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2025-10-10 08:12

令和8年度外来医療改定の3つの焦点:生活習慣病管理料・かかりつけ医機能・外来機能分化を徹底解説

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、外来医療に関する検討結果のとりまとめが公表されました。この報告書は、生活習慣病管理料と地域包括診療料の運用実態、かかりつけ医機能の評価体制、特定機能病院等における外来機能分化の進捗状況という3つの重要テーマを扱っています。次期診療報酬改定に向けて、療養計画書の作成負担軽減、患者の継続受診を促す体制整備、医療機関間の連携強化が主要な検討課題として浮かび上がっています。

本報告書では、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定実態と継続受診率の医療機関間格差が明らかになりました。かかりつけ医機能については、機能強化加算の届出状況とかかりつけ医機能報告制度との関係性が議論されています。外来機能分化では、特定機能病院等における再診患者の長期通院実態と逆紹介推進の課題が示されました。

生活習慣病管理料の運用実態と課題

生活習慣病管理料の算定状況には、令和6年度改定を境に大きな変化が見られます。令和4年では外来管理加算が最も多く算定されていましたが、令和6年では生活習慣病管理料(Ⅱ)が最多となりました。この変化は、改定によって生活習慣病管理の評価体系が再編されたことを反映しています。

地域包括診療料の届出医療機関数は近年横ばいでしたが、算定回数は減少傾向にあります。一方、地域包括診療加算の届出医療機関数と算定回数は増加傾向を示しています。算定患者の主傷病名は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症が多い傾向ですが、多岐にわたっています。

特定疾患療養管理料については、令和6年度改定以前は生活習慣病が多くを占めていました。改定後は気管支喘息や慢性胃炎の占める割合が増加し、算定回数は大幅に減少、算定医療機関数もやや減少しています。この変化は、生活習慣病管理が特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料(Ⅱ)へシフトしたことを示唆しています。

生活習慣病管理料を算定していない理由として、対象患者が少ないこと以外に、療養計画書に記載する項目が多く業務負担が大きいことが14.4%の医療機関から挙げられています。過去に簡素化がなされたものの、依然として負担感が残っており、分科会では療養計画書のあり方について見直しの検討が必要との意見が出されました。

生活習慣病管理料を算定された患者の6か月ごとの継続算定率は、医療機関ごとにばらつきがあります。患者が治療から脱落せず継続的に受診を続けることが重要な観点であり、外来患者を対象とした調査では、定期的な受診を続ける上で必要な体制として「予約診療を行っていること」が最も多く、次いで「28日以上の長期処方に対応していること」が多く選択されています。

生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の使い分けについては、受診頻度が2か月に1回より少ない患者や検査頻度が2か月に1回より少ない患者については生活習慣病管理料(Ⅰ)の算定が多く、その他の患者については生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定が多い傾向があります。生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定した外来患者の6か月当たりの血液検査算定回数を調べたところ、平均して6か月に2回以下の頻度で算定している患者が全体の約7~9割以上でした。6か月に1回も算定がない患者も一定数を占めており、分科会では適切な医学管理が行われているか疑問があるとの意見が出されています。

高齢者の生活習慣病管理については、学会のガイドライン等において特有な状態への配慮が必要とされています。糖尿病の管理では、高齢者の患者とそれ以外の患者では治療目標の推奨が異なっています。分科会では、複数疾患への罹患やポリファーマシー、フレイルの進行などを包括的に診る役割を担うことが、かかりつけ医の重要な機能であるとの意見が出されました。

糖尿病患者に対する合併症予防の観点では、診療所又は200床未満の病院において、眼科受診を指導した患者数は平均で21.5人、中央値は0人であり、歯科受診を促した患者数は平均で14.1人、中央値は0人でした。分科会では、糖尿病患者に対する歯科受診は、オーラルフレイルの予防や口腔機能の低下への早期対応の観点から重要であり、歯科診療所への定期的な受診を促す体制がさらに必要ではないかとの意見がありました。

かかりつけ医機能の評価と今後の方向性

機能強化加算の届出医療機関数は、令和3年までは増加傾向でしたが、近年は横ばいです。算定回数は令和2年に大きく減少していましたが、令和5年には令和元年以前よりも増加しました。令和5年時点で、病院1,289施設、診療所13,518施設が届出を行っています。

外来受診した医療機関において「かかりつけ医機能に関する説明を受けたことがある」と回答した患者は38.9%、「かかりつけ医機能に関する院内掲示を見たことがある」と回答した患者は46.2%でした。機能強化加算の届出医療機関は、算定要件の一部となっている「処方薬の把握」「健診に関する相談」「予防接種」「学校医」等に関する機能を有している割合が大きくなっています。

