を受け取れる状態になるわけです。
なるほど。AIが判断材料を整理して、そっとこれどうですかって提示してくれるような、そんなイメージですかね。
まさにそんな感じだと思います。ただ、こういうシステムが本当にうまく機能するためには、技術だけじゃ足りないんですね。資料にもあった成功のための要素が重要になってきます。
成功の要因と課題
方向性の共有、リアルタイム性、アクションとの連携、透明性、自己進化の5つですね。
方向性の共有のために、ノーススタープロンプトっていう言葉が出てきましたけど、これは?
これはですね、会社が目指すべき方向、ミッションとかビジョン、あるいは具体的なOKRKPIとか、そういういわば北極性、ノーススターにあたるものをAIにしっかりとインプットしておくということです。
これをプロンプトとして設定することで、AIが出してくる提案が、ちゃんと全体の戦略とずれないように方向付けをするわけですね。
AIが勝手な提案をするんじゃなくて。
なるほど、AIにも会社の地図というかコンパスを持たせるような感じですね。
他の要素、特に透明性とか自己進化も重要そうですね。
非常に重要です。
透明性というのは、AIの提案がじゃあなぜそうなったのか、どのデータに基づいているのかっていうのを人間が後からちゃんと追跡できるようにすること。
これができないと、やっぱりAIへの信頼って生まれないですよね。
確かにブラックボックスだと怖いですもんね。
そうです。そして自己進化。
これは先ほども少し触れましたけど、AI自身の提案の結果をまた学習データとしてフィードバックして、どんどん賢くなっていく。
特にその組織固有の文脈みたいなものを学習していくことで、時間とともに精度が上がっていく。
これは長期的に見て非常に大きな価値があると思います。
AIが組織と一緒に成長していくみたいな。
あと資料にはワーキングアグリメントという言葉もありましたね。これはどういう。
これはですね、AIと人間がチームとしてうまく共同するための一種の約束ごととか運用ルールみたいなものをAIが参照できるデータ、いわゆるRAG、リトライバルオーグメンティッドジェネレーションのデータとして格納更新していくという考え方ですね。
約束ごとをデータとして。
例えば、こういう種類の情報はこういう形式で報告してほしいとか、アラートを出す緊急度の基準はこうとか、そういうのを決めておく。
アジャイル開発の考え方にちょっと近くて、状況に応じてこの約束ごとを見直して、人間とAIの関係性自体も進化させていこうと。
へえ、面白いですね。
AIとの関係性もデザインしていくということか。
いや、今回の未募者の事例、すごくよく分かりました。
AIドリブン経営って単にツールを入れるんじゃなくて、データがあってそれを分析して学習してというサイクルを回しながら、AIを意思決定の本当に強力なサポーターとして組み込む。
そういう包括的なアプローチなんですね。
おっしゃる通りですね。
そしてそれを成功させるには、今お話にあったような方向性の共有とか、リアルタイム性、アクション連携、透明性、自己進化、こういう要素をちゃんと設計することが不可欠なんだなぁと。
ええ、そう思います。資料の最後の方にも示唆されてますけど、現状AIが自分で何かを実行するところまではまだ限定的かもしれない。
ですけど、意思決定を支援するという領域においては、もうかなり実用的なレベルに来ていると言えるんじゃないでしょうか。
そうですね。
ですから、これを踏まえてですね、皆さんのご自身の業務とか役割の中で、たとえ小さなところからでもいいと思うんですが、こういうAIによるサポート、これを導入してみると、情報への向き合い方とか、あるいは判断のプロセスがどういうふうに変わる可能性があるのか、ちょっと想像してみるのも面白いかもしれませんね。
はい。
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