スピーカー 1
さて、ケンジュウはその秋、チブスにかかって死にました。
ヘイジもちょうどその10日ばかり前にやっぱりその病気で死んでいました。
こんな感じで一回終わりましょうかね。
来た。
スピーカー 3
来たなんですか。
スピーカー 1
これはね、グッドバイブスのルーツなんですよ。
スピーカー 3
なになになにすごい興味がある。
スピーカー 1
ケンジュウという人が杉を植えて子供が遊ぶような公園を作ったんですね。
そこに今ヘイジという心ない奴がやってきて、
キレキレと言って今殴られながら抵抗したっていう話の一節なんですが、
これは宮沢賢治のケンジュウ公園林というお話ですね。
スピーカー 3
聖子さんすごい好き言ってましたもんね。
なので来た来たなんですね。
スピーカー 1
そうなんですよ。
これを僕が小学校6年生の時かな。
読書感想文の夏休みの宿題っていうのがあってね。
当然本とか読まないから。
スピーカー 3
当然とか言って。
スピーカー 1
これが教科書に載ってたんですよ。教科書にこの話が。
これでいいじゃんとかって短いしね。
これ読んで読書感想文書いたら読売新聞のコンクールで金賞をもらったっていう。
スピーカー 3
すごい。
スピーカー 1
いろんな意味で思い出深いんですけど、これは幸せについてのお話なんですね。
ケンジュウというのはちょっと当時のいわゆる頭が弱いみたいなそういう感じ。
だからお口を大きく開いてはは笑う。
雨の日も一人で立場してるみたいなそういうキャラクターなんですけどもね。
この後僕が一番好きな後半の節がありますので、これを僕の番になったら後で読もうかなと思っています。
スピーカー 3
お願いします。
スピーカー 1
今日も読書朗読会。
毎月1回のね。お届けしましょう。
スピーカー 3
ちょっとタイトルコールお二人でやっていただけませんか。
何回もふと思いついたんですけど。
いいですよ、じゃあ。
スピーカー 1
じゃあ、せいこと。
スピーカー 3
それでお願いします。
スピーカー 1
知恵とせいことって言って両方。
スピーカー 2
知恵も私が言うの?
スピーカー 3
はい。
スピーカー 2
人はそんなに悪くない。
スピーカー 1
ほっこりするつながりを思い出そう。
スピーカー 2
人間関係。知恵とせいこと。
スピーカー 1
ぞの。
スピーカー 2
それでは今日のお話始まります。
スピーカー 3
いいですね。
いいですね。
スピーカー 2
これいいかも。
スピーカー 3
このバージョンありかもしれない。
いいかも。
はい。
スピーカー 2
知恵とぞの。
スピーカー 1
じゃあ、次はどなたかいきますか。
スピーカー 3
せいこさん、いきますか。
スピーカー 2
いきましょうか。
スピーカー 3
はい、どうぞ。
スピーカー 2
お願いします。
ちょっと今日の本は、
誰の文章かはっきりはしてないっていう本で、
昔、NHKでお江戸でござるっていう、
スピーカー 1
やってたね。
スピーカー 2
伊藤志郎さんとかが寸劇をやるパートと、
杉浦雛子さんっていう、すごく江戸時代のことに詳しい方、
で、漫画家でもある方が監修として、
杉浦さんが江戸のことを語るコーナー、
漫画家でもある、面白い番組があったんですけど、
それを本にまとめた、
スピーカー 3
お江戸でござるという、
スピーカー 2
この本から一節読んでみようと思います。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
お地蔵さん。
江戸ではよく、お地蔵さんが男の子の姿で現れます。
客が少なく立ち行かなくなった蕎麦屋が、
道端のお地蔵さんに売り物のお蕎麦を備えました。
次の日に、小僧さんがお蕎麦を食べに来てくれて、
それから不思議と客が増えて、商売繁盛になります。
けれども、小僧さんがいつも支払っていく税金が、
全て戸線なのです。
何か変だな、ひょっとすると、
と思って、いつぞやのお地蔵さんのところに行きます。
