2020-10-03 27:38

#014 ミスター・ミラクル

この番組は毎回一冊の邦訳アメコミを取り上げて、それについて語るラジオ番組です。今回のテーマは、『ミスター・ミラクル』!アポコリプスのダークサイドが反生命方程式を手に入れたことで、ニュージェネシスのニューゴッズたちとの戦争が始まってしまう。ニューゴッズの統治者ハイファーザーの息子でありながら、アポコリプスで育ったミスターミラクルことスコット・フリーもその戦いに巻き込まれていく。アイズナー賞も獲得したトム・キングの傑作コミックです。
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この番組は、毎回一冊の邦訳アメコミを取り上げて、それについて語る番組です。
今回のテーマは、ミスター・ミラクル。
アポコリプスのダークサイドが、反生命法定式を手に入れたことで、
停戦状態にあったニュージェネシスのニューゴッズたちとの戦争が始まる。
ニュージェネシスの統治者、ハイファーザーの息子でありながら、
アポコリプスで育ったミスター・ミラクルことスコット・フリーも、その戦いに巻き込まれていく、というようなお話なんですけども。
今、あらすじ簡単に説明しましたけど、
邪悪な神々と良き神々がいて、この二つは停戦状態だったんだけど、
邪悪な神々、神のダークサイドが、反生命法定式という兵器を手にしたことで、
この停戦状態が崩れちゃうね。
神々の戦いにミスター・ミラクルが巻き込まれていく、というような戦いを止めるために頑張る、みたいな。
そういうお話なんで、筋としては、あらすじ聞くとシンプル。
だけど、実際読んでみると、これがまた一筋縄じゃいかないんですよね。
すごい作品でしたね。
前回、マーベルゾンビーズやったじゃないですか。
あれは、学面通りに受け取ればよかったような気がするんだけど、
マーベルゾンビーズは全ての作品でしたね。
今回は象徴というか比喩というか、
すごかったね。
メタファーに満ち溢れてる感じというか、一読してただもんじゃないという感じがしましたね。
すごい作品だなと読むとわかる。迫力があったね。
帯がすごくない?
スーパーヒーローコミックの新たなるマスターピースとか、
生きることの意味を浮き彫りにしていくとか、
ヒーローコミックはここまで来たのだとか、煽る煽る。
アイズナー賞を受賞しているということでね。
評判もいい作品なんでしょうね。
確かに古典になっていくんだろうなって気がしますよね。
これから先、名作として語り継がれていかそうな感じですよね。
正直一読して、スッと入ってくるお話ではないよね。
ではないね。
よくわからなかったって言うと、馬鹿っぽくなるかな。
ここはきちんと語る言葉を見つけていきたい作品ですね。
なんでそんなに一筋縄じゃいかないのかっていうと、
神々の戦いの間に、スコットフリー、ミスターミラクルの日常の生活が挿入されていくんでね。
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ご飯食べたりとかね。
日銭とかお金稼いだりとか、出産とか引っ越しとか。
そういう日常生活が書かれていて、神々の戦いがあってっていう。
同時に2つの話が進んでますよね。
ギャップがすごいんだよね。
反生命法定式ってラストナイトオンアースにも出てきたけど、
人の精神に作用するんだよね。
人の精神に作用するんで、もしかしてその影響でミスターミラクルもおかしくなっちゃってるんじゃないか?
そうだね。
っていう疑いがあるから、何が本当で何が嘘なのかとか、
そういうのが意図的にかき乱されてるんで、一読してスッといかないんでね。
本当にその人と喋ってるのか、その人がいるのかどうかも曖昧に濁されたりしてるんですよね。
人と会っても。
だから解釈の余地がすごく多くて、スッとはいかない感じですね。
一筋縄ではいかない作品でしたね。
ほんとにね。ミスターミラクルって脱出の名人だから、簡単には捉えさせないぞって。
そういうことなんですね。
そういうことなんじゃない?
ライターは、トムキング。
元スパイ。
元CIA。
そうですね。バットマンの結婚話とか、ビジョンとか、
ヒーローがカウンセリング施設に通うヒーローズインクライシスなんかを書いた人気のアーティストじゃなくてライターですね。
今回のお話、単品で読んでいけますよね。
てかこれ、アースゼロの話なのかな?
