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令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説
2026-04-29 05:29

令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説

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令和8年度診療報酬改定では、保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)に新たな禁止規定が設けられます。背景には、保険医療機関から特定の訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導が、社会保障費の不適切な費消を招く事例が顕在化したことがあります。現行の療養担当規則では、誘導禁止の対象が保険薬局に限定されていたため、在宅医療・訪問看護領域における新たな規律が必要となっていました。本メルマガでは、療養担当規則第二条の五の二の新設の趣旨と内容を、現場で押さえるべきポイントに絞って解説します。

療養担当規則の見直しは、「健康保険事業の健全な運営の確保」を目的として、誘導禁止の対象を在宅・介護関連サービスへ拡張するものです。第一に、新設規定は、保険医療機関が特定事業者等の利用を指示する対償として金品等を収受することを禁じます。第二に、規制対象には、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設等が幅広く含まれます。第三に、上記事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、抜け道となる迂回的な利益収受も封じられます。

改定の背景:在宅領域における誘導の規制空白

療養担当規則の現行規定には、在宅医療・訪問看護領域における誘導禁止の空白が存在していました。第二条の五は、保険医療機関から特定の保険薬局への誘導とその対償としての利益収受を禁じる規定であり、誘導禁止の対象を保険薬局のみに限定しています。このため、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には、現行ルールが及んでいませんでした。

この規制空白は、在宅医療現場における高収益構造と結びつき、看過できない問題として顕在化しました。介護保険の訪問看護の収支差率は令和4年度で5.9%ですが、高齢者住まい等に併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の例では、営業利益率が20%を超える事業者も確認されています(ただし当該数値は訪問看護事業以外を含む全社ベースの利益率である点に留意)。また、有料老人ホームの紹介手数料についても、要介護度や医療必要度に応じて高額に設定される事例があり、社会保障費の使途として疑念を持たれる実態が報じられました。

こうした問題を踏まえ、中医協は療養担当規則における誘導禁止規定の対象拡張を論点として整理しました。論点の中心は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導に対し、療養担当規則と同様の規律を設けるべきか否かにありました。議論の結果、健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、新設規定の整備が必要との結論に至っています。

新設規定の内容:第二条の五の二による誘導禁止

新設される第二条の五の二は、保険医療機関による特定事業者等への誘導を、対償としての利益収受の側面から禁止する規定です。具体的には、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うこと、その指示等の対償として当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受すること、この2つが結びついた行為を禁止します。これは、現行第二条の五が定める保険薬局向けの規律と同じ構造を、在宅・介護関連サービスに拡張するものです。

禁止規定の対象となる事業者等は、在宅医療・介護領域の主要サービスを広く網羅しています。対象は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護等の地域密着型サービス3類型、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分です。これらは、保険医療機関の患者が在宅・施設での療養生活へ移行する際に利用するサービスを、ほぼ網羅した範囲となります。

これらの事業者と「特別の関係にある事業者」も、誘導禁止の対象に含められています。具体的には、上記5区分の事業者と併せて利用される事業者であって、当該事業者と特別の関係にある事業者が対象となります。この規定により、関連事業者を経由した迂回的な利益収受も禁止対象となる構造です。なお、本規定は高齢者の医療の確保に関する法律に基づく療養の給付等の取扱い基準についても、同様の改正が行われます。

現場への影響:退院支援・在宅移行時の実務留意点

新設規定の施行により、保険医療機関は退院支援や在宅移行支援の場面で、特定事業者の紹介に伴う金銭関係の整理が必須となります。退院支援では、入退院支援部門が訪問看護ステーションや介護保険施設を患者に案内する場面が日常的に発生します。この案内自体は禁止されませんが、案内の対償として事業者から金品等の財産上の利益を収受する関係があれば、新設規定に抵触します。

実務上の留意点は、紹介と利益収受の関係性を切り離して運用することにあります。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料・業務委託費などの名目で授受される金銭が、患者紹介の対償と評価されないかを確認する必要があります。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすく、組織内での運用ルールの再点検が求められます。

患者の選択権を確保する仕組み作りも、現場の重要な対応事項となります。療養担当規則の趣旨は、保険医療機関の患者が、自由な意思で在宅・介護サービスを選択できる環境を守ることにあります。このため、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示すること、患者の意向を尊重した紹介を行うこと、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録することが、実務上の標準対応として重要性を増します。

まとめ:療養担当規則の規律拡張で在宅医療の透明性を確保

令和8年度改定で新設される療養担当規則第二条の五の二は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導と利益収受を禁止する規定です。この見直しは、保険薬局に限定されていた現行の誘導禁止規定を、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設へと拡張するもので、特別の関係にある事業者も対象に含めることで迂回的な利益収受を封じます。保険医療機関の現場では、退院支援や在宅移行支援における紹介行為と金銭関係の整理、患者の選択権を確保する運用ルールの再点検が求められます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、保険医療機関から特定の在宅・介護関連サービスへの誘導と利益収受を禁止する新たな規定が設けられました。これまで規制の空白地帯だった在宅医療・訪問看護分野で、高額な紹介料を伴う不適切な誘導が社会保障費の不適切な費消を招いていた背景があります。新ルールは、直接的な金銭のやり取りだけでなく、関連事業者を通じた迂回的な利益収受も禁じ、患者が客観的な情報に基づき自由にサービスを選択できる透明な環境の確保を目指します。

