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2021-02-17 11:27

【第46夜】『オルタネート』『逆ソクラテス』の共通点とは?本屋大賞2021候補作

今年の本屋大賞ノミネート作品について、全作解説をお届けして参ります。はい。特に誰からもリクエストされてませんけれども。勝手に大賞を予想しよう!という企画になっております。今日ご紹介するのは、加藤シゲアキさんの『オルタネート』と伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』です。

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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと河童です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、
皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、先週に続き、今年の本屋大賞ノミネート作品について、前作解説をお届けしてまいります。
勝手に大賞を予想しようという企画になっております。
先週は、いぶきゆきさんの犬がいた季節、青山みちこさんのお探し物は図書室まで、
そして、うさみりんさんのおしもゆの3作品をご紹介しました。
このペースで発表までに終わるかしらと、ちょっと心配になってきましたけれども、どんどんいきたいと思います。
まずは加藤重明さんのオルタネートです。
オルタネートの話をする前に、加藤重明さんについてなんですけど、
私、加藤さん、加藤君って、すごく漫画の主人公顔だなって思っていて、
かっこいいし、さわやかで、優しそうだし、ちょっと三枚目っぽかったり、情けない感じもあったりして、
いろんな漫画の主人公っぽいですよね。
だから、いろんなキャラが混じっていい顔すぎて、逆にいまいち顔が覚えられないなって思ってたんですよ。
ちょっと失礼ながら。
でも、いまNHKでやってる土曜ドラマの六畳間のピアノマンっていうのをご覧になっている方いらっしゃるかな、
ブラック企業でのパワハラを描いた、逃げ出せなかった君へという小説が元になっているドラマですね。
ブラック企業を退職して、いま派遣社員として求人広告の会社だったかな、で働いている青年を加藤君が演じてるんですよ。
元のブラック企業ではめちゃくちゃエグい営業をやってたんだけど、
いまはそれを隠して見せずに黙々と淡々と派遣さんとして働いているわけなんですね。
その中、純純相で大人いそうなふりしてずっと社員を観察してるみたいな暗さがすごくうまくて、
この人はすごいなって、実は闇深いところが、炎暗さがあるのかもって思ったんですよ。
それが加藤さんの作家性というか、爽やかな笑顔で、人当たりが良い表面の裏側ですごく人を観察している人なのかもしれないなとか、
そういう想像ですけどね、掻き立てられました。
オルタネートがどういうお話かというのは後半に続きたいと思います。
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前回に元SKEの松井レナさんの書いたルイルイをご紹介したんですが、
ルイルイは連作短編集になっていて、女性が主人公の女目線の章と男性目線の章がどっちもあって、
私はどちらかというと男性目線の章の方が松井さんの筆が載っているというか、書いてて楽しそうだなという感じがしたんですよ。
なんでかなって思って考えたら、男性に会って喋っている数が松井さんってやっぱ人と比べて桁違いだよなって、
アイドルってね、そのアイドルとファンは恋愛ではないけど維持恋愛みたいなところもあって握手会とかもあるから、
欲望がむき出しだったり隠してこじらせたり、いろんな人の面を見てきているわけですよね。
加藤さんももしかしたらいろんな女の子の一面を観察してきたのかなっていうのをオルタネートに感じました。
どうせアイドルが書いた小説なんでしょ、ファンが買っているから売れてるんでしょという時代ではもうなくて、
アイドルが書いた小説だったらそれは面白そうだなって思うような感じになってきました。
人間観察の経験値とか絶対数が圧倒的ですもんね。
またちょっと話がそれますけれども、夜遊びさんのライブ配信をこの間見たんですよ。
夜遊びの曲は小説と連動してるじゃないですか。
だから歌詞があまり説明的にならずに済むんですよね。
詳しくは小説で読んでねってなってるから。
小説を読んでる人はさらに深読みもできるし、読んでない人にもいろんな解釈ができる歌詞になっているわけです。
そういうのもヒットの要因なのかなと思ったりして、
これからはもしかしたら小説も書くし歌も書くし、
なんなら自分で歌っちゃうっていう人がこの先出てくるかもねって思ったんですよ。
加藤茂明さんも松井玲奈さんも歌えるし踊れるし、