あんまり言及されてなかったですよね。
独立した世界の話なのかな?どうなんだろう?
わかんないですけど、最初にミスターミラクルのオリジンがテレビ番組のテーで語られているので、
この一冊いきなり読み始めても大丈夫かな?
私はこれでミスターミラクルを知りました。
ミスターミラクルって、今までこのラジオで扱ったやつには出てきたことなかったっけね。
なんでミスターミラクルがニュージェネシス、いい神々の生まれなのにアポコリプスで育ったかっていうと、
定戦協定を結ぶためにお互いの息子を交換するっていうことでした。
神話っぽいよね。
いいよね。
ダークサイドの息子であるオライオンはニュージェネシスという良き神々の元で育てられ、
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逆にニュージェネシスのハイファーザーの息子であるミスターミラクルはアポコリプスの地獄のようなところで育てられたっていうオリジンですね。
このニュージェネシスとアポコリプスの戦い、このニューゴッズのお話はジャック・カービィっていう人が作ったお話なんだけど、
ジャック・カービィ覚えてる?ゾンビズの時にちょっとだけ出した。
見ましたっけ?
まるでエフェクトを描くさ。カービィ・ドットって話したじゃん。
なんかコスモ的な存在が現れると。
シルバーサーファーとギャラクタス、あの人たちを生み出したのもジャック・カービィだったはず。
なるほど。マーベルの?
そうそう。アメコミ界のキングと言われていて、もともとマーベルで描いてたんだけど、ちょっと色々あってDCに移ったんだよね。
そのDCに移って作ったのがこのニュージェネシスとアポコリプスのお話。ニューゴッズのお話ですね。
ニューゴッズってあるじゃん。ってことはオールドゴッズとか古き神々もいるわけじゃん。
それはアスガルド。
そうのいる。
ちょっとすげえつまんねえ冗談みたいになっちゃった。
ごめん。そうなんですよ。
これずるいよな。
アスガルドの神々がラグナロクによって滅びて、その後に生まれたのがニューゴッズっていうような流れなんだけど。
ちょうどそこで出版社が全いだっているので、まあまあまあっていう感じですかね。
この新しい神々、ニューゴッズのお話はフォースワールドっていう世界観で語られるんだけど。
フォースって4番目のフォース。
これ解説に書いてあったんだっけな。誰がフォースワールドって名前つけたかっていうのをよくわかってないらしいんだよ。
そんなことあるんだ。
ジャック・カービィが作った言葉じゃないようでどうやら。
設定とか何もなくて言葉だけが。
誰か呼ばれてるフォースワールド。
はじめにロゴスありきってことですよ。
神話っぽい。
フォースワールドじゃ何やってもいいってことですか。
フォースワールドっていうのがなんで4番目なのかっていうのは多分過去のライターとかも色々な解釈をね。
なるほどね。
腕が試されるところですよ。
なんでフォースかっていう。
今回もお話の中でちょっと出てきましたね。
4番目の世界はっていうようなお話があったんで。
そういうわけで。
結構余白の多いストーリーなので。
なるほどね。確かに。
だから色々ライターとしては挑戦できるお話なのかもしれませんね。
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このMr.ミラクルつい最近翻訳版が出たばっかりなので。
この後いつも通り中身ネタバレ全開で話していくんで。
やっていきましょう。
この辺でちょっと気をつけていただければと思います。
でも正直ネタバレ云々っていう作品でもないのかなっていう気は。
ガバガバレやどうこうって感じはあんまりないですよね。
するかな。
ちょっと印象に残ったシーンのお話なんですけど。
野菜の盛り合わせが何回か出てきますね。
確かに。
バーニャカウダというか。
リップして食べるよね。野菜の盛り合わせ。
神様って野菜しか食わないんですね。
食事のシーンが何回かあるんですけど。
ゼリーと野菜。
野菜だけですね。
ミルク飲んだりしてるかなって感じ。
オライオンという取り替えられたダークサイドの息子が裁判を開くという展開が途中であるんですけど。
ミスターミラクルのお家でやるんですよね。
バーニャカウダをつまみながら裁判をやって。
ミスターミラクル自身がいかに信用できない存在かっていうのを論理的に詰めていくんですね。