かかりつけ医に関連した研修等については、「日本医師会のかかりつけ医機能研修」を修了又は一部受講した医師の在籍割合が最も高く43.5%でした。医学生の実習、臨床研修医の受入れを行っている診療所は約10%前後であり、専攻医の受入れを行っている診療所は約4.2%でした。

分科会では、現在の機能強化加算は地域包括診療料・加算、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料等の届出をもってかかりつけ医機能が高いと評価する考え方となっていますが、かかりつけ医機能報告制度が開始されることを踏まえると、この制度に沿った形で再検討することが求められるのではないかとの意見がありました。一方で、かかりつけ医機能報告制度は医療機関の機能を認定する制度ではなく現状を把握するための報告制度であり、地域における専門性を有する医療機関が連携して面としてかかりつけ医機能を発揮することを目指すものであるため、かかりつけ医機能報告制度と診療報酬は関連させるものではないとの慎重な意見も出されました。

地域包括診療料・加算の算定診療所では、それ以外の診療所と比較して、介護との連携に関する取組を実施している割合が高くなっています。認知症地域包括診療料・加算を算定された患者に占める65歳以上の患者の割合は、認知症地域包括診療料では約93%、認知症地域包括診療加算では約77%でした。

診療所における検査体制については、いずれの検査項目も、機能強化加算の算定医療機関において、より早期に結果を出せる体制が確保されている傾向がありました。このことは、機能強化加算が一定の体制整備を促す効果を持っていることを示しています。

外来機能分化の進捗状況と医療機関連携の課題

病院の1日平均外来患者数は長期的には減少傾向です。紹介なしで外来受診した患者の割合を病院機能別に見たところ、その割合は長期的に減少傾向にあり、令和5年は特定機能病院では34.1%、地域医療支援病院では58.5%でした。これは、外来機能分化が徐々に進展していることを示しています。

紹介割合・逆紹介割合による初診料・外来診療料の減算規定の対象病院における令和6年度の紹介割合・逆紹介割合は、令和5年度と比較して不変からやや増加していました。減算規定の対象病院における令和6年10月の再診の患者数の平均値・中央値は、令和5年10月と比較して増加しました。全受診患者に占める初診患者割合の平均値・中央値は、特定機能病院では約5%、その他の区分では約10%でした。

減算規定の対象病院の再診患者のうち約6割以上の患者は、2年以内に初診料の算定がない患者でした。平均して8割程度の患者が直近6か月以内に再診を受けています。分科会では、相当数の患者が2年以上通院していることや半年以内に外来再診していることについて、当該患者が本来逆紹介すべき患者であるのか、あるいは地域の医療機関で日常的な管理を受けつつ専門外来でフォローアップされているのか、現状のデータだけでは判断が困難であるため、今後他の医療機関への受診状況や疾患の種類等も含めて分析を行い、継続的な受診の妥当性について検討することが必要ではないかとの意見がありました。

外来診療料を算定した患者の主傷病名を見ると、特定機能病院では悪性腫瘍が約18%、指定難病が約4%、小児慢性特定疾病(悪性腫瘍除く)が約16%でした。地域医療支援病院又は紹介重点医療機関では、悪性腫瘍が約14%、指定難病が約2%、小児慢性特定疾病(悪性腫瘍除く)が約15%でした。分科会では、特定機能病院等の再診患者には悪性腫瘍のフォローアップや化学療法を要する患者など継続的な医学的管理が必要な患者が含まれていると考えられ、どのような患者が再診を継続しているのか更なる分析が必要ではないかとの意見がありました。

医療機関間の連携に関する評価として診療情報提供料(Ⅰ)、診療情報提供料(Ⅱ)、連携強化情報提供料を設けています。診療情報提供料の算定回数は、令和2年に低下し、令和3年以降は増加しています。特に連携強化情報提供料は、令和6年に算定回数が大きく増加しました。分科会では、かかりつけ医機能の充実に向け診療情報のやりとりは重要であり、診療情報提供料の算定回数増加は好ましい傾向であるとの評価がなされています。一方で、連携強化診療情報提供料は病院での算定が大きく伸びる一方で診療所では伸びておらず、その要因が算定要件が複雑であるためであるならば、要件の見直しが必要ではないかとの意見がありました。

