紹介SCP/Tale
タイトル: SCP-1087-JP - 抗う者達
作者: soranaki
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-1087-jp
作成年: 2018
ライセンス: CC BY-SA 3.0
SCP財団とは: https://ja.wikipedia.org/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3
©️SCP財団 http://ja.scp-wiki.net/
1・5・9・13・17・21・25・29日更新予定
BGMタイトル: Night Light
作者: Blue Dot Sessions
楽曲リンク: https://freemusicarchive.org/music/Blue_Dot_Sessions/Nursury/Night_Light
ライセンス: CC BY-SA 4.0
【活動まとめ】 https://lit.link/azekura
00:05
アイテム番号 SCP-1087-JP オブジェクトクラス セーフ 特別収容プロトコル
サイト81に設置された標準的人型収容室に SCP-1087-JP-Aは収容されます。
SCP-1087-JP-Aの収容室には SCP-1087-JP-1特別収容室が併設され、
部屋の中央には3台の SCP-1087-JP-1が設置されています。
SCP-1087-JP-Aには SCP-1087-JP-1を監視する任務が与えられ、
この監視は SCP-1087-JP-A以外によって行われることはありません。
SCP-1087-JP-Aは毎日、日本時間の19時から翌日の3時までの間、
SCP-1087-JP-1の直視による監視を行います。
この監視行為は警備員2名以上による監視カメラでの遠隔の監視が同時に行われています。
また、監視時間帯中にSCP-1087-JP-1特別収容室内の少なくとも半径5m以内に
SCP-1087-JP-A以外の人間が存在してはいけません。
監視は全てのSCP-1087-JP-1の電源が入れられた状態で行われ、
それ以外の時間ではSCP-1087-JP-1の電源は落とされます。
万が一監視中にSCP-1087-JP-1事象が発生した場合、
備え付けの緊急連絡用装置を含むあらゆる通信機器は正常に作動しないことが予測されるので、
警備員は監視役を1人残し、常駐の担当職員へ速やかに直接の連絡を行ってください。
SCP-1087-JP-Aの健康状態は、
SCP-1087-JP-1の監視任務に支障が来たさぬよう常に管理・維持されます。
SCP-1087-JP-Aは基本的にSCP-1087-JP-1監視以外の任務が与えられることはなく、
身体的・精神的悪影響が懸念される実験・探索任務からは例外なく除外されます。
SCP-1087-JP-AにSCP-1087-JP-1監視以外の任務を与える場合は、
セキュリティ・クリアランスレベルⅢ以上の職員2名以上とサイト管理者の承認を得てください。
03:00
現在、起動部隊Ⅲ・⅛配品回収により財団が保管している3台のSCP-1087-JP-1を除いて、
日本全国に残存するSCP-1087-JP-1の回収・撤去・廃棄が続けられています。
ついき、2010年2月以前の特別収容プロトコルは以下を参照してください。
また、現在の特別収容プロトコルは、2000年に発生が予見されているSCP-1087-JP発生イベントに伴い改定が予定されています。
堀井博士
旧特別収容プロトコル
サイト⅛に設置された5×5×5mの専用収容室の中央に3台のSCP-1087-JP-1が収容されます。
SCP-1087-JP-1は毎日、日本時間の19時から翌日の3時までの間、担当のDクラス職員によって直視による監視が行われ、
この監視行為は警備員1名以上による監視カメラでの遠隔の監視が同時に行われています。
また、監視時間帯中にSCP-1087-JP-1を中心とする、少なくとも半径5m以内に監視役のDクラス職員以外の人間が存在してはいけません。
監視はすべてのSCP-1087-JP-1の電源が入れられた状態で行われ、それ以外の時間ではSCP-1087-JP-1の電源は落とされます。
万が一監視中にSCP-1087-JP事象が発生した場合、備え付けの緊急連絡用装置を使用し、常駐の担当職員へ速やかに連絡を行ってください。
現在、機動部隊サ-8配品回収により、財団が保管している3台のSCP-1087-JP-1を除いて、日本全国に残存するSCP-1087-JP-1の回収、撤去、廃棄が続けられています。