ありましたね。
反生命法定式の影響があるから、ミスターミラクル自身も問答を通して自分自身が不確実な存在だということを自ら気づかされるシーンですね。
反生命法定式は憎しみだ。信か疑か。
そなたは反生命法定式だ。信か疑か。
答えに詰まっちゃうんだね。
取り乱して暴れて、ぶん殴られたオライオンが目が丁寧になってびっくりした顔で、「なんと!」って言いながらバーニャカウダを食べるというシーンがありますね。
神々の世界と日常生活のちぐはぐさっていうのがこの作品に続く。
大きな矛盾した感覚が心をざわつかせる。
なんとなく座りが悪いというか、落ち着かない感じがして。
有罪を言い渡されてしまうんですけど。
死刑。
このバーニャカウダをダークサイドと出会う時にも持って行くんだよね。
孫を連れて行く時にね。
ダークサイドが反生命法定式を手放すというか、戦争を終わらせる条件としてミスターミラクルの子供、自分にとっては義理の孫を差し出せと。
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というようなことを条件として出しまして。
息子を連れてダークサイドの元に行くんですけど。
完全に孫の顔見せのシーンですよね。
ベビーカーを持ってね。
おむつとかいっぱい持って。
アポコリプスっていう地獄みたいな神の世界にベビーカーで行くっていう、またここもちぐはぐさがありますよね。
実家に戻ったかのようなことね。
野菜の盛り合わせを持って行くんだけど。
ダークサイド食べるんだよね。
人参を食べます。
ダークサイドは口からものを食べるんだなって思いましたね。
最後の最後でソーセージかな。
肉を食べるシーンがあるんだけど。
息子は野菜食べないんだよね。
言われてみればそうだね。
ホットドッグしか食べないんだな。
ホットドッグ以外の食事は食べないシーンがありますよね。
言ってた言ってた。
そういうわけで神は野菜しか食べない。
新しい発見がありましたね。
どのシーンが気に入りました?
僕気に入ったのはあれですね。
ミスターミラクルの子供がバットマンが好きなんですよね。
バットマン人形を見てて。
バットマン人形みたいなのを手放せない。
すごくかわいらしいシーンでいいなと思います。
ベビーベッドの中にバットマンを入れておく。
ミスターミラクルは嫌がるんですよね。
バットマンは赤ん坊を殺すからダメだ。
そうね。
なんていうの?
突然死的な原因になるからぬいぐるみとかは入れちゃいけないんだ。
バットマンは本来は殺さずのヒーローですからね。
ミスターミラクル自身も人間の世界にいるときはヒーローティーシャツを着てるんですよね。
ヒーローティーシャツを着てるんですよね。
スーパーマンのS字のティーシャツとか、フラッシュの雷マークのティーシャツとか。
ヒーローグッズが出てくるんですよね。
誕生日をお祝いするシーンもね。
息子の誕生日を祝うときもバットマングッズがいっぱい出てきますよね。
バットマンの旗とか風船とか出てきますね。
孫の顔見せのときも息子はバットマンのティーシャツを着せられてましたよね。
ほんとだほんとだ。コウモリマークのティーシャツ着てますね。
こういうリアリティーがありますよね。
めちゃくちゃ豊富にヒーローグッズ持ってるな。
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読み返してみると。
毎シーン違うティーシャツ着てますね。
自分家にミスターミラクルのコミックスの表紙のポスターがちょくちょく貼ってあるんですよね。
ヒーローグッズなんだよね。
ヒーローそのものはほとんどこの作品では出てこない。神々しか出てこないですよね。
ニューゴッズ絡みのキャラクターが出てくるんだけど、他のキャラクターはね。
スーパーマンとかバットマンがいるかっていうと全然存在を感じさせないですよね。
序盤のところでミスターミラクルが自殺を企てるという衝撃なシーンから始まるんだけど、
そのとき心配してクラークが部屋の外まで来てたみたいなセリフがあるんだけど、姿は全く出てこないんですよね。
全然出てこないですね。
最後の最後でダークサイドを倒すことができて、そしたらメトロンが現れて。
ちょっと解説を入れておきますか。
メトロンっていうのは、何回かミスターミラクルの前にこの作品でも顔を出すんだけど、
全知全能の椅子に座っている神です。
全知全能の神ではない?
