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2024-09-10 09:44

heldio #52. セントポール大聖堂をこきおろした3つの形容詞

#英語史 #英語学習 #英語教育 #英語史をお茶の間に #英語に関する素朴な疑問 #形容詞 #セントポール寺院
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サマリー

このエピソードでは、セントポール大聖堂に関連する3つの形容詞、Amusing、Awful、Artificialの意味の変化について考察している。ジェームズ2世が用いたこれらの言葉が、当時はどのように肯定的に捉えられていたのかを探っている。

セントポール大聖堂の概要
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、セントポール大聖堂をこきおろした3つの形容詞、
という話題なんですが、さて何のことでしょうか。 これはですね、単語の意味の変化に関する話題なんです。
3つの形容詞が出てくるんですけれども、この過去から現在にかけての意味の変化というのをですね、楽しみながら学んでみようということなんですね。
このセントポール大神、セントポールカティドラルと英語では言いますが、これは言わずと知れたですね、ロンドンのシティになっている大きな教会ですね。
イギリスの中では最大のプロテスタント系教会であるということと、ロンドンでも観光地の一つになっている有名なセントポール大聖堂ですね。
このセントポール大聖堂というのは、古くから存在していたんですが、16世紀に宗教改革があったりですね、17世紀前半に革命があったりですね。
そして1666年にロンドン大火というひどいロンドンの火事があった時に、損傷を被ったということでですね。
この大神をですね、当時の有名な建築家クリストファーレンが設計してですね、大改築を進めるということをやったんですね。
1675年から1710年という長い期間をかけて、改築工事をしたということなんですね。
そして、この新しく建て直された大聖堂ですね、時の王であるジェームス2世が見た時にですね、3つの形容詞で簡単したと褒めたたえたということなんですね。
これは何かというと、Amusing, Awful and Artificialという形容詞。この3つで褒めたたえたというふうに言われているんですね。
Amusing, Awful and Artificial。
ところがですね、これそれから310年後の現代に生きている我々にとって、この3つの英単語、形容詞っていうのは、なんともその大聖堂をですね、褒めたたえて形容するにはあまりふさわしくない形容詞のように思えるんですね。
1つ1つ見ていきますと、Amusingって言うと、これ、人を笑わせる、笑ってしまうっていうことですよね。吹いてしまうという意味で、決してこれは大聖堂を褒める言葉には聞こえないわけです。
で、次のAwfulというのは、これは皆さんもよくご存知の通り、これはひどい、恐ろしいということになっちゃいますよね。
で、さらにArtificialというのは人工的なという、つまりNaturalの反対語ですね。Artificial、人工的なということで、そこからがんいとしては無味乾燥なとか、あまり良くないイメージを持って使われることもあるぐらいなわけですね。
つまり、3語も揃ってですね、どちらかというと、新しくできたこの大神をですね、こきおろすと言いますかね、全然褒めてない形容詞のように聞こえるわけです。
Amusing、Awful and Artificial、笑ってしまうようなひどい人工的で無味乾燥な神だというふうになってしまうわけですね。
ところがもちろん、ジェームズ2世はそういう意味で言ったのではありません。あくまでこれは最大級の褒め言葉として発していたんですね。
どういうことかというと、本来の語彙、つまり当時はですね、むしろ良い意味でこの3つの単語が使われていたということなんです。
まずAmusingっていうのは、人を笑わせてしまうというような現代では意味がありますが、そうではなく当時の意味はですね、見るに優れたと、見た感じが非常に人を喜ばせるというようなかなり肯定的な意味で使われています。
それからAwfulの方は、語源的にね、これをオープラスフーなわけですよね。オーっていうのは異形の念、異形恐れっていうことです。
素晴らしいものを見て息を呑む、異形の念を抱くっていう意味のオーで、フーですからいっぱいだっていうことで異形の念を抱かせるという、これは最大の惨事なわけですよね。
そして3つ目のArtificialですね。これ今となっては人工的なということですが、これ元々ArtですからArtですね。つまり技術、芸術というあのArtです。つまり技巧に富んだ当時の技術の粋を結集したというようなことなんですね。
つまりJames 2000とってはAmusing、Awful and Artificialというのは、優れたものに対する最大の惨事をこの3つの単語によってですね、送っているということなんですが、その後の現代までの300年ぐらいですね。
形容詞がですね、評価の良い方の意味からだんだんとですね、ネガティブな方、否定的な方の意味にどんどん寄っていったということですね。人を笑わしてしまうようなであるとか、ひどい、おぞましいであるとか、人工的なというふうに。
言葉の意味の変遷
このように、形容詞というのは、絵として評価を表しますよね。評価を表すので、その評価の軸によってはですね、大体同じことを言っているのに、プラスで見る場合、マイナスで見る場合っていうのがあって、場合によってはですね、正反対の方向に触れてしまうということが意味ですね。
これは結構あるんですね。そのまま典型として、この3つを挙げてみました。このように、形容詞の意味がですね、プラスからマイナスへ、あるいはマイナスからプラスへというような、両方向あり得るんですが、こういう例は結構あるんですね。
日本語の例でとても有名なのは、やばいっていうことで、本来はまずい、都合が悪いという否定的な意味なわけですが、現代の口語では、やばいって言ったときに、素晴らしい、やばいくらいに素晴らしいって意味で、意味がですね、良い方に転じるという使い方もありますよね。
同じように英語でもですね、badっていうのは普通悪いわけですが、やはりこれも俗語、スラングなんかでは、that's too badって言うと、非常に素晴らしい、かっこいいという、クールだっていう意味の非常に肯定的な意味になったりするわけです。
それから、もっと長いスパンで歴史を見てみてもですね、例えば、niceっていうのは今、とても良いとか、親切なとかそういう意味があって、ポジティブなわけですけれども、これ元々の意味は、バカな、愚かなっていう非常に悪い意味なんです。
これは、物を知らないっていうのが原理なんですね。ラテン語のネスキオーのようなところに遡る、物を知らないっていう愚かなっていうことだったんですが、だんだんと意味がですね、逆の方向に触れて、今ではポジティブに捉えられていると。
逆の例としてはですね、sillyっていうと、今、バカな愚かなということですが、これは大元の小英語での意味はですね、祝福されたということですね。神に祝福されたという、これ、ケイスト家の文脈では当然良い意味なんですね。
祝福されておめでたいということなんですが、ここ面白いのはですね、日本語のおめでたいっていうのも、本来はポジティブなはずですが、あいつはおめでたい奴だって言ったときには、ちょっとバカな世間知らずの、わけの分かってない奴だっていうふうにマイナス方向に意味が触れると思うんですね。
このように形容詞っていうのは、見方ひとつでですね、プラスがマイナスに、マイナスがプラスになったりすることが多いので、なかなか要注意なんですが、エピソードとして、最も面白い例を今日は取り上げました。
ジェームス2世が、セントポール大聖堂を指してですね、Amusing, Awful and Artificialと、こきおろしたわけではなく、本当は褒めたたえたという、この3つの形容詞の例でした。それではまた。
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