これが旧特別収容プロトコルですね。
説明
SCP-1087-JPは、得意な超能力付与に関わる事象の総称です。
SCP-1087-JP事象は、1960年代前半に製造されたメーカーを問わないブラウン管テレビ、以下SCP-1087-JP-1と呼称、ブラウン管テレビを通して影響を受けた人間、以下影響者と呼称に対して発生します。
SCP-1087-JPは、1960年から1960年の約1年間に集中して発生したとされ、影響者の年齢の9割は当時満18から22歳であると判明しています。
06:07
現在、SCP-1087-JP事象は、後述の次案1087-JPを除いて、最低でも年間発生していないことが影響者の証言より算出されています。
そのため、財団が実際に確認しているSCP-1087-JP事象は、次案1087-JPの1件のみとなります。
現在判明しているSCP-1087-JP事象の発生条件は以下の通りです。
影響者が自宅にいる。
日本時間におけるおよそ20時から2時の間である。
部屋に備え付けられているSCP-1087-JP-1の電源が入れられている。
SCP-1087-JP-1を中心とした、少なくとも半径3メートル以内に影響者以外の人間が存在していない。
蒸気の条件が揃った状態、かつ完全に不確定な頻度でSCP-1087-JP-1に映っていた画面が暗転した後に砂嵐状態になります。
スノーノイズ。アナログテレビ放送を受信する際のノイズの一種。
この時点でSCP-1087-JP-1の電源をオフにする。
電源コンセントを抜く。
としても画面の内容に変化は現れず、SCP-1087-JP事象を回避することも不可能になります。
画面が砂嵐状態に移行して10秒前後で再度画面が暗転した後に人型実態、以下SCP-1087-JP-2と故障が画面に映し出されます。
SCP-1087-JP-2の見た目は刻意に黒の仮面のような被り物をしており、流暢な日本語を話すことができます。
慈安1087-JPにより被り物であることが確認されました。
黒漆5枚道具束、伊達正宗所用の前立がない状態と告示していますが、関連は不明です。
流暢な日本語を話すことができます。
SCP-1087-JP-2は不明な手段にてSCP-1087-JP-1に映像を送り込み、影響者に語りかけます。
この時のやりとりはSCP-1087-JP-2からの一方的な、一方向的なものであり、影響者からの問いかけ等はSCP-1087-JP-2に対して伝わりません。
SCP-1087-JP-2が語る話の内容は、影響者によって若干の差異はありますが、おおむね同じ構成になっています。
以下は、影響者の証言を元にSCP-1087-JP-2が語る内容を概略としてまとめたものです。
09:05
1. SCP-1087-JP-2は、自身の存在を宇宙連邦に仮名するとある惑星の代表者であると名乗る。
翻訳不能。おそらくSCP-1087-JP-2の名前。
2. 地球はその連邦により監視対象となっており、常時情勢を見守られている。
3. 現在地球は危険因子とみなされ、武力をもって進行予定であると告げられる。
4. 猶予を10年与える。それ以内にSCP-1087-JP-2の指摘する問題を改善しなければ地球を滅ぼすことになる。
5. 特別に強力な超能力を付与する。超能力を活用して指摘事項を改善すること。
この時、危険因子と判断された内容に関しては、環境汚染、国家間の紛争、貧富の差、差別や迫害の存在等、その他をいずれか、もしくは複合的に指摘します。
SCP-1087-JP-2が語る内容を聞いた影響者は、それまで影響者がどのような思想・心情を持ち合わせていたとしても、話の内容は真実だと認識します。
これは、SCP-1087-JP-2によって引き起こされる精神的強制力と考えられています。
影響者は大抵の場合、超能力発言の試みと指摘事項改善のため社会運動への参画に傾倒します。
主に1968年から1970年にかけて起きた全共闘運動・社会運動について。
影響者の精神影響は最長5年程度の一時的なものであり、時が経つにつれ、SCP-1087-JP-2が語った内容及びSCP-1087-JP-2そのものの存在を執念しますが、
インタビューにより容易に記憶が引き起こされ、Cクラス以上の記憶処理によって完全に記憶から消すことが可能です。
SCP-1087-JP-2より付与される超能力は、影響者により異なる能力が付与されます。
付与される能力に共通する特筆すべき特徴として、発動条件を主たる原因とするその実用性の皆無さがあります。