見ると、お地蔵さんの口のところに蕎麦の食べかすが付いていた。
これが蕎麦食い地蔵です。
蕎麦屋に渡した小銭は、お債銭を取っておいたものなのでしょう。
おばあさんが一人、大きな田んぼを植え切れないで困っていると、
男の子が手伝いに来てくれて、無事に植え終わりました。
後で見てみると、村の入り口のお地蔵さんの裾が泥まみれになっていた。
これは田植え地蔵です。
お地蔵さんは、死者を裁く縁魔様の本心です。
地蔵菩薩とも言われますが、菩薩であり縁魔様でもあり、
地獄と極楽をつなぐ存在です。
慈悲の心をもって地獄に落ちた人を裁きます。
縁魔様の裁きは、これ以上公正なものはないとされていました。
今もおばあちゃんの原宿と言われてにぎわう須賀も新庄寺の棘抜き地蔵では、
江戸時代にも産経客が絶えませんでした。
実際の棘以外にも、体に災いする痛みや心の悩みなども何もかも取り去ってくれると熱い信仰を集めていました。
他にも頭痛、腰痛、眼病、耳など、体の部分部分でお地蔵さんの担当が違います。
お地蔵さんは町と村の境界、街道の入り口などに立っていることが多いのですが、
それはお地蔵さんが悪いものから町や村を守るとともに旅人の道中を守るからです。
道祖神も道中によく見かけます。
文字だけのものもありますが、男女が仲良く手をつないでいる可愛らしいものもあります。
男女の引用和号のパワーで全ての悪い魔物を退治するのです。
和藤観音も馬や牛などの家畜を生き病から守るとともに、旅の安全を守ります。
それらの石物は江戸になって急速に増えます。
それまでの信仰の対象といえば、権力者が立派なお堂を建てて、中に金色の仏様を建て祀ったものばかりでしたが、
庶民の時代になり、庶民の手によって掘られた石物が路傍に立ち、信仰の対象になったのです。
和藤さんは特に人間に近い仏様ということで親近感がありました。
よだれかけをかけたり、ちゃんちゃんこを着せたり、冬になると身の傘をゆきゆきにかぶせたりします。
親元から離れて江戸に方向に出ている子どもたちもたくさんいます。
自分の子どもがお腹を空かせないようにと、親は子どもの健康を祈って和藤さんにお供えをします。
お供えは災難に遭ってしまった旅人を救う救難食にもなります。
我慢して生き倒れになってしまうより、力をつけて道中を無事に行った方がいいと考えられていて、
どうしてもひもじい時には、和藤さんへのお供えをとって食べても、誰からもとがめられませんでした。
おそらく杉浦さんの番組のコーナーでお話しされたのを再録みたいにしているのを、杉浦さんがちゃんと監修して本にまとめたということだと思います。
非常にお江戸の時代にいろいろあったものが、今だんだん気持ちも物もちょっと戻ってきつつあるという感じがしていて、
スピーカー 3
それがちょっとお伺いしれる本なので、おすすめしたいなと思いました。
スピーカー 1
大河ドラマで家康をやっているから、何で江戸時代は300年も平和な時代が続いたのかという話をよく聞くよね。
大河のタイミングだからやっているのかもしれないんだけどね。
昔に帰るというよりはそこの知恵をちょっと学ぼうみたいな、そんな感じ?
スピーカー 2
その心意気がね、江戸の人たちの、呼び戸の人たちの心意気が、いろんな問題になっている現代で、ことを解決するヒントになりそうな話がたくさんあって、
極端な例で言えば、長屋誰も鍵なんてかけないとかね。
あともう近所の子供は全員が、近所中の大人が自分の子をかけなく育ててたとか。
スピーカー 1
今もうそんなことしたら、うちの子に余計なこと言わないでください、みたいになっちゃうよね。
スピーカー 3
ですね、家鍵かけないとか。
スピーカー 2
まさにギフトモードで生きていた江戸の人たちの、そんな感じですね。
スピーカー 1
いい本じゃないですか。
スピーカー 2
おもしろい。
スピーカー 3
おすすめです。
では次、私いきます。
私はですね、ふと思い出したものを今日は読もうと思います。
スピーカー 1
ちゅうさん、今日はお母さんの本シリーズじゃないの?