椅子が全知全能です。
全知全能の神で、ニューゴッズでもダークサイド側でもない。
独立の神みたいな感じだったと思うんだけど、全知全能の神ですね。
それがダークサイドを倒したときに、
そのあたたちの勝利だと言って、
ここはそのあたたちのいるべき地ではないスポットフリー。
別の世界があるって言って、その別の世界のイメージ図が出るんだけど、
これがスーパーヒーローたちの世界っぽいんだよね。
プライムアース。
私たちのよく知るDCの世界っぽいよね。
ぽいぽいぽいぽい。
ジャスティスリーグのメンメンがいてね。
死んだはずのオライオンとかもいたりして。
ほんとだ。
なんだけど、このシーンの後にエピローグじゃないけどね、最終話が出てくるんだけど、
なんとなくこのいわゆる別の世界、コミックの世界、プライムアースに行かなかったっぽい説明になってますよね。
いるべき世界には戻らなかったっていう感じがしますよね。
この辺も現実と虚構っていうのを二項対立を考えさせるシーンになってますね。
プライムアースから見ればこっちの世界が虚構の世界になるわけですもんね。
そうだね。
ミスター・ミラクルはどこから脱出してどこにいようとしているのか。
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そういうことか。なるほどね。
結構最初から最後まで現実と虚構を行ったり来たりする話ではありますよね。
そうですね。
物語が出てくる日常生活を送る人間の世界と神々の世界という対立も、
神々の世界って規模が大きいんですよね。当たり前っちゃ当たり前なんですが。
何百万もの軍勢が戦って次々と殺し殺されていく世界ですもんね。
それに対して日常生活は仕事をしながら家族を養っている世界で。
家のリフォームの話をしながら神々の戦いをしたり。
殺し合いをしたり生き討ちをしたりしている。
ご飯は食べなきゃいけないけど生き討ちもしなきゃいけないという世界で。
これだけでも現実と虚構の対立っぽさはありますよね。
ありますね。
でもそれに対してこの途中でプライムアースのシーンが挟まることで、
実はでもこの現実と神々の世界の対立というもの自体が
プライムアースから見れば嘘の虚構の世界になってきているし。
ただこの現実の世界でヒーローグッズたくさん置いてあるというところを見ると、
逆にプライムアースの人たちが虚構の存在としてポスターを貼っているところなんてね、
なんか象徴的ですよね。
自分がヒーローだとしてさ、自分のコミックのポスター貼るもんかな。
貼れないな。
どうなんだろう。
俺自分がそうだったらちょっと照れくさくて貼れないかなと思ったりする。
バットマンはバットマングッズ持たなそうだね。
絶対ないよね。あの広い屋敷の中に絶対ないよね。
スーパーマンは持ってそうだな。
スーパーマンはちょっとありそうだよね。Tシャツとか普通に持ってそうな気がするな。
着たらまずいよね。
あれ?
めちゃくちゃ似合う。
でもこういう虚構と現実の対決は面白いですよね。
そうですね。
日本の小説でもマイジョー・オタローのスクモジュークという小説があるんですけど、
その小説も虚構と現実をテーマにした作品でありましたね。
このあたりの構造も入れ子構造になっている小説で。
結構マイジョー・オタローは小説そのものに言及するお話を書くのが多いですもんね。
そういう意味ではこのミスター・ミラクルもジャック・カービィの手形と
ジャック・カービィの言葉が入ってきたりして。
コミックでありながらコミックというものに言及する。
だから現実と虚構というのをテーマにした作品なのかな。
なるほどね。
今はポスト・トゥルースの時代だと言うこともありますね。
今の政治状況はそういう風に言われるけど。
つまり真実とか現実とか事実とかっていうのが
リアリティ?現実らしさに負けちゃうというか。
真実がどうであるかよりも真実らしいのはどっちかっていうかね。
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自分の感情とか思想とかで現実を選んでいくみたいな。
そういうのが今の政治状況としてあるのかな。
だから現実か虚構かっていうテーマの作品って
すごく現代的、今っぽい作品なのかなっていう気がするね。
どっちを選ぶのか。
今回も現実と虚構の世界がある中で
ミスター・ミラクルが何を選ぶのか、どの世界を選ぶのかっていう風な時に
家族を起点として選択したんじゃないかなっていう。
確かにね。
家族の話でしたね。
家族を選んだってことなんだけど、
ミスター・ミラクルは家族関係がひどいよね。