この特性により、影響者のうち約7割が能力の発言ができない、もしくは発言できたとしても再現することができなかったと判明しています。
また、現在までに確認されている全ての影響者に与えられた能力は全て消失していると考えられ、再現実験において能力が発言した事例はありません。
影響者に与えられた超能力の種類における割合には明らかな偏りが存在します。
特に、生命体に対して殺傷・精神影響を与えることを可能とする能力は全体のパーセントに留まっています。
12:06
このことから射線されています。留まっています。
SCP-1087-JP事象は、SCP-1087-JP-2による、ここから先も修正されています。
愉快反説、超能力付与の失敗による計画延期説に対別されますが、全く別の意図があるのではとたなえる研究者も存在します。ここが消されており、
SCP-1087-JP事象は、SCP-1087-JP-2による、人類の拉致・強制超母が目的であったことが、事案1087-JPにより発覚しました。
強制超母、超母で合ってるこれ。本人の意思を考慮せず、強制的に兵士として徴用すること。
以下は、現在確認された能力の一部抜粋となります。完全なリストは、ファイル、SCP-1087-JP超能力一覧を参照してください。
付記。以下に記載されている能力、発動条件、制約の内容は、影響者の証言を元に作成されています。
能力概要。年次多対象物を自在に浮遊・旋回・移動させる。発動条件・制約。
対象物が影響者を中心として半径1m以内に存在する。
影響者を中心とした半径2m以内に影響者以外の人間が存在しない。
対象物の重量が40g以下である。一度に動かせる対象物は1つである。
約10秒以上の連続使用で張力が完全に失われ、30秒を超えると影響者の健康状態に関わらず意識を失う。
能力の行使を止める。意識を失うことによる強制終了によって張力は完全に回復する。
分析。特筆事項なし。
能力概要。影響者の視界内に存在する対象物の蘇生を問わずあらゆる物質を投資する能力。
発動条件・制約。30秒以上瞬きをしない状況で対象物を視認し続ける。影響者の鼻先と対象物を接触させる。
一度投資を行うと36から126時間以上経過しないと能力の再発動ができない。
能力使用から15秒前後で誰かに見つめられている感覚に陥り、30秒を超えた時点で見つめている何者かが視界に入る。対象物から顔を離すことで消失する。
分析。視界に入ってくる存在は人のようには見えたが人間とは思えなかったと証言しています。
幸山研究員。
能力概要。特定の生物の視界と同期する。
発動条件・制約。
一般的に座禅と呼ばれる姿勢を取る。
15:00
目を閉じ、常に何かしらの独り言を呟く。
影響者を中心とした半径50m以内に存在するランダムに選ばれた人間以外の哺乳類及び鳥類の視界と同期する。
対象が範囲内から離れると別の生物の視界へ自動で移る。特筆事項なし。
能力概要。瞬間移動。
一日以上食物を摂取していない。
最低2つ以上の衣服・草植物を身につけている。
目を閉じ、移動を希望する場所を念じる。
一度でも影響者が足を運んだことがある場所でなければならない。
一度能力で移動した場所は再度能力によって移動することはできない。
移動した場合、身につけているものを一つ残して全て消失する。
特筆事項なし。
SCP-1087-JPは、1970年代後半から定期的に発生するブラウン管テレビに映る謎の宇宙人の噂話。
噂話の調査に当たっていたエージェント中根が、一般人及び財団職員に対して聞き込み調査を行った結果、その存在が示唆されました。
現在確認されている影響者の数は人であり、財団内部においても人確認されています。
影響者の存在が日本全国各地にて存在し、証言の統一性からも偶然とは片付けられない規模である点から異常性が認められました。
現在、予備を含めた3台のSCP-1087-JP1を残し、それ以外を廃棄して回ることで現在の収容手順に至りました。
また、証言より確認されている全てのSCP-1087-JP事象は日本国内でのみの発生とされ、判明した影響者には調査の後、Cクラス記憶処理が施されました。
①2000年2月1日時点でのホリー博士の考察
現在、証言のとれているSCP-1087-JP事象に関して懸念がある。
それは、SCP-1087-JP事象がSCP-1087-JP2にとって想定外の事態だったとする場合だ。
これは影響者に与えられた超能力がまるで使い物にならなかったことから推測される。
結局これも結果論でしかないが、本当にSCP-1087-JP2が地球に進行するつもりであれば、とっくに実行しているだろう。
要するに、脅威が去っているわけではない。
例えば望む結果を得られなかった研究者は、そのたった一度の試行で満足するだろうか。
