00:06
夜おそく、風がびゅうびゅうと吹く中、馬が走る。
乗っているのは、父親と子供。
父親は、子供を腕に抱いて、温めていました。
男の子の様子を見て、父親は言います。
「ぼうや、何を心配しているんだい?」
「お父さん、男の人がいるの。見えないの。」
男の子がそう言いましたが、父親には見えません。
見えるのは霧だけ。
「ああ、あれはただの霧さ。」
父親は優しく言います。
しかし、男の子には誰かの声が聞こえました。
それは、自分だけが見える男の声でした。
「かわいいかわいいぼうや、こっちにおいで。私と一緒にあそぼう。」
「浜辺には、色とりどりな花が咲いているよ。それに、金色の服もあるんだ。」
「お父さん、お父さん、聞こえないの。男の人が話しかけてくるよ。」
男の子の心配をよそに、父親はゆっくり、安心させるように言いました。
「落ち着いて、ぼうや。あれは風で揺れている枯葉の音さ。」
しかし、また男の子には不思議な声が聞こえてきました。
「ぼうや、一緒においでよ。君のことは、美しい私の娘が見よう。歌や踊りを見せることができるよ。」
男の子がよく見ると、女もいることに気づきました。
「お父さん、お父さん、あそこに女の人もいるよ。見えないの。」
「ぼうや、よく見なさい。あれは柳の木さ。」
と、男の子の目の前に、男がやってきます。
「ぼうや、私は君が気に入ったんだ。だから、力づくでも連れて行くよ。」
03:09
「お父さん、お父さん、男の人がぼくをさわってるよ。」
男の子が叫び、うめき声をあげます。
父親は怖くなりました。
急いで馬を走らせ、目的地へと向かいます。
やっとのことで目的地に着きましたが、男の子は父親の腕の中で亡くなっていました。
男の子は父親の腕の中で亡くなっていました。