再診患者の逆紹介を行う上での課題としては、「逆紹介を行うことについて治療管理上の不安を持つ患者の理解を得ることが困難」が最も多く、次いで「自院の複数科を受診している患者について診療科間での調整が困難」が多くなっています。1人の患者に対して病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が連携をしながら共同で継続的に治療管理を行う取組、いわゆる「2人主治医制」等の状況を調査したところ、特定機能病院では「案内をWebサイトに掲載している」が最も多く、それ以外の病院では「案内を直接患者に行っている」が最も多くなっています。診療所では「特に取組を行っていない」が最も多く、次いで「取組に関する案内を直接患者に行っている」「近隣の病院と取組に関する取り決めを行っている」が多くなっています。

分科会では、逆紹介が可能な場合には積極的に逆紹介を行うことが望ましく、特定機能病院等と地域の診療所等との連携の取組を進めるとともに、いわゆる「2人主治医制」などの導入も含め、継続的な医学管理のあり方について検討することが重要であるとの意見がありました。

まとめ

令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会の検討結果は、生活習慣病管理料の運用改善、かかりつけ医機能の評価体制の見直し、外来機能分化の推進という3つの重点課題を明確にしました。療養計画書の作成負担軽減、患者の継続受診を促す予約診療や長期処方への対応強化、医療機関間の情報連携と逆紹介の推進が、次期診療報酬改定に向けた主要な検討テーマとなります。かかりつけ医機能報告制度の開始を見据えた診療報酬上の評価のあり方や、特定機能病院等における継続的な医学管理の妥当性の検証も重要な論点として位置づけられています。



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サマリー

令和8年度の外来医療改定において、生活習慣病管理料、かかりつけ医機能の評価、外来機能分化の3つが主要な焦点となっています。これらは現在の医療体験に直接影響を及ぼし、質やアクセスの向上に向けた議論が進められています。