その結果を踏まえフィードバックをかけないだろうか。
これはSCP-1087-JP事象にも同じことが言えると考える。
このままSCP-1087-JP2は引き下がるのだろうか。
18:00
より完璧な方法をもってして目的の遂行に移る可能性は、
SCP-1087-JP2の言う強大な超能力が世に蔓延した時、今の我々に対処し得るだけの準備ができているのだろうか。
いずれにせよ、我々には影響者による更なる証言を収集し、我々財団の下でのみSCP-1087-JP事象を発生させられる環境を整え続けなければならない。
しかし、SCP-1087-JP2は能力を与えた時期も影響者の年齢も作為的に選んで増やしている割にはどこか見栄えない。
しかも直接危害を加える能力が極端に少ないことも疑問だ。
SCP-1087-JP2は果たして本当に我々に対して脅威を与えたかったのだろうか。
もし、SCP-1087-JP2の目的が愉快犯でもなく、地球に対する信仰ですらなかったとしたら、SCP-1087-JP2は我々に何を求めていたというのだ。
堀井博士
事案1087-JP
2000年2月2日、日本時間の午前1時36分にSCP-1087-JP事象が発生。
当時現場に居合わせたのは特別収容プロトコルに則り、SCP-1087-JP事象の監視を行っていたDクラス職員1名と、モニター室から遠隔で監視を行っていた警備員1名のみであった。
以下はSCP-1087-JP事象記録内容の詳細になります。
SCP-1087-JP事象発生直前の様子。
対象、20015。
1時35分。
D-20015は財団による許可を受けた上で与えられていた情報雑誌に目を通している。
36分1秒。
3台設置されているSCP-1087-JP1のうち1台の画面が暗転する。
この時点でD-20015は異変に気づいていない。
36分12秒。
暗転から画面が切り替わり、画面内には黒色のエッグチェアーのようなものが映し出される。
この時点でD-20015は画面の異変に気づく。
36分25秒。
画面内にSCP-1087-JP2が現れ、椅子に腰をかける。
D-20015は身を乗り出し、画面を凝視している。
36分47秒。
SCP-1087-JP2が語り始める。
D-20015は備え付けの連絡装置による報告を試みている。
この時行われたD-20015による緊急コールは、原因不明の要因により繋がらず、担当職員への周知が遅れる結果となりました。
21:02
また、モニター室でも同様の現象が起きていたと報告されています。
以下はSCP-1087-JP2との音声記録の詳細です。
SCP-1087-JP2
いさかたぶりだね、地球人の方。
君たちの文明も随分発達したようだが、まだこの方法でも繋がるようで安心した。
またこうして君たちと通信できたことを嬉しく思うよ。
まあ、目の前には画面の前の君一人しかいないのだろうがね。
D-20015
な、なんだなんだ。番組とかじゃねえよな。
今日は君たちにどうしても伝えたいことがあったんだ。どうか聞いてほしい。
お、おい、待ってくれ。俺一人じゃちょっと…
緊急コールにつなげようとしている。
今、担当みたいなの連れてくるから。
くそ、なんで繋がんないんだよ。
私は、いや、私たちは君たちに謝罪をしたい。
待ってくれって。っていうか、聞こえてる感じがしねえな。
君たちを我々の都合に巻き込もうとしたことを謝りたい。本当に申し訳なかった。
D-20015
一人ごとのように。
どうせ記録してんだよな。繋がんねえんだ。事後報告でも仕方ないよな。
何かを見るような仕草。
担当は話すべきか迷ったんだ。でもまだ時間はあるようだし、気晴らしに少し語らせてもらおうか。
観察。
そう、観察。
まず初めに、我々が今まで君たちに伝えてきた内容は全て嘘だ。
銀河連邦なるものは存在しないし、当然君たちの星に信仰するつもりもない。
そもそも君たちと我々の世界は次元が違うからな。
なあ、次元が違うというのは文字通り別宇宙の世界と思ってもらっていい。
ただ、こうして君たちと通信できているという事実に関しては、実は私も驚きを隠せていない。
まあこれが可能なのは我々が固有に持っている能力に起因するものなのだが、
うーん、そうだ。種類は違えど君たちに分け与えたものと全く同じ力だ。
ああいや、全く同じではなかったようだったね。
どうも我々の能力は君たちの次元ではうまく機能しなかったみたいだ。
これが我々にとっての最大の誤算であると同時に不幸中の幸いだったと言わざるを得ないわけだが、
ぼーっと監視しているよりいくらかマシだな。
笑うような仕草。
