1. 短歌のセカイの歩き方
  2. 短歌のセカイの歩き方 98【酒..
2021-04-09 13:00

短歌のセカイの歩き方 98【酒井郁奈】たんぽぽがさいているよねおかあさんげんきになあれおみずあげるよ

◆小学校1年生のこどもが詠んだ短歌


◆Profile◆

北詰至:脱力系サウナー/エッセイスト/小説家/歌人

Twitter @wak1027

公式HP 「サウナと旅と豆ちしき」

http://kitazumeitaru.tokyo/

サウナエッセイ、サウナ短歌の執筆制作のご依頼は下記よりお問い合わせください。

◆執筆制作依頼・お問い合わせフォーム

http://kitazumeitaru.tokyo/contact/

00:08
こんばんは、北詰至です。
このポッドキャストは、毎週一つの短歌を取り上げて、短歌の世界の楽しみ方をお話ししています。
毎週金曜、夜8時に配信しています。
今回は、小学校1年生の子供が読んだ、かわいらしい短歌をご紹介します。
短歌の世界を歩きながら、一緒に子供の心理を読み解いてみましょう。
短歌がもっと楽しくなる15分です。
タンポポが咲いているよね、お母さん。元気になれ、お水あげるよ。
はい、今回は堺育奈さんのタンポポが咲いているよね、お母さん。
元気になーれ、お水あげるよ、という単歌をご紹介します。
お名前がね、ちょっと読み方が難しいんですけど、
多分堺育奈さんかなと思います。
間違っていたらごめんなさい。
最近の子ってね、名前の読み方が難しいので、ちょっと分かんない時があるんですよね。
この単歌は全部平仮名で書かれた単歌なんですけれども、
当時小学1年生だった堺さんが読んだ単歌になります。
可愛らしいですよね。全部平仮名で、
タンポポが咲いているよね、お母さん。
元気になーれ、お水あげるよ、という単歌です。
北海道立文学館の第8回小中学生単歌コンテスト入賞の単歌です。
小学校1年生でも単歌読めるんだっていうのが、まず最初の驚きですね。
03:05
なんか、57577が基本なので、
その文字数にぴったり当てはまる言葉を探すのって、
ある程度語彙力が必要なんですよね。
いろんな言葉とか単語を知ってる方が、もちろん単歌を作る上では有利です。
で、それが小学校1年生のまだ限定された語彙力の中で、
こういったすごく情景が浮かぶ単歌を作れるっていうのは、
言葉に対してすごく、なんていうのかな、敏感というか興味がある子さんなのかなって思いました。
なかなか大人でもね、57577に当てはまる言葉で作ってくださいって言うと、
指でね、文字数数えたりして、
あーこれは5文字じゃないかーとか、7文字に入らないなー、はみ出ちゃうみたいな形で、
難しいんですけど、すごく綺麗にまとまっている単歌だなと思いました。
で、今回ご紹介する単歌で一番注目したいところは、
歌の間にお母さんっていう言葉が入るところなんですね。
これがこの単歌の魅力をぐっと引き上げているフレーズだと思います。
たんぽぽが咲いているよね、お母さん。
元気になーれ、お水あげるよ。
これ歌の一番メインのテーマとしては、
春先ですかね、庭でお母さんとたんぽぽを見ていて、
たんぽぽが咲いているのをこの坂井さんが見つけて、
あ、たんぽぽが咲いている、元気になーれ、お水あげるよって、
情露でお水をあげているっていう情景だと思うんですけど、
たんぽぽが咲いているね、元気になーれ、お水あげるよっていう風に、
全部たんぽぽと自分だけの関係に終始するのではなくて、
その間にお母さんを巻き込んでいる、
っていうところがすごく素敵だなって思いました。
お母さんが入ることによって、この坂井生奈さんの幼さっていうのがすごく感じられるし、
なんかあの子供のすごく限られた世界っていうのも引き立つんですよね。
06:07
小学校1年生だとまだその本人の世界ってすごく狭いじゃないですか、大人に比べてね。
まずお父さんお母さんがいて、学校のお友達がいるっていうね、
すごく狭い人間関係の中で生きてるわけですよね。
大人になると恋人ができたりね、
友達も例えば学校だけじゃなくて塾の友達、趣味の友達、悪い友達が増えたりとかね。
社会に出ると会社の仲間、取引先、世界がどんどん増えていきますよね。
一方で生まれたての赤ちゃんっていうのはお母さんと私っていうすごく閉じられた世界の中で生きていますよね。
で成長するにつれて関係する人がどんどん増えていくっていうのが人間の成長過程だと思うんですけど、
この坂井池名さんが当時ね、この歌を読んだ小学1年生の世界では、
お母さんがすごく大きな存在なんだなっていうのがこの歌からわかるんです。
しかもこの坂井池名さんにとってお母さんがどんな存在であるかっていうのもわかりますよね。
たんぽぽが咲いているよね。お母さん元気になれ。お水あげるよ。
これ歌の真ん中に突然お母さんに話しかけてるんですね。
お母さんにたんぽぽが咲いているよっていう自分が見つけたことの報告をしたいっていう気持ちがまずありますよね。
お母さん見てみて、たんぽぽが咲いてるよ。
自分の発見した喜びをお母さんと共有したいっていう気持ち。
あとは下の句で元気になれ、お水あげるよって言ってる。
これはお母さんを自分の世界に引き込んだ上で、
お母さん見てて、私これからたんぽぽさんに元気になれってお水あげるよって。
これ元気になれお水あげるよっていうのはたんぽぽに対して語りかけてるのもあるし、
09:04
お母さんに対して、お母さん見てて、私たんぽぽさんにお水あげるよって語りかけてる部分もあるんですよね。
これ二重に語りかけてると思うんですよね。
で、そういうふうに見ると、この小学校1年生の堺さんにとって、
お母さんっていうのがいかに自分にとって大事な存在かっていうのが見えてくると思います。
気持ちをお母さんと分かち合いたい。
自分がやったことをお母さんに見ててもらいたい。
で、その上でもしかすると褒めてもらいたいとかね、認めてもらいたいみたいな欲求があるのかなっていうふうに見えてきます。
私は自動心理学の専門家でもなんでもないので、
なんか本当に単価から読み取った気持ちの感想なんですけどね。
これ自動心理学に詳しい人の意見も聞いてみたいですよね。
なんかこの単価からどんな子供の気持ちが読み取れるかっていうのは、すごく私も知りたいです。
可愛いですよね。
ひらがなって、ひらがななところもいいんですよね。
ひらがなって漢字に比べて画数が少なくて、見た目も柔らかくなるので、
なんかその子供のピュアな感じが現れていていいなと思いました。
結構ね、漢字かひらがなかっていうのも単価を作る上ではとっても大事です。
言葉だけじゃなくて、目でも単価って読むものなので、
例えば漢字が多いとすごく硬く見えるし、
逆にひらがなが多いと柔らかく見えたり優しく見えたり、
あとは幼く見せたりとかね、そういうこともできますよね。
だからね、この漢字かひらがなかっていうのも単価にとっては、
単価を楽しむ上ではね、一つのポイントになると思います。
今日は小学1年生の坂井くなさんが読んだ、
12:02
可愛らしい春らしい単価をご紹介しました。
はい、いかがでしたでしょうか。
今回は、坂井くなさんの、「たんぽぽが咲いているよね、お母さん。
元気になーれ、お水あげるよ。」をご紹介しました。
単価の世界の歩き方は、毎週金曜夜8時に配信しています。
また来週金曜夜にお会いしましょう。
それでは、おやすみなさい。
13:00

コメント

スクロール