SCP-1084-JPの特性
アイテム番号 SCP-1084-JP オブジェクトクラス セーフ
特別収容プロトコル
SCP-1084-JP群は、提供異動生物収容室に収容されます。
転倒を防ぐため、収容室内に段差や障害物がないようにしてください。
また、床や壁は衝撃を吸収する素材を使用してください。
休事などの世話は、ストレスレベルが基準値以下である職員が行うようにしてください。
定期的に、SCP-1084-JPに損傷がないか確認する必要があります。
損傷が発見された場合は、粘土を適量与えてください。
実験には、レベル2以上の職員の許可が必要です。
説明
SCP-1084-JPは、体長約20cm、重さ約2kgの未知の生物です。
現在、57体が収容されています。
形状は、角の丸い直方体に近く、全身が陶器に似た特徴を持つ黒色の物体で構成されています。
体の下部約30%が3つに分かれており、足となっています。
移動する際は、中の足と両サイドの足を交互に動かして、直立歩行を行います。
移動速度は遅く、最高でも時速2km程度です。
口は肉眼では分かりにくいですが、体の正面上部にあります。
また、全身に直径約1cmの穴が開いています。
穴は視力を有していることが判明しているため、目に当たる部位であると考えられています。
これは、睡眠時や異物が入る恐れがあるときには閉じます。
SCP-1084-JPの体は非常に脆く、衝撃を受けると容易に破損します。
小さな段差や障害物でも転倒するため、それが破損の主な要因となっています。
これによって、SCP-1084-JPが痛みなどを感じている様子は見られませんが、
放置した場合、時間経過に伴って破損箇所が拡大します。
損傷は後述する方法によってのみ回復が可能です。
SCP-1084-JPは、他の個体が損傷を負った際、粘土を用いて修復を行います。
ただし、損傷が80%を超えている個体と自身に対しては行われません。
修復を行う際は、適量の粘土を咀嚼して使用します。
使用された粘土は、2日から10日かけて体と同じ材質に変化します。
修復の技量には個体差があり、技量不足の個体が行った場合、体の形が変化することがありますが、
今のところ身体機能に影響が出た例はありません。
人為的に修復を再現する試みは全て失敗しています。
SCP-1084-JPは、強いストレスやネガティブな感情を持っている生物、以下対象に対して反応します。
対象を視認すると近づき、体を擦り付けます。
対象が持つ感情の大きさに比例して、この行動をとるSCP-1084-JPの数は増えます。
触れられた対象はネガティブな感情が軽減されたと訴えます。
SCP-1084-JPは、この異常性を発生させた後、必ず睡眠をとります。
なお、SCP-1084-JP同士でも類似した行動を行うことがありますが、その場合は単にコミュニケーションの一環であると考えられています。
発見とインタビュー
SCP-1084-JPは、編集済みに存在する森において職員が偶然発見、収容に至りました。
以下は第一発見者に対して行われたインタビューです。
対象 事務員 インタビュアー 博士
腹肌 事務員は23体のSCP-1084-JPに生まれた状態で発見された。
録音開始 博士
それでは、発見時の状況についてはじめから教えてください。
事務員 はい、あれはいつも通り森で散歩していた時のことでした。
茂みに何かいるのに気がついたんです。気になったのでそっと近づきました。
あの森では時々小動物を見かけていたので、今回もそれだろうと思って。
しかし、そうではなかったのですね。
はい、近寄ってみるとそこには、えーと、もうご覧になったかと思いますが、
なんというか彫刻のような、生物のような、まあとにかくあれがいたんです。
30体くらいはいたかと。
私はとっさに木の陰に隠れました。
その時のあの森はどんな様子でしたか?
最初は集団でもぞもぞと動いていることしか分かりませんでしたが、
よく見ると中心にいる個体に体をこすりつけていることに気がつきました。
体を左右に動かすような感じで、ある意味頬ずりのような。
中心にいる個体には何か特徴などはありましたか?
大きく割れていました。バラバラになりかけていると言ってもいいかもしれません。
そのせいかその個体だけほとんど動いていませんでしたね。
というより動けなかったのかもしれません。
あとは他にも体にひびが入っていたり、かけてしまっている個体が多くいました。
それを見てあなたはどうしましたか?