訳がわからないという顔をしていそうだな。
さて、かいつまんで話すが、我々の惑星は今まさに宇宙人による脅威にさらされている。
どういうことかというと、我々の惑星の本当にすぐ近くにまた別の惑星があってね、
24:03
そこにも文明を築いた生命体がいるんだ。
我々と彼らは非常に近しい文明レベルを持っていた。
彼らとの大きな違いに、科学では説明のできない超常的な能力を我々は有していた。
誰にでも、というわけではないがね。
一方、彼らは優れた科学力を持っていた。
しかし、とは言ったが、常に彼らは我々の一歩先を行っていたよ。
とはいえ、惑星間の交流はほぼ皆無だった。
お互い触れぬ存ぜぬが暗黙のルールでね。
だが、彼らは突如、我々の惑星に侵攻してきた。
本当にこれ、誰も気づいてねえのかな。
初動に遅れを取った我々は程なくして支配された。
我々の能力には非常に強力なものもあるが、
奴らは我々さえ知り得なかった能力の隙をついた。
我々の能力の波長に干渉する妨害装置を作り上げていたため、
奴らの科学力と軍事力を前に、なす術もなく投降するしかなかった。
まあ、狙いは資源だろう。
ここら辺はあまり詳しく語っても仕方ない。
突然、当然、突然の侵攻に反発する者は多くいたのだが、
奴らの当時は基本的には我々の人権を尊重をしたが、
反発する者には容赦はなかった。
常に能力は封じられ、奴らに従うしかないと思っていた。
能力の行使を目論めば、例外なく殺された。
D-20015 悪美をする様子
ああ、つい話が長くなってしまいそうだな。
ある時、我々は発見した。
妨害装置の影響を受けない能力者がいることを、
その能力者の一人に我々の所有しているある装置と組み合わせることで、
この惑星ではないどこかの誰かと通信できることが判明した。
さらにまた別の装置を用いることで、
我々の元へ転移できる可能性も示唆されていた。
これは我々にとって奇法であった。
実は、奴らの妨害装置の現在位置は全て把握している。
そう簡単に量産できない代物だという情報も入手している。
一台あたりの効果範囲が非常に非常に広いことも、
逆に我々には追い風だ。
そして、妨害装置を同時多発的に破壊することができれば、
我々は一気に優位に立てる。
そのためにも多くの能力者が必要だった。
だから、どこの誰とも分からない存在に一縷の望みを懸けた。
自分勝手な奴らだな。
我々の能力を付与することは、適性さえ合致していれば実に簡単でね。
暗示みたいなものだ。
要するに、我々の計画はこうだった。
そこが地球と呼ばれていることが分かり、
調査の中で我々の言う適性に合致するものが多くいた。
しかも、妨害装置の影響を受けない、翻訳不能、タイプだときた。
適性を持ち、知性に溢れる若者を中心に能力を付与してもらった。
27:03
主にサポート用の能力だがね。
能力を付与し、開花した能力に馴染んでもらってから、
すぐにも我らの星へ転移させる予定だった。
そう、戦力の補強という意味でね。
俺、連れてかれたりしないよな。
まだ心の準備が…
だが、現実はうまくいかなかった。
まず我々と君たちは時間の流れがあまりにも違うようだな。
数日で転移の予定だったが、君たちの世界では何年もの時が経っていたようだ。
初めはそれが一番焦ったよ。
何しろ我々にとっては強大な能力を付与したつもりだったからな。
少なくとも千人以上に付与したものだから、
地球内での勢力図が変わるほどの混乱が起きたんじゃないかと心配したよ。
まあ、少々の混乱は起きたみたいだね。
笑うような仕草。
あ、あー、そろそろか。
長々話したわりに中途半端になってしまったな。
なんだ、帰るのか。
さて、もうすぐ作戦結構の時間になるな。
君たちと通信がかなって嬉しかったよ。
君たちは、たとえ一時的だったとしても我々の希望だった。
もちろん自分勝手だとは思っている。
能力の付与が正常だとしても、
君たちを実際転移させたところで、
我々の言うことを素直に聞いてくれない可能性の方がまあ普通だろう。
だが、これは我々にとってのささやかな抵抗だったのだ。
そうだ、最後にこれだけは言わせてくれ。
我々はこれから侵略者どもに最初で最後になるであろう襲撃をかける。
おいおい、無駄死にするだけじゃね。
侵略されたまま真産をなめるくらいなら戦おうと、
ニナが立ち上がってくれた。
そう、決して確実ではないが可能性にあふれた作戦だ。
我々は諦めない。
だから、この作戦が成功した暁には、
また君たちとこうして話をしたいと思っているよ。
妨害装置さえなければこんな一方向の会話なんかじゃなく、
次元を越えて交流することもできるんじゃないかと考えている。
そこで、君に能力を授けようと思う。
え?