声もいいから自分で朗読したっていいし、自分で演じることもできるって最強だなと思いました。
オルタネートの説明をしていなかった。
オルタネートという小説はマッチングアプリの名前なんです。
オルタネートっていうのは架空のアプリなんですけど、高校生限定のマッチングアプリで、
こんなのが本当にあったら自分が高校生だったら、
一日中チェックしちゃって勉強も部活も何も手につかないだろうなと思いましたけど。
出てくる高校生は演芸部と料理部の子たちなんですね。
架空のアプリ、近未来的なソーシャルネットワークが出てくる。
The Circleって映画がありますよね。トム・ハンクスが主演の。
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あの映画みたいな世界観もありつつ、演芸とか料理ってすごく有機的ですよね。
手触りがあるっていうか。
そのITと手触り、手作りのミックスがすごいなっていう。
舞台設置ですでに優勝してるって思いました。
と語っていたら、もうこんな時間になってしまった。
続いてイサカ・コータローさんの逆ソクラテス行きましょう。
イサカ・コータローさんはゴールデンスライバーで2008年に本屋大賞を受賞しているんですね。
だから2度目なるかっていう注目ポイントですね。
でも実はオンダリックさんが夜のピクニックとハチミツと到来と2度大賞を受賞してますから、
本屋大賞は2度取れないっていうことではなさそうですね。
逆ソクラテスは小学校が舞台のキーとなった短編5編が収録された短編集です。
私はこの中でアンスポーツマンライクが一番好きでした。
ミニバスで同じチームだった5人がある事件に遭遇する話なんですけれども、
私も中高バスケットボールをやっていたので、
残り1分で3点差でこっちが負けてて、あちらがタイムアウトを取っていけるかもいけないかもっていう緊張感をね、うわーって思い出しました。
ミニバスには3ポイントシュートがないっていうことを私はこの小説で初めて知りました。
主人公は子供たちと成長してからの今が描かれるんですけれども、周りに出てくる大人たちが魅力的なんですよ。
青春者だけど脇を固める俳優陣が超豪華っていう映画みたいな、そんな感じもしますね。
そんなにうまくいくかなって、ご都合主義とまでは言わないけれど、うまくいきすぎじゃないって思うところもあったんですが、
いやー今こういうの読みたかったのかもって思いました。
なんか、まあ誰もが少し何かを我慢している状態がすごく長く続いていますよね。
終わりも見えないし、だからスッキリする気持ちのいい小説を読みたい気持ちだったのかもしれないって気づきました。
ストレスをためていたのかなって。
伊坂幸太郎さんが好き、読みたいっていう多くの人が思う理由がわかった一冊だった気がします。
今日はそんな伊坂幸太郎さんの逆ソクラテスから神フレーズをご紹介したいと思います。
犯人はいつか社会に出てくることの方が多い。そうだろう?同じ街で生きる可能性だってある。
だからその彼を異常だからとか信じられないで切り捨てるのも怖いじゃないか。
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この切り捨てるのも怖いじゃないかって独特な考え発想だなと思いました。
確かに犯罪者とまではいかなくても、社会的に罰がついた人とか会社で、組織で罰がついた人を肯徹したり組織から排除したりするのは簡単だけど、
それで終わりでいいのかっていうね、それが逆に怖いんじゃないかっていうのがわかる気がしますし、
どんどん切り捨てていくことで終わりなのかと。
優しくしてあげる必要も無理に仲良くする必要もないけれど、
切り捨てずに共存する方法を頑張って考えようよっていう話なのかなと思いました。
ご自身の中の無双かとリアリストどっちもがっかりさせないものを書きたかったというふうに坂さんが後書きに書いてらっしゃったんですけど、
加藤茂明さんの作品もそういうところがあるかなと思いましたね。
冷めた目線と人に対して希望を捨ててないところが共存している物語というか、
まだお読みでない方はぜひどちらも楽しんでみてください。
さあ今日までのところ、暫定3位オルタネート、2位逆ソクラテス、そして暫定1位はオシモユ、主位キープかなと思いました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな途中室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながらいろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
ミモレのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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