社内で何か手続き、例えば育休から復帰するぞとか、あれば副業を申請したい、みたいなときですね。
これって人事部に聞けばいいのかな?あ、でも経理にも関係ある。いや、法務の確認もいるかもみたいに。
いくつかの部署にまたがる質問で、どこから手をつければいいかちょっと困っちゃった経験ってありませんか?
担当部署がはっきりしないと、情報を集めるだけで結構時間も手間もかかっちゃいますよね。
今回はですね、まさにそういったちょっと複雑になりがちな社内の問い合わせに対して、一つのAIだけで頑張るんじゃなくて、
複数の専門AIエージェントがまるでチームみたいに連携して解決策を示してくれるという新しいアプローチについて掘り下げていきたいなと思ってます。
情報源としては株式会社miboさんが提供しているmiboエージェントハブという技術がありまして、それに関するセミナーの内容を元にしています。
この技術が実際にどういうふうに使われているのか、具体的な事例なんかも見ながら探っていきます。
この複数のAIが連携するっていう仕組み、これが具体的にどう動くのか、
今までみたいに一つの大きなAIを使うやり方と比べて、何がそんなに画期的で、私たちの働き方にどんな変化をもたらす可能性があるのか、
提供された情報をもとに、その革新部分を一緒に紐解いていきたいなと。
専門家の方にもお越しいただいていますので、具体的なデモ事例なんかも見つつ、その可能性を探っていきましょう。
ではまず、この仕組みの土台になっているMevoというプラットフォームについて少し教えていただけますか。
セミナーのお話だと、これもうすでに3万人以上が利用されていて、プログラミングの知識がなくても、いわゆるノーコードで対話型のAIを開発できるものだそうですね。
はい、おっしゃる通りです。
Mevo自体は対話AIを誰でも比較的簡単に作れて運用できる、そういう基盤ですね。
AIを作るだけじゃなくて、その後の運用、例えばAIへの指示、プロンプトの調整ですとか、知識、ナレッジの管理、
あとスラックとかTeamsといったビジネスチャットとの連携、利用状況の分析、ログ分析ですね。
そういった必要な機能が一通り揃っているのが特徴です。
なるほど、作るだけじゃなく運用まで見据えていると。
そして今回の本題であるMevoエージェントハブですが、これはですね、2024年の4月に出たばかりアルファ版ですけど、比較的新しい機能になります。
ここがポイントなんですけど、これは単体のAIが全部をこなすんじゃなくて、複数のそれぞれ専門分野を持つAIエージェント、
例えば人事手続き担当AIとか経費生産担当AI、ホーム相談AIみたいな、そういう専門家たちをあたかも一つのチームのように連携させるためのハブ、中継点となる仕組みなんですね。
へー、チームで連携するAIですか?それはどういうふうに動くんですか?