スピーカー 3
違うんですよ。
本当は一冊用意してたんですけど、ちょっと、お母さんシリーズの本、一冊あったんですけど、
ちょっとね、読み込んでから、紹介したいところを紹介するべき本だなと思ったんですね。
パッと紹介するような本ではないなと思ったので、
最近なんかこう、いい天気だなと思いながら歩いてて、ふと思い出したものを今日は読みます。
初めて会った時から、違うものを感じてた。
自分の中の誰かが、心をつついていた。
友達にはうまく言えないこのパワーの源を恋をしてる。
ただそれだけじゃ済まされないことのような気がしてる。
きっとそうなんだ。
めぐり逢ったんだ。
ずっと探してた人に。
スピーカー 1
目深にしていた帽子のツバをぐっとあげたい気分。
スピーカー 3
分かっていたの。前からこうなることもずっと。
私の言葉半分笑って聞いてるけど、証拠だってちゃんとあるよ。
初めて手をつないでから、その後すぐに私の右手、スーパーでスペシャルになったもの。
やっぱりそうなんだ。
あなただったんだ。
嬉しい、楽しい、大好き。
何でもできる強いパワーがどんどん湧いてくるよ。
本当はあなたも知ってたはず。
最初から私を好きだったくせに。
やっぱりそうだ。めぐり逢えたんだ。ずっと探してた人に。
いつもこんなに幸せな気持ち持ち続けていられる。
あなたがそうだ。あなただったんだ。
嬉しい、楽しい、大好き。
やっぱりそうだ。めぐり逢えたんだ。
嬉しい、楽しい、大好き。
終わりです。
スピーカー 1
分かっちゃった。
何?この本は?
スピーカー 2
本というか歌詞だよね。
スピーカー 3
これは歌詞ですね。
曲?
スピーカー 1
ドリカム。
スピーカー 3
そうですね。結構前のやつですけどね。
ドリカムの嬉しい、楽しい、大好きっていう曲の歌詞ですね。
スピーカー 1
そっかそっか。
前に1回あれだよね、千恵さん。
スピーカー 3
岡本真也さんの。
スピーカー 1
やったもんね。
そうですね。
でも歌詞とは思えない感じでしたね。千恵さんが読んでると。
スピーカー 2
前半は普通に小説読んでるかと思った。
小説読んでる。
スピーカー 3
ほんまですか?私なんか前半でバレたと思いながら。
最初わからなかった。
スピーカー 1
読んでる間、途中でメロディーがついてしまったり。
スピーカー 3
そうですよね、そんな感じになりそうですよね。
スピーカー 1
これはでも相当ピュアにしないと書けないな感じがするね。
スピーカー 3
ほんまですね。
スピーカー 1
余計な言葉が全くないもんね。
スピーカー 3
私はこの恋の歌ですけど、私がふと思い出した時は恋っていうよりは、
周りのものに向かってすごく自分がそういう気持ちになるような気持ちをちょっと思い出してです。
ああ、と思ってこんな歌あったなって思い出して。
こんなに照れもなく大好きっていう歌あったなと思って。
なかなか大好きって、特に人に向かって言うことってあんまりないですけど、
こんなに照れもせず自分の気持ちを人でも物でも伝えられたら素敵だなって思いながら思い出してた。
スピーカー 1
いいですね。
なんで大好きってストレートに言うと僕らは照れるんでしょうね。
スピーカー 3
ほんまですね。
スピーカー 1
なんか騙されてる感というか、すごいバカっぽい感じがするのかな。
言葉として軽く感じる心象があるのかもしれないですね。
そこが、好きなものは好きでしょって言えるといいね、やっぱね。
スピーカー 3
そうですね。そんな感じです。
よかった。
では最後の締めにお願いします。
スピーカー 1
これは最初に読んだののそのまま続きですね。
ケンジュウとさっき揉めたヘイジが亡くなったってところの後ね。
