コストセンターって見られがちな部門が、AIっていう職場を得てですね、どうやって新しい価値創造の源泉になり得るのか。
その具体的なプロセスが見えてくる、非常に視差に富んだケースだと思います。
では早速そのあたりを少し詳しく見ていきましょうか。
まず、GMOペパボのCS部門がそのmiiboを導入する前ですね、どんな壁にぶつかっていたんでしょう。
資料を見ると、問い合わせ対応に業務時間のなんと9割が分かれていたと。
そうなんですよ。9割。
9割ですか。
うん。つまりもう日々の対応に追われちゃってて、サービスの改善提案とか顧客理解を深めるとか、そういうより戦略的な業務ですよね。
そこに時間を割く余裕がもうほとんどなかった。
しかも簡単に人も増やせない、そういう状況だったんですね。
うーん、それは厳しいですね。
ええ。これは多くの企業のCS部門が抱えている共通の悩みかもしれないですね。
それに加えてもう一つ、見過ごせない課題があったそうですね。
はい。それがサイレントカスタマーの問題です。
サイレントカスタマー。
ええ。アンケートを取ってみるとですね、問い合わせたいことはあるんだけど、電話したりフォーム入力したりするのがまあ面倒だなとか、人に聞くのがちょっと苦手でみたいな。
そういう理由で結局問い合わせを諦めちゃうお客さんが結構な数いるってことがわかってたんですね。
ああ、なるほど。
これは企業側からすると、本当は拾い上げたいんだけど拾いきれてない貴重な声なわけですよね。
なるほど。つまり目の前の業務を効率化したい。
でも同時にこれまでリーチできてなかったお客さんの声もちゃんと拾い上げたい。
この2つのなんかちょっと矛盾するような目標を同時に達成しないといけないっていうそういう状況だったんですね。
まさにそういうことです。
そこでこう白羽の矢が立ったのが会話型AIのミーボだったと。
AIツールって今星の数ほどありますけど、なぜミーボだったんでしょう。
やっぱりその専門家じゃなくても扱える手軽さみたいなところが大きかったんですかね。
まさにそこが大きなポイントでしたね。
ここで特に注目したいのは、専門的な技術知識を持ってないCS部門のメンバー自身がですね、
AIの応答精度を上げるための仕組み、具体的にはRAG環境って呼ばれるものの構築とか、
あとは日々の保守、チューニング、これを比較的簡単にできたっていう点なんです。
RAG環境ですか。それはもうちょっと詳しく教えていただけますか。
社内のマニュアルとかFAQとか、そういった特定のしかも最新の情報源、ドキュメントですね。
これを参照するようにする仕組みなんです。
ふむふむ。
これによってAIは一般的な知識だけじゃなくて、その企業独自のちゃんとした正確な情報に基づいて回答できるようになるんですね。
このRAG環境の構築とか維持がmiiboだとプログラミング知識がなくてもかなり扱いやすかった。
それが決め手の一つになったみたいですね。
なるほど。つまりAIにいわばカンペを持たせてるみたいな。
そういうイメージですね。
しかもそのカンペの更新を現場でできる。
そうなんです。
外部のエンジニアにいちいち頼まなくてもいいから、変化にも素早く対応できるわけですね。
GMOグループ内のAIセミナーで学んだCSメンバーが中心になって進めたっていう話も聞きました。
やっぱり現場主導で進められたっていうのが後々の成功につながる鍵だったのかもしれないですね。
おっしゃる通りだと思います。
やっぱり顧客の声を直接聞いてるサービスの機微を一番よくわかってる現場のメンバーが自分たちの手でAIを育てていけると。
このオーナーシップというか当事者意識が単なるツール導入に終わらない主体的な活用とか改善サイクルを生んだと言えるでしょうね。
さて、その導入の結果なんですけど、これが本当に面白いんですよ。
まず人間が直接対応する工数を平均でなんと50%も削減できた。
え、50%?
これはもう目標を大幅に上回る成果だったそうですけど。
でも私がもっと驚いたのは問い合わせの総数自体は減るどころがむしろ増えたっていう点なんです。
普通効率化したら問い合わせ減ると思いますよね。
そう考えるのが自然ですよね。
うーん。
でもここにAI導入の本質的な価値の一つが現れてるんですね。
基本的な質問とか定型的な手続きに関する問い合わせの多くをAIが即座にしかも24時間対応してくれるようになった。
これでこれまでこんなこと聞いてもいいのかなーとか手間だなーって問い合わせを躊躇っていたいわゆるサイレントカスタマーショーがですね、気軽に質問できるようになったと考えられるわけです。
なるほど。敷居がぐーっと下がったわけですね。
ええ。その結果として全体の問い合わせ件数は増えたんです。
うんうん。
でもその多くはAIが解決できる範囲のものだった。
だから人間が介入すべきより複雑で個別性の高い相談にCS担当者が集中できるようになったんですね。
あー。
だから友人対応のコースは大幅に削減しながらも結果的にはより多くのお客さんの声にお答えられる体制ができたと。
問い合わせをしたお客さんの実に70%がまずAIエージェントを利用したっていうデータもこの状況を裏付けてますね。
へー、70%ですか。AIがまず一重家としてしっかり機能して人間はより高度な問題解決に専念できる見事な分業体制ができたんですね。
ええ、そういうことです。
これは当初の想定を遥かに超える効果だったんでしょうね。
そうなんですよ。当初設定してたKPIありましたよね。重要業績評価指標。これを早々に達成しちゃって。
おお。
目標自体を見直す必要が出たことだったそうですから。
単にツールを入れただけじゃなくて、それを活用する戦略と運用がすごく的確だったっていう証拠ですよね。
ただまあ、AI導入して自動応答させればそれでOKみたいな、そんな単純な話ではなかったんですよね。成果の裏には結構地味な努力があったとも聞きました。
まさに、そこがGMOペパボの成功を支えるもう一つの重要な柱ですね。彼らはAI応答の量だけを追ったんじゃなくて、質に徹底的にこだわったんです。
質ですか。
単にAIが何件応答したかっていう回答率じゃなくて、お客さんがその回答で本当に問題を解決できたか、これを示す正答率を一番大事な指標として追跡したんです。
なるほど。質にこだわるっていうのは具体的にはどういうことなんでしょう?