裏側にはオーケストレーションAIという、言ってみればチームの司令塔とか交通経理役のようなAIがいまして。
司令塔、はい。
ユーザーさんから問い合わせが来ると、このオーケストレーションAIがまず内容を判断して、これは人事と経理の知識が必要だなとか、そういう形で最適な専門AIエージェントにタスクを自動で振り分けて実行させるという流れになります。
なるほど。さらに面白いのが、個々の専門AIエージェントもこのオーケストレーションAIを通じて、他のエージェントに必要な情報を自律的に問い合わせたりとか、情報を組み合わせたりして、より複雑な問い合わせに対応できるという点なんです。
あー、なるほど。司令塔がいて、その指示で専門家たちが協力し合うみたいなイメージですね。
まさに。API連携とかスラックボット連携もできるということは、例えば社内システムで何か申請が承認されたら、それをきっかけ、トリガーにして関連部署のAIが自動で次の手続き案内を送るみたいな、そういうことも可能になるってことですね。
おっしゃる通りです。業務プロセス自体の自動化にもつながっていく可能性はありますね。
でもここでちょっと素朴な疑問というか、それなら一層のこと、全部署の知識を全部詰め込んだ超高機能なスーパーAIを一体だけ作っちゃえばそれでいいんじゃないのって普通考えちゃいますよね。
あー、はいはい。
でもセミナーでは、いやいやそう単純な話じゃないんですよという説明があったんですよね。
そこがまさにこのマルチエージェント、つまり複数のAIを連携させる方式の非常に重要なポイントになります。
セミナーで森山さんが強調されていた点ですが、仮にですね、一つのAIに全ての情報、例えば人事規定、経理規定、法務規定、あと常識のルールとか、そういうのを全部無理やり詰め込もうとするとですね。
うんうん。
まず、AIに対する指示、プロンプトがものすごく長くて複雑になってしまう。
あー、なるほど。
それに参照すべき知識、ナレッジベースも膨大になりますよね。
確かに。
その結果、AIが情報をうまく処理できなくなったり、混乱しやすくなってしまって、かえって回答の精度とか一貫性が落ちてしまう、そういう傾向が見られるということなんです。
なるほど。何でもやを目指すと、かえって急と半端になっちゃうみたいな、これ人間の組織でも言えることかもしれないですね。
ええ。
AIもやっぱり専門分野に特化させた方が、結果的にチーム全体としてのパフォーマンスが上がる、そういうことでしょうか。
まさにその通りだと思います。
このアプローチの設計思想としては、まず解決したい課題、例えば社内問い合わせに必要な情報源、各部署の規定集とかマニュアルとか、そういうものを特定します。
はい。
次に、じゃあどういう判断基準で情報を整理して回答を生成すべきか、そのロジックを定義する。
その上で、各部門の専門家として機能するAIエージェントを個別に作って、あなたは社内従業員からの問い合わせに対応する人事部担当エージェントです、みたいな形で明確な役割と専門知識を与えるわけです。
役割分担をきっちりさせるんですね。
ええ、そうです。これによって、各エージェントはその専門分野において非常に高い精度を発揮できるようになります。
なるほど。
さらに、運用面でのメリットも結構大きいんですよ。
運用面ですか?
はい。例えば、経理規定が改定されたとなった場合、経理部担当AIの知識だけを更新すれば済むわけです。他のAIに影響を与える心配が少ない。
それは確かに楽ですね。
ですよね。つまり、各部門が自分たちの担当エージェントの知識を他の部門を気にすることなく独立して更新管理できる。これにより常に情報を最新に保ちやすいですし、メンテナンス性も格段に向上するという利点があります。
なるほど。役割分担とそのメンテナンスのしやすさ、そこが鍵なんですね。よくわかりました。
では、実際にどんなふうに連携するのか、セミナーで紹介されたという具体的なデモ事例についてもぜひ教えていただけますか?
