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次に、怪談作家の宇都郎・しかたろうです。
この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
今回は、オンラインで買い取ったお話をお送りします。
お盆やお正月などに、遠く離れた心類演者の家を訪れる。
誰にでもあることだと思います。
特に、子供の頃のそのような経験は、鮮烈な記憶として残るもの。
自分のことをとても可愛がってくれる祖父母や、叔父、おばに会えるのは、とても嬉しい。
その一方で、彼らが住むのは、自分が普段暮らしている環境とはかけ離れた、非日常の世界。
その奇妙な取り合わせが、奇抜な色彩を持った絵本を見るような、不思議な感覚を私たちに与えてくれます。
今回のお話は、Kさんという女性が中学生の頃に体験したものです。
彼女は、おばあちゃんの包容のため、家族や親戚一同とともに、九州のとある離島を訪れました。
そこで彼女は何を見、何を感じたのでしょうか。
また祖母の包容に行かなければならなくなったんです。
けれども、場所が九州の離れ小島になりまして、幼い頃に一度行ったことはあったらしいんですけれども、
物心ついてからは初めてというような状態で、すごく偏僻な場所にある小さな離れ小島に行くことになったんです。
母の実家だったんですけれども、飛行機に乗って船に揺られて、ほぼほぼ丸一日かけてようやくたどり着くような偏僻な場所だったんですが、
最初は到着して、親族みんな集まって、何事もなく飲めや歌えやというような田舎あるあるですけれども、
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そんな感じで1日目は過ぎていったんですね。
みんなも集まったし、飲んで疲れたし、じゃあ寝ようかという話になったんです。
この家の構造をちょっと簡単に説明しますと、玄関のところにですね、
ビワの木と柑橘系の木が2本立ってまして、玄関入ってすぐ右手に、何畳ぐらいだったか忘れたんですけれども和室が広がっておりまして、
それを仮に東の部屋とします。
東の部屋の北側にですね、仏壇がありまして、南側に押入れがあります。
その東側の部屋のすぐ隣に、西側の部屋がありまして、同じぐらいの大きさなんですけれども、
この東と西の部屋、両方に集まった親族数人で雑魚寝をする形になりました。
私たち家族は西の部屋で、他の親族たちは東の部屋で寝ることになったんですけれども、
私が確か西の部屋の方でも北側の方に、
その隣に父が、その隣に妹たち、母というような順番で寝たような気がします。
眠りについて、しばらくするとふっと目が覚めてしまいまして、
あれ、おかしいな、やっぱ疲れてたけれども、疲れてるせいで気が高ぶって起きちゃったのかな、なんでかなって思っていると、
あ、すごく体が重たいなっていうことに気づいたんです。
もしかして隣で寝ている父が間違って寝相悪く私の上に乗っかってきてるんだろうかと思ったんですけれども、
人が乗っているにしては本当にあまりに体が動かなさすぎるので、
あ、もしかしてこれがいわゆる金縛りなんじゃないだろうかっていうことに思い立ったんです。
でも怖いかどうかと言われると、その時は別に怖いという感じはしなくてですね。
中学生ですごく夢のない話ではあったんですけれども、金縛りって言ったら科学的に解明されてるし疲れてるんだろうなーってそういうふうに思って、
まあとりあえずまた寝たらいいんじゃないと思ってまた寝ようと思ったんですけれども、
頭の方で誰かがブツブツ言ってるのが聞こえてきたんです。
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なんでこんな時間にブツブツ言ってるのかな、誰かが早くに起きてしまったんだろうかって思って聞いてたんですけれども、
多分男の人の声だったと思うんですね。
