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2024-02-16 11:14

85.正しく自分を理解するには―インポスター症候群について―

要約:お便り回のつづき。誰にでも得意なこと、苦手なことがあるはずで、その両面を見て初めて自分のことがわかってきます。しんどい作業かもしれませんが、いろんなことを実践して、失敗して、成功して、程よく振り返って…という経験を重ねていくことで、自己理解が固まっていきます。

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心理師わたるんの働くをカウンセリングするチャンネル。 今回は、インポスター症候群と自己理解についてお話ししていきます。
みなさん、今週も1週間お疲れ様でした。 公認心理師・臨床心理師のわたるんと申します。
このチャンネルでは、就職や復職などいろんな働くをサポートしてきたカウンセラーが、 お仕事・ご家庭で役立つようなカウンセリングの豆知識や
心理師のあれこれを簡単にお伝えしています。 さて、今回もご質問のご回答をしようと思います。
前回、みそじさんからいただいたご質問の3つのうち2つについて回答しましたので、 今回は残りの1つですね。
改めてみそじさん、ご質問大変ありがとうございます。 まだ前回のエピソードを聞いていないという方は、ぜひ前回の84回も合わせてお聞きください。
というわけで、早速ご質問を読み上げていきます。
インポスター証拠群についてお聞きしたいです。 インポスターは実際には能力があるのにも関わらず、自分でそう信じることができない状態だと理解していますが、
自分で自分の能力を信じることができないのに、自らインポスターだと思うことには矛盾があると感じます。
インポスター証拠群はあくまで他人視点であり、 自らインポスターと思うのは違うということであっていますか。
正しい認識の仕方としては、過去自己評価と他者評価のギャップに気づいた上で、 自分はどうやらインポスターの毛があるなのでしょうか。
過去インポスターだと思ってたら本当に能力がないだけだった。 とかだと辛いなぁと思い。
ということです。 なるほど、インポスター証拠群というのは他者から言われて初めて成り立つのであり、
自分からインポスター証拠群と確信するのは違うんじゃないのか、ということですね。
ではまずインポスター証拠群について簡単に説明します。 インポスター証拠群というのは自分の社会的な達成・成功を内面的に肯定できない。
つまり信じられずに、例えば 自分が成功したのは自分の能力によるものではないから自分は周りを騙している。
自分は詐欺師だと感じてしまう傾向が強いことを言います。 インポスターというのは詐欺師、偽物という意味ですね。
ざっと調べたところなので確証はありませんが、どうやらハリーポッターのハーマイオニー役で有名なエモワトソンさんも自分はインポスター証拠群であると公言しているようですね。
それでちょっと申し上げにくいんですけど、インポスター証拠群というのは病名ではなくてですね、
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あまり精神医療の分野では扱わない用語でして、僕もご質問をいただいてから急いで調べたんですね。
なのですいません、インポスター証拠群そのものを詳しく知っているわけではないんですが、この用語を調べてみて、今までカウンセリングを担当してきた方で当てはまる方結構いるなぁと思ったので、その経験も踏まえて考えたことをお話ししますね。
まずインポスター証拠群の問題点は明らかな成功体験があるにも関わらず、その成功を支えた自分の努力や能力を自分で認めることができないことなんだろうなと思います。
それによってインポスター証拠群の人は喜ぶどころか、まだまだと焦ったり、いや自分はそんな体操な人間じゃないんだよごめん、と罪悪感を持ってしまうということですね。
こういう方はよくいらっしゃいますし、そしてこういう方はやっぱり客観的な評価は肯定的であることが多いです。
まあもちろん世の中に完璧な人間は存在しないので、どこかしらに穴があるわけですが、少なくとも周囲からの評価と比べて自分をディスカウントしてるなぁと思わせるくらいの自己評価をされています。
こういう方は確かにインポスター証拠群に当てはまるかもしれませんね。
そういう方がどういう形でインポスター証拠群だと自覚されるのかというと、これはやっぱりみそじさんがおっしゃるように周囲からそう言われて自分インポスターっぽいなぁと思うケースが多いのかもしれませんね。
もしくはインポスター証拠群の苦しさが少し軽くなったタイミングで苦しかった時の自分を振り返ってみて、あれインポスター証拠群だったなぁと思い返すケースもあるかもしれません。
どっちみち他者か客観的になった自分が必要そうですね。
それでみそじさんの疑問点には他者評価なしで自分はインポスター証拠群だというのは矛盾があるんじゃないかということでしたね。
確かにそんな人をインポスター証拠群かどうかを判断するのは難しそうです。