例えば、育休からの復帰・手続き、これまさに複数の部署が絡んできますもんね。
はい。このデモはマルチエージェントの利点が非常にわかりやすかったですね。
例えば、従業員の方が来月、育児休業から復帰する予定なのですが、どのような手続きが必要ですか?と、AIに質問したとしますよね。
これに対して、まずオーケストレーションAIが関連部署のエージェントを呼び出して、連携して一つの回答を生成しました。
具体的には、まず経理部AIが復帰後の給与調整についてはこちら。
あと、保育費補助制度、上限月額3万円ですね。これの申請方法はこちらです、と説明。
ふむふむ。
次に、人事部AIが復職届の提出と、もし必要であれば、時短勤務の申請手続きについてご案内します、と続ける。
はい。
さらに、法務部AIが復帰に伴って労働条件が変わる可能性がありますので、こちらの事項をご確認ください、と注意喚起して。
最後に、情報システム部AIが給食中に泊まっていた社内PCとかアカウントの最有効化手続きについて、こちらで説明します、と。
こんな感じで、各専門分野からの情報を一つの回答にきれいにまとめて提示していました。
おお、これは本当に便利ですね。ユーザーとしては、一回質問するだけで、関係しそうな部署をそれぞれにいちいち確認して回る手間が省けるわけですね。
最初に話した、「どこに聞けばいいんだっけ?」問題が、このAIチームによって解決される。まさにそんな感じですね。
そうなんです。
いや、これは多くの人が実際に助かる場面だと思いますよ。
他にもですね、例えば営業部の担当者さんが、来月開催される展示会に出展する際の順目について教えてほしい、と問い合わせたケースもありました。
展示会、それもいろいろ絡みそうですね。
そうなんです。これに対しては、まず人事部AIが、出張申請の手続きと期間中の勤務体系の確認についてですね。
それから情報システム部AIが、展示会で使うPCとかデモ機とか、そういう備品の持ち出し申請について、経理部AIが出張経費とか交際費の生産ルールについて、そしてホーム部AIが顧客情報の取り扱いとか、配布する資料の社外費レベルの確認、あと持ち出し承認についてと。
これもやっぱり、複数の視点からの情報をうまく連携させて回答していましたね。
なるほどな。展示会出展も確かに準備段階でいろいろな部署が関わってきますもんね。
あと、副業に関する問い合わせもあったとか、これもなんか法律的な観点とか、人事の手続きとか、税金の話、それに会社のPCをどこまで使っていいのかとか、かなり話が滝に渡りますよね。
そのデモも非常に興味深かったですね。従業員の方からの、副業を始めたいのですが、何か注意点とか手続きはありますか?という質問に対してですね、まずホーム部AIが、兵庫他社での就業とか利益相反に当たらないか、その確認が必要ですよと注意を促して、人事部AIが社内規定に基づく副業申請のプロセスはこちらですと案内する。
経理部AIは、副業収入に関わる税務処理、確定申告の必要性とか、そのあたり確認してくださいねと言及して。
最後に、情報システム部AIが、業務で使っている会社のPCとかソフトウェアを私的に利用する際の制限事項はこちらですと、それぞれの専門知識に基づいて必要な情報を統合して回答していました。
このように、一つの問題に対して多角的な視点からの情報を漏れなく提供できるっていうのが、マルチエージェントアーキテクチャーの大きな強みと言えるんじゃないでしょうか。
これだけ便利なシステムだとすると、やっぱり気になるのは導入するのにすごく時間がかかったり、何か特別な専門的なスキルが必要だったりするんじゃないかっていう心配も出てくるわけですけど、
そのあたり、セミナーのQ&Aセッションで導入期間について何かお話はありましたか。
はい、そこはやはり皆さん一番気になるところですよね。
森山さんの説明によれば、前提として、元になるマニュアルとか社内規定がある程度テキストとかPDFみたいなデジタル形式で整理されているという必要はあるみたいですが、
まあそうですよね。
それが備っていれば、まずプロトタイプ、つまり基本的な試作品を作るのには約1ヶ月くらい。
1ヶ月。
そこから実用レベル、つまり現場で十分使えるかなというレベル、精度でいうと80点から90点くらいを目指すイメージだそうです。
引き上げるまでにはさらに2ヶ月程度。なので合計で約3ヶ月というのが一つの目安とのことでした。
3ヶ月ですか。思ったより早い印象ですね。
ここで森山さんが強調されていたのは、最初から100%完璧なシステムを目指さないということの重要性ですね。
なるほど。
まずは80点の精度のシステムでもいいから、社内で実際に使ってもらうと。
そしてAIが回答にちょっと自信を持てないとか、情報が不明確な場合は無理に不確実な回答をさせようとするんじゃなくて、
速やかに人間の担当者にエスカレーションする、つまり人に聞くという流れをちゃんと組み込んでおく。
この人間との連携を前提にすることで早期に導入して、実際の利用フィードバックをもらいながら改善していく。
そういうアプローチを推奨していましたね。
なるほど。完璧主義にならずにまずは始めてみて、使いながら育てていくと。そういう考え方ですね。
それはすごく実践的で良いですね。
では、その精度を80点からさらに上げていくための具体的な工夫についても何か紹介はありましたか?