男の人がブツブツブツブツって言ってるのをいとこのお兄ちゃんが起きて言ってるんやろうかーって思って聞いてるうちにどんどんどんどん頭が痛くなってきてしまいまして、
最悠奇の孫悟空が頭につけてる輪っかであれで締め付けられてるような、
あんな感じでどんどんどんどん頭がギューッと締め付けられるように痛くなってきてしまいまして、
そこでようやくなんかちょっと怖いなー、おかしいなー、
そういえばいつもいびきかいて寝てるはずの父のいびきの声が聞こえないなーっていうことにふっと思いたりまして、
これはなんかちょっと普通のことではないんじゃないだろうか、いやでもやっぱり夢なんだろうかってぐるぐるぐるぐる考えてると、
そういえば今自分お仏壇の方に頭向けて寝ているなーと、お仏壇の方向に向けて頭を向けて寝ているなー、
そういえばこの自分の真上の方に先祖様たちの家が飾ってあったなーってことにはっと気がついて、
あ、これはちょっといいか悪いかは別としておいてなんかちょっとまずいんじゃないかなーと思った瞬間に、
ぐいっと誰かに体を引っ張られたような感覚があったんです。
あ、引っ張られたって思ったらワインの瓶に下がってるコルクですね、あれをスポンって引き抜いたような感覚で、
自分の体がスポンと引き抜かれるような感じがしまして、おっと思うと、
あ、なんで自分の体を見下ろしてるんだろうっていうような状態になったんです。
で、実際にこれが夢だったのかどうかわからないんですけども、
いわゆる幽体離脱みたいな感じになってるのかなーと、
じゃあ今自分を見下ろしています、さっきまで頭の方でブツブツ言ってたのは誰だったんだろうと思って、
その方向を向いたんですけれども、真夜中だったはずなのに、
なぜか東側の部屋だけすごく明るくなっておりまして、日が差しているような状態だったんです。
あれだけ敷き詰められていた布団もすべて片付けられている状態で、
なぜか押し入れの方に段を2段重ねにして、上から白いシーツをかぶせたような祭壇みたいなものが作られてまして、
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あれ、なんだろうこれ、見ていると後ろからですね、時代劇で見るような奥下さんの格好した人が出てきまして、
その人がその祭壇の前で、さかきみたいなものを持って、むにゃむにゃむにゃと何か言っているなと思ったら、
くるっと振り返って、次はお仏壇の方まで歩いて、またむにゃむにゃむにゃと行って、
またくるっと振り返って、祭壇の方へ行って、ということを何回も何回も繰り返してあったんですね。
怖いという感じは不思議とせずに、すごく綺麗なものだな、神聖なものだなと思って、ずっと見つめていたんです。
見つめているうちにふっと気づいたら、夜が明けてまして、あれ、さっき見てたのは何だったんだろうと思って、
部屋の中を見渡してみると、布団は敷かれてて、親族もみんな寝ている状態で、
やっぱりあれ夢だったんだろうなぁとその時は思って、その日は一日過ごして終わったんですね。
こんなことがあったよ、と誰かに家族に言っても多分バカにされるだろうな、
夢だったんでしょって言われるだけで終わるんだろうなって思って、とりあえず何も言わずに、
法要はそのまま何事もなく終わりました。
しばらくしてですね、実家の家の方に戻ってきまして、確かテレビ番組ですね、
心霊番組だったか、なんか世界の怪奇現象だったか、そんな感じのテレビを見ている時に母に、
そういえば、うちの実家、面白い言い伝えがあるわ、ということを聞いたんです。
どんな言い伝え?って聞くと、木から妖精さん、精霊さんが降りてきて、人に悪さをするねん、いたずらしてくるねん、と。
へー、どんないたずらなん?って聞いてみると、一番ありきたりなのは金縛りよねーっていうことで、
じゃあもしかしたら、あれが夢であったとしても夢でなかったとしても、精霊さんの金縛りだったんやったら、すごくロマンがあるよな、面白いよなーってその時は思ったんです。
でもよくよく考えてみると、それが仮に精霊さんだったとして、精霊さん、一体どっちが精霊さんだったんだろう?
