頭痛に悩む多くの人が、市販の痛み止めで我慢したまま暮らしています。この我慢は、頭痛外来にたどり着く人の少なさと、「画像に異常がない」で終わってしまう診療経験に支えられています。そこで今回は、脳神経外科専門医の山本俊先生に、頭痛外来の診察と治療の実際を聞きました。
山本先生が伝えるのは、頭痛は正しく見分ければ減らせるという事実です。第一に、診察はまず命に関わる危険な頭痛を除外することから始まります。第二に、片頭痛と緊張型頭痛を分ける決定的な違いは、痛む場所ではなく光・音・においの過敏症状です。第三に、予防治療は月15回の片頭痛を10回、5回へと減らします。
診察は危険な頭痛の除外から始まる
山本先生の診察は、頭痛そのものではなく、頭痛による生活の支障を聞くことから始まります。緊張して診察室に入る患者に、いきなり痛みの性状を尋ねても、実際の困りごとは見えてきません。生活の支障を先に聞く姿勢が、患者中心の診療の入口になります。
生活の支障を確認したうえで、山本先生は患者を2つのパターンに分けます。ひとつは、これまで経験のない頭痛が起きて来院する人です。もうひとつは、長年同じ頭痛で困り続けてきた人です。この2つのどちらに当てはまるかが、その後の診察の進み方を決めます。
前者の「これまで経験のない頭痛」では、命に関わる頭痛を念頭に置いた質問が続きます。「人生で初めての頭痛ですか」「これまで経験がない頭痛ですか」「突然の頭痛ですか」。脳神経外科医として、山本先生はこの除外を最も大切にしています。
危険な頭痛の除外には、MRI検査が欠かせません。ただし、山本先生は画像に異常がないことを終着点にしません。画像に異常がなくても起こる頭痛を一次性頭痛と呼び、その代表が片頭痛と緊張型頭痛です。「ここで終わりではないですよ」という一言が、次の治療への扉を開きます。
片頭痛と緊張型頭痛を分けるのは過敏症状
一次性頭痛の治療では、片頭痛と緊張型頭痛の見分けが出発点になります。この2つを分ける最大の違いは、過敏症状の有無です。過敏症状は、国際的な診断基準にも含まれる条件です。
代表的な過敏症状は3つあります。光の過敏は、暗いところに行きたくなる形で現れます。音の過敏は、静かなところに行きたくなる形で現れます。においの過敏は、香水や人混みのにおいで頭痛が悪化する形で現れます。3つ目のにおいの過敏は注目されにくいものの、診断の手がかりとして重要です。
過敏症状を基準に置くと、「頭の片側が痛むから片頭痛」という理解は正しくないとわかります。痛む場所は、片頭痛と緊張型頭痛を分ける決定的な条件ではありません。片頭痛の患者に緊張型頭痛が起こることもあり、複数の頭痛が混ざる状態は珍しくありません。医師でも判断が難しいからこそ、山本先生は診断基準を軸に据えています。
予防治療は月15回の片頭痛を5回に減らす
見分けができるようになると、患者は自分の頭痛を自分で分析できるようになります。山本先生は診断基準をスライドで詳しく説明し、判断力を患者と一緒に育てます。その結果、「先月は緊張型頭痛が多かった」「今月は片頭痛が多くて辛かった」と、患者自身が言葉にできるようになります。
自己理解が進んだ患者に対して、山本先生が特に重視するのが予防治療です。予防治療は、痛みが起きてから抑えるのではなく、頭痛の回数そのものを減らすことを目指します。片頭痛には専用の薬があり、治療法は大きく進歩しています。
予防治療の効果は、患者自身が数えられる形で現れます。月に15回あった片頭痛が、治療を続けるうちに10回になり、5回になります。この減り方を患者が自分で実感できることを、山本先生は診療の共有目標としています。
まとめ:我慢せず、頭痛専門医への一歩を
頭痛は、正しく見分ければ減らせます。診察はまず命に関わる危険な頭痛の除外から始まります。片頭痛と緊張型頭痛を分けるのは、痛む場所ではなく光・音・においの過敏症状です。そして予防治療は、月15回の片頭痛を5回へと減らします。
それでも多くの人が、イブやバファリンなどの市販薬で我慢し続けています。母親が我慢する姿を見て育った人もいれば、「画像に異常はない」とロキソニンを渡されて終わった人もいます。しかし、頭痛をわかってくれる専門医は日本全国にいます。我慢をやめて受診する一歩が、生活の質を大きく変え、人生が変わるような経験につながります。
山本俊先生からの発信をもっと受け取りたい方へ
山本俊先生は、頭痛外来で患者と向き合いながら、AIを使った研究にも取り組む脳神経外科専門医です。メルマガでは、頭痛に悩む方へ専門家だから届けられる最新の治療情報を、医療従事者やAIに関心のある方へ研究・知的生産にAIエージェントを組み込む実例を、毎週土曜日に発信しています。
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サマリー
脳神経外科医の山本俊先生は、多くの人が市販薬で頭痛を我慢している現状を変えるため、情報発信の重要性を語ります。診察ではまず、命に関わる危険な頭痛を除外し、MRIで異常がない場合でも一次性頭痛の治療に進みます。片頭痛と緊張型頭痛を見分ける決定的な違いは、痛む場所ではなく光・音・匂いへの過敏症状であり、この診断基準を患者と共有することで自己理解を深めます。さらに、予防治療によって頭痛の回数を大幅に減らせることを強調し、我慢せずに専門医を受診することで生活の質が向上すると呼びかけています。
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