生まれからしてそもそもかわいそうですよね。
地獄に送られるっていうね。
でも戦争を止めるために地獄に送られたんだよね。
ミスター・ミラクルとビッグバルダは戦争を止めるために息子を差し出せって言われて
差し出さなかったよね。
そうだね。バニアカウダー持って行ったら後に断りましたもんね。
断りましたもんね。ミラクルマシンでダークサイドぶっ倒しましたからね。
謎ビームで倒しましたね。
ミラクルマシンってファイナルクライスっていうやつで出てくるやつ。
ファイナルクライスってめちゃくちゃ難解なんですよ。
いつかやりましょうか。置いといて。
たびたび神の顔を見たことがあるかっていうね。
セリフが入りますよね。
セリフが入るんだよね。これ結構一つの大きなテーマだと思うんだけど
途中でデカルトの我を思うゆえに我ありっていう言葉を引用して
神が何でいるかの証明は自分自身がそこにいるっていうのが
神がいるってことも証明だっていうようなお話になってますね。
もちろんこれは哲学の世界では否定されてるんだけど
もしそれが真実だったらっていうような結びなんだよね。
だから自分自身の顔がわかれば神の顔を知ることができるっていう話なのかな。
なるほどね。
そう考えるとミスター・アミノクルは自分の顔がわかんないんだよね。
そうだね。
特殊な生まれゆえに自分の本当の名前も
名前も教えてもらってないって言ってたよね。
ミスター・アミノクルは先代の脱出術師の芸名だし
スコット・フリーっていう名前もアポコリプスで一生懸命脱出しようとしてたのに付けられたあだ名だったんだよね。
だから自分のアイデンティティーっていうのがすごく不確かなんだよね。
なるほど。
真実を映す鏡みたいなのを見たら自分の姿も違うものに見える。
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だから本当に自分ってものの
何者か。
自分をどこに位置付けていいかっていうのがわからないミスター・アミノクルなんだけど
息子と向き合った時の話が後半で出てきて
その時に自分は息子を見ながら息子を見てなかった。
息子の後ろに広がる未来を見てた。
血の繋がりってことなのかな。
次の世代、次の世代。
息子も自分を見てたけど自分を見てなかった。
自分の後ろにある自分の過去、父の姿、その父の姿を見てた。
そういう長い時間軸というか歴史というかの中に
自分を位置付けることができたんだよね。
息子と会うことになって。
で、アイデンティティーというか確かな自分というのを獲得したのかな。
自分が何者か。
自分の顔がそこで初めて分かったってことですね。
なるほどね。
もしも息子たちと過ごしているこの世界が虚構であるとするならば
スーパーヒーローが活躍するプライマースの世界に行くならば
また自分自身を失ってしまうから
そうか、想像だね。
彼は家族のいる世界を選んだのかな。
なるほどね。
最後のところでハイファーザーが出てきて
お前はこの世界を選んだのは間違いだった。
だけど別に誇っていいお前はやるべきだったんだからみたいなことを言って
ぶん殴るんだけど。
あとオベロンだっけ。人間の助手の人。
この世界を選んで正解だったって言ってくれるんだよね。
いいよね。いいシーンだよね。
だからどっちの世界を選ぶかって自分で決めていいんだっていう
ことがあるかな。
何が現実で何が虚構かは自分で選べるっていう
いいメッセージですよね。
と思うね。
もう最後の最後のコマで
ビッグバルダーとミスターミラクルがキスをするシーンで
コマが歪むんだよね。
テレビの画像が歪むみたいな感じだよね。
だからこの世界があくまでミスターミラクルにとって虚構である?
読者にとって虚構である?
わかんないけどちょっと不穏なチャブ大返しというか
感じを出して終わるっていう作品だったね。
というわけでアリスターミラクルでした。
面白かったですね。
今回は現実と虚構っていうのと家族っていうので
話しましたけどそんな簡単に切れるお話じゃないよね。
いろいろ掘り下げがいのあるところがいっぱい要素があるから
古典として長く読められる作品になりますよね。
他の人たちの解釈というか話も聞きたいですね。
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人が話したくなる作品ですよね。
そうだね。語り合っていく中でいろいろ発見があるかもしれない。
気づけるよね。
というわけでまた次回。さよなら。
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