私の耳元でブツブツ言ってた、頭を締め付けるような痛みを与えてきた何かだったのか。
それとも祭壇の方向と、仏壇をくるくるくるくる往復しながら動いていた奥義さんみたいな方やったのか。
どっちやったんかなーと。
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それからですね、なんか変な話なんですけれども、
その出来事をきっかけに、すごく金縛りに合いやすい体質になってしまいまして、疲れてると金縛りに合うっていうような状態になってしまったんです。
これはこの話とは全く関係ない話ではあるんですけれども、金縛りに合う時、寝ているような状態の時に、
金縛りに合うものなんですけれども、場所によって合うものが決まっていると言いますか、
実家にいる時は必ず何かの鳴き声、赤ん坊なのか猫なのかわからないんですけれども、何かの鳴き声が必ず聞こえてきていた。
大学の部室では必ず何か人のざわめき声、今住んでいるこちらの部屋ではなぜか必ず子どもの笑って走り回る声が金縛りに合うと聞こえるようになってきてしまったっていうのが変な話ですけども、後日談でして。
精霊さんがまだそういう悪さしているのかな、それともそういう精霊さんとは関係ない何かでこんなになっちゃったのかなとか、これも私の話です。
Kさんが体験したのは、いわゆる幽体離脱ということになるのでしょう。幽体離脱というのは、体の中にあると言われる幽体が抜け出して浮遊する現象のことを言います。
体験者の意識は幽体の中にあり、眠っている自分の体を眺めたり、自由に飛び回って他の場所の様子を見たりすることができると言われています。
しかしKさんの体験に関しては、どうやら単なる幽体離脱ではなさそうです。
彼女がその時に見たのは異様なものでした。
仮着布に縦絵帽子というクゲのような格好をした白髪混じりの初老の男性が神式の祭壇と仏壇を行き来し、仕切りに乗りとのようなものを唱えるというのです。
これは一体何なのでしょうか。
私が思うには、違う時間、違う時代にその家で行われていた宗教儀礼の光景なのではないかということです。
このような礼拝の作法があるのかどうか、少なくとも私は聞いたことがありません。
しかし日本人は元来宗教に柔軟な民族です。
全国各地で六次の信仰が生まれ、そして消えていきました。
中には隠れキリシタンやイザナギ流のように、何百年も前から現在まで外部に知られることなく一部の地域にのみ伝わってきた信仰もあります。
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Kさんが訪れたのは南の離島ということなので、現在では失われてしまったその島独自の信仰が過去にあったとしてもおかしくはありません。
Kさんのお母さんは実家には精霊が住みつくという言い伝えがあると言います。
そこからはその土地の人々は自然と調和した暮らしをずっと続けてきたと推測でき、だとすれば独自の宗教観を持っていたとしてもおかしくはないのです。
だからこそ彼女が見せられたのは過去にそこで行われていた光景だと思えるのです。
ではその光景を彼女に見せたのは一体何だったのでしょうか。
そしてなぜ彼女はそのような光景を見せられなくてはならなかったのでしょうか。
この体験からは一族が連綿と続けてきたにもかかわらず、途絶えてしまった信仰やその儀式について忘れてほしくない、知っていてほしいという先祖の思いが伝わってきます。
信仰とは哲学です。
哲学とはその人の生き方の指針となるものであり、人生の土台にあたる部分です。
それが自分たちの子孫に継承されていないということは、自分たちの存在そのものが忘れ去られたことと同義であるとも考えることができます。
先祖の人たちはそれについて憂うと同時に、子孫のことを案じているのかもしれません。
そこで、現代を生きる血縁の誰かがそれを見て、自身のルーツにある信仰心や信仰の対象の一端を知り、先祖がどのような生活を送っていたのかを少しでも理解すれば、
あとはその人物がその話を死死存存に伝えていくことにより、記憶の継承はなるわけです。
Kさんの体験の裏には、そのような先祖の思いがあったのでしょう。
Kさんは巫女の役割を与えられたのです。
だから、その後も悲しばりに会い、その度にその場所の見えない存在が立てる音や声が聞こえるようになったというわけです。
そこまで考えると、Kさんにあの光景を見せたのは、その土地に昔から住む精霊と考えるのが妥当のように思えてきます。
では、その精霊とは何なのか。
自然の中で自然との調和を優先して暮らしてきた人々は、死んだ後、自然に帰ります。
その姿は、私たちが精霊と呼んでいる存在そのものだと考えられないでしょうか。
そこで生まれ、暮らし、死んでいった人々の思いが、精霊と呼ばれる存在になったと。
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以上はあくまでもただの推測でしかありません。
こういった過去からのメッセージは得てしてわかりにくく、私たち一般人が読み解くことは非常に困難なのです。
一番大切なのは、体験されたKさん自身がどう感じたかということ。
全てはそこに帰結するのです。
次回は来週水曜日に、夏の特別企画、階段作家から100円で買い取った階段の第4回。
さたなき屋さんのお話をお届けします。
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この番組では、Kさんのようにあなたが体験した階段をオンラインで買い取りしています。
詳細は概要欄のリンクよりお待ちしています。
それではまた次回、お会いしましょう。