ただ、なのでそこは別問題で考えましょう以上とするのはつまらないのでインポスター証拠群かどうかという軸は一旦外して別の視点で考えてみようと思います。
そうですねそういう方はみそじさんのおっしゃる通り本当に能力がないだけだった。
つまり自分には能力がないという考えの方が正しかったというケースか、もしくはやっぱり自己評価が本来の能力よりも低い、
つまり自分には能力がないという考えがちょっと違ってたというケースのどちらかになるわけですね。
要は自分には能力が本当に備わっているのか実際自分はどのくらいのことができるのかというインポスター証拠群かどうか以前のところがわからないわけで、
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それはつまり自己理解が固まっていないと捉えられるわけです。 自己理解というとぼやっとした表現ですが、つまりは自分の能力や性格をしっかり現実的に把握していることということですね。
実はですね、こういうケースの方が現場ではよく出会うんです。 だってさっきちらっと申し上げましたが、やっぱり世の中に完璧な人間は存在しないので、
みんながこの人は成功者だと認める人ってそんなに多くないわけです。 普通に考えてあなたは優秀ですといろんな人から太鼓板を押される人ってそんなに多くなくないですか。
多分ある場所では良い評価を受けて、違う場所ではそんなに良い評価は受けなくてっていう人の方が多いんじゃないかなと思うんです。
迫るところ、自己理解が固まっていない人の大半は、ここでは良い評価を受けたけどここではあんまりだった。
実際自分はどんなことができるんだとなっているわけです。 まあ結構自分のことってなんだかんだわかんない部分多いですもんね。
あとインポスター症候群の方も自己理解が固まっているかというとそうではないですね。
周囲から見た自分と自分から見た自分が全然違うというのは自己理解ができているとは思えません。
じゃあそんな自己理解をどう固めていくかというと、簡単に言うと現実に直面するということになります。
世の中に完璧な人間は存在しないので、これ3回目ですけれども、誰にでも得て不得てがあるわけです。
仕事で言えば自分はこれが得意で、これが苦手で、これが好きで、これが嫌いで、こういう仕事ができると生き生きするというようなことですね。
こういうことをどんなふうに分かっていくかというと、やっぱりいろんな業務を受け持って挑戦して実践して失敗して成功して
挫折もしてそれを振り返ってという経験を重ねていくことで分かっていくんです。
皆さんも今までの経験から納得いくところではないでしょうか。
自分が何が得意で何が苦手って実際にやってみないとわからないことの方が多かったんじゃないかなと思います。
そんなふうに現実に直面することには痛みを伴います。
時には本当にインポスター症候群ではなくてただの勘違いだった。
本当に自分はこの分野は苦手だったということになるかもしれません。
ただそれに直面することで初めて自分のできることや得意なことが相対的に見えてくるものなんです。
認知行動療法というカウンセリングでは自分にとってきつかった出来事についてバランスよく捉えてみようということをやっていきます。
これはきつかった出来事の良い部分だけを見ようというわけではなくて、ちゃんと悪い部分も残して見ていきます。
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そうすることで自分の納得いく捉え方ができるんです。一方だけでは腑に落ちないことが多いんですね。
自分のできることできないことを理解するときも一緒です。
多分自分にとって得意なことと苦手なことや限界があるはずで、その両面を見て初めて自分というのがわかる、自己理解ができるんです。
そういった点ではインポスター症候群の方は本当の意味で自分のできることを受け入れることに強い不安があるのかもしれませんね。
それって自分のできないことを見る作業にもなりますから。
さて話が逸れましたがまとめると、他者評価なしに自分をインポスター症候群だというのはちょっと無理があるかもしれないけど、
本当の意味で自分のことを理解していく必要があるという点では、他者評価があるかどうか、インポスターかどうかというのは究極関係ないかもしれなくて、
それはいろんな現実に直面しながら納得していくものなんじゃないかなと思います。というのが僕の見解です。
いかがでしょうか。答えになっているかわかりませんが、何かしらのヒントになれれば嬉しいです。
自己評価と他者評価のギャップっていろんな人が迷うし苦しむトピックじゃないかなと思います。
なのでこのトピックは今回のインポスター症候群という視点以外からも今後お話しできればと思いますので、これからもいろんなお便りをお待ちしてますね。
改めてみそじさん、この番組を見つけてくださって、聞いてくださって、そして質問もしてくださって本当にありがとうございました。
みそじさんの今後にお役に立てれば嬉しいです。 では今回はここまで。おやすみなさい。
ここまで聞いてくださってありがとうございました。また来週をお楽しみに。
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