はい。いくつか具体的なテクニックが挙げられていましたね。
まず一つは、AIへの指示、プロンプトの工夫です。
プロンプト、はい。
参照したナレージ、つまり与えられた知識データですね。
そこに記載されていないことについては、勝手に推測して回答しないようにと明確に制限をかける。
これによって、AIが不確実な情報を、さもほんとかのように答えてしまう、
あのハルシネーションと呼ばれる現象を抑制する効果が期待できます。
ハルシネーション対策ですね。
二つ目は、回答の正しさをチェックするための別のAIエージェントを設けるという方法です。
いわば、AIによるダブルチェックですね。
ええ、AIがAIをチェックする。
ええ、これも精度向上に貢献すると。
そして三つ目が、先ほども少し触れましたけど、不確実な場合は無理せず人間に引き継ぐ、エスカレーションするというルールを徹底することです。
はい。
ここでまたマルチエージェントならではの利点というのが生きてくるんです。
ほう、というと?
単体の巨大なAIだと実装がちょっと複雑になりがちな、その精度向上のための施策というのがですね、複数のAIが連携するマルチエージェントの仕組みだと構造的により実現しやすくなるんです。
なるほど。
例えば、回答内容を客観的に評価したり検証したりする役割の監査役AIみたいなものをチームに組み込むとか。
監査役AIですか?
面白いですね。
あるいは、同じ質問に対して検索の方法とか、参照する知識ソースを少し変えながら複数回問い合わせを実行させて結果の一貫性を確認するとか。
さらに関連する複数の専門営業と感で回答内容を相互に検証し合うといったより高度な連携も可能になります。
なるほど。
単に役割分担するだけじゃなくて、精度を高めるためのそういう連携方法にも工夫の余地が生まれるというわけですね。
そういうことです。
そして、将来的には単に情報を提供するだけに留まらず、AI自身が判断して申請処理まで自動で行うといったことも考えられているとか、これはかなり進んだ話に聞こえますけども。
はい。セミナーではその先の方向性も示唆されていましたね。
ファンクションコーリングというAIが外部のアプリケーションとかデータベースを呼び出して特定の操作を実行できる技術。
ファンクションコーリング。
はい。それとか、スラックあるいは様々なウェブサービスを連携させる、Zapier、Zapierみたいなツールとの連携を活用することで、ユーザーからの問い合わせを受けて関連情報を提示するだけじゃなくて、そのまま必要な申請処理までをAIが一気通貫で自動実行するといったことも技術的には可能になってくるでしょう。
情報収集からアクションまでシームレスにつながる可能性があるんですね。
ええ。さらにですね、江藤さんからはもっと戦略的な活用事例みたいなものも紹介されていました。
戦略的活用?
フィードバックをもとにして新しいプロダクトの改善点を提案するとか、市場トレンドを分析して次のイベント企画を立案するとか、そういう業務ですね。
複数の専門AIエージェントがチームとなって分析して、その結果を毎朝経営層に自動でレポーティングするみたいな。
毎朝レポーティングですか?
ええ。そういうAIドリブン経営の実践イメージです。単なる社内ヘルプデスクの効率化というレベルに留まらず、企業の意思決定そのものを支援するような非常に広範な応用可能性を示唆していましたね。
やはや単なる業務効率化ツールというレベルを完全に超えてきてますね。もがや経営判断をサポートする戦略的なパートナーにもなり得るということですか。
これはかなり大きな可能性を感じさせるお話ですね。
というわけで今回は、MIBOのマルチエージェント機能、エージェントハブを活用した社内問い合わせの革新について深く掘り下げてきました。