その様子を呆然と眺めていました。
恥ずかしながら、これまであの森に直接触れた経験がほとんどなかったもので、
何も考えられなくなってしまって、
少し経ってから財団に連絡しなければならないことを思い出しました。
それで端末を取り出したのですが…
続けてください。
その瞬間、すべてのアノマリーの動きが止まりました。
そして、一斉に視線がこちらに向いたのが分かりました。
私は急に怖くなって逃げようとしました。
結局、何歩も走らないうちに転んで、痛みと恐怖で動けなくなってしまいましたが、
端末が通話状態であったことには気づいていましたか?
その時はまだ気づいていませんでした。
なので、アノマリーが集団で近づいてくる気配がした時、もうダメだと思いました。
泣きながら、自分はこのままだれにも助けてもらえずに死ぬんだ。
どれだけ痛くて苦しい死に方をするんだろう。
嫌だ、死にたくない…ということばかり考えていました。
アノマリーに触れられるまでは…
アノマリーに触れられたことで何か変化があったのですね?
そうです。アノマリーは私に体をこすりつけ始めたのですが、
その瞬間から恐怖心が急に引いていくのを感じました。
気持ちが落ち着いてきて、そこで初めて端末が通話状態であること、
担当者が私に対して呼びかけをし続けてくれていたことに気がつきました。
なるほど、最初の数分間応答がなかったのはそれが理由でしたか。
本当に皆さんには心配をおかけしました。
どうやらその数分の間に収容部隊派遣の手配をしてくださっていたようで、
収容部隊がこちらに向かっていることを聞かされて心から安心しました。
その後は収容部隊が到着するまで動かず状況を説明していました。
あなたは地面に倒れたままの状態で待機していましたが、それはなぜですか?
まだアノマリーが体の上に乗っていたからです。
その時にはアノマリーは動かなくなっていて、ただ私にぴったりくっついていました。
私はひびがあったり割れてしまっている個体がいたのを思い出して、
下手に起き上がったりなんかしたら無傷の個体も地面に落として割ってしまうと思いました。
まあ単純に重たかったからというのもありますが。
わかりました。他に気がついたことや気になることはありますか?
そうですね、不思議なのは自分がいつもと比べて落ち着いていることです。
いつもの私ならもっと取り乱していて、今みたいに体験したことを順を追って話すなんて絶対にできなかったと思います。
録音終了
収容と実験結果
終了報告書
SCP-1084-JPは、接触した対象に精神的な影響を与える特性を持つと推測されます。
なお、検査の結果、事務員は軽度の打撲と足首の粘座を負ったのみで、異常性は見られませんでした。
到着した収容部隊によって、現場にいた33体のSCP-1084-JPは確保されました。
周囲を捜索した結果、発見現場から約1km離れた地点で18体が発見されました。
さらに発見から3日後、川岸において、7体のSCP-1084-JPが修復を行っているところを発見・確保しました。
その周囲には、SCP-1084-JP、大分の破片が散乱していました。
これについては、川岸に粘土層が露出している箇所があったことから、粘土を取ろうとして転落したと考えられています。
①未収容のSCP-1084-JPが存在している可能性は低いとして、2000年2月1日、捜索は打ち切られました。
②Dクラス職員以外の職員に対して、初めてSCP-1084-JPを接触させる実験が行われました。
実験記録④ 日付2000年
対象エージェント
実施方法
実験の実施と経過
エージェントをSCP-1084-JP2体、SCP-1084-JP4-18と1時間接触させる。
⑤エージェントは任務中に編集済みが死亡したことが原因でPTSDを発症。現在任務から外されている。
本実験は治療の一環として本人から同意を得て行われた。
また、オブジェクトの特性を考慮して実験は床の上で行われ、博士は実験室の外から指示を出している。
不器② エージェントは特に不眠の症状が強く出ており、それに伴い体調も悪化していた。
記録開始
足を伸ばして座っているエージェントですね。
博士
それでは実験を始めます。
エージェント
力なく笑う
了解
SCP-1084-JPを入れたケージが開く。
SCP-1084-JP、ケージから出ると一直線にエージェントの元へ向かう。
へぇ、写真で見た時は不気味だと思ったけど、結構可愛いな。
SCP-1084-JP-4、エージェントの背中に体を擦り付け始める。
SCP-1084-JP、同じく足に体を擦り付け始める。
どうですか?
