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ハーイみんな、ソフィーよ。元気にしてた?
っていうね。
今日は、私が一番好きなものについてお話しようと思うの。
ちょっと聞き慣れないかもしれないけど、あなたも好きなものがあったらどんどん教えてね。
全く音楽に合ってないんだけど、私が一番好きなものは芸術作品です。
一番好きな芸術作品は、ミケランジェロのロンダニーニのピエタ像。
まずピエタ像って何?と思った。あなた、ちゃんと説明するわ。
ピエタ像とは、亡くなったキリストをその母マリアが抱きかかえる姿を表現した宗教彫刻です。
ピエタとはイタリア語で憐れみ、慈悲を意味し、西洋美術において深い悲しみと愛の象徴とされているの。
ミケランジェロは知ってるわよね。
ルレサンスを代表する芸術家で、絵画、建築、彫刻のすべてにおいて歴史的傑作を残した。
中でも彼が24歳の時に完成させたサンピエトロのピエタ像。
これは神の手による作品と呼ばれるほどの完成度を誇っているの。
特に印象的なのは、マリアがまとった衣の日だ。
冷たい大理石とはまるで思えないほど柔らかく、自然に流れ、まるで本物の布のように見える。
そしてマリアの表情は息子の死を受け入れた母として、静かで深い悲しみを沈黙で表しています。
この抑制された感情が象全体に神聖さを与えているようなの。
しかし晩年、彼が手掛けたロンダニーニのピエタ像は全く異なる表情を見せるの。
この像はミケランジェロが亡くなる6日前まで掘り続けていたと言われているの。
90歳を超えて命の終わりが差し迫る中、それでも彼は石の前に立ち続けた。
なぜ彼は手を止めなかったのかしら。
もう完成しないとわかっていても何かに向かって手を伸ばし続けるように、最後まで石に触れていた。
この像の構図は従来のピエタとは異なり、マリアがキリストを抱くのではなく、キリストがマリアを支えているようにも見えるの。
そして削られたままの荒々しい痕跡が彫刻というよりも行為そのものを生々しく感じさせる。
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私がこの像に惹かれるのはまさにその荒々しさと必死さを感じ取れるからなの。
あの巨匠、ミケランジェロよ。そこにあるのは完成を目指す意志ではなく、手の届かない何かに向かって自分の全てを投げているような衝動。
実は私はまだ本物を見たことがないの。
でもきっとこの像を前にすると彫刻を見ているというよりもミケランジェロが死に向かって削っていたその時間を目撃している、そんな感覚になるんじゃないかしら。
美しさや感性、完璧ではなく生きるギリギリの瞬間に刻まれた手の跡、その静けさと激しさの共存に私はどうしようもなく惹かれるのです。
だから私はロンダニーニのピエタ像が一番好き。
あなたも好きなものを教えてね。