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2025-01-10 09:37

#20 町田康『夫婦茶碗』〜しっちゃかめっちゃかちゃわおっしゃー

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(間違えて第19回って言ってますが、20回です)

町田康『夫婦茶碗』について話しました。

このしっちゃかめっちゃかでリズミカルな語りにハマるともう抜けられない。

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サマリー

町田康の短編『目音茶碗』では、夫婦の生活の困難さや作家としての苦悩が描かれ、奇想天外なストーリー展開が魅力となっています。特に、主人公ゾルバの苦境からの逃避を通じて、町田康の独特なユーモアやダークな要素が際立っています。

目音茶碗の概要
はい、tantotの時々読書日記、第19回です。
今日はですね、町田康さんの目音茶碗についてお話ししたいと思います。
町田康さんは、言わずとしれた天才パンクロッカー兼詩人兼歌人兼小説家ですね。
最近は、結構お年を収めされてますけど、ますます際渡っている感じのトークなど、いろんなところで目にしております。
町田康さんの話は、すごいしっちゃかめっちゃな感じの小説が多くて、読んでいるだけでバカ笑いして爽快で、気持ちがいいというような感じで、僕すごい好きです。
目音茶碗は結構初期の作品ですね。
靴寸大国、諸著作は靴寸大国で、その次ぐらいに出ている本かなと思うので、もともとは1998年に単行本が出ているというような感じです。
今手元にあるのは文庫版で、平成13年に初版が出ています。
目音茶碗は短めの短編で、薄めの文庫本に2編入っているうちの1編というような感じで、全体で90ページくらい、80ページくらいかな。
割とサクッと読める短編なんですけど、面白いです。
話としては、夫婦の話、マイトー茶碗という夫婦なんですけど、夫婦の夫の方が私という語り手で、
金がないし、仕事もないし、夫婦間の潤いもないという中で、どうしたらいいのかという中で、
一年発起して働き始めるのではなく、メルヘンを執筆するというふうな作に出る。
これでメルヘンを執筆して、ひと山当てれば人生一発逆転できるんじゃないかというので、
メルヘンを書こうとするというのがこの話なんですけど、書こうとするメルヘンが酷いんですよね。
その勢いだけで突っ走っているというような、そんな感じの話で、
メルヘンのはずがいつの間にかダークファンタジーみたいになって、最後グダグダドロドロの話になっていくという、
いかにも町田学校っぽい話の流れで、その言葉のマシンガンのように打ち出される言葉のシャワーがすごい読んでいて面白い。
ちなみに冒頭はこんな感じ。
先ほどからソファーに並んで腰掛けて、妻と私が壁に向かって岩尾のように押し黙っているのは何も夫婦それで座禅修行をしているのではない。
金がないから黙っているのである。
というのはもしどちらかが口を切れば当然金の話になり、そうすれば左のごとき不毛な問答がなされるのが経験的に察せられるからである。
というのはお前さん一体どうすると思いたい。どうするってしょうがないじゃないか。
まあなんとかならない。じゃあなんとか押しようなんとか押しようっておめめみたいにそう述べずになんとか押しようなんとか押しようってやられたんじゃん。
まとまる関係もまとまらないじゃん。おめめさんの頭で考えてどうなるもんかいい加減に押してんだよこのスイカ野郎。
落語みたいですね。落語っぽい感じから始まる。
1年発起してメルヘンを書き始める。
ゾルバの物語
妻は不在である。ちょうどいい。
不言実行。これだ。男は黙ってメルヘン。私は叩くの前に正座し、両の手を膝の上に置いて考え込む。
メルヘンを書くにあたってはまず主人公。これを設定しなければ愛にならないが、私は無難なところで熊、それもコグマを主人公にすることにした。
いいですね。メルヘンは夢を書かねばならない。48歳の経理課長を主人公にしたりしたら、それはただの現実であり、企業小説もしくは不倫小説になってしまうのであって、夢も何もぶち壊したからである。
だから私はコグマ。名前をゾルバということにしよう。踊りの好きなコグマのゾルバ。いいね。どうも。そのゾルバが冒険旅行になる。
そんな感じでゾルバが主人公になっているんですけど、ゾルバの話がどんな話になっていくかというと、
これ最後の本なんですけど、今一度整理すると、ゾルバ。当初森の広場で踊ることのなりわいとしていたゾルバは、ひょんなことから妻が怪しげな鬼闘争と密通し、呪いによって我が子は殺されていたのうし、我が子の不乱死体を発見しショックを受けたゾルバは、家を捨てて旅に出る。
行き止まりの草むらから秘密のトロッコ列車に乗ったゾルバは、青の国、鳩の国を探して、そこで俺の映画に出演する妻と遭遇してゲロを吐き久しぶりに家に帰る。
妻は不在である日手紙を書く。妻は出産のために入院していて、子供がブサイクでゾルバは絶望して、電車の中でカップルを殴って男の前歯が折れて次の駅で逃げていって、
あ、これは私か、え、どっから僕だっけ、ゾルバの妻ってなんだっけ、またなんだ、妻を噛んでしまっている、みたいな虚構と現実が入り混じってきてますね。
そしてゾルバは全くメルフェンからは程遠い話になってきてしまっているというような感じで、というような最後どうなってしまうのかという話で、
これ後ろのあらすじのところにも過激な堕落の美学、とにかく落ちて落ちて落ちていく、堕落していく、
別にその堕落もかっこいい堕落ではなくて、ただひたすらクズのように落ちていく、この堕落する感じ、地堕落していく感じを描ききっている町田郷はやっぱり天才だなというふうに読んでいて思うわけです。
この文庫本の解説も篤谷坂さんが書いていて、篤谷坂さんらしいすごいビットに飛んだというか、斜めから攻めた解説によって、
この解説も結構短いものなんですけど、読みどころのある感じだなというふうに思っています。
というような感じですね。
なので今日は、町田郷にメオトジャワン、これはすごく短いものなので、さらっと読めるので、町田郷さん、
もしまだ入門していない人がいたら、まずこの辺から入門してみると良いのではないかなというふうに思います。
町田郷さん、このメオトジャワンも好きですし、クツン大国とか、屈辱ポンチ、時代劇っぽい話もむちゃくちゃですし、
ちょっと最近で言うと、カタカナで儀景記って書くんですけど、いわゆる吉常記って書く儀景記、
水戸の吉常の伝説を書いた儀景記を翻案した小説シリーズを今書いていて、まだ完結はしてないと思うんですけど、
結構ゆっくりしたペースであるんですけど、今2話で出てる。
この儀景記も、牛若丸が出てくるところから弁慶が出てくるところがめっちゃ面白いですね。
あとは、何でもないです。間違えました。
その儀景記とかも時代劇っぽい感じなのに、全然普通に現代語っぽい話が出てきた。
あ、思い出した。そうです。小説記だ、小説記。
河原書房の古典風、浅い古典のシリーズがあって、それの小説記を町田孝さんが訳したんですけど、
小説記と町田孝さんの文体がめちゃくちゃマッチして、町田孝って神話を書いてたんだなっていうふうに思うような、
そんな話でもあって、小説記もすごくお勧めです。
そんな感じで、今日は町田孝さんの目音ジャパンについてお伝えします。ありがとうございます。
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