第百十五話『哀しみに向き合う』-【青森篇】画家 シャガール-
2017-11-11 12:56

第百十五話『哀しみに向き合う』-【青森篇】画家 シャガール-

青森県にある日本最大級の縄文時代の集落跡地「三内丸山遺跡」。
その広大な草原に隣接するのが、白い瀟洒(しょうしゃ)な建物、青森県立美術館です。
青森の豊かな自然が育んだ、個性的な作家たちの作品がゆっくり味わえます。
その美術館の、ある有名なホール。
それを観るためだけに全国、いや世界中からひとがやってくる、知る人ぞ知る稀有な展示室です。
その名は、「アレコホール」。
20世紀を代表する画家、ロシア出身のマルク・シャガールが、バレエの演目「アレコ」のために画いた背景画が飾られています。
四層吹き抜けの大空間の白い壁一面に架けられた壮大な絵は、日本で展示されるシャガールの絵で最も大きなものです。
通常は、アレコという演目の四幕のうち、三つの絵しか飾られていないのですが、現在、フィラデルフィア美術館の厚意により、四幕の絵がおよそ10年ぶりにそろいました。
これら4枚の絵を画いたときのシャガールは、決して幸せで順風満帆な状態ではありませんでした。
ユダヤ人である彼は、ナチス・ドイツの迫害から逃れるために、住み慣れたフランスを離れ、アメリカに亡命したのです。
およそ7年間の、異国での暮らし。
この時期、シャガールは、二つの大きなものを失います。
ひとつは、ふるさとロシアの街、ヴィテブスクがナチによって破壊されたこと。
そしてもうひとつは最愛の妻、ベラの死。
深い喪失感と失意の中で、彼は、絵を画くことで自らを保ちます。
ひとは、耐えがたい哀しみをいだいたとき、思うようにならない人生に翻弄されたとき、いったい何で自分を支えるのでしょうか?
マルク・シャガールが数奇な人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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