単に答えられたかどうかっていうんじゃなくて、お客さんが本当に満足したかを見るために、例えばAIとの会話の途中で離脱しちゃう率とか、そういうのを細かく分析したんですね。
ある特定の回答の後に離脱が多いって分かれば、その回答が分かりにくい、あるいは不十分だって判断できるじゃないですか。
確かに。
そこでベテランのCS担当者の知見も借りて、その説明文をもう根本的に書き直すみたいな、そういう地味な改善を重ねていったんです。
なるほど。顧客の行動データがAIのいわば先生になったわけですね。
そうですね。
それでも、AIに読み込ませるFAQの書き方を工夫したりとか、一つの質問に対してAIとのやり取りが長引いちゃってる、いわゆるラリー回数が多い箇所を特定して、もっと簡潔で的確な回答が出せるようにチューニングしたりとか、まさに日々の運用の中でAIを育てていったんですね。
その通りです。こうしたその質への悪な期追求が顧客満足度を高めて、AIへの信頼を生んげ、結果として利用率の向上にもつながった。まさに向上感ですよね。
ええ。そしてこの業務効率化とAI運用のノウハウの蓄積が、さらに予想外の展開を生むわけですね。
効率化で生まれた時間を使って、なんと11名ものCS担当者が従来のいわば受け身の問い合わせ対応業務からサービス改善なんかを企画プロシーンするディレクターのような、いわば攻めのポジションへと役割を変えたというんです。
これは組織にとって非常に大きなターニングポイントですよね。これをもう少し大きな文脈で捉えると、従来カスタマーサポート部門というのは、どうしてもコストセンター、つまり費用がかかる部門って見られがちだったじゃないですか。
まあそうですね。
でもこの事例は、CS部門が日々蓄積している顧客の声とか、サービスへの深い理解、こういった知見こそが、実は新しい価値を生み出す、まさに宝の山であるっていう可能性を示してるんですね。
AIによって提携業務から解放された人材が、その専門性を生かしてリスキリング、つまり新しいスキルを身につけることで、プロダクト改善とか新機能開発といった、まさにプロフィットセンターとしての役割を担い始めたわけです。
AI導入が単なる業務効率化を超えて、人材の潜在能力を開花させて、組織全体の価値創造力を高める起爆剤になった。これは感動的な事例とすら言えるんじゃないでしょうか。
本当ですね。守りの最前線だった場所が、攻めの起点になったと。しかも話はまだ続くんですよね。このCS部門での成功体験とノウハウが、なんと新しいサースビジネスにまで発展した。それがGMO速レスAIですね。
はい、そうなんです。これは自分たちがMEVを使って実現したCS業務の効率化とか、質的向上のノウハウ、その成功体験そのものを他の企業にも提供しようというサービスですね。単にAIツールを提供するだけじゃなくて、GMOペパボ自身が約1ヶ月で行ったという効果的な導入プロセスとか、
あとは約3ヶ月かけて行ったという精度向上のためのチューニング手法とか、そういう実践的な知見まで含めてパッケージ化しているという点が非常にユニークなんです。
ということは、導入する企業は手探りでAI導入を進めるんじゃなくて、成功事例に基づいた、いわば最短ルートで質の高いAIサポートを立ち上げられる可能性があるということですね。
ええ。
これは導入する側にとってはすごく心強いですね。
まさに単なる一問一答だけじゃなくて、AIがお客さんに追加の質問を投げかけて状況を正確に把握したりする、いわゆるヒアリング機能とか、あとはユーザーの回答に応じて会話の流れを変えるシナリオ分岐みたいな、そういうより高度なコミュニケーション設計も可能になっているんですね。
これで顧客体験の質をさらに高めることを目指していると。
なるほど。
導入企業の中には単なる問い合わせ対応としてだけじゃなくて、例えばウェブサイトを訪れたお客さんに対して、AIが能動的に何かお困りですかって話しかけてニーズに合った商品を提案するみたいな、ちょっとセールスに近い使い方をしている例もあるとか。
ああ、なるほど。
AIの活用範囲がなんか当初の想定を超えてどんどん広がっている感じですね。
ええ、まさに動部は使い手次第っていうことですよね。
技術の可能性を最大限に引き出すのは、それをどう生かすかっていう人間の側の知恵と工夫なわけです。
このサービス自体がGMOペパボのCS部門が攻めに転じたことの具体的な成果の一つとも言えるでしょうね。
さてここまでGMOペパボのこの一連のちょっとドラマチックな変革を見てきましたけど、あなたはこの流れどう受け止めますか。