医療現場における誘導問題の提起と規制の空白
ちょっと想像してみて欲しいんですけど、高齢になった親の入居先をお医者さんに勧められて、すっかり信用して決めたとしますよね。でも実はその裏で、施設から病院に多額の紹介料が支払われていたとしたら、どう思いますか?
いやー、それ本当にショックですよね。でも驚くべきことに、つい最近まで、在宅医療とか訪問看護の世界では、これが完全に規制の空白地帯になったんですよ。
え?空白地帯って。それってつまり、特定の薬局への誘導を禁止するルールは以前からあったのに、訪問看護とか老人ホームへの紹介については何もルールがなかったってことですか?
はい、そうなんです。明確な規制がなくてですね、その結果として社会保障費が一部で不適切に使われてしまう事態が起きていたんです。
ちょっと待ってください、それってよくある不動産屋さんが裏でマージンをもらって特定の引っ越し業者だけを強く勧めてくるみたいな、あんな仕組みが医療の現場でまかり通っていたってことですよね?誰も気づかなかったんですか?
規制空白が招いた高収益構造と社会保障費の不適切利用
これがですね、実際のデータを見ると異常さがはっきりと際立ってくるんです。ここで興味深い数字があるんですが、通常の介護保険の訪問看護の営業利益率って、平均するとだいたい5.9%程度なんですよ。
5.9%、まあ一般的な数字ですよね。
ところが、高齢者向けの住まいなどに併設している訪問看護ステーションを運営する一部の事業者を見るとですね、なんと全社ベースで20%を超える利益率を叩き出しているケースが確認されたんです。
20%ですか?公的な介護サービスでその数字はちょっと異常じゃないですか?平均の4倍近いですよね。どうやってそんな利益を出していたんですか?
これが一つの要因として、患者さんの要介護度ですとか医療の必要度に応じて高額な紹介手数料が設定されていたっていう事例があったんですよ。
ということはつまり、手のかかる重症な患者さんを施設に紹介すればするほど大きなお金が動く仕組みだったってことですか?
ええ、おっしゃる通りです。要介護度が高いほど紹介料が跳ね上がるような実態があって。
なんかそれって、より重度なケアの必要な患者さんをまるで高値で取引される商品未開に扱っているようでちょっと怖い話ですよね。
そうなんです。国もこの異常な利益率と実態を目の当たりにして、これは社会保障費のシステムに深刻な穴が開いているぞと強い危機感を抱いたわけです。
令和8年度改定による誘導禁止規定の新設と対象範囲
なるほど。それで、あ、ごめんなさい。今回のディープダイブのミッションがまさにここなんですよね。
この提供された資料を元に令和8年度の診療報酬改定で新設されたルールを解き明かすっていう。
ええ、まさにそこが今回のハイライトですね。この不透明な誘導を防ぐために強力なブレーキがかけられたんです。
でも直接のお金のやり取りを禁止するだけだと正直抜け道はいくらでも作れそうな気がするんですけど。
例えば病院に直接払うのをやめて、院長の親族が経営している別の会社を通してお金を受け取るとか。
ああ、まさに以前は実際にそういう手法が行行していたんですよ。
施設側が病院の関連法人のようなダミー会社に対して架空の業務委託費とかコンサルティング料という名目でお金を支払うっていう。
うわあ、いわばマネーノンダリングみたいな紹介料のやり取りですね。
はい。でも今回の新ルールでは、そういう特別な関係にある事業者を迂回するようなルートも完全に塞がれました。
これを全体像と結びつける考えるとかなり画期的でして。
おお、徹底してますね。
ええ。訪問看護や特定施設、それから認知症グループホームなど極文にわたる幅広いサービスへの誘導と、その対価としての金品の受け取りが明確に禁止されたわけです。
現場への影響と患者の選択権確保
なるほど。別会社を通じた見返りも全てアウトになったと。そうなると病院側が退院支援をして患者さんに施設を案内する時の現場の対応もこれからガラッと変わるんじゃないですか。
現場のパラダイムシフトが起きますね。系列の施設へ患者さんを案内する事自体は禁止されていませんが、そこにお金が絡む誘導は絶対に許されなくなります。
今後は現場で患者さんに複数の選択肢を客観的なパンフレットなどで提示して、なぜその施設を紹介したのかという根拠をしっかりと記録に残すことが義務付けられるんです。
これってリスナーの皆さんやそのご家族にとってもすごく大きな変化ですよね。退院を責められて焦っている時に、ここに入ってくださいって一つの施設だけをポンと提示されるんじゃなくて、きちんとメニュー表を渡されて客観的に選べるようになるわけですから。患者の真の選択権が守られる大きな一歩ですね。
まさにそこが一番重要なポイントです。このルーグの最大の目的は単に不正なお金の流れを抜することじゃなくて、あなたが自由な意思で在宅や介護サービスを選択できる、そういう透明な環境を守ることなんですよ。
制度によって、金銭的な誘導が排除されて客観的な情報に基づく複数の選択肢が提示されるようになる。これは本当に安心です。
え、本当に大きな前進だと思いますよ。
まとめと今後の課題
ただ、ここで一つリスナーの皆さんにも考えておいていただきたいことがあるんですよね。
透明になったメニュー表を前にしたとき、今度は情報があふれる中で最終的に本当に質の高いサービスを、私たちは自分自身の目でどう見極めていけばよいのでしょうか。
制度が整った今、客観的な情報から最良の選択肢を見つけ出す力。これが次に私たちに問われているのかもしれませんね。
05:29

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