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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる素朴な疑問ですけれども、なぜ高頻度語には不規則なことが多いのですか?
これは非常に多く寄せられる英語の素朴な疑問ですね。 高頻度語にこそ不規則なことが多いということなんですね。
例えば動詞の活用。規則動詞であるとEDをつければいいんですが、そうじゃないもの。 語音を変えたりですね。まったく形の変わってしまうものもある。
think, thought, thoughtというのもそうですし、go, went, goneというのもそうですね。 こういう不規則なものというのはですね、非常に頻度が高いものに多い。
このthinkについてもですね、このgoについても非常に頻度が高いですね。 他には不規則な名詞の複数形というのもありますね。
child, children, man, menのようにSをつけるという規則的なものではなくてですね、 別のやり方で暗記しなければ絶対出てこないという形ですね。
他に例えば非格級なんかでもERあるいは最上級のESTをつければいいというのが規則的なんですが、 ある意味最もよく使う形容詞の一つであるgoodとかbadですね。
これはgood, better, bestですし、 bad, worse, worstというふうに、 暗記しなければいけない不規則なものになってしまっているということなんですね。
これは外国語学習者にはですね、非常に厳しいことで、というのは頻度が高いということは日常的で、 まず最初に覚えなければいけない単語ということになりますが、
そういうものこそですね、不規則なので暗記しなければいけない。 つまり、初学の段階で最初に学び始めた段階で、実はいきなり不規則で暗記しなければいけないものがどんどん出てくるということなんですね。
むしろある程度のラインを超えると、 あとはもう全部規則的ということで優しくなってくるということなので、 これ外国語学習というのは初学者にとって結構きついわけですよね。
これ何も英語だけではありません。日本語だってそうですよね。 例えば、動詞の活用も全ての動詞がですね、5段活用1個にまとまってくれていれば非常に日本語を学ぶものはですね、楽なはずなんです。
ところが、紙一段活用、紐一段活用、この辺まではまだ許せるとしてもですね、 裸行変革活用、作業変革活用、例の裸編、作編ってやつですが、
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これなんかは来るとかするという超高頻度語なわけですよね。 これが変革活用、つまりイレギュラーということです。不規則な活用をするというわけなんですね。
これは困ったものですが、どうも言語には不規則型というのは付きもので、 しかもですね、高頻度語、日常語、一番最初に学ぶ語にこそ不規則性が多いということで困ってしまうということなんですね。
じゃあ、なんでそうなのかと。 これ英語だけでもないし日本語だけでもない、古今東西の言語において基本的にこれが原則なんです。
非常によく使われる高頻度語こそ不規則なことを起こすということなんですね。 じゃあ、なぜかということなんです。理由があるはずなんですよね。どの言語でもそうなわけですから。
これいろいろと考え方はあるんですが、私がよく使う比喩はですね、作業机と文房具ということなんですね。 どういうことかというとですね。
文房具、これ使う頻度が高いものと低いものというのがありますね。 これ皆さんの机、免許机、作業机の中でそれぞれ頻度の高いもの、低いものというのはどういう位置づけにあるでしょうか。
私の自宅の机付近に様々な文房具があるわけなんですけれども、一番すぐ手に届くところにあるペン立てというのがありますが、その中にはですね、一番よく使うペン、ボールペンとかシャープペンであるとか、その他マジックとかあるわけですよね。
ただそれだけじゃなくて、実はハサミも入ってますし、カッター、定規あたりもあるんですね。 それから私ウォッチキスをよく使って、それの芯外しもよく使うので、ウォッチキスの芯外しみたいのもそこにあります。
さらに、ある意味もっと手近なところですかね、机の手に届くところにポストイットとメモパッドというのを用意してあります。
それから様々な文房具を収納できる引き出しとか引き出し棚がありまして、その中には糊とかセロテープ、消しゴム、クリップ、ウォッチキス、こんなのが入ってるわけですね。
さらに机に備え付けの引き出しはあまり使いにくいので、私は利用してないんですが、開けてみるとですね、万年筆用のインクだったり、大型のウォッチキスだったり、穴あけパンチだったり入っています。
こう見ますと、私これ、あえてそういうふうに整理したという覚えはないんですが、何年も使っているうちに、どうも自分にとって一番使いやすい体制にですね、なんとなく自然に整理されてきたという感じなんですね。
ハサミとかウォッチキスの芯外しというのは、私にとっては使用頻度が高いので、まずすぐ手に届くところにあるということですね。
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一方、最近は穴あけパンチなんていうのはほとんど使わなくなって、机に付いている引き出しの一番奥に眠っています。
事実上もないのと一緒ということですね。たまに使うことがあっても、引き出しを引いて、奥の方から取ってくればいいということですね。
つまり、使用頻度の高い文房具は、とにかくすぐに手に届く場所にないと役に立たない。
ちょっと散らかっててもいいんです。それよりも便利な方が重要ということですね。
一方で、ほとんど使わない、稀にしか使わない文房具は、むしろ引き出しの奥深くであっても、ちゃんと綺麗に整理整頓されている方が良いと。
たまにしか使わないので、そもそも無くしやすいものですが、それが机の奥にでも整理されていれば、それぞれで便利であるということですね。
このように、頻度の低い文房具だったら、あそこの引き出しの奥の方という、二段構えの検索方法でも、たまのことなので、少々面倒くさくても十分用を足します。
一方で、使用頻度の高い文房具というのは、綺麗に収納されていなくてもいい、ちゃんとしていなくてもいいから、とにかくすぐに使える状態であった方が良い。
つまり、アクセスするのに時間とか工程数が少ない方が良いということなんですね。
この単語というのも、この文房具と同じことなんではないかということなんですね。
このgoという単語、これは非常によく使う単語ですね。同じように、これの過去形であるwent、過去形もよく使います。
ですので、この行くと言ったは、別に同じ形であるとか、類似した形である必要は必ずしもなく、それよりすぐに行ったという単語にですね、頭の中の引き出しから直接引き出せる方が楽である。
一方ですね、だいたい同じ意味で、自力で動くという意味のlock modeという単語がありますね。
これあえて行くと、だいたい同義語で、しかも頻度が低い単語を選んでるんですが、lock modeなんていうのは、頻度がほとんど使わないわけですよね。
なので、たまにしか使わない動詞について、変な過去形があったとしてもですね、これ滅多に使わないので忘れちゃいますよね。
こういうのこそ規則的に活用させる。つまり、lock modeプラスedのように計算させるということで、この計算は面倒なんですが、滅多に計算しないわけなので、これはこれで良いということになりますね。
かけ算区区みたいなことでもいいと思うんですね。考え方としては、go、wentというのは、これgoに行って、それにedを指すなんていう面倒な計算をしてるんではなくて、区区81と直接出た方がよっぽど使い勝手がいい。
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一方で、区の段までならいいんですが、例えば30の段まで覚えるのは、これは覚える方が大変。そういう場合は、30×8だったらですね、これは簡単すぎますが、38×9とかだったら、ある意味別の計算の仕方、筆算でもいいし、足し算9回やってもいいし、そっちのほうがよっぽど便利ということになります。
このようにですね、単語には必ず頻度の高い低いというのがあります。そして、高いものはちょっと変でもすぐにアクセスできるように。そして、頻度の低いものはちょっと面倒でも計算して導き出せば良いというようなスタイルで、どうも人間は言語を運用してるんではないかということなんですね。
それではまた。