ちょっとくすぐったいですが、それ以外は特に…
エージェント、長い沈黙。だんだん無表情になっていく。
SCP-1084-JP、エージェントの膝の上に登ろうとする。
エージェント、SCP-1084-JPを持ち上げて膝の上に乗せる。
SCP-1084-JPの目を覗き込む。
あぁ…
苦痛の表情が浮かび、数秒間呼吸が乱れる。
大丈夫ですか?
SCP-1084-JP、エージェントの手に体を擦り付ける。
SCP-1084-JP、動きがわずかに激しくなる。
エージェント、深呼吸。
はい、もう大丈夫です。
額の汗を拭う。
SCP-1084-JP、エージェントと向かい合った状態で動きが止まる。
エージェント、SCP-1084-JPを撫でる。
SCP-1084-JP、だんだん目が閉じていく。
エージェント、小声。
ごめんな。
SCP-1084-JP、横向きに転がり眠り始める。
寝たみたいです。
あくび。
あなたも眠いなら、眠っても構いませんよ。
眠い?
そっか、俺、眠かったのか。
4、動きが止まる。
エージェント、うたた寝を始める。
4、エージェントに持たれて眠っている。
以降、大きな変化なし。
記録終了。
SCP-1084-JPの特性と影響
終了報告書。
実験後、エージェントは実験中に起きた
フラッシュバックの症状が普段よりも軽かったことを報告しました。
また、自身の状態について正しく認識できていなかったことに気が付いたとも述べました。
実験はその後、継続して行われ、
最終的にエージェントは職務復帰できるまでに回復しました。
結果を受け、現在、SCP-1084-JPを職員のメンタルケアに利用する計画が進められています。
ベンチャーコンテスト、生命、年度、精神、感能、群れのタグがついています。
注釈が6つ。
1番、それぞれの個体についてですね。穴の数や位置には個体差があります。
2番、眼球がないにも関わらず視線を感じた、こちらを見ていた、などの証言が出ています。目に当たる穴のところですね。
3番、割れやひび、欠けなどを指します。損傷についてかな。
4番、まれに障害物等が存在しない場所であっても転ぶ場合があります。かわいいな。
5番、取れた足を最大176度、向きがずれた状態でつける。欠けた部分を粘土で補った結果、形が若干いびつになるなど。
これはあれですね、修復の粘土の、あまり修復レベルが高くない個体が治療した場合のことですね。
6番、特に恐怖や悲しみの感情に強い反応を示します。
オブジェクトが吊られる感情についてですね。
壊れやすい、体をこすりつける。
別にネガティブな感情を吸収して自身が傷つくってわけではないのかな。
非常に脆いというだけで、別にネガティブな感情を吸収して自身が犠牲になっているというわけではなさそうですね。
作家のオツイチさんの傷という作品を想起しましたが、あれは実際に自分に相手の持つ怪我を移動させる。
自分が怪我を受け負うというものだったんですが、こっちはそれとは関係なくシンプルに壊れやすいだけというものですね。
あと、オツイチさんの作品の方は外傷だけだったかな。
心的損傷も吸ってたような気もしなくもないけど、確か外傷だけだったはず。
で、こっちは逆に心理的な負担を吸収してくれるんですね。
この異常性を発生させた後、必ず睡眠を取ります。
これはどういう生体なんでしょうね。
未知の生物。
角の丸い直方体に近く、全身が陶器に似た特徴を持つ黒色の物体で構成されています。
体の下部約30%が3つに分かれており、足となっています。
移動する際は中の足と両サイドの足を交互に動かす。
ポケモンに居そうですね、という優しいSCPオブジェクトでした。
ではまた次回。お疲れ様です。