第百五十一話『孤独から逃げない』-【鎌倉篇】俳優 鶴田浩二-
2018-07-21 13:59

第百五十一話『孤独から逃げない』-【鎌倉篇】俳優 鶴田浩二-

鎌倉のお墓に眠る、昭和を代表する俳優がいます。
鶴田浩二。
墓石には、本名の小野榮一という名前と同じくらいの大きさで、鶴田浩二と刻んであります。
初期こそ、その甘いマスクでアイドル的な位置づけでしたが、のちに出演した任侠映画のイメージが鮮烈です。
また、独特の歌い方、哀愁に満ちた声で、歌手としても人気を博しました。
大ヒット曲、『傷だらけの人生』。
加えて、戦争での特攻隊の翳り。
硬派で無骨。
若者を敵対視する印象派、亡くなる10年前に出演した、山田太一の『男たちの旅路』に集約されました。
「オレは、若いやつが嫌いだっ!」
特攻隊の生き残りで、たくさんの戦友を見送ってきた主人公は、自分が生きている意味について深く内省します。
鶴田浩二の顔の皺ひとつひとつが苦渋に満ち、セリフの重さに、観たひとは居住まいを正します。
観るひとをひきつける力。
その凄さに、もしかしたら、彼自身がいちばん驚いていたのかもしれません。
現場では不遜、傲慢と揶揄されることもあったと言いますが、その一方で情にあつく、後輩の面倒見がよかったという逸話も残されています。
なにより、さみしがり屋。
自分の誕生日には、多くのひとを招き、自ら歌を披露しました。
「何から何まで、真っ暗闇よ 筋の通らぬことばかり」
鶴田浩二の人生は、まさに「傷だらけの人生」だったのかもしれません。
でも、彼は聴こえない左耳に手をあてがいながら、歌い続けました。
マイクと一緒に持ったハンカチは、次の歌手への気遣い。
汗をつけぬ心配りでした。
常に強気でありながら、優しさを忘れなかったからこそ、彼は伝説になったのです。
俳優・鶴田浩二が、62年の生涯でつかんだ明日へのyes!とは?

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