生活習慣病管理料の変化
こんにちは。今回はですね、共有いただいた令和7年度第13回入院外来医療等の調査評価分科会。この検討結果について、特に令和8年度の外来医療改定に向けた議論、これを一緒に深く見ていきたいと思います。
これ、今後のクリニックとか病院との関わり方にも結構影響してきそうなポイントが、あの、いくつかありそうですね。
えーそうですね。資料の中心になっているのは、生活習慣病管理量の運用ですね、それからかかりつけ医機能の評価、そして外来機能分科、大きな病院と地域の診療所の役割分担、このあたりでしょうか。
はい。
この3のテーマについて、現状どうなってて、これからどうするべきかということが話し合われてるんですね。
えー、まさに私たちが普段受ける外来医療の質とかアクセス、そういったものに直結する、まあ現在進行形の議論と言いますね。今回はこの報告書からですね、特に大事な情報、確信となるところをちょっと引き出して、それがあなたの医療体験にどうつながっていくのか、そのあたりを探っていきましょうか。
はい、お願いします。では早速、1つ目の生活習慣病管理量から見ていきましょうか。資料を読むと、令和6年度の改定で生活習慣病管理量2を算定するクリニックが増えたとありますね。これはどういう変化だったんでしょう?
はい、これはですね、まあ簡単に言うと、生活習慣病の管理に対するその評価の仕方が変わったということなんです。ただ、ここで注目したいのが、この管理量を算定するために必要な療養計画書ですね。
これは患者さんの病状とか生活に合わせて治療目標とか指導内容を記す大事な書類なんですけど、その作成が結構負担だと感じている医療機関が14%以上もあるという結果が出てるんです。
14%以上も、以前簡略化されたはずなのにまだ負担感が残ってるんですね。
そうなんですよ、まだ根強い。
なるほど、本来は患者さん一人一人のための計画なのに、その書類作成のプレッシャーで、かえって先生が患者さんと向き合う時間が減っちゃったり、そういう心配も出てきそうですね。
まさにその可能性が指摘されてるんです。丁寧な計画を作る上での障壁になりかねないと。それに加えてですね、患者さんが治療をちゃんと続けられるかっていう点も課題として上がっています。継続して受診する率に、医療機関ごとで差があるみたいで。
ああ、ばらつきが。
患者さん側からは予約したいとか、薬はちょっと長めに出してほしい、28日以上ですね、そういう声が多いっていうのは、あなたももしかしたら実感があるかもしれません。
確かに、あと糖尿病の患者さんだと、眼科とか足科との連携不足も指摘されてますね。合併症を防ぐためにはこれすごく重要ですけど、なかなか進んでいないと。
その通りなんです。特に高齢者の場合だと複数の病気を抱えていたり、ポリファーマシー、あとは体力の低下、フレイルとか、そういう特有の状態への配慮も必要になってきていますね。個々の患者さんに合わせたよりきめ細やかな対応と、あとは連携、これが今後の鍵になりそうです。
生活習慣病みたいに継続的な管理が必要だと、やっぱり身近なかかりつけ医の役割って重要になりますよね。次のテーマがそのかかりつけ医機能の評価ですけど、ここにも何か議論があるんですか。
はい。ここがちょっと面白いというか重要なポイントでして、今、機能強化加算という仕組みがあって、一定の要件を満たすとかかりつけ医機能が高いですよと評価されるわけです。一方でこれからかかりつけ医機能報告制度っていうのが始まるんですね。これはあくまで現状を把握するための制度だと認定制度じゃないんですよ。
かかりつけ医機能の評価
現状を把握が目的。
そうなんです。これをすぐに診療報酬、つまりお金の評価と結びつけるべきなのかどうか、ここに慎重な意見が出ている状況です。
なるほど。報告制度は認定じゃないと。ただ、資料には機能強化加算を届け出ている診療者の方が検査結果が早く出る体制が整っている傾向があるなんてデータも示されてますよね。これはどう見たらいいんでしょう。
それはですね、この加算が一定の設備投資とか体制整備を促してる、そういう可能性を示唆してますね。
ふむふむ。
ただそれがイコールで質の高いかかりつけ医機能のすべてを証明するわけではないと。だからこそ、この2つの制度をどう関連付けてかかりつけ医の質をどう測ってどう評価につなげるか。その根本的なところでちょっと意見が割れてる感じなんですよね。
うーん、基準が曖昧だと、私たちがどのクリニックを頼りにすればいいのか、ちょっとわかりにくくなる可能性もありますね。
そういうことですね。
さて、最後のテーマは外来機能分化、つまり病院と診療所の役割分担ですね。紹介状なしで大きな病院を受診する割合は減っていると、特定機能病院で34.1%、地域医療治安病院で58.5%。一見、分化は進んでるようにも見えますけど。
ええ、数字だけ見るとそうなんですが、問題はですね、最新の患者さんなんです。
最新ですか。
はい。特に大きな病院で非常に長く通院を続けている方が多い。データを見ると、最新の患者さんの6割以上が直近の2年間、その病院での所診がないという結果が出てるんです。
えっと、6割以上が2年以上ですか。それはちょっと驚きですね。本当にそれほど長く専門的なフォローが必要な方ばかりなんでしょうか。
そこがですね、現状のデータだけでは、なかなか判断が難しいとされている点なんです。本当に専門的なフォローアップが必要なのか、それとも地域の診療所へ戻れる、いわゆる逆紹介ができる状態なのか。
なるほど。
で、その逆紹介が進まない一番の理由として挙げられているのが、患者さん自身の不安なんですね。治療管理上の不安を持つ患者の理解を困難だと。
ああ、やっぱり患者さんからすると、慣れた病院とか先生から離れるのは不安ですよね、それは。
そうだと思います。あと、複数の診療科にかかっている場合の調整の難しさもありますね。そこで期待されているのが、病院の専門医と地域のかかりつけ医が連携する二人主治医制みたいな形なんですけど、これもまだ十分に浸透しているとは言えない状況です。
うーん、二人主治医制。
ええ、医療機関同士の情報共有を促す診療情報提供料というのは増えているんですが、特に病院から診療所への連携を強化するための連携強化診療情報提供料、これは診療所側での伸びがちょっと鈍いという課題もあるようです。
なるほど。生活習慣病管理の負担の問題、かかりつけ医の評価の難しさ、そして大きな病院から地域への患者さんの流れをどうスムーズにするか、理想と現実のギャップみたいなものが見えてきましたね。
外来機能分化の進展
そうですね。療養計画書の在り方、それから患者さんが安心して治療を続けられる環境づくり、そしてスムーズな医療連携、これらが次期改定での大きな焦点になりそうです。特になぜ長期通院が必要なのかとか、なぜ逆障害への不安が解消されないのかといった、そのデータだけでは見えない部分の深掘りがこれから求められていくんでしょうね。
いやー、今回の分析非常に感慨させられました。ありがとうございます。
最後にですね、あなたにも一つちょっと考えてみていただきたいことがあるんです。もし今後、二人主治医生のような連携がもっと当たり前になったとしたら、あなた自身の医療情報の扱われ方とか、あるいは医師とのコミュニケーション、これってどう変わる可能性があるでしょうか。そしてその変化にどう向き合っていくか。少し立ち止まって考えてみるのも面白いかもしれませんね。
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