安心したまえ、君たちの知っている通り何の役にも立たない能力だ。
だが、この能力はいつか我々を引き合わせてくれる。
そうだな、せっかくだから能力に名前をつけよう。
おっと、部下が私を呼んでいる。
君たちの言葉で、再会とでも名付けようか。
どうか大事に残しておいてくれよ。
だいたい、10年。
10年後になるな。
いやいや、マジで勘弁してくれよ。
マジで余計なことすんなよ。
それでは地球人諸君、我々の一方的な友好をどうか好意的に受け止めてくれたまえ。
さらばだ。
SCP-1087-JP-1の画面が暗転。
30:01
勝手なことばかり言いやがって。
せっかく楽な任務に回されたと思ってたのに。
またおっかねえ実験生活に戻っちまえ。
記録終了。終了報告書。
事案発生後に通信機能が回復していることに気づいた警備員により担当職員が収集され、召集され、D-20015は保護されました。
D-20015と警備員は精神鑑定を受け異常はないことは確認されています。
今回の事案から10年後の2000年に新たなSCP-1087-JP事象が発生することが予測されています。
この1087-JPイベントに伴い、現在の特別収容プロトコルは一時的に改訂されます。
またD-20015は新たにSCP-1087-JP-Aとして分類され、能力発現条件の解明実験が順次予定されているため、再雇用及び解雇は当面見送られます。
分析。
彼らの事情もわからなくもないが、迷惑極まりない話だ。
奴らは我々人類に対する積極的な接触を企てている。
最低限のコストで安全に収容できていたと思っていたが、これでまた振り出しだ。
意味深な能力を付与された以上、今まで通りの接触の仕方とは限らなくなるだろう。
そして、D-20015だ。
何としてもD-20015を、次回1087-JPイベントまで我々の下で安全かつ確実に活かせておかなければならない。
D-20015がいる限り、彼に付与された能力を通して我々にコンタクトを取ってくると考えるのが自然だ。
D-20015がもし10年後に何かしらの理由で生きていなかったら、
SCP-1087-JPにはどんな手段を使ってでも人類に対してコンタクトを取ろうとするかもしれん。
何しろ10年の猶予だ。
あらゆる可能性を洗い出し、完璧な収容方法を確立されることが我々に求められている。
SCP-1087-JPのオブジェクトクラスは、2000年に予定されている1087-JPイベントが発生した場合はEUCLID、
発生しなかった場合は経過観察の後にニュートラライズドへの再分類が計画されています。
BBC18、地球外年曆精神影響のタグが付いています。
何とは言いませんが、あの人なんだっけ、名前忘れたな。
あの人の作品に似たような雰囲気の作品がありまして、ネタバレになるので言いませんが、
ちょっと作者さんのお名前だけ調べますね。
藤田和郎先生かな。藤田和弘先生ですね。
33:07
こちらの先生の作品の一つに似たようなものがあるなというふうに感じました。
逆でしょうけど、おそらくSFですね。
別次元にいる宇宙人が宇宙戦争に巻き込まれて負けそうになっている側の宇宙人が
その能力を使って我々にコンタクトを取ってきた。
助けてくれないか。助けてくれないかって言ったのは最後なので、
助けてくれないかを言わないまま能力を与えて戦わせて、
懸賛をさせて、後々兵士として勝手に強制的に連れて行く予定でしたということですね。
本当に身勝手なお話でした。
特別取り上げるような要素はないかなというところですね。
もうだいぶこの記事内で言っているので。
ではまた次回。お疲れ様です。
34:14
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