ところがそんなことには一向かまわず、林にはやはり毎日毎日子供らが集まりました。
お話はずんずん急ぎます。
次の年その村に鉄道が通り、ケンジュウの家から山頂ばかり東の方に停車場ができました。
あちこちに大きな瀬戸物の工場や製紙場ができました。
そこらの畑がたわずんずん潰れて、家が建ちました。
いつかすっかり町になってしまったのです。
その中にケンジュウの林だけはどういうわけかそのまま残っておりました。
その次もやっと一条ぐらい。子供らはこれ一丈かね。
一丈ぐらいかな。
その次もやっと一丈ぐらい。子供らは毎日毎日集まりました。
学校がすぐ近くに建っていましたから、子供らはその林と林の南の柴原島、いよいよ自分らの運動場の続きと思ってしまいました。
ケンジュウのお父さんももう髪が真っ白でした。真っ白なはずです。
ケンジュウが死んでから20年近くなるのではありませんか。
その日、昔の村から出て、今アメリカの大学の教授になっている若い博士が15年ぶりで故郷へ帰ってきました。
どこに昔の畑や森の面影があったでしょう。
町の人たちも大抵は新しく外から来た人たちでした。
それでもある日、博士は小学校から頼まれて、その行動でみんなに向こうの国の話をしました。
お話が済んでから博士は校長さんたちと運動場に出て、それからあのケンジュウの林の方へ行きました。
すると、若い博士は驚いて何遍も眼鏡を直していましたが、とうとう半分、独り言のように言いました。
ああ、ここはすっかり元の通りだ。木まですっかり元の通りだ。木はかえって小さくなったようだ。みんなも遊んでいる。
ああ、あの中に私や私の昔の友達がいないだろうか。
博士はにわかに気がついたように笑い顔になって校長さんに言いました。
ここは今、学校の運動場ですか。
いえ、ここはこの向こうの家の地面なのですが、家の人たちが一向かまわないで子供らの集まるままにしておくものですから、まるで学校の付属の運動場のようになってしまいました。
が、実はそうではありません。
それは不思議な方ですね。一体どういうわけでしょう。
ここが町になってからみんなで売れ売れと申したそうですが、年寄りの方が、ここは拳銃のただ一つの塊だから、いくら困ってもこれをなくすることはどうしてもできないと答えるのだそうです。
ああ、そうそう、ありましたありました。
その拳銃という人は少し足りないと私らは思っていたのです。
いつでもハーハー笑っている人でした。
毎日ちょうどこの辺に立って私らの遊ぶのを見ていたのです。
この杉もみんなその人が植えたのだそうです。
ああ、まったく誰が賢くて、誰が賢くないかはわかりません。
ただどこまでも重力の作用は不思議です。
ここはもういつまでも子供たちの美しい公園地です。
どうでしょう、ここに拳銃公園林と名をつけて、いつまでもこの通りに保存するようにしては、これはまったくお考えつきです。
そうなれば子供らもどんなに幸せか知れません。
さて、みんなその通りになりました。
芝生の真ん中、子供らの林の前に、拳銃公園林と彫った青い観覧岩の日が経ちました。
昔その学校の生徒、今はもう立派な賢児になったり、将校になったり、海の向こうに小さいながら農園を持ったりしている人たちからたくさんの手紙やお金が学校に集まってきました。
賢児のうちの人たちは本当に喜んで泣きました。
まったくまったく、この公園林の杉の黒い立派な緑、爽やかな匂い、夏の涼しい陰、月光色の芝生が、これから何千人の人たちに本当の幸いがなんだかを教えるか数えられませんでした。
スピーカー 2
そして林は、拳銃のいたときの通り、雨が降っては透き通る冷たい雫を短い草にポタリポタリと落とし、お日様が輝いては新しい綺麗な空気を爽やかに吐き出すのでした。
スピーカー 1
というお話ですね。