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2020-10-05 11:10

第29回:【上級講座】言葉運びと間合い、「春夜洛城に笛を聞く」

今回は相当に上級な内容です。詩吟は声にばかり意識がいきがちですが、言葉の発し方、間合いの取り方こそが重要だと、大ベテランの先生はおっしゃります。その一端について、僕なりに噛み砕いて話してみました!#詩吟
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おはようございます。詩吟チャンネルのheyheyです。 この詩吟チャンネルは、詩吟というとってもマイナーな日本の伝統芸能のその魅力をですね
伝えていこうというチャンネルにしております。 私はというと、詩吟歴20年以上、準詩班の資格を持っていて、全国大会も優勝経験がある
という経験を踏まえてですね、詩吟の面白さを伝えていきたらなと思っております。 なお、車の中から配信しているので、ちょっと雑音が入ってくるかもしれませんけれども、それに
負けないように詩吟で培ってきた滑舌とハイカツ量で、わかりやすく話していきたいと思いますので、そこはどうかよろしくお願いします。
通勤時間を使っているので基本的に平日毎日配信していきます。 いつも通り前半は詩吟に関する小話、後半は毎日
平日毎日違う吟を紹介して吟じていくというスタイルでいこうと思います。 それでは本編に移ります。今回はですね、だいぶ上級的な内容になると思います。
言葉運びや間合いについてですね、そこを説明していきたいと思います。 まあ間合い、なんとなくわかるかと思います。
結構武術であれば相手の前に入るとか、ここでこれ以上踏み込んだらダメだとか、そういったところがあるかと思います。
詩吟でいうとですね、言葉言葉一つ一つのですね、 言葉と言葉の間ですね、その間と呼ばれるところ。つまり音としては一切ないんですけれども、
確かにそこには空間があるということになります。 もう一つ言葉運びというのは、言葉の中のどういうふうに詰め込むか伸ばすかということですね。
言葉、この言葉、言葉じゃなくて言葉、この言い方が言葉運びということになります。 正直ですね、詩吟の中でもここまでその言葉運びや間合いについて教わる機会は多くありません。
というのもですね、なかなか言葉にしがたい、教えるのが難しいというところ、抽象的であるというところもありまして、だいぶ上級者的な話になると思います。
今までちょっとお会いした中で、本当に大ベテランの先生が言葉運びこそ、前の取り方こそ大事なんだよと、いろんな技巧にこだわっちゃいけないよと、ここさえちゃんとできればもう立派な吟ができるんだと、
いうふうにおっしゃってたのを覚えています。それほどにですね、この間合いとか言葉運びというのはものすごく奥が深い世界でして、
僕もたかだか20年ぐらいで語れるような内容ではないんですけれども、そこをですね、もう少し噛み砕いていけたらなと思っております。
では、まず言葉運びの方からいきたいと思います。 弁性祝祝というフレーズからですね、これを言葉運びをとても雑にした場合ですね、どうなるか。
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弁性祝祝
これは、幼稚園児とかがよくやるパターンですね。言葉運びとかがわからないので、一音一音ただ丁寧にやっていくと。丁寧にやる姿勢自体はいいんですけれども、それじゃ間延びしてしまって何が何だかよくわからない。
だからといってですね、ただ速くするとそれでいいのかというとそういうわけでもないです。 弁性祝祝
これもですね、ただ速くするだけということですね。本当は多分、微細に分析すると一音一音に速まったり、若干伸ばしたりというその違いがあるんですね。
で、一番スムーズに聞こえるやり方、実際に僕がやるやり方でいくとですね、弁性祝祝
こんな感じになるかなと思います。間延びはしない方がいいです。 ただですね、言葉はちょっとたっぷり言うところと、あえて詰めるところがあるというところで言葉運び、これが言葉運びになります。
一つ一つの音の意味を考えてですね、どうすればその言葉が相手に伝わるのかというのを、その言葉単位で考えていくということになるかと思います。
そしてもう一つが間合いですね。弁性と祝祝、この間をどれだけの間、どれだけの時間とるのかというところが本当に難しいところになってきます。
詰めすぎると急いでいるように感じるし、伸ばす間分けすぎると間延びしてしまう。 別々の言葉のように感じてしまう。一フレーズとして聞こえにくくなるということになります。
ちょっとやってみますね。 まず詰めてみる感じですね。
弁性、祝祝、これはこれでそんなに悪くはないと思うんですけれども、これはですね、相手のところに、相手の陣地にひっそりと進んでいくところなので、ここまで急いでいくような感じではないのかなと思います。
そして次にたっぷり設けた場合、弁性、祝祝、ここまで空けるとですね、弁性と祝祝はもう完全に別の言葉になって、シーンが切り替わっているように感じるということですね。
フレーズとしての繋がりがなくなってしまうということになります。
ですので、私としてはこれぐらいがちょうどいいのかなと思っています。
弁性、祝祝、これぐらいですね。本当に何秒止めてくださいとかいうものでもないので、だからこそ伝えるのが難しいというふうになるのかなと思います。
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一方ですね、私の好きなタバルザカという詩、これは戦国的なもので、出だしからものすごく勢いがあるんですね。この場合だと間合いがとても短くなります。
参考にこういうものもあるんだということで聞いてもらえればと思います。
どうでしょうか。先ほどよりもですね、だいぶ切羽詰まったような感じが伝わったのかなと思います。
こういうふうに間合いと言葉運び、これをですね、とにかくお客さんにとってどうしたらその詩が伝わるようになるのか、そう考えて繰り返しいくとですね、だんだんと練り込まれていくというようなものでして、なかなか伝えるのは難しいんですけれども、その一端をここで伝わったのなら、私としては本当に至極幸いとなります。
だいぶ今回レベルの高い話をしたんですけれども、以上となります。
ではですね、後半の銀に移りたいと思います。
春夜落城に笛を聞く。利伯という方が作られた。利伯、とても有名な方ですね。春の夜の詩になります。今秋なんでちょっと季節違うかなと思うんですけれども、私はですね、これの出だしからとにかく美しい内容なんですね。
他が家の玉的歌。私もとても上手な女性の先生の銀を聞いて、この詩好きだなと。女性的な銀だと思うんですけれども、これをちょっと紹介したいと思います。
他が家の玉的歌。杏に声を飛ばす。三時て旬風に入りて落城に満つ。
この夜曲中雪流を聞く。乱人か。公園の城を起こさざらむ。
他が家の玉的歌。玉的ですね。笛の音がどこかの家から鳴っている。杏に声を飛ばす。どことも知れない闇の中からですね、暗闇から聞こえてくる。
それが三時て旬風に入りて、春風に乗ってですね、落城に満つ。落城、向こうの中国の大きな都市ですね。落城に満つ。
この夜曲中雪流を聞く。その曲の中にですね、雪曜流という、別れの時によく聞く歌が流れてくると、曲が聞こえてくると。乱人か。公園の城を起こさざらむ。
この曲を聞いてですね、自分たちのふるさとを思い起こしてしまうものだというものですね。とても美しい詩だと思います。
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それでは弦字でいきたいと思います。
春夜落城に笛を聞く。離白。
我が家の極敵か。杏に声を飛ばす。
三時て旬風に入りて、落城に満つ。
この夜曲中雪流を聞く。
乱人か。公園の城を起こさざらむ。
いかがでしたでしょうか。この曲の美しさが少しでも伝わったなら幸いです。
本日は以上となります。
シリーズチャンネルは平日毎日配信していきたいと思いますので、次もまた楽しみにしていてください。
本日